なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

間質性肺炎の増悪

2024年09月30日 | 呼吸器疾患

 9月27日(金)の午前中に救急をみていた外科医(大学病院)から連絡がきた。当方が入院が必要な患者さんを担当する当番だった。

 患者さんは90歳男性で、前日に市内の内科クリニックから呼吸器外来(大学病院の非常勤医)に紹介になっていた。酸素飽和度が85%(室内気)だった。

 クリニックで間質性肺炎・肺気腫の経過をみていた。今年の6月にの画像撮影の依頼があり、胸部CTを行っていた。(画像だけの依頼で放射線科の読影レポートのみ)間質性肺炎の変化は軽度だった。

 今回は胸部X線・CTで両側肺野に間質性陰影(すりガラス陰影+網状影)を認めた。発熱もあり、白血球10300・CRP11.8と炎症反応上昇とLDHの上昇(465)を呈している。

 外来で診た先生は、急遽在宅酸素療法(HOT、2L/分)を導入して、帰宅としていた。戻されたクリニックの先生も驚いたのではないか。

 

 その日は呼吸困難ではなく、家族が朝に意識がぼんやりしている、とケアマネ―ジャーを呼んでいた。呼ばれたケアマネが新鮮血下血に気づいて、救急要請したという経緯だった。家族の話では1週間前からあったらしい。

 搬入時は意識清明で普通に会話ができる。年齢の割に体格が良く、話しぶりもしっかりしている。ふだんはADL自立で認知症はない。動きも良かった。

 外科医が肛門鏡で診て、内痔核を認めた。ただ観察時に出血がなく、そこからの出血(痔出血)で間違いないとはいえないため、大腸内視鏡はいずれ必要ということだった。腹痛はない。

 酸素2L/分で酸素飽和度は91~92%だったが、体動時は下がってしまう。酸素吸入は増量をする。

 90歳で治療の適応なしと判断したのかもしれないが、認知症・寝たきりではない。治療効果があるかという問題もあるが、治療の適応はあると判断される。

 地域の基幹病院呼吸器内科に連絡すると、やはり90歳ですかとはいわれたが、引き受けてくれた。治療しても反応に乏しい時や入院継続が必要な時は当院に戻してもらうことも伝えた。

 

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アナフィラキシーショック

2024年09月29日 | 無題

 9月26日(木)の午前9時にアナフィラキシ―ショックの70歳代前半の男性が救急搬入された。

 前日の夕食はイカ、ソーセージなどで飲酒(ビールと焼酎)もしていた。その日の午前7時ごろ全身にかゆみを感じて、蕁麻疹が出現した。同時に呼吸困難が生じて、自分で救急要請していた。

 救急隊到着時は血圧99/67と低下して、酸素飽和度が76%(室内気)と低下しいえて。酸素吸入10L/分で82%になったそうだ(搬入時は88%)。もともと当院の外来(大学病院の医師担当)に気管支喘息で通院していて、ICS/LABAを吸入している。

 担当した先生は救急当番の割り振りをしているが、その日は午前8時30分に救急搬入依頼が来た。

 前日の当直医(小児科医)は外来診療が始まっていた。その日の午前中は大学病院の外科医で、バックアップ(入院担当)は内科の若い先生だったが、どちらもまだ来ていなかった。それで当番割り振りの先生に受けるように連絡が来たという経緯だった。

 アドレナリン0.5mg筋注と点滴を行いと、血圧が上がって来て、酸素飽和度も改善した。抗ヒスタミン薬も入れたといっていたが、j内服で出していた。

 病棟に上がって来た時に患者さんを診たが、膨疹の赤みは大分とれてきていた。会話も可能になっている。ステロイドも使用して経過をみる。

 

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汎血球減少、出血傾向

2024年09月28日 | 血液疾患

 9月26日(木)のお昼に医局のラウンジでお弁当(病院に入っている業者の弁当)を食べていた。内科の若い先生が来て、その日内科新患で受診した患者さんの検査結果をみせてくれた。

