なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

心窩部痛で心筋梗塞

2020年08月08日 | Weblog

 火曜日に75歳男性が心窩部痛で消化器科の外来(大学病院からのバイト)を受診した。3日前から心窩部痛が続いていて、前日から増悪したという。アルコール多飲があり、ビールと焼酎を毎食後に飲んでいた。

 胃内視鏡検査がオーダーされて、さっそく行われたが、萎縮性胃炎のみで心窩部痛を来すような病変はなかった。血液検査はアルコール性肝障害を示唆する結果だった。

 内視鏡を行った常勤の消化器科医でが頻脈(150台/分)に気づいて、血液検査の追加(CK-MB、トロポニンI、BNP)と心電図検査を行った。トロポニンIが高値(8702)で、心電図ではⅠ・aVL・V3-6でST上昇を認めて前側壁梗塞だった。頻脈は心房粗動らしい。

 循環器科に紹介されて、緊急で心臓カテーテル検査が行わわれた。多枝病変を認めて、冠動脈へのニトロ注入でST上昇と症状が改善した。発症から時間が経っていることから、冠動脈造影のみで終了となった。検査後は、ヘパリンとシグマート(ニコランジル)の点滴静注で経過をみていた。

 終了後の12誘導心電図では正常洞調律に戻り、ST上昇は消失していた。冠動脈狭窄+冠攣縮?の特殊な症例だった。

 

 急性心筋梗塞(特に下壁梗塞)の患者さんが心窩部痛で受診することは有名で、当院でも何年かに一度ある。数年前(5~6年前?)にも心窩部痛で消化器科を受診した患者さんがいて、胃内視鏡検査の前に心電図が行われて、急性心筋梗塞(下壁梗塞)と気づかれたことがあった(検査技師さんが気づいた)。心窩部に圧痛はないはずだが、これがあったりする(軽度にありととってしまうのかもしれない)。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする