読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

晩秋に降る時雨

2018-11-29 18:12:35 | ウェブ日記
一昨日の朝、予報では晴れとなっていましたが空は雲っていて、歩いていると少し雨が降ってきました。
傘を差したほうが良いか差さなくても良いか迷う降り方でした。
朝のうちにもう一度少し外を歩くことがあり、その時は最初雲の向こうに太陽のシルエットが見えたりもしていたのでこれなら降らないかなと思いました。
しかし移動した先の建物から元の建物に戻ろうとして外に出ると少し雨が降っていて足早に歩きました。
降るのかなと思えば降らず、降らないのかなと思えば降るような空でした。

主に学生の頃に読んでいた「GetBackers -奪還屋-」という漫画で「晩秋に降る時雨(しぐれ)」について書いていたことがあったのを思い出しました。
時雨は秋から冬にかけて起こる一時的に降ったり止んだりする雨のことです。
漫画には「晩秋に降る時雨は雨宿りをしようとすれば止み、もう大丈夫かと思い出発するとまた降る」といったことが書いてありました。
一昨日の雨の降り方を見てそのことが思い浮かび、まさにそのとおりだと思いました。

漫画で得た知識が雨の降り方への感性を育むことに役立ちました。
そういったこともあるので、私は「漫画など読んでも何の役にも立たない」という考えには違和感があります。
漫画から何らかの教養が身に付くこともあり、さらには私のように後に小説をよく読むようになることへの土台にもなると思います。

弱い雨が降ったり止んだりする時雨は音もほとんどせずとても静かです。
その静けさにどことなく間近に迫っている冬の気配も感じました。
晩秋と呼べる期間も今日と明日だけになり、時雨の日は移り行く季節を強く意識するきっかけの日にもなります。
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エリザベト音楽大学 創立70周年記念演奏会

2018-11-27 22:15:23 | コンサート、演奏会


11月22日、広島県広島市のエリザベト音楽大学セシリアホールに、「エリザベト音楽大学創立70周年コンサートシリーズ 創立70周年記念演奏会」を聴きに行ってきました。
なんと入場無料で、エリザベト音楽大学の教員(それぞれの音楽分野の達人)の方々が多数出演して演奏や歌唱をするとあったので興味を持ちました。
この日は創立記念日で、創立70周年はかなりの歴史だと思います。
冒頭の写真は全プログラム終了後の挨拶の時に撮影しました。




セシリアホール全体写真です。
「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」の時と同じホールです。




開演前の準備の様子です。
ピアノが二台あるのは初めて見て興味深かったです。




観客席の様子です。
平日でしたがエリザベト音楽大学の学生のみならず一般の人もたくさん来ていました。


演奏プログラム順にご紹介していきます。


1.ヨハネ修道会の騎士の荘重な入場(R.シュトラウス)

トランペット 岡本侑子 新保圭 早瀬晶望 藤原心 小山祐貴 佐藤基成 清水佑一 福田明惟
ホルン 佐々木茉奈
トロンボーン 猪口有希 重本紫乃 山本朝子
テューバ 小林咲希 玉井菜々子
オルガン 菅原菜穂子

演奏はホルン、トロンボーンで始まっていました。
荘厳な響きで優雅でもありました

オルガンの独奏になり、教会のミサのような荘厳さがありました。
やがてホルン、トランペットなどの管楽器も一斉に吹き始めました。
トランペットの清水佑一さんは「エリザベト音楽大学 Autumn Concert」でも演奏されていました。
またホルンの佐々木茉奈さんは「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」でも演奏されていました。


1曲目の後、川野祐二学長の挨拶がありました。
ロビー館にエリザベト音楽大学の歴史や創設者のエルネスト・ゴーセンス神父のこと、海外に研修に行った学生の感想文などの展示をしたのでぜひ見てと紹介をしていました。
また「根幹を保ちつつ、刷新することも忘れてはならない」という言葉が印象的でした。
伝統を大事にしながらも時代の流れに合わせて変えていくのも必要ということだと思います。


2.主よ、人の望みの喜びを(ピアノ2台8手)(J.S.バッハ)

ピアノ 柴田美穂 垣内敦 喜多宏丞 志鷹美紗

左のピアノで柴田美穂さんの独奏で始まりました。
次に2人目の垣内敦さんが入場してきて右のピアノで演奏を始めました。
次に3人目の志鷹美紗さんが入場してきて左のピアノで一緒に演奏を始めました。
最後に4人目の喜多宏丞さんが入場してきて右のピアノで一緒に演奏を始めました。
こんな演奏の仕方は初めて見たのでとても興味深かったです


3.フィンランディア(ピアノ2台8手)(J.シベリウス)

ピアノ 柴田美穂 垣内敦 喜多宏丞 志鷹美紗

配置が変わり、志鷹美紗さんが右のピアノに行き、喜多宏丞さんが左のピアノに行きました。
冒頭は不穏な音色の弾き方になり、低めの音を上手く使っていると思いました。
また私の席からはピアノの弾き方がよく見えました。
物凄い早さで指を動かしている場面がありました

演奏のスピードが早くなります。
その後はゆっくりになり、この頃には高音をたくさん使うようになっていました。
メロディーも穏やかで綺麗でした。
また志鷹美紗さん(冒頭の写真右から7人目の水色のドレスの人)は演奏がかなりダイナミックだったのが印象的でした。


4.七重奏曲 作品75(C.サン=サーンス)

ヴァイオリン 甲斐摩耶 青山朋永
ヴィオラ 藤井雅枝
チェロ 森純子
コントラバス 徳原正法
トランペット 山城宏樹
ピアノ 山城育子

ヴァイオリンの甲斐摩耶さんが指揮を執り演奏前の楽器の音鳴らし(音色を確かめるためのもの)をしていました。
甲斐摩耶さんとヴィオラの藤井雅枝さんは「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」でも演奏されていたのを覚えています。

