なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

クリニックからの診療継続依頼

2020年08月25日 | Weblog

 昨日内科再来に内科クリニックから72歳男性が紹介されてきた。

 8月初めにクリニックを受診した時に、「このやろう!」から始まってクリニックの先生を罵倒したとあった。今年の初めから不信を露わにすることが増えていたそうだ。

 患者さんとの信頼関係が破綻している。ついては7月の当院に入院したが、その時の担当医を信頼しているので、当院でみてほしい、とあった。

 担当医は内科の若い先生(自治医科大学卒後3年目の義務年限中の先生)だったが、トレーニングとして内科新患を担当してもらっているが、内科再来は担当していない。地域医療連携室としても、トラブルになりそうな患者さんなので当方にもってきていた。

 7月の入院中は相談されていなかったが、著しい腎機能障害を認めたことから、若い先生は腎臓内科医(大学病院から4か月交代で来ている)に相談していた。経過は以下の通り。

7月21日に食欲不振・下痢でクリニックを受診して、外来で点滴を行ったが、その日のうちに当院へ紹介されていた。著しい腎機能障害(BUN 47.3mg/dl・血清クレアチニン7.24mg/dl、尿蛋白+・尿潜血+)と炎症反応上昇(白血球10500・CRP19.7mg/dl)を認めた。 

 下痢をして食事摂取できていないので、脱水症による急性腎前性腎不全の可能性がある。感染性腸炎と関連して腎機能障害が起きている可能性、下痢と別に急速進行性糸球体腎炎(PRGN)が起きている可能性が考えられた(腎臓内科医にカルテ記載による)。

 まずはRPGNなどの腎疾患の外注検査を提出して(結果は全部陰性)、点滴による脱水症の治療が開始された。血清クレアチニンが翌日には4.62mg/dl、6日目には0.91mg/dlと一気に改善して、脱水症による腎前性腎不全だった。

 便培養で病原性大腸菌が検出されて(毒素は陰性)、診断は感染性腸炎と確定した。症状は消失して食事摂取良好となり、炎症反応も6日目にCRP1.0mg/dlと一気に改善していた。経過は順調そのものだった。

 

 ふだんの病気は高血圧症・肺気腫で、平地歩行をゆっくり歩行する分には支障がないらしい。されどんな人が入ってくるかと思ったが、奥さんと一緒に診察室に入ってきた。本人は不機嫌そうな感じであまりは話はしない。若い先生は内科再来は診ていないので、当方の担当になるが、それでいいかと確認した。奥さんが先生でいいです、と答えた。

 内科クリニックの処方をちょっとだけ調整したが、ほぼ同様の処方を継続とした。当院では慢性疾患の場合、最低2か月分の処方になる。

 その日は内科再来の最後に連携室で入れていたので、簡単な診察だけで終わった。この患者さんは認知機能はどのくらいで、どういうキャラクターなのだろうか。(クリニックの先生は患者さんともめるような人ではない、と思う。たぶん。)

 4年前に当院で頭部CTを行っていて、明らかな脳血管障害はなく、(側頭葉内側を含めて)脳委縮は目立つようではなかった。機嫌を損ねないように、少しずつ認知機能の評価をしていくことになる。

 

 

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