 白血球300(顆粒球0%でリンパ球93%、芽球はない)・Hb10.1(MCV85.0)・血小板2000で、汎血球減少症だった。それも重度の。

 患者さんは50歳代の男性で、訴えは7日前に右手を蜂に刺されたということと、4日前から右顔面の出血・鼻出血・歯肉出血・口腔内(硬口蓋)出血・四肢の出血(紫斑)だった。

 血圧も酸素飽和度も問題なく、歩行もできて、診察前ちゃんと座って待っていた。ただ発熱40℃がある。

 「ハチ刺され後の血球減少?」として、地域の基幹病院の救急科に連絡したそうだ。まず地域医療連携室に連絡することになっているが、担当医は出ず、そのまま受診させるようにといわれたそうだ。患者さんは自宅の車で向かった。(忙しくて手が離せないと、たまに内容を検討しないで受けてくれることがある。ありがたいが、診てびっくり?。)

 

 ハチ刺されは関係ないのではないか。要は、原因は不明だが、汎血球減少・(血小板減少からの)出血傾向・(無顆粒球症からの)感染症ということだ。

 白血病かと思ったが、LDHは正常域だった。CRP30.8と高度に上昇している。一般検査からは原因はわからない。

 血液疾患なのか、特殊な感染症(当地はSFTSのある地域ではない)なのかわからないが、基幹病院といえどもさらに高次医療機関に搬送したのではないだろうか。

 

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誤嚥性肺炎

2024年09月27日 | 呼吸器疾患

 9月25日(水)午後の発熱外来に88歳女性が受診した。発熱以外の症状はなかった。

 2日前の9月23日に退院したばかりだった。7月に転倒による仙骨骨折・脊椎圧迫骨折で整形外科に入院している。保存的治療後に急性期病棟からリハビリ病棟に転棟していた。

 整形外科としては鎮痛薬の投与くらいだが、誤嚥性肺炎を繰り返して、担当の内科医が治療していた。整形外科の入院は多いので、リハビリ病棟に転棟してからは担当の内科医が処方などをすることになっている。整形外科医は週1回の回診のみ。

 

 発熱外来なので、まずコロナとインフルエンザの迅速検査をすることから始まる。両者陰性だった。見に行くと息子さんの運転する車の助手席に座っていた。

 息子さんは「誤嚥性肺炎じゃないですか」という。食事の時のムセや咳があるのと、入院中に何度か説明を受けている。

 院内に入ってもらって、画像検査・血液尿検査を行った。胸部X線・CTで両側肺下葉背側に浸潤影と胸水を認めた。白血球10100・CRP7.1と炎症反応が上昇していた。

 

 すでにはっきり陰影が出ているので、退院する時にはすでにできていた可能性が高い。微熱くらいで経過して、退院2日目に38℃の高熱になったということだろう。

 急性期病棟に入院して、抗菌薬(スルバシリンABPC/SBT)で治療を開始した。治っては肺炎、治っては肺炎と繰り返すかもしれない。

 

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COVID-19

2024年09月26日 | COVID-19

 9月21日(土)は外部の先生が日当直をしていた。以前にも記載した東京の病院で内科専攻医をしている若い先生で、所属は超有名な病院になる。

 70歳代前半の男性が救急搬入された。9月20日から発熱があり、食欲が低下していたが、その日は体動困難となっての救急要請だった。

 コロナの迅速検査が陽性と判明した。胸部CTで両側肺の背側にすりガラス陰影様の陰影がある。コロナの陰影というより液体分布の問題のように見えるが、確定はしがたい。

 血液検査では白血球4600・CRP4.4という結果で、このくらいだとコロナ肺炎ではないか。ただ酸素飽和度が91~93%と低下していて、その点では肺炎を示唆する。

 入院治療としてレムデシビル(ベクルリー)の点滴静注と抗菌薬の点滴を開始した。入院の報告を要するので常勤のその日の内科当番の先生に電話で相談していた。

 相談の上、デキサメサゾンについてはすぐには投与しない方針にしたと記載されていた。コロナ診療でも有名な病院勤務なので、若い先生に判断はまかせたと思われる。

 翌々日には解熱して、食事摂取も良好となった。高齢者ではあるが、(80~90歳中心の)当院としてはまだ比較的若い患者さんなので、解熱すれば後は順調に回復するだろう。

 