第一楽章
トランペットの演奏の後にヴァイオリン、ヴィオラなどが演奏したり、ピアノ→トランペット→ヴァイオリンの順番で演奏する場面などがありました。
トランペットの「タンタタン」の音にヴァイオリン、ヴィオラなどが一斉に弓を短く振り、切るような音を出していたのが印象的でした。
最後のほうは雄大な演奏になりました。

第二楽章
出だしは陽気な感じで、やがてゆったりした演奏になりました。
ここでも切るような演奏がありました。
第一楽章も第二楽章も一番音色が派手なヴァイオリンはそれほど目立たずに全体で魅せる演奏になっていました。

第三楽章
トランペットとピアノで始まりました。
ピアノの独奏になり、そこにチェロが続き、次にヴィオラ、その次にヴァイオリンが続き、同じメロディを演奏しながらどんどん音が高くなっていったのが印象的でした。
チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンはいずれもヴァイオリン属の楽器で、楽器が出せる音は高い順にヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとなります。
やがて気高さと少し悲しさのある演奏になりました。
そして悲しい響きの演奏になり、最後は全員でピッチカート(指だけでポロンポロンと弦を鳴らすこと)をして終わりました。

第四楽章
とても楽しそうな始まりでした。
ピアノが高音、低音、高音の順で音階を上下させた演奏をして目立っていました。
トランペットの後にヴァイオリン達が切るような演奏をしていました。
ヴァイオリンはかなり高い音があり目立っていました。
最後は晩餐会のような楽しい雰囲気の演奏になって終わり、トランペットがとてもよく響いていました。


5.行け、我が想いよ オペラ《ナブッコ》より(G.ヴェルディ)

合唱 エリザベト音楽大学声楽専攻生
指揮 折河宏治
ピアノ 久都内美嵯子

声楽勢は女子が上が白、下が黒の静謐な衣装でこれは翌日に聴きに行った「第9回 ハートフルコンサート」での声楽勢の衣装と同じ雰囲気でした。
男子はタキシード姿でした。

ピアノの独奏で始まり、すぐに合唱が始まりました。
途中でソプラノが目立ち、迫力がありました。
声楽専攻の人が大勢揃っての合唱はこの時初めて聴いたと思います。
とてもよく響く歌声に驚きました。
また、「エリザベト音楽大学 Autumn Concert」「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」で演奏を聴いたことがある廣川由香子さんが登場してピアノ演奏者の久都内美嵯子さんの横に控え楽譜をめくっていました。


6.乾杯の歌 オペラ《椿姫》より(G.ヴェルディ)

ソプラノ 羽山弘子
テノール 下岡輝永
合唱 エリザベト音楽大学声楽専攻生
指揮 折河宏治
ピアノ 元迫洋

印象的なピンクのドレスの人が登場し、ソプラノの羽山弘子さんでした。
先程ピアノ演奏をしていた久都内美嵯子さんがピアノ演奏者の元迫洋さんの横に控え楽譜めくりをしていました。
まずテノールの下岡輝永さんが歌い、かなりよく響いていました。
次にバックの声楽専攻生達が一斉に歌います。
次にソプラノの羽山弘子さんが歌い、かなり高い声でこちらも腹の底から声が出てよく響いていました。
マイクも使っていないのにどうやってこんなに大きくて綺麗な声を出せるのだろうと思いました。
最後は下岡輝永さんと羽山弘子さんが一緒に歌いバックの声楽専攻生達も歌い、音の迫力が凄かったです


7.「あなたの声に心は開く オペラ《サムソンとデリラ》より(C.サン=サーンス)」

メゾソプラノ 藤井美雪
ピアノ 志鷹美紗

メゾソプラノの藤井美雪さんは赤いドレスがきらきら光っているのが遠くからでも分かり印象的でした。
メゾソプラノはソプラノとアルトの中間の音域のことで、聴いていてソプラノよりはやや低い音なのが分かりました。

ピアノはスピードがありさらに強弱もありました。
そして片方の手は物凄く速く弾き、もう片方の手はそれよりもゆっくりと弾いていて、それぞれの手で別の弾き方をするのは大変だと思います。
また途中でゆっくりゆったりな演奏にもなりました。


8.「シャンパンの歌 オペレッタ《こうもり》より(J.シュトラウス2世)」

ソプラノ 桂政子 林裕美子 羽山弘子 小林良子
テノール 下岡輝永
バリトン・指揮 折河宏治
合唱 エリザベト音楽大学声楽専攻生
ピアノ 廣川由香子

廣川由香子さんが今度はピアノ演奏で登場し、久都内美嵯子さんが楽譜をめくっていました。
冒頭はピアノで始まり速い演奏でした。

すぐにソプラノの人一人での歌唱になり、「杯を上げよ」「乾杯」「乾杯乾杯声を合わせ」といった歌詞と楽しそうな歌い方が印象的でした
ソプラノの人が次々と歌っていき、歌い終わるとテノールの下岡輝永さん、バリトン(テノールとバスの中間の音域)の折河宏治さんも歌いました。
同じメロディの歌を交代で歌っていました。
「さかーづきーをあげよっ、あげよっ、あげよっ」が独特なリズミカルさがありかなり印象的でした。
帰り際、近くの席でそのメロディを歌っている女性がいて面白かったです。

