なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

非結核性抗酸菌症(Mycobacterium avium)

2020年08月27日 | Weblog

 先週の金曜日に感染管理ナース(ICN)のひとりが、喀痰塗抹で抗酸菌陽性でしたと報告に来た。

 当院にはICNがふたりいるが、それほど仕事はないので、ひとりが感染管理専従で、もうひとりは通常の看護師業務をしている。その日は専従の看護師さんは休みで、病棟を担当しているもうひとりが代行をしていた。

 結核患者が出たと思って慌てていたらしい。入院中の患者さんではなく、外来の患者さんで呼吸器科外来からの検査オーダーだった。患者さんは64歳女性。

 カルテを開いて見ると、非結核性抗酸菌症(NTM)疑いの患者さんで、数年間フォローされていた。たぶんMACだと思うから心配ないと伝えた。呼吸器科の先生(他の病院からバイト)は塗抹検査と培養検査だけオーダーしていたので、PCR検査はどうしますかと訊かれた。型通りに結核菌とMACのPCR検査を追加しておいた。

 今週の火曜日に結果が出て、結核菌PCRは陰性で、Mycobacterium aviumのPCR陽性と出た。予想通りだった。

 画像が残っているのが2011年で、健診で異常陰影を指摘されて受診していた。右中葉と左舌区に陰影を認めている。非結核性抗酸菌症(NTM)疑いで経過観察となった。

 その後、2016年になると少し陰影が増えているが、それほどではない。そのまま経過観察になった。

 そして今回2020年では陰影が明らかに増えている。ただし喀痰はほとんどなく、やっと出した喀痰での検査だった。

 まず診断だが、NTMは「原則2回以上の培養陽性」なので、検査を繰り返すことになる。そして診断確定となった時に、治療開始となるのか、このまま経過観察になるのか。(呼吸器科の外来予約が来月始めに入っている)MACの治療は、「現行の薬物治療は一定の効果があるが限定的であり、根治可能とはいえない」。

 9年間の経過を見て興味深かった、という話。

 

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