なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

悪性リンパ腫疑い

2020年08月21日 | Weblog

 先週の木曜日に施設から発熱・呼吸苦?の86歳女性が紹介されてきた。内科の若い先生が診察して、左肺の軽度胸水貯留・浸潤影を認めた。誤嚥性肺炎として治療することにした。

 単純CTで膵臓背側の後腹膜腔に腫瘤も認めていたので、今週改めて造影CTを行った。膵背側~大動脈周囲~脾臓内~左腎臓上極に広がる腫瘤で、放射線科の読影は悪性リンパ腫疑いだった。これ以上の検査も難しいし、診断としてはいいと思う。

 腫瘍マーカーはCEA、CA19-9、DUPANⅡは正常域で、可溶性IL2受容体抗体は1970と上昇していた。肝機能ではLDHだけが450と上昇している。

 家族に話をすると、身体に負担のかかることはしないでほしい、当院入院で経過をみてほしいと希望した。病状悪化時(正確には心肺停止時)はDNARの方針となった。

 精査・癌治療の適応はないと思われた。家族が専門医の意見を聞きたいと希望すれば、紹介状と画像(CD)を持たせて、家族だけがんセンターの外来を受診してもらうのもある、と伝えていた。当院でいいということなので、そのまま入院継続になる。

 幸い疼痛はないが、食事摂取は進まなかった。予後が短ければステロイド(デカドロン)の投与だが、糖尿病もあり、使いがたい。血糖を見ながら少量使用できる可能性があり、検討してもらうことにした。

 インスリンを使用すればステロイド使用可能だが、頻回の血糖測定(痛い)・インスリン注を要するので、緩和ケアにそぐわなくなる。

 若い先生は緩和ケアの本を持っていないそうなので、まずは一冊購入してもらう。当院内科の緩和ケアは大津秀一先生流。

 

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亜急性甲状腺炎

2020年08月20日 | Weblog

 昨日内科再来を診ていると、外来看護師長が内視鏡室勤務の看護師さん(39歳女性)を連れてきた。発熱が続いているので、診てほしいという。再来終了後でよければ診ます、と答えた。

 

 7月31日から発熱(37℃後半~38℃台)が続いていた。8月3日に近くの医院(当地域ではない)を受診して、アモキシシリン(とロキソプロフェン)が処方された。発熱が続いて8月11日に再受診して、今度はニューキノロン(ジェニナック)が処方された。

 新型コロナウイルス感染症のPCR検査をするよう言われて、赤十字病院で受けていた。結果は陰性。呼吸器症状はまったくない。嗅覚・味覚障害もない。白血球は正常域で、CRPが5~7だった。

 赤十字病院では、「何らかのウイルス感染症なので、1か月くらい発熱は続くだろう。他の人にうつらないので仕事はしてもいい。」と言われたそうだが、本当だろうか(あくまで本人の話)。

 外来看護師長に報告して、実際に勤務を続けていた。当院では、本来は発熱が続いている間は仕事を休むことになっている(どこの病院でも同様のはず)。

 自覚症状は発熱だけと言っていたが、聞いているうちに喉が痛いとも言った。普通に診て咽頭発赤はない。頸部にびまん性甲状腺腫があるようにも見えて、触診すると少し圧痛がある(両側で)。

 1週間経過しているので炎症反応の再検と甲状腺機能を提出した。検査室から報告がきて、甲状腺機能亢進があった(TSHは感度以下)。白血球数は正常域でCRPが6だった。

 甲状腺エコーを追加すると、びまん性甲状腺腫で内部に低エコー域が広がっていた。亜急性甲状腺炎に矛盾しない所見だった。

 当院では外科で甲状腺外来を行っていて、主には院長先生が担当している。放射線室にいるところを捕まえて?、診察・治療を依頼した。(ちゃっかりと甲状腺抗体の外注も提出も依頼)

 

 症状がそろって、すっかり熟した時期に診たことになる。結果的に感染症ではなかったが、発熱が続いている状態で勤務していたのはまずい。

 