最後がこの歌で良かったと思いました。
陽気な気持ちになって聞き終えることができる良い演奏会でした



入場無料にしてこの豪華な演奏、歌唱は凄いと思いました。
エリザベト音楽大学には今年の5月に偶然「大学祭」に遭遇したのがきっかけで興味を持ちました。
その後大学の演奏会や大学卒業者の演奏会などを聴きすっかりエリザベト音楽大学関係者の音楽のファンになりました。
ぜひこれからもたくさん演奏会をして街を音楽で彩っていってほしいです


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。
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生み出す苦しみ

2018-11-25 14:22:07 | ウェブ日記
10月16日に「アンダスタンド・メイビー(下)」(著:島本理生)の感想記事を書いてから1ヶ月と1週間、次の小説の感想記事を書けずにいました。
「最近音楽を求めていた理由」の記事に書いたように、作品が持つ凄まじい毒気に当てられて気持ちがぐったりとし、しばらく小説を読む気にならず次の小説を読み始めるまでに時間がかかりました。
さらに読み始めてからも順調には読めずとてもゆっくりと読み、感想記事も書き始めるのに時間がかかりました。
やっと「ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~」(著:三上延)という感想記事が書けましたが、一つの感想記事を生み出すのがこんなに大変とはと思いました。

これがあるから島本理生さんの作品は恐ろしいなと思います。
しかし内容が恐ろしそうで最初は読むのを避けていてもやがては手に取って読ませるのは島本理生さんの作品の凄さだと思います。

1ヶ月と1週間の間、絵本「まっくろくま ポカさんの春」や大河ドラマ「毛利元就」の感想記事なら書くことができました。
しかしどうしても小説の感想記事だけが書くことができませんでした。
ブログに限らず、誰しも何かを生み出そうとする時に苦戦することがあると思います。

最近は活発に音楽を聴いているのでブログの記事も「音楽日和」のようになっていますが、私のブログ名は「読書日和」です。
私にとって小説の感想記事はブログの屋台骨を担う筆頭格の存在で、それが不調なのはやはり辛いです。
久しぶりに感想記事を書くことができてホッとしました。

私は以前大河ドラマ「毛利元就」をダイジェストのごとく次々と見ていた時期があり、それが現在の、1話ごとにしっかり見て感想記事を書くことにつながっています。
なので島本理生さんの「アンダスタンド・メイビー」を読んでいた時期から現在まで次々と音楽を聴いている経験もいずれ何かにつながるのではという気がしています。
「アンダスタンド・メイビー」を読んだことによって苦しみはしましたが、そのおかげで久しぶりに音楽の生演奏や生合唱に触れ合うことになり改めてその良さを感じたので、この作品を読んで良かったのかも知れないと思いました。
コメント (8)
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第9回 ハートフルコンサート

2018-11-24 11:37:50 | コンサート、演奏会


昨日は「エリザベト音楽大学同窓会 佐伯区支部」の皆さんによる「第9回 ハートフルコンサート」を聴きに行きました。
場所は何と教会です
広島県広島市にある「日本福音ルーテル広島教会」が舞台で、そのような場所でコンサートを聴くのは初めてだったのでドキドキしました。
そしてかなりの人数が聴きに来ていてこのコンサートの注目度の高さが分かりました
演奏プログラム順にご紹介していきます。


1.彼方の光(村松崇継(作詞 Robert Prizeman))



1~3曲目のヴォーカルアンサンブル(アンサンブルは少人数の歌唱団や演奏団いう意味)とピアノの編成は次のとおりです。
ソプラノ   西村朱美 畑谷紀子 山嵜由美
メゾソプラノ 正木美紀 吉田智子
アルト    中原茉裕実 横田美樹
ピアノ    東堂幸

7人は上が白のブラウス、下が黒のロングスカートという静謐な雰囲気で、素人目に見てもいかにも聖なる歌を歌う雰囲気が出ていました
今回のコンサートに向けてこの夏に結成したアンサンブルとのことです。
彼方の光は英語では「Far away(ファラウェイ)」で、私はふと2000年発売の浜崎あゆみの「Far away」の日本語での意味までは考えていなかったことを思い、そうか、彼方の光という意味なのかと思いました。
今放送しているドラマ「下町ロケット」でも流れている曲とのことです。
合唱を聴いてみて、とてもゆったりとして静謐な雰囲気の歌だと思いました


2.アヴェ・マリア(F.シューベルト)/アヴェ・マリア(P.マスカーニ)

最初の合唱がシューベルト、次がマスカーニのアヴェ・マリアでした。
やはりシューベルトの冒頭の「アーーーヴェーマリーーーアー」のところがとても印象的でした。
何度も聴いたことがあって馴染み深くもあり、神聖な気持ちにもなります
聴いているうちに一番高い声のソプラノと、それより低い声のメゾソプラノ、アルトのハーモニーがよく分かるようになっていきました。
高いほうの音に意識が向いている時、低いほうの音も気になってきて、低いほうの音に意識が向くと今度は高いほうの音も気になり、両方が共鳴して見事な響きでした


3.讃美歌 くすしき恵み(作詞 John Newton) 
合唱が始まるとすぐに「アメイジンググレイス」だと思いました。
「アメイジンググレイス」は2003年10月~2004年3月にフジテレビで放送された私が大好きだったドラマ「白い巨塔」のエンディングテーマ曲で、物凄く良い曲で毎週聴き入っていました。
ドラマが尋常ではなく凄まじい人間ドラマで毎週見終わる頃には毒気に当てられたような状態になり、エンディングで流れる「アメイジンググレイス」に心を洗われていました。

そんなこともあり、合唱の歌い出しを聴いて鳥肌が立ちました。
猛烈に聴き入り、まさに心が洗われるような歌声だと思いました

ネットを見てみたら「白い巨塔」のエンディングでも歌っていたヘイリーさんの「アメイジンググレイス」の動画がありました。
最近心が荒んでいるかも知れないと思う方はこれを聴くと浄化されるのではと思います。