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高浸透圧高血糖症候群

2024年09月25日 | 糖尿病

 9月24日(火)の午後4時頃に救急外来を診ていた腎臓内科の若い先生から連絡がきた。

 救急搬入された70歳前半の男性の血糖が高く(636mg/dL)、高ナトリウム血症(169mmol/L)もあるということだった。輸液をどうしましょうかという。

 救急室に行ってみると、血清カリウムが3.2と低下しているのもあるが、それより血圧が70mmHg台だった。高浸透圧高血糖症候群(HHS)で脱水からの血圧低下が起きている。

 (酢酸)リンゲル液を全開で流した。1本目が終わるころには血圧が90mmHgになり、2本目になってからは100mmHgになってきた。

 普段は消化器科の外来に通院していて、DPP4阻害薬とSGLT2阻害薬の合剤が処方されている。血液ガスはPaO2 246・PaCO2 57.3・pH 7.396(酸素吸入あり)とアシドーシスは起きていない。

 別の救急搬入も入ったところで、困っていた。可能ならば糖尿病科のある地域の基幹病院に依頼してみては、と勧めた。連絡すると受けてもらえることになり、救急搬送となった。

 当院は時間外は検査技師が不在なので、POCTと試験紙利用の簡易検査だけで診療している。血液ガスの器械を使用して、管理できなくはないが、マンパワーのある病院にお願いする方が救命のためにはいい。

 

 若い先生は大学病院腎臓内科の所属だが、内科専攻医でまだ今年で3年目の先生だ。高ナトリウム血症でのリンゲルの大量投与に躊躇していたが、脱水による血圧低下状態であり、リンゲル液自体のナトリウム濃度は患者さんのナトリウム値より低いので問題はない。

 今回はカリウムの補充が最初から必要な値だった。3本目からは点滴速度を落として塩化カリウム混合でいくか、カリウムなしの点滴との併用になるだろう。またHHSは補液優先になるので、ある程度点滴してからインスリン投与になる。(はず)

 

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腸閉塞の疑い

2024年09月24日 | 消化器疾患

 9月23日(祝日)は日直をしていた。始まったと思ったらすぐに受診があり、ずっと切れ目なく受診が続いた。

 消化器科の外来に通院している80歳代後半の女性が腹痛で受診した。胃切除術と胆嚢摘出術後で、総胆管結石は消化器センターのある専門病院で内視鏡的に摘出していた。

 1か月前の8月のCTで総胆管に遺残結石(か新規の形成)を指摘されていたが、症状がないため経過観察となっていた。受診したいという連絡が入った時は、単純には胆道系の問題が疑われた。

 午後0時ごろに急に心窩部痛が出現した。実際は心窩部から臍左側にかけての痛みだった。最初は腹痛に波があったが、途中からは持続痛になった。打診では鼓音があり、圧痛とpercussion tendernessを認める。

 胆管炎ではなさそうだった。腹部正中と右季肋部に術創がある。これまでも便通は毎日はないそうで、その日排便はなかった。

 点滴を入れて(末梢静脈が見えず、やっと入れていた)、アセトアミノフェン点滴静注を行ったが、痛みは変わらなかった。血液検査は時間外は簡易検査だが、生化学の方が上手く作動せず、何度か繰り返して何とか結果が出た。

 炎症反応は陰性で、肝機能・血清アミラーゼは正常域だった。総胆管結石・胆管炎ではない。

 腹部X線で崩れたニボーのように見える。腹部CT(単純)でみると、圧痛のある部位で消化液の貯留小腸が拡張している。癒着性腸閉塞が疑われた。

 地域の基幹病院に連絡すると、外科系の担当は外科医ではなかったが、(当院は外科常勤医が不在)仕方ないでしょうと受けてくれた。午後4時に救急搬送したので、当番の外科医はまだ院内におられるのではないかと思った。

 診断と治療について外科で診ていただくという紹介なので、こちらに戻される可能性もあった。当院の当直は整形外科医だったので、午後6時半くらいまで院内で待機したが、連絡はなかった。入院で診てもらえることになったようだ。

 

