なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肝膿瘍

2020年08月24日 | Weblog

 先週土曜日は内科日直だった。病院に来ると先日の当直医(他院からバイト)が、早朝に受診した62歳男性の診察をしていると看護師さんから連絡がきた。当直の先生がコロナウイルスの抗原検査が必要と言っています、ということだった。

 患者さんはその前の週末に、泊りがけで県内の観光地に出かけていた。夜に高熱が出て、地元の病院を受診した。検査の内容が記載されたものしか持っていなかったが、胸部X線・血液検査を受けていた。

 入院するか訊かれたが、地元の病院(当市の隣町)を受診すると言って、そのまま家族といっしょに自宅に帰宅していた。

 週明けの月曜日の夜間に、当院の救急外来を受診していた。症状は発熱だけで見た目は特に重症感もないので、アセトアミノフェンのみ処方されて、日中に受診するよう言われていた。

 

 外来に診に行くと、ちょうど胸部CTの検査が始まるところだった。技師さんに言って、不明熱なので胸腹部でとってもらうことにした。両側肺に異常はなかったが、肝臓内に腫瘤性病変があった。腹部にその他の異常はなかった。 

 発熱以外の症状が乏しい経過なので、肝膿瘍が疑われた。血液検査は採血したばかりでまだ出ていない。腎機能を確認して、造影CTを行うことにした。30分くらいで、生化学の結果が出て、腎機能は問題なかった。

 造影CTでは低濃度域の周囲が造影されて、肝膿瘍に矛盾しない。腸管や胆道系に異常はないので、機序は不明だった。

 

 化膿性肝膿瘍でこの大きさだと、ドレナージを要する。当院の体制では対応できないので、地域の基幹病院にお願いすることにした。連絡すると、受け入れ可能とのことで、ありがたく救急搬送させてもらった。

 診察では腹部は平坦・軟で、明らかな圧痛はなかった。右上腹部を叩打するとちょっと響くとは言っていた。病変がわかってからの診察なので、響くだろうと思ってやっているので、所見としてとっていいかどうか。これは画像がないと、診断はできない。CTの面目躍如ということになった。

 

 

 

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