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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

多発性肝転移

2025年04月12日 | 消化器疾患

 4月9日(水)の内科外来に90歳代前半の男性が受診した。1週間前から右側部~背部痛があるという。

 超高齢者だが、二人暮らしの自宅では妻の介護をしていて、自分で車を運転して受診している。(免許証返納が好ましい年齢ではある)

 市内の内科クリニックに高血圧症・糖尿病などで通院している。この症状でクリニックを受診したが、腹部エコー検査で異常なしとされて、湿布のみ処方されていた。

 動いた時に「ビビビビビ」と痛いと表現されていた。同部位に皮疹(帯状疱疹)はなかった。圧痛もない。持続痛があり体動時に悪化する痛みのようだ。(呼吸性ではない)

 最初は整形外科的な痛みのようにも思われたのと、クリニックの腹部エコー検査で異常を指摘されなかった?ということで、胸腹部CT検査を行った。

 すると肝臓全体に転移性と思われる腫瘍が多発していた。血液検査では肝機能障害が軽度にあり、LDHが特に上昇している点が悪性腫瘍を示唆していた。腫瘍マーカーを追加したが(CEA・CA19-9・AFP)、正常域だった。

 造影CTを追加した。転移性肝癌が明瞭に描出された。原発巣を探したが、胃癌・大腸癌・膵癌・胆嚢癌は否定的だった。

 放射線科の読影レポート(遠隔診断)は数日かかる。至急にすると、お金はかかるが大した料金ではないことがわかったので、最近時々使っている至急の診断にした。夕方には結果が出て、「多発性肝転移、膀胱癌の疑い」となっていた。

 確かに膀胱内に腫瘤が写っている。これが癌だとしても原発巣といえるのかという疑問もある。前立腺癌の腫瘍マーカー(血清PSA)も追加したが正常域だった。

 尿細胞診を提出したが、癌が証明できるかわからない。尿細胞診で癌が出なければ膀胱鏡検査だが、紹介したとして高次医療機関の泌尿器科で実施するだろうか。

 アセトアミノフェンだけでは軽度にしか痛みが軽減しなかった。アセトアミノフェン+トラマドールで来週まで経過をみることにした。

 

 病院としては診断にこだわりたいところで、目立たない胃癌・大腸癌が隠れている可能性もあるが、上部・下部の内視鏡検査も希望されていない。

 

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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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大学病院時代に (シロート)
2025-04-13 07:13:58
同様の症例をエコーで見逃した事があります。再検査でよくみると気づきました。
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