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Sweet病(仮)

2020年08月19日 | Weblog

 84歳男性が8月1日(土)に救急外来を受診した。前日から倦怠感があり、その日に38.6℃の高熱があった。発熱以外には症状がなかった。

 白血球数は7400だったが、CRP15.5 と炎症反応の上昇を認めた。呼吸器症状はないが、喫煙歴があり、胸部X線・CTで気腫像と胸膜下の軽度線維化を認めた。

 肝機能障害があるが(AST 101・ALT 53・LDH 246・ALP 405・γ-GTP 159・総ビリルビン0.9)、CT画像で肝胆道系に異常はなかった。尿所見も正常だった。

 年齢の割にはもともと元気な方で、認知力障害もまったくない。気道感染は来しやすいと判断して、抗菌薬内服で経過をみることにした。

 週明けの火曜日に受診したが、38℃台の発熱が続いていた。肝機能障害が増悪して(AST 221・ALT 215・LDH 252・ALP 992・γ-GTP 415・総ビリルビン1.2)、CRP17.0となっていた。

 胆汁うっ滞型でもあるので、胆道系の異常を疑って腹部エコー、さらにはMRCPも行ったが異常はなかった。食欲不振もあり入院を勧めたが、その日は外来で点滴をして帰宅したいという。

 次の日は家族にも説得されて入院するという。血液培養3セットを採取して入院とした。疣贅疑いで心エコー検査を行うと、僧帽弁に一部肥厚した部位がありそうだという。心内膜炎なのか?。

 培養結果が出るまで、セフトリアキソン点滴静注で経過をみることにした。結果が陽性になるまで、抗菌薬なしでさらに血液培養を繰り返すことも考えたが、結局投与を開始した。

 入院時に右膝関節の腫脹があった。発赤・熱感はないが、疼痛がある。ただし以前から膝関節痛が出ることはあったそうだ。そして、両側下腿に紅斑が散在していた。痛みはさほどない。両手背にも紅斑があった。範囲はPIP関節とMP関節の間から両関節を越えている。手掌にも紅斑があって、これは珍しい。

 これは皮膚疾患なのか、発熱を来す疾患の症状なのか?。リウマチ膠原病と皮膚疾患も鑑別に入ってくると思った。

 入院後体温は36℃後半から37℃前半になっていった。CRPが14.3~11.0~9.3と漸減してきて、肝機能障害も漸減していた。セフトリアキソンが効いているようにも見える。

 血液培養3セットは陰性だった。心エコーを繰り返したが、前回指摘された僧帽弁の所見は変わりないそうだ。四肢末端・結膜に敗血症性の血栓はまったくない。心内膜炎ではないのか。

 皮膚科医に診てもらうと、両側下腿の紅斑は散在していて結節性紅斑とはいえないと言われた。その時にSweet病(急性熱性好中球性皮膚症)というのもあるが、紅斑の部位が顔面・項頚部・前腕・手背で、合っているともいえないという。

 成人スティル病も考えたが、そもそも除外診断の疾患で、悪性腫瘍・リウマチ膠原病・感染症が否定されれれば、というものだ。

 関節痛もあるし、軽度ならば何らかの炎症性疾患にNSAIDが効くことも期待できるか。セレコックス内服も開始した。セフトリアキソン点滴静注・セレコックス内服という、軽症疾患だと何でも効くような組み合わせ(個人の感想です)で経過をみたが、炎症反応の改善は横ばい(CRP低下が9で止まった)となった。 

 皮膚科医から、Sweet病の分布は手背・前腕・下腿というのもありらしいという話が出た。ステロイドを試してみたいが、その前に皮膚生検をしたいという。

 生検後にプレドニン20mg/日を開始して、NSAIDは残したがセフトリアキソンは中止した。明らかに解熱(それまでの36℃後半も微熱だった)して、体調は改善してきた。食事摂取も良くなり、個室のトイレにちょっと行くくらいだったのが、廊下も歩行するようになった。