4.愛の夢(F.リスト)/伝説曲 作品17(H.ヴィエニャフスキ)
ヴァイオリン 川本冴夏  ピアノ 児玉梨緒



最初の演奏がヴィエニャフスキの「伝説曲」、次がリストの「愛の夢」でした。
伝説曲は「一楽章f未完成 FLUTE VIOLIN CONCERT」でも演奏されていて、私がよく音楽を聴きに行くようになったのはそのコンサートからだったので印象深い曲です。




川本冴夏さん

この曲は相手の両親に「誰がお前なんかと結婚させるか!」と結婚を反対されていたH.ヴィエニャフスキが相手の両親の家に行き自身の生い立ちを「伝説曲」として聴かせたら「素晴らしい!ぜひ結婚してくれ!」と態度が激変して結婚を許されたという伝説があるとのことで、凄い逸話だなと思います。



席が後ろのほうだったためほとんど見えませんが児玉梨緒さん

この方は「エリザベト音楽大学 Autumn Concert」「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」でも演奏されていて、まだ二年生なのに大活躍されていて先が楽しみな人だと思います。

演奏はピアノで始まり、少し不穏な響きでした。
すぐにヴァイオリンも始まり、こちらは悲しい響きでした。
やがて弾き方が強くなりドラマチックな雰囲気になります。
ついにヴァイオリンが少し明るい雰囲気になります。
ヴァイオリンもピアノもとてもドラマチックになり盛り上がります
その後また悲しそうな雰囲気になりゆったりとした弾き方になります。
ヴァイオリンが悲しそうな弾き方のまま音階を高音からどんどん下げていき低音、低音からどんどん上げていき高音とする場面の音色がとても印象的でした。


「愛の夢」はヴァイオリンとピアノが同時に演奏して始まりました。
とてもゆったりなヴァイオリンと流れるようなピアノでした。
ヴァイオリンの独奏になり音の強弱の付け方がはっきりしていたのが印象的でした。
再びヴァイオリンとピアノが一緒に演奏し、とても綺麗なメロディで美しいという言葉がピッタリでした。
その後はヴァイオリン独奏での激しい演奏とヴァイオリンとピアノ一緒でのゆったりとした演奏があり、その差が印象的でした。


5.Suite Antique(古風な組曲、J.ラター)より
 Ⅰ.Prelude
 Ⅱ.Ostinato
 Ⅲ.Aria
 Ⅳ.Waltz
フルート 大部美和子  ピアノ 津田典子



演奏前の大部美和子さんの挨拶で、この曲はポピュラーな音色なので気楽に聴いてとありました。

「Ⅰ.Prelude」は崖の上から町を見下ろしている旅人のような音色のピアノとフルートで始まりました。
高い音が続き、少しもの悲しくもありました。




大部美和子さん

「Ⅱ.Ostinato」はピアノの軽快な演奏で始まりました。
フルートも軽快に続き、ピアノはタ、タ、タ、タ、フルートはピ、ピ、ピ、ピ、と短く音を出しているのが印象的でした。
草原をスキップしているような軽やかな演奏でした。
ピアノの独奏になり、さらにスキップの色合いの強い演奏になりました。
フルートも続き、こちらもさらにスキップしているようになり終始明るく軽やかな演奏でした




津田典子さん

「Ⅲ.Aria」はピアノの少しもの悲しい演奏で始まりました。
フルートも続き、こちらも少しもの悲しい音色でした。
そしてどちらももの悲しさの中に気高さも感じる音色でした。

「Ⅳ.Waltz」はピアノの軽やかな演奏で始まりフルートも軽やかに続きました。
とても陽気で明るい演奏でした
ピアノの独奏になり「タンタンタンッ、タタタタンッ」のメロディが印象的でした。
これにフルートが「ピ、ピ、ピ、ピピピピー」ととても高い音で続き、次に一段階音階を下げて「ピ、ピ、ピ、ピピピピー」と演奏する場面がありとても良かったです


~休憩~


6.弦楽のためのソナタ 第1番 ト長調(G.ロッシーニ)
 第1楽章 モデラート
 第2楽章 アンダンテ
 第3楽章 アレグロ
ヴァイオリンⅠ 白井朝香  ヴァイオリンⅡ 西原知加子  チェロ 西本綾子  コントラバス 山本香織



左から白井朝香さん、山本香織さん、西本綾子さん、西原知加子さん

演奏前の挨拶で白井朝香さんがヴァイオリン二つにチェロ、コントラバスは珍しい編成だと言っていました。
またヴァイオリン系の楽器は見た目が小さいほど高い音になり、大きいほど低い音になるので、ヴァイオリンが高音を担い、チェロは低めの音、コントラバスはとても低めの音を担います。

第1楽章はヴァイオリンで始まりすぐにチェロとコントラバスも続きました。
ヴァイオリンの「タラン、タラン、タラン、タラン」という演奏の後にチェロとコントラバスが続く場面が良かったです。
ヴァイオリンの演奏がとても優雅なのが印象的でした
ヴァイオリンⅡ(西原知加子さん)がどんどん音階を上げて行き、上げきると今度はヴァイオリンⅠ(白井朝香さん)が同じようにどんどん音階を上げて行く場面がありそれも印象的でした。
ヴァイオリンの優雅で高い音をチェロとコントラバスでしっかり支えていました。

第2楽章は全楽器でのゆったりとした演奏で始まりました。
コントラバスの低い音の演奏の後にヴァイオリンとチェロが演奏するのが何度か続きました。
やがてヴァイオリンがスキップするような軽やかな演奏を始めます。
さらにコントラバス、チェロ、ヴァイオリンの順にどんどん音を重ねていく場面があり音の厚みが増していく様子がとても良かったです

