88歳女性が今週また肺炎で入院した。またというのは、昨年は6回、今年になって3回目の入院になるから。
ふだんは高血圧症・糖尿病(痩せてきたので現在はDPP4阻害薬のみでHbA1c5.8%)で内科外来に通院している。発熱が2~3日続くと予約外に受診する。次週が予約日だと数日我慢してから予約日に受診する。ケアハウスに入所していて、入院する時には娘夫婦が来る。
毎回セフトリアキソン1gの点滴静注で解熱軽快して、退院している。難聴は少しあるが認知症もなく、個室希望(神経質で大部屋を嫌がる)なので、病院としてはありがたい患者さんだった。
呼吸器科で大学病院から来てもらっている先生に相談すると、非結核性抗酸菌症(NTM)が基礎に合って、それに通常の細菌感染(おそらくインフルエンザ菌で、抗菌薬の効果からは緑膿菌ではないでしょうと)を併発しているのだろうという。
確かにもともと慢性副鼻腔炎の既往がある方で、両側の気管支拡張症があるので、いかにもNTMになりやすい患者さんだった。以前に何回か抗酸菌塗抹を提出していたが、いずれも陰性だった。
気管支鏡検査で喀痰の抗酸菌検査が望ましいと言われたが、まず本人が嫌がる。年齢的に基幹病院の呼吸器内科でもやりたがらないかもしれないとも言う。
毎回いい?喀痰がとれた時は培養検査を提出しているが、大抵はMRSAで定着菌と判断される。今回もセフトリアキソンで軽快して元気になってきた。今後、喀痰の抗酸菌検査を繰り返してNTMの有無を確認したい。
ただ、陰影の推移からは器質化肺炎も疑っていた。入院して抗菌薬を開始して、解熱・炎症反応の改善をみても、入院時になかった対側の肺に浸潤影が出現したこともあった。
この患者さんは2016年から2019年までリウマチ性多発筋痛症で治療していた。プレドニン10mg/日から開始して、漸減後5㎎/日で継続して中止している。この治療中には肺炎はほぼ治まっていた。プレドニン中止に向けて1㎎ずつ漸減したころから中止後に、肺炎が頻発している。プレドニン投与時には治まっていたという考え方もできるか。
逆に、数年間のプレドニン投与によってNTMを引き起こして、それが継続しているとも考えられる。どちらの可能性も考えて、対処するしかない。