 Sweet病(仮)でもう1週間経過をみることにした。今のところ血液疾患や悪性疾患が潜在している様子はないが、注意が必要だ。

 

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がんセンターで言われたこと

2020年08月18日 | Weblog

 内科再来を79歳男性が受診した。元病院の事務職員だった。

 内科外来の治療は高血圧症・高尿酸血症の治療だけで単純なものだ。早期肺癌で手術を受けていたが、すでに治癒している。数年前に血尿で膀胱癌が見つかり、がんセンター泌尿器科で内視鏡治療やBCG注入の治療を受けていた。 

 膀胱癌が何度か再発してその度に治療をして軽快していた。がんセンターと直接やりとりしているわけではないので、患者さんの話を聞くだけだった。

 ふだんは5分くらい話をして帰っていく。昨日は血圧の話をした後も、椅子にすわったまま動かなかった。話を聞いてもほしいという。本人の話だけなので詳細はわからないが、膀胱癌が尿管に浸潤しているらしい。手術は10時間以上かかると言われたそうで、膀胱全摘・人工膀胱造設になるようだ。

 肺癌術後だが、それは大したことはなくて、呼吸器内科で指摘された間質性肺炎が問題になっていた。麻酔や手術自体による増悪の可能性を指摘された。総合的に考えて、そのまま経過をみるような話をされたそうだ。

 本人としては、見捨てられたような気もすると、言ってた。リスクは承知の上で手術を希望すれば、受けられないことはない。それでも家族(息子たち)と相談すると、病院側が積極的に手術するといわなければ、そのまま経過観察の方がいいのではと言われた。

 さまざまな症状が出現した時の対応や、緩和ケアのことも考えていた。がんセンターに通院し続けるのも(遠方で)大変だし、しょっとした症状がある時にすぐに診てもらえるわけではない。

 当院で診てもらいたいというが、泌尿器科の常勤医はいない(外来で診療応援はある)。泌尿器科外来では診察可能で、(専門的ではない)入院治療を要する時は常勤の外科医が対応することになっている。

 その旨をお話すると、担当医と相談してみますといって、帰っていった。

 

 

 

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Plesiomonas shigelloides

2020年08月17日 | Weblog

 職員の57歳男性が、先週の水曜日の夜に高熱で救急外来を受診した。内科の若い先生が当直だった。

 発熱以外の症状はなく(倦怠感はある)、血液検査で軽度の炎症反応上昇があった。型通りに血液培養2セットを提出して、レボフロキサシン内服を処方していた。

 翌日に相談された。胸腹部CTで肺炎像はなかった。年齢を考慮しても前立腺肥大があるようで、単純CTだが内部が均一ではないようで細かな石灰化もあった。尿所見に異常が出ないこともあるので、前立腺炎かもしれないと思った。レボフロキサシンは前立腺への移行性が良好なので、前立腺炎ならいい選択だった。

 その後は解熱傾向になり、下痢(軟便程度らしいが)が出てきたという話だった。血液培養でグラム陰性桿菌が検出されて、大腸菌を想定したが、菌名が出て、Plesiomonas shigelloides(プレジオモナス・シゲロイデス)と判明した。

 Plesiomonas shigelloidesと言われても、さっぱりわからなかった。下痢症の起炎菌で、食中毒菌として指定された菌だった。レボフロキサシンは感受性があり、感染性腸炎としては標準的な処方になる。

 便培養は取っていないが、提出すれば検出されたのだろう。「発熱はほとんどみられず、あっても微熱にとどまる」とあるが、今回は高熱で、菌血症を生じている。

 グラム陰性桿菌なので心内膜炎を来す可能性は低いか。腰痛があると言っていた。高熱で寝込んだためもあるが、続くようなら化膿性脊椎炎疑いでMRIを検討してもらうことにした(内科の別の先生が治療)。