第3楽章は全楽器でのとても明るく優雅な演奏で始まりました。
ヴァイオリンがかなり目立っていて、終始優雅で晩餐会のような雰囲気の演奏でした。


7.オルガン協奏曲 第13番 ヘ長調 HWV295「カッコウとナイチンゲール」(G.F.ヘンデル)
 第1楽章 ラルゲット
 第2楽章 アレグロ
 第3楽章 アダージョ
 第4楽章 ラルゲット
 第5楽章 アレグロ
オルガン 吉田仁美
弦楽 アンサンブル セシリア
 ヴァイオリンⅠ 白井朝香  ヴァイオリンⅡ 川本冴夏  ヴィオラ 西原知加子  チェロ 西本綾子  コントラバス 山本香織



演奏者が配置につくところです。




左から吉田仁美さん、白井朝香さん、川本冴夏さん、西原知加子さん、西本綾子さん、山本香織さん

この曲は楽章ごとの空き時間が短く、どのタイミングで次の楽章に移ったのかを完全には把握できなかったです。
演奏前の挨拶で吉田仁美さんが「カッコウが鳴いているのが分かると思います」と言っていました。

演奏の始まりは陽気で、オルガンが演奏し他の全楽器が続くのが何度か繰返されました。
オルガンの演奏と同じ音を他の全楽器が出します。
やがてオルガンの演奏が「カッコー」と聴こえるようになりこれがカッコウだと分かりました。
本当にカッコウが鳴いているように聴こえるのが面白かったです

オルガンの独奏になり「カッコー、カッコー」が続きます。
他の全楽器も演奏するようになり、オルガンと他の全楽器との共鳴がとても良かったです

オルガンはピアノとは全く響きが違いました。
腹の底から出ているような重みのある音でさらに神聖な響きもあり、教会のミサが思い浮かびオルガンの音は教会にピッタリだというのがよく分かりました。

楽章が変わったと分かった場面があり、ヴァイオリン達が少しもの悲しい演奏を始めました。
オルガンの独奏になりこちらは神聖な演奏をしていました。
オルガンと同じ音を他の全楽器が出し、オルガンの「ピーピロリロー」というメロディに他の全楽器も続く場面が特に印象的でした。

もう一つ楽章が変わったと分かった場面があり一気に演奏が明るく陽気になりました。
そして明るさの中に少し寂しさも感じ、この楽章が最後の楽章でした。




最後は全員揃っての挨拶になりました。




そして「ふるさと」の合唱になり観客も一緒に歌おうとなりました。
どんな歌だったかと思いましたが、歌い出しの「うーさーぎーおーーいし」ですぐに分かりました。
観客の中に物凄く上手い女性がいて驚きました。
声楽をやっていたのではと思われ、そのまま前に出ても歌えそうな勢いでした。
これも心が洗われるような合唱でとても澄んだ気持ちになりました




「ふるさと」の合唱が終わり拍手の中で合唱団、合奏団が退場していきます


ハートフルコンサート、神がかった良い合唱と演奏でした。
合唱団と合奏団が退場していった時とても澄んだ気持ちになっていたのが印象的でした。
引き込まれる演奏、草原でスキップしたくなる演奏、心が洗われる合唱など様々な音楽を聴けて良かったです
まさに心が温まる素敵なコンサートでした


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。
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「ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~」三上延

2018-11-23 14:06:59 | 小説


今回ご紹介するのは「ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~」(著:三上延)です。

-----内容-----
ある夫婦が営む古書店がある。
鎌倉の片隅にひっそりと佇む「ビブリア古書堂」。
その店主は古本屋のイメージに合わない、きれいな女性だ。
そしてその傍らには、女店主にそっくりな少女の姿があった――。
女店主は少女へ、静かに語り聞かせる。
一冊の古書から紐解かれる不思議な客人たちの話を。
古い本に詰まっている、絆と秘密の物語を。
人から人へと受け継がれる本の記憶。
その扉が今再び開かれる。

-----感想-----
「ビブリア古書堂の事件手帖」は第7巻で本編は完結しました。
ただ7巻のあとがきに番外編がもうしばらく続くとあったので楽しみにしていました。
その番外編がついに発売されたので読んでみました。

「プロローグ」
2018年の秋になり、篠川栞子と五浦大輔が結婚して7年経っていました。
二人には扉子(とびらこ)という6歳になる娘がいて、扉子は栞子にそっくりな外見をしていてさらに栞子と同じようによく本を読みます。
栞子は急ぐと少し足を引きずりますが杖なしで歩けるようになりました。

大輔は栞子の母親の智恵子がまとめようとしている大口の取り引きを手伝うために上海に発とうとしています。
二人は7年前、「ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~」でのシェイクスピアの貴重な戯曲集であるファースト・フォリオの争奪戦をきっかけに洋古書の売買を智恵子から学ぶことになり、今は夫婦交替で海外にいる智恵子の手伝いをしています。

羽田空港に居る大輔から栞子に電話がかかってきて、大輔が大事にしている青い革のブックカバーがかかった本をどこかに置き忘れたので探してくれと頼まれます。
扉子は栞子と同じように本のことになると異様に勘が鋭く、栞子が本を探しているのに気づいて「なんのご本、捜しているの?」と聞いてきます。
扉子は栞子と違って表情が豊かで受け答えもはきはきしていてそこは妹の文香(あやか)に似ています。
ただし誰とでも親しくなる文香と違って扉子には幼稚園にも近所にも全く友達がおらず、他の子供達に関心を示さずに「わたし、本が友達だから」と言い栞子を心配させています。
また栞子も子供の頃は扉子と同じように友達も作らずにずっと本を読んでいたとあり、本好きな部分がとてもよく似たのだなと思います。

