なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

間質性肺炎の増悪

2020年08月28日 | Weblog

 今週月曜日に、地域の基幹病院呼吸器内科から85歳男性が転院してきた。前月に当院から搬送した患者さんだった。

 7月の連休の前日の夕方に(時間外)、動けなくなったとして当院に救急搬入されていた。外科の救急を診ていたが、ちょうど帰る時に救急室を覗いてみた。

 動けなくなったということで(麻痺はない)、頭部CT・MRIの検査をしていたが、異常はなかった。胸腹部CTで両側肺の陰影が目立っていた。37.8℃の発熱があった。発熱を来す疾患により、もともとADLの悪い高齢者が動けなくなったという経緯だろう。

 細かな蜂巣肺に淡いすりガラス陰影が広がっている。間質性肺炎に見えた。当院では対応できないので、呼吸器内科へ搬送するしかない。

 今どきだと、間質性陰影は新型コロナウイルス感染症による肺炎との鑑別で、嫌がられるだろうと思った。(印象としてはコロナウイルスの場合はきれいなすりガラス陰影で、特発性間質性肺炎は胸膜直下の蜂巣肺+すりガラス陰影で違うようだ。個人の感想です。)

 ただこの患者さんは昨年11月に当院に肺炎で入院した既往があった。消化器科の先生が休日日直の時に診て、そのまま自分で入院治療していた。抗菌薬投与で約1週間治療して軽快退院している。

 その時の胸部CTをみると、もともと間質性肺炎の変化がある。(入院した時は細菌性肺炎の併発だったのだろう)そうだとすると、間質性肺炎の増悪として受けてもらえるかもしれない。

 外科の先生が先方の病院に連絡して、その旨を伝えると、受け入れてもらえた。実際は先方の病院に心筋梗塞や脳梗塞で入院した既往があり、一昨年に撮影した胸部CTで間質性陰影を認めていた。

 ステロイドパルス療法からプレドニン1mg/kg/日で治療が行われて、間質性陰影は軽快した。当初は感染症も考慮して、セフトリアキソン・アジスロマイシンを併用していたが、有意菌は検出されず、中止している。経過中に心不全の悪化で酸素が低下して、利尿薬で改善するというエピソードもあったそうだ。

 プレドニン25mg/日で退院もっていこうとしたら、腰痛で退院できなくなった。整形外科に相談したが、骨折はないとされた。そこで当院に療養転院となったという経緯だった。

 

 転院して来ると、患者さんは元気だったが、両上肢が皮下出血だらけだった。バイアスピリンとワーファリンを内服している。資料情報提供書にワーファリン2㎎/日と記載されていたが、実際は1.5m/日内服で直近で減量したらしい。検査すると、PT6%・PT-INR8.76で、ビタミンK静注から当院で治療が始まった。

 

 

 

 

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