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院していた29歳女性は今日退院になった。嗅覚障害は軽減したものの、まだ残っている。今後どこまで改善するかわからない。

 県内の発生は数日ないが、お盆期間の移動の影響で今週末から来週にかけてまた出てくるかもしれない。

 

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肺結核の注射薬治療

2020年08月16日 | Weblog

 肺結核で県内唯一の結核病棟のある病院に転院した91歳女性の経過(6月23日の記事)。

 搬送した段階では、治療は厳しいかと思われたが、何とか治療して軽快していた。経口摂取できないので、抗結核薬の内服薬は使用できず、注射薬での治療となっていた。

 イソニアジド、レボフロキサシン、ストレプトマイシンの3剤だった。薬剤耐性の問題ではなく、あくまで投与経路の問題になる。

 研究会で他県の結核病棟をもつ病院で発表していた治療と同じだと思った。投与期間も通常の標準治療とは異なる(らしい)。

 診療情報提供書には、経鼻胃管からイソニアジド・リファンピシン注入に変更も考慮して下さいとも記載されていた。経鼻胃管から3剤投与(多分4剤は副作用で厳しい)開始と言うのはないのだろうか。とりあえずは同じ治療で継続することにした。

 喀痰塗抹で3回陰性とあったが、培養結果はまだ出ていない(6週間はかかるそうだ)。大学病院から呼吸器外来に来てもらっている先生に訊くと、大学では培養が3回陰性になってから隔離解除にしているという。

 当院では個室管理で診ていくが、スタッフは培養結果陰性を確認するまではN95マスクで対応することにした。サージカルマスクを使用して、喀痰吸引などエアロゾル発生の時だけN95マスクにするのもあるがと言われたが、慎重を期してN95マスク対応になった。

 

 6月23日記事

 今月始めに、老人保健施設から発熱の91歳女性が紹介されてきた。施設嘱託医の指示で、土日にセフトリアキソンを点滴静注していたそうだ。

 発熱外来担当の先生が診察して、右肺炎として内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)に入院治療が依頼された。右肺に広範な浸潤影を認めていた。家族との相談では、できる範囲で治療するが、病状悪化時には心臓マッサージや人工呼吸は行わない方針(DNAR)になっていた。

 ゾシン(PIPC/TAZ)で治療が開始されたが、微熱~平熱で推移して、炎症反応は横ばいだった。大学病院から呼吸器科外来で来てもらっている先生に相談すると(抗酸菌感染症に強い)、抗酸菌感染(結核)の鑑別が必要といわれ、抗酸菌塗抹を行った。

 結果は抗酸菌塗抹陽性(ガスキー2号)で、3日後に結核菌PCR陽性と判明した。胸部X線で部分的に含気が改善した部位もあるが、通常の細菌性肺炎が併発していたところだけ、軽快したのかもしれない。

 胸部画像としては、空洞形成はなく、通常の細菌性肺炎のような浸潤影に見える。肺炎様の病像だと結核性肺炎になる。右肺尖部には胸膜肥厚があり、陳旧性の結核病変はあったのだろう(再燃による二次性結核)。

           

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脳梗塞と出血

2020年08月15日 | Weblog

 8月6日に転院してきた92歳女性の経過。

 8月7日の記事

 「昨日は午前10時ごろに地域の基幹病院から心原性脳梗塞の92歳女性が転院してきた。

 内科医院に高血圧症で通院して、心房細動があるが、抗凝固薬は年齢を考慮してか処方されていなかった。7月に左下肢脱力で基幹病院を受診して、中心前回に脳梗塞を認めた。

 入院後に後頭葉の脳梗塞、次いで両側前頭葉の多発性脳梗塞を来していった。抗凝固薬(DOAC)を一時的に投与したところ、消化管出血を来して、重度の貧血(Hb5g/dl)を呈した。