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餅が詰まった

2024年09月23日 | 呼吸器疾患

 9月18日(水)の午後に病棟にいると、救急外来からアンビューバッグで人工呼吸をしながらの入院患者さんが上がって来た。

 自宅で餅を食べていて、のどに詰まらせたそうだ。救急隊到着時、心肺停止が確認されて、喉頭展開をして吸引後に餅を除去していた。

 ラリンゲアルチューブ挿入による人工呼吸と心臓マッサージ(胸骨圧迫)を行って、病院に搬入された。特定医療行為(当地は基幹病院に連絡して指示を受ける)として点滴とアドレナリン静注を行っていた。

 搬入時はPEAの状態で心肺蘇生術が続けられた。心拍再開(140/分)が確認されたが、自発呼吸は戻らなかった。ラリンゲアルチューブから気管挿管に切り替えて、器械(ベンチレーター)による人工呼吸になった。

 バイタル(血圧、酸素飽和度)が安定したので、人工呼吸をしたままで頭部CT、胸腹部CTが行われた。特に心肺停止を来す疾患はなく、餅による一時的な窒息だった。

 救急担当は大学病院から来ている外科医だった。その時間の救急入院の当番になっている内科医に引き継がれた。

 意識は昏睡状態(低酸素脳症)で戻らなかった。人工呼吸を継続すればしばらくは持つが、約1週間くらいで心拍も低下して心停止になると見込まれた。

 家族は、2日間連続で大好きな餅を食べられたので、また心停止になった時は蘇生術はしなくていいです、ということだった。人工呼吸は継続して、自己心拍が続くところまで経過をみることになる。

 9月20日(金)は特に病状に変わりがなく、そのまま3連休に入ることになる。

 

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膿胸疑い

2024年09月22日 | 呼吸器疾患

 9月20日(金)に別の内科の先生から、相談された。9月13日(土)その先生が日直をしている時に、認知症で施設入所中の70歳代後半の女性が右上肢の脱力で受診した。

 頭部CT・頭部MRIで新規の脳血管障害は認めなかった。両下肢は拘縮して麻痺の有無がわからないという。整形外科でも診てもらったが、頚椎症でもないといわれた。

 入院時から胸部X線・CTで左肺に陰影があり、肺感染症として抗菌薬投与を始めていたが、発熱が出没していた。

 大学病院から呼吸器外来に来ている先生に相談していた。2017年に内科医院の依頼で行った胸部CTの画像があり、左上葉に炎症性とも腫瘍性とも確定できない小さな陰影があった。(画像検査依頼のみ)

 それとの関連で結核かもしれないといわれたそうだ。また精査・治療のため地域の基幹病院に紹介するのもありますともいわれていた。

 結核性は否定するのが難しいが、画像的には膿胸疑いで紹介していいのではないでしょうか、とお伝えした。その後、先方の病院に連絡して連休明けに転院の予定になっていた。

 

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急性大動脈解離

2024年09月21日 | 循環器疾患

 9月20日(金)朝病院に来て控室で着替えていると、前日の当直だった内科の若い先生が着替えを取りに入って来た。大動脈解離の患者さんがwalk inで受診して、という。

 午前4時半過ぎに、70歳代前半の男性が職場の上司に支えられて受診した。工場のラインを洗浄する仕事(夜勤)をしていた。午前1時ごろに背中に重苦感が発症して、しゃがみこんでしまったという。少し様子をみていたのだろうが、症状が続いて、病院に連絡を入れないで直接受診した。

 受診時、血圧が65/51と低下していた。脈拍数は70/分、酸素飽和度98%(室内気)、体温36.0℃。意識障害はなく、会話はできる。

 リンゲル液で血管確保して、検査を行っていた。心電図は正常洞調律でST-T変化はまったくなかった。胸腹部CTは単純CTだが、大動脈起始部から胸部下行大動脈まで解離して、心嚢液(血液)が貯留していた。

 地域の基幹病院に連絡したそうだが、心臓血管外科はないので、受けられないといわれた。(若い先生はその辺の事情はまだわかっていなかった)。循環器センターのある病院に連絡して、搬送となった。

 大動脈解離の診断には造影CTが必要になる。いちおう単純でもわかったので、この血圧だとあえてこちらでやらなくていいかと思う。搬送前の血圧は点滴で90にはなっていた。

 

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