扉子という名前は様々なことに興味を持ち沢山の扉を開けて欲しいという願いを込めて付けられました。
扉子が「からたちの花」という本を手に取り同じ本を逗子に住む坂口しのぶの家で見たと言います。
栞子がその本はしのぶの夫の昌志が家族から贈られたものだと言うと扉子は詳しい話を聞きたいとせがみます。
しのぶはかつて「論理学入門」という本を取り返すために入院していた栞子を訪ねてきた女性で、しのぶと昌志には小学生になった息子がいて栞子達とは家族ぐるみの付き合いが続いています。
栞子は扉子も本を通じてなら人と関わることに興味を持ってくれるかも知れないと思い、昌志が家族から「からたちの花」を贈られた詳しい話を語り始めます。


「第一話 北原白秋 与田準一編『からたちの花 北原白秋動揺集』(新潮文庫)」
語り手は平尾由紀子という38歳の女性で、物語は2011年に戻ります。
由紀子の叔父が坂口昌志で、昌志は平尾家とは絶縁になっています。
由紀子の父の和晴が脳梗塞で倒れ、和晴の8歳下の異母弟の昌志がどこかからその話を聞いて電話をかけてきました。

昌志から和晴に見舞いの品が届き、返礼は不要とメッセージがありましたが和晴は子供が生まれたばかりの昌志に出産祝いを届けたいと言います。
和晴は祝い金とともに北原白秋の「からたちの花」も届けてほしいと言い、由紀子は本をビブリア古書堂に注文しました。

ビブリア古書堂で栞子は「からたちの花」には古い版もあることを伝え、この本の好きな年配の人なら慣れ親しんだ古い版を選ぶ気がするのに和晴はどうして新しい版を選んだのだろうと気にします。
また栞子の左手薬指には結婚指輪があり結婚したのが分かりました。
栞子は由紀子と話しているうちに本を渡す相手が昌志だと気づきます。
栞子と大輔が昌志と親しいことを知った由紀子は驚き、本を持って慌てて店を出て行きます。

昌志としのぶの住むアパートを訪れた由紀子は昌志が不在のためしばらくしのぶと話します。
嫌々アパートを訪れた由紀子でしたがしのぶと話すうちに荒れていた気持ちが収まっていきます。
そしてしのぶも自身と同じように子育てで大変な思いをしているのに気づきます。
しのぶから昌志は「からたちの花が咲いたよ」の歌が好きと聞き、由紀子は和晴が「からたちの花」を贈るのには意味があったのだと思います。
「からたちの花」を開いたしのぶが自身の知っている歌詞と違うと言い、由紀子もしのぶと同じでした。
二人とも同じところで歌詞を間違えていて由紀子はその理由に気づきます。
やがて和晴の狙いが明らかになります。

物語の最後、再び2018年の栞子と扉子の場面に戻ります。
扉子が今度はゲームの本に興味を持ち、栞子は自身が関わったゲームの本にまつわる話を始めます。
今作は2018年の栞子と扉子が話しながら過去にあった本にまつわる話をしていくのだなと思いました。


「第二話 『俺と母さんの思い出の本』」
第二話の始まりは2011年のクリスマスの頃の元町が舞台です。
栞子と大輔は入籍して一緒に住み始めて二ヶ月経ち、大輔が五浦から篠川になりました。
文香は大学受験を控えています。
「横浜の山手は日本有数の高級住宅街」とあり、とても上品な雰囲気と見てはいましたが日本有数とまでは思っていなかったのでそれほどまでとはと思い少し驚きました。

智恵子の大学時代の友人の磯原未喜からどこにあるのか分からない本を見つけ出して欲しいと頼まれて二人は山手に来ました。
二人が未喜の住む豪邸を訪ねると未喜は息子が持っているはずの本をどうしても見つけたいと言います。
息子の秀実は31歳の若さで亡くなり、生前秀実がゲームに関する何らかの本を「俺と母さんの思い出の本」と言っていました。
未喜は秀実に立派な人になってほしいと思い語学や絵画、ピアノなどの英才教育を施し、有名私大の法学部に進学もしますが、中学生くらいからアニメやマンガに没頭していてやがてプロのイラストレーターとして仕事を始めました。
亡くなる頃にはイラストの仕事だけでなくアニメやゲームのキャラクターデザインも手がけるようになっていてかなりの才能でしたが、未喜はそういったものの一切をオタク趣味と嫌悪しています。

未喜は秀実が言っていた本について秀実の妻なら何か知っているのではと言います。
栞子はゲームには全く詳しくないですが滝野ブックスの二代目店主、滝野蓮杖(れんじょう)の受け売りでゲームの攻略本などには詳しいです。
栞子は未喜の探している思い出の本が秀実の仕事や趣味を少しでも理解する助けになればと思って依頼を引き受けていて、この考えは良いと思いました。

二人がビブリア古書堂に戻ると文香と同じ高校の玉岡昴が店番をしていました。
以前宮沢賢治の「春と修羅」の貴重な初版本を巡る騒動で二人と知り合いお店にもよく出入りするようになり、予備校通いで時間がない文香の代わりに店番をしてくれています。
陳列している100百円均一本の入れ替えの描写があり、ずっと同じ本を並べておくとお客が飽きると本編で語られていました。
これはやったほうが良いのをこの小説で知りました。
ライトノベルを読んでいる昴に聞き秀実が多くの人に愛されている有名なクリエイターだと分かります。

栞子と大輔は大船駅の近くにあるマンションに秀実の妻のきららを訪ねます。
秀実の思い出の本は秀実が小学生の頃、未喜が買ってくれた唯一のゲーム関係の本だったということが分かります。