 消化管出血の方がいわゆる命取りになるので、家族と相談して今後抗凝固薬は投与しないことになった。今後の脳梗塞の再発(頻発?)予防が不可能なことから、再発からの急変時(正しくは心停止時)には心肺蘇生を行わない方針になったと記載されていた。

 転院して来て、患者さんは元気で全粥刻み食を食べられる。症状は左半身(完全)麻痺・空間失認・同名半盲があった。家族(長女)と話をして、このまま無事に過ごしていければ施設入所待ちで、血栓塞栓症が発症した時はできる範囲で治療して、病状悪化時は基幹病院の方針の通りということになった。 」

 

 先週末は3連休だったが、連休明け(か前日)から反応が鈍くなって、食事摂取ができなくなった。火曜日に頭部CTで確認すると、右中大脳動脈領域に新規の脳梗塞があり、(前医からの)後頭葉の梗塞巣に出血が見られた。

 ちょうど家族が必要な備品を持ってきたところだったので、新たな病変について説明した。やっぱり駄目ですか、ということだった。

 その後意識状態が改善したので、慎重に昼のみの嚥下訓練を開始した。発語も見られるようになったが、何かが見えるらしいのだが、内容は?だった。やはり抗凝固薬は出せない。

 

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壊死性筋膜炎

2020年08月14日 | Weblog

 内科の若い先生が水曜日に当直だった時に、83歳男性が救急搬入された。その2日前に草刈りをしていた時に転倒して、右足(足関節部)に擦過傷を来した。

 右足の痛みで水曜日に整形外科クリニックを受診して、捻挫といわれた(本人の話)。クリニックから帰宅の途中に対向車と衝突した。相手の車はそのまま立ち去った。

 救急要請して当院に搬入されたが、右頬に擦過傷程度だった。右足関節部にびらん・滲出液があり、下腿に熱感・腫脹があった。白血球13400・CRP6.6と炎症反応の上昇があり、血小板1.5万と低下して、D-ダイマーが20.4と上昇していた。発熱39℃と高熱だった。

 胸部X線・CTで右胸水があり、浸潤影はわかりにくいが、心不全ではない。地域の基幹病院に右胸水と血小板減少で入院歴があり、詳細は不明だった。夜間なので、翌日に問い合わせることにしたそうだ。

 

 翌日相談された。右胸水のフォローはクリニックに紹介されて、利尿薬が継続されていた。胸腔穿刺をしないとわからないが、これは呼吸器科外来に来てもらっている先生と相談することにした。

 右足の蜂窩織炎といわれたので、そこは直接病棟で患者さんを診ることにした。病室で診察したが、右足関節部のびらん・滲出液は確かにあり、膝から下の下腿が腫脹していた。発赤は強くない。触診すると、握雪感というのかグシャという感じで組織が緩くなっている。

 蜂窩織炎ではさほどの自発痛が訴えないが、自発痛が強く、把握痛のかなりある。前夜よりも範囲が明らかに広がっている。蜂窩織炎というより、壊死性筋膜炎が疑われた。

 テキストに載っている壊死性筋膜炎の画像は、紫黒色が腫れあがっていて表面に水泡形成しているが、あれは終末期像で最終的に死亡した症例のものだ。そこまで変化すれば確定だが、待っていられない(MRIで確認する余裕もない)。

 整形外科がない当院では到底診られないので、(以前の受診歴もあり)地域の基幹病院に救急搬送することにした。若い先生に電話での搬送依頼をしてもらっていると、病棟看護師さんから血圧が70に低下したという報告がきた。患者さんは会話可能だったが、ほんやりしている。

 急いでリンゲル液(ソルラクト)を全開で開始した(入院時から点滴はしていた)。500ml入ったところで、血圧が100まで戻ってきたが、そのまま前回で続けた。

 若い先生は形成外科に連絡しようとしたが、担当医は手が離せないので連絡がつかず、保留になっているという。壊死性筋膜炎・敗血症性ショックなので、救急科に連絡するよう伝えた。幸いに受け入れ可能となり、救急搬送した。

