なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

骨髄異形成症候群(MDS)

2020年08月26日 | Weblog

 汎血球減少で再生不良貧血として治療されてきた80歳男性のその後。

 

 再生不良性貧血として蛋白同化ステロイドのブリモボラン(メテノロン酢酸エステル)が処方されていたが、しだいに貧血が目立つようになってきた。

 そもそも診断された経緯がわからなくなっていた。当院は18年前に新築されたが、その前の病院の時からの診断で、それまで担当していた先生はほとんどカルテ記載がない(当初担当したのはさらに別の先生らしい)。

 骨髄検査をしているかどうかも不明だったが、患者さん本人は骨髄検査で痛かったという記憶があり、おそらく一度は受けている。たまたま血液専門医がいた時期なので、その時点での診断としては妥当なのだろう。

 

 改めて専門医に評価してもらうために、がんセンター血液内科に紹介した。受診そのものを渋っていたが、奥さんの説得もあって行く気になった。受診した後も予定された骨髄検査を受けたくないと言っていたが、方針がたたないのでぜひ受けるよう勧めた。

 火曜日にがんセンターからの診療情報提供書を持って受診した。Hb6.6g/dlだが、本人は元気だった。貧血からくる両下腿浮腫も、利尿薬少量内服で軽減している。

 骨髄検査の結果は低形成髄で、質的評価が困難な面もあるが、再生不良性貧血よりも骨髄異形成症候群MDS(低リスク)と考えられるという。今後は適宜輸血を含めた支持療法継続になるが、本人と家族の希望もあり、貴院で治療継続をお願いします、とあった。

 MDS低リスクだと、骨髄不全(血球減少)の治療が中心になる。といっても、白血球輸血はないわけで(G-CSFもなくはないが)、血小板輸血も現実的には無理だ。赤血球輸血(濃厚赤血球)が中心になる。

 輸血が頻回になると、鉄キレート療法の適応になる。まだ濃厚赤血球4単位を入れただけなので、まだ大丈夫だが。感染症を併発した時の治療に難渋することになるか。

 プリモボランはおそらく、この患者さんには一定期間効果があったという経過なのだろう(MDS自体には保険適応はないが)。

 

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