金曜日の午前中に腹痛・発熱の高齢者が続いて救急搬入された。救急当番の外科医が対応したが、いずれも総胆管結石で内視鏡治療のできる病院へ搬送となった。
最初は90歳女性で、午前1時から上腹部痛が続いて、救急要請していた。単純CTで肝内胆管~総胆管が拡張して、総胆管末端に結石を認めた。血液検査ではAST 980・ALT 240・ALP 393・γ-GTP 191・総ビリルビン2.0と胆道系酵素の上昇・黄疸(初期)を認めた。
地域の基幹病院消化器内科へ搬送となった。CT撮影時に肝内胆管の拡張が描出された時点で総胆管結石かとおもったはずで、診断は楽だったはずだ。
2例目は92歳男性で、夜間から上腹部痛が続いて救急要請していた。こちらも単純CTで肝内胆管~総胆管が拡張して、総胆管末端に結石を認めた。血液検査ではAST 403・ALT 144・ALP 638・γ-GTP 154・総ビリルビン1.7と胆道系酵素の上昇を認めた。
搬入時の体温37.2℃だったが、搬入後に悪寒戦慄があり、体温は一気に39.8℃に上昇した。菌血症の症状で対応を急ぐ(あっという間にショックになりかねない)。こちらは消化器病センターのある専門病院へ搬送となった。
以前基幹病院消化器内科のトップの先生から、消化器内科の入院で一番多いのは高齢者の総胆管結石と伺った。胆膵の専門医は消化管の専門医より少ないので、対処できる病院は貴重だ。90歳以上の超高齢者に難しい内視鏡治療を行うのは大変だと思う。