なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

膵尾部造影不良域

2020年08月03日 | Weblog

 土曜日は内科日直で病院に出ていた。業務開始早々に救急隊から搬入依頼がきた。

 早朝から仕事で首都圏から東北に向かっていた23歳男性が、腹痛で救急要請したそうだ。左側腹部痛というので、年齢を考慮すると尿管結石かと思った。

 前日の午後10時ごろにスーパーで買ったパイナップルをかなりの量食べたそうで、患者さんはそれが原因かと思っていたようだ。午前0時から腹痛が出現して眠れなかった。午前4時には腹痛が軽減したので、大丈夫と思って新幹線で出かけたが、腹痛がひどくなった。目的地からみて、本来は停車しない駅で止まったのかもしれない。

 血圧などのバイタルは特に問題なかった。体温37.3℃は腹痛によるのだろう。左腹部の上から下まで圧痛があった。腹膜刺激症状はない。左CVA叩打痛は陽性になる。

 腹部エコーでは明らかな左水腎症はなかった。血液検査の結果を診て、CT検査を行うことにした。白血球11600・CRP0.1と炎症の初期像と思われる結果だった。肝機能検査は正常で、血清アミラーゼが313と軽度だが上昇している。腎機能は正常。

 単純CTで膵臓の腫脹を認めて、膵尾部周囲に浸出液がある。尿管結石はなかった。造影検査を追加すると膵尾部が造影不良を呈していた。壊死性膵炎が疑われる。

 アルコールは機会飲酒で昨夜は飲酒していない。胆道系に異常はない。膵炎の原因は不明だった。その時点でバイタルや検査値では重症ではないが、膵炎の造影CTで造影不良域を認めたことは、当院ではこれまで(幸いに)なかったと思う。今後悪化していく可能性がある。

 地域の基幹病院に依頼することにした。電話連絡すると受け入れ可能で、ありがたく搬送させてもらった。

 救急要請を受けた時の見込みでは、尿管結石を認めて、ボルタレン(ジクロフェナク)座薬で症状軽快して、座薬を持たせて帰るというものだった。結果は予想外だった。

 

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