職員の57歳男性が、先週の水曜日の夜に高熱で救急外来を受診した。内科の若い先生が当直だった。
発熱以外の症状はなく(倦怠感はある)、血液検査で軽度の炎症反応上昇があった。型通りに血液培養2セットを提出して、レボフロキサシン内服を処方していた。
翌日に相談された。胸腹部CTで肺炎像はなかった。年齢を考慮しても前立腺肥大があるようで、単純CTだが内部が均一ではないようで細かな石灰化もあった。尿所見に異常が出ないこともあるので、前立腺炎かもしれないと思った。レボフロキサシンは前立腺への移行性が良好なので、前立腺炎ならいい選択だった。
その後は解熱傾向になり、下痢(軟便程度らしいが)が出てきたという話だった。血液培養でグラム陰性桿菌が検出されて、大腸菌を想定したが、菌名が出て、Plesiomonas shigelloides(プレジオモナス・シゲロイデス)と判明した。
Plesiomonas shigelloidesと言われても、さっぱりわからなかった。下痢症の起炎菌で、食中毒菌として指定された菌だった。レボフロキサシンは感受性があり、感染性腸炎としては標準的な処方になる。
便培養は取っていないが、提出すれば検出されたのだろう。「発熱はほとんどみられず、あっても微熱にとどまる」とあるが、今回は高熱で、菌血症を生じている。
グラム陰性桿菌なので心内膜炎を来す可能性は低いか。腰痛があると言っていた。高熱で寝込んだためもあるが、続くようなら化膿性脊椎炎疑いでMRIを検討してもらうことにした(内科の別の先生が治療)。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院していた29歳女性は今日退院になった。嗅覚障害は軽減したものの、まだ残っている。今後どこまで改善するかわからない。
県内の発生は数日ないが、お盆期間の移動の影響で今週末から来週にかけてまた出てくるかもしれない。