 最初若い先生は事の重大性・緊急性にピンときていなかったが、ショックになったことでわかったらしい。昨夜の段階では判断が難しい。時間経過を追って、病変の進行の速さで診るしかない。

 それにしても交通外傷で病院を受診したので、かえってよかった。そのまま自宅にいたら危なかった。

 

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神奈川から来て発熱

2020年08月13日 | Weblog

 昨日、45歳女性が咽頭痛(違和感)・発熱で受診した。耳鼻咽喉科の受診を希望したが、発熱があるため発熱外来に回された。

 3日前に神奈川県から仕事で当地に来ていた。2日前から咽頭痛・38℃の発熱があった。咽頭発赤があるが、化膿はない。溶連菌迅速検査・アデノウイルス迅速検査は陰性だった。

 神奈川県から来たということで、担当医はインフルエンザ迅速検査と新型コロナウイルス抗原検査も行ったが、両者とも陰性だった。

 血液検査では白血球10200・CRP11.4と炎症反応の上昇を認めた。胸部CTで右肺上葉に斑状の浸潤影を認めた。新型コロナウイルスのPCR検査も行う予定だが、どうでしょうかと相談を受けた。

 PCR検査提出に依存はないが、一側の浸潤影・白血球上昇・病初期からCRPが高いことからは、通常の肺炎と判断される(確率的な問題で確定はできない)。肺炎としては軽症になるので、抗菌薬内服の外来治療でいかがでしょうかと伝えた。1週間分の処方をして、数日で解熱しない・呼吸苦が加わるなどの時はすぐに受診するようお話したそうだ。

 

 

 首都圏から東北に来て発熱すると(さらに肺炎があると)、相当に警戒されることになる。

 肺炎があれば典型的には、両側すりガラス影・白血球正常域~低下・CRP5程度の軽度上昇(病初期)が新型コロナウイルス感染症と認識しているが、確定はもちろんできない。

 発熱・咳だけだと(極端な)嗅覚・味覚障害でもないと区別はつかない。コロナウウイルスの検査は抗原もPCRも、陽性は確定だが、陰性は疑いのままなので(否定できない)、経過をみるしかない。

 

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室内で熱中症

2020年08月12日 | Weblog

 昨日の夕方、発熱外来を診ていた外科医から94歳女性の診察を依頼された。

 午後3時過ぎに近所の人が患者さんに電話したが、応答がなかった。家まで様子を見にいくと、暑いのにエアコンも付けず、ぐったりと横臥していた。病院に連れてきてくれたが、体温測定すると37.8℃だったので、発熱外来扱いになった。

 血液検査、胸部X線などを行ったが、血清クレアチニン1.66mg/dlで、ふだんも慢性腎臓病(CKD)があるが、やや上昇していた。それ以外の血液検査は同じだった。

 体温は36.7℃に下がってきた。病院の冷気?が効いたらしい。受け答えもしっかりしてきた。屋外の気温が高く、状況からは熱中症相当だった。ひとり暮らしなので、そのまま帰すわけにもいかない。入院で点滴をして経過をみることにした。

 

 高血圧症・大動脈弁(狭窄症兼)閉鎖不全症で通院している。もともとは心気症・うつ傾向があり、愁訴が多かった。一人暮らしをしていて、認知機能障害も出てきて、施設入所(ケアハウスかグループホーム)を勧めていた。施設見学に行ったこともあったが、気に入らないのと、ひとりでやっていけるという自信?があり、入所には至っていなかった。

 夫は亡くなっていて子供はいない。親族は弟だが、やはり高齢で関わるのも難しい。最近は近所の人(同じ人)が外来受診についてきてくれていた。

 

 午後6時半ごろに病院から外に出ると、むあ~っと空気が暑かった。これでエアコンをつけないで室内にいたら、体が蒸し上がりそうだ。昨夜はかなりの暑さが深夜まで続いていた。

 当院の発熱外来は院内での呼称で、対外的に開いているわけではない。

 

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