きららもアニメや漫画やゲームが好きで、二人のマンションには大量の本棚がありそれらの古書で溢れています。
きららが寝室にまで本棚がある話をした時、大輔が自身達の寝室は本棚が置いてあるどころではないのを思い浮かべながら「古書マニアの寝室に、本が置いてあるのは全然珍しくないです。俺のよく知ってる人なんか……」とからかっていたのが面白かったです。

岩本健太という秀実の友達のゲームのコレクターでライトノベル作家をしている人が二、三日前に来て秀実に貸していたゲームや雑誌を大量に持ち帰ったことが明らかになります。
その時に故意に秀実の思い出の本を持って行ったと栞子は考えます。

栞子と大輔は岩本の家に行き核心に迫ります。
岩本が秀実の思い出の本を持っていったのではと栞子が言うと岩本は激怒して声を荒げこたつの天板を叩きます。
「アンダスタンド・メイビー(上)」(著:島本理生)でも同じようなことをしていた人がいて、悪いことをする人は何かを叩いて相手を威圧したがるなと思います。
最後は驚きの展開になり、岩本がやったことは外道だと思いました。

この話では「ファイナルファンタジーⅤ」というゲームの「はるかなる故郷」という曲が秀実と未喜、さらに秀実ときららにとって重要な曲として登場します。
子供の頃に「ファイナルファンタジーⅤ」はプレイしましたがどんな曲だったかは忘れているのでこの話を読んで聴いてみたくなりました。


「第三話 佐々木丸美『雪の断章』(講談社)」
2011年8月の小菅奈緒と文香の話です。
二人とも高校三年生で、奈緒と文香は志田から佐々木丸美の「雪の断章」を貰っていました。
志田は奈緒に自身が「雪の断章」が好きで古書店で見かけるたびに買ってまだ読んでいない人にプレゼントしていると語った後すぐ、住みかにしていた橋の下から姿を消しました。
しかし一昨日奈緒の携帯に志田からメールが来て世話になった礼の挨拶をしたいと言い、奈緒は文香と一緒に一時間後に大船駅前で待ち合わせていて、二人はモスバーガーで時間が来るのを待っています。

奈緒だけ二冊目の「雪の断章」を貰っていたことが明らかになります。
さらに志田にはもう一人奈緒のようによく志田から本の話を聞いている「生徒」がいて、それらのことを奈緒は志田と会う前に文香に話します。

5月下旬のある日、奈緒が橋の下に行くと志田の小屋がなくなっていました。
そこに紺野裕太という橋の近くに住む年下の高校生が話しかけてきます。
裕太は志田から「クーラーボックスの中に奈緒へのお礼が入っている」という伝言を預かっていて、奈緒がクーラーボックスを開けると二冊目の「雪の断章」が置いてあり、見返しを開くと「アリガトウ」と書いてありました。
もう二度と会えないのは納得が行かない奈緒が志田を探すと言うと裕太も一緒に探すと言います。
奈緒は裕太のことが好きになり、話を聞き終えた文香が「初耳だよ!そんな男の子の話!どういうことだ!」と怒っていたのが面白かったです。
栞子も大輔もそれほど喜怒哀楽を表に出さない中ではっきりと表に出る文香の存在は物語を明るく楽しくしています。

裕太は志田とのことで奈緒に隠していることがありました。
奈緒と文香が志田と再会し、奈緒が志田に裕太のことを話すと驚きの展開になります。

「雪の断章」の見返しに書いてあった「アリガトウ」の言葉の謎が解けます。
隠していた全てを話した裕太に奈緒は「自分のことを話してくれて、どうもありがとう。嬉しかった」「今から、あたしの話を聞いて欲しい」と言います。
この場面が良くて、奈緒がかつて自身が志田にしたことを話して裕太と向き合おうとしているのが分かりました。


「第四話 内田百聞『王様の背中』(樂浪書院)」
半年以上前の真冬のある日、舞砂道具店の吉原喜市の息子の孝二が山田要助という愛書家の家を訪ねます。
山田要助は先月亡くなり、孝二は買い取れる古書がないかと訪ねてきました。
昔の古書店主は新聞の死亡広告を欠かさずチェックしていて、愛書家が亡くなったのを知ると面識がなくても「故人から蔵書の処分を頼まれている」と上がり込み強引に本を買い取っていったとあり、これは怖いと思いました。
人の死を掘り出し物を手に入れる好機と捉えているところに狂気を感じます。

孝二は要助の妻から話を聞き、お葬式が終わった辺りから古本屋が次々と来てほとんどの本を持って行ったことと、残っていたわずかな古書は同居している息子がビブリア古書堂に持って行ったと知ります。
孝二は15年前に父の喜市の運転手になり、大学を出て就職したものの会社が倒産したため舞砂道具店で修業することになりました。
シェイクスピアのファースト・フォリオを巡る戦いでビブリア古書堂に敗れてから喜市はすっかり衰え仕事でミスを連発するようになり、心筋梗塞で倒れてからは介護の身になりベッドでぶつぶつと何事かを罵る日々になっています。

孝二がビブリア古書堂の前を通りかかると店番をしていた文香が声をかけてきます。
文香は就職していてこの日は店番をしてくれていました。
孝二は山田家を出る時に転んで自身のコートを汚してしまい、要助の妻が貸してくれた息子も着るコートを着ていたために文香は先ほど古書を売りに来た要助の息子だと勘違いしていました。

孝二は扉子が読んでいた要助の息子が売った本に目を奪われます。
内田百聞の「王様の背中」で、特製本でかなりの値段がつきます。
孝二は要助の息子のふりをしたまま古書を売るのを止めて「王様の背中」を持ち去ることを考えます。

上手くいくかと思われましたが扉子に「王様の背中」の話の続きを教えてくれと言われて戸惑います。
やがて文香が違和感を持ち本当に要助の息子かと疑い孝二は焦ります。
それでも孝二は何とか「王様の背中」を持ち去り、親子二代に渡って高価な古書を手に入れるためなら犯罪も厭わないところに恐ろしさを感じました。
孝二は電車に乗って逃亡しようとしますが出掛け先から帰ってきた大輔も間一髪のところで同じ電車に乗り物語が緊迫します。

最後に栞子と扉子が探していた本の内容が明らかになります。
栞子が何としても扉子には見せたくないと思っていたのがよく分かる本でした。


久しぶりに「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズの小説を読むことができて嬉しかったです。
まさか一気に7年も経ち扉子という栞子と大輔の子供が登場するような展開になるとは思っていなかったので驚きました。
本編では語りきれなかった部分のみならず、今作の最後の話のように7年後もしくは7年近く経った頃の話もまだまだ書けるような気がします。
番外編はまだ続くのでどんな話が読めるのか楽しみにしています


ビブリア古書堂シリーズの感想記事
「ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~」
「ビブリア古書堂の事件手帖2 ~栞子さんと謎めく日常~」
「ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~」
「ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~」
「ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~」
「ビブリア古書堂の事件手帖6 ~栞子さんと巡るさだめ~」
「ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~」


※図書レビュー館(レビュー記事の作家ごとの一覧)を見る方はこちらをどうぞ。

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楓子さんワンマンライブ『それでいいんだ』

2018-11-20 20:45:03 | コンサート、演奏会


(動画は楓子さんとゲストのHIPPYさんで「絢香×コブクロ」の「あなたと」を歌っているところです。)

11月17日、広島県広島市の「BLUE LIVE」というライブハウスにシンガー・ソングライター楓子(ふうこ)さんのワンマンライブ『それでいいんだ』を聴きに行きました。
同日発売の2ndアルバム『それでいいんだ』と同じタイトルのライブ名で、アルバム発売を記念して自身初のワンマンライブを行ったようです。
最近まで知らない方でしたが、同じく最近まで知らない方だった「一楽章f未完成 FLUTE VIOLIN CONCERT」でヴァイオリンを演奏した川本冴夏(さえか)さんがツイッターで今回のコンサートをお勧めしていたのを見て行ってみようかなと思いました。
楓子さんも川本冴夏さんと同じく今年の春にエリザベト音楽大学を卒業していて、在学中から一緒に音楽活動をするなどの交流があったようです。
サポートのバンドはピアノが友安優弥さん、ヴァイオリンが川本冴夏さん、ドラムが山口陵さんです。


-------------------- 楓子さんワンマンライブ『それでいいんだ』 --------------------



一番最後に歌った「スマイル」という曲だけ撮影がOKになったのでその時に写真をたくさん撮りました。
この写真は楓子さんが笑顔でピースサインをしていてまさに曲名の「スマイル」のようで良いなと思いました




コンサートはまず「第一幕」が行われ、バンドが登場するのは「第二幕」からです。
1曲目は曲名は記録する間がなかったですが歌の上手さとバックダンサーのダンスの切れが印象的でした。
よく通る声に引き寄せられ楓子さんの歌唱力の高さが分かりました




2曲目は「君色」で、この時のトークでシンガー・ソングライターで生きていくと決めて7ヶ月経ったと語っていました。
これは大学卒業とともに職業をシンガー・ソングライターにしたということで、かなり覚悟の要る決断だと思います。
そしていつかワンマンライブをするのが夢で、こんなに早く実現するとは思わなかったと言っていました。




会場にはフレグランスを漂わせて「香るライブ」にしていて、外国のディズニーランドも香りが漂っているとのことです。




3曲目からピアノ弾き語りが3つ続き、まず「あなたグラム」という曲でした。
私はピアノの弾き語りを生で聴くのは初めてのような気がします。
通常の歌唱とは違いまさに語っていると感じる歌い方でした。




4曲目は「母の日」で、「誕生日は産んでくれたお母さんをお祝いする日だと思っている」という歌詞が特に印象的で良いと思いました




「母の日」の後、久保田夏菜さんというフリーアナウンサーがゲストで登場しました。
急きょゲストとして招いたとのことで、この方はラジオの「FM廿日市」で「久保田夏菜とカンボジア」という番組をやっていて楓子さんがアシスタントをしているという縁があります。
私は久保田夏菜さんのことは初めて知りましたがトークがとても滑らかで上手いのが印象的で、帰ってから調べてみたらフリーアナウンサーとありそれで上手いのだなと思いました。




二人のトークの後に5曲目の「あなたのために」になりました。
この曲は高い音で歌っていて、高い音でありながら腹の底から出しているようなよく通る声だったのが印象的でした。




初めて聴いた楓子さんの歌声の、想像を超えた歌唱力の高さに驚かされました
抜群の声量でさらによく響く声でかなり上手いです




次のゲストの紹介を二人で一緒に行い、「ヤルキスト」さんという応援歌ミュージシャンの三人組が登場しました。
「ヤルキスト」さんは広島県を中心に活動している「ヤルキが出る応援歌ミュージシャン」で、「明日へ」というテンションの高い曲を歌っていました。
さらにアルバム「それでいいんだ」に入っている「進め私の道」という曲はヤルキストさんが作ったとのことです。
楓子さんとヤルキストさんで「進め私の道」を歌って第一幕が終わり休憩になりました。




第二幕からピアノ、ヴァイオリン、ドラムのバンドが登場しました。




1曲目は小田和正さんの「たしかなこと」のカヴァーで、しっとりした曲でした