なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺腺癌・癌性胸膜炎

2020年08月30日 | Weblog

 木曜日に地域の基幹病院緩和ケア科から、肺腺癌・癌性胸膜炎の80歳男性が転院してきた。

 7月下旬に当院に救急搬入された。確か、救急当番の外科医に相談された(という記憶がある)。左胸水た大量に貯留していて、発熱はなく、炎症反応にも乏しかった。ふだん通院していない方で、2015年の胸部X線があるが、特に異常はない。CEAは正常域でCA19-9 が1917(<37)と高値だった。

 肺炎胸膜炎・膿胸ではなく、癌性胸膜炎だろう。行うとすれば胸腔穿刺を行って胸水の精査となる。胸腔ドレーン挿入から胸膜癒着術に進むかもしれない。最初から呼吸器内科に依頼した方がいいので基幹病院への紹介を勧めた。

 先方では胸水細胞診で腺癌を証明して、肺腺癌・癌性胸膜炎と診断された。しかし年齢もあるが認知症で精神科病院に通院していたので、治療の適応なしと判断されていた。

 緩和ケア科に転科していた。といっても、鎮痛薬としてはアセトアミノフェンとトラマドールの屯用程度で、あまり治療としてやることがない。(ホスピスではなく、約2週間の入院で癌性疼痛の調整をしているので、長期入院はできない)

 家族に退院の話がされたが、認知症で在宅介護が難しいとすぐの退院は希望しなかった。それで紹介元でもある当院に、緩和ケア科の先生から転院の依頼が来たという経緯だった。

 転院の時に来ていた長男と相談した。患者さん本人は退院したがっている。通常ならば、いったん退院してできるだけ家庭生活を続けて、入院が必要になった時に再入院してもらう。

 認知症でどれほど困っていたかわからないが、やはり退院して在宅でみるのは難しいという。1か月患者さんが自宅にいない期間があり、家族としては楽だったのかもしれない。

 外出・外泊(一泊)ならはできるというので、1~2週間病院で経過をみてから(リハビリもする)決めることにした。

 長くても今年いっぱいの予後といわれたそうだ。予後予測のしにくい形だが、癌性心膜炎に進行すると急変の可能性がある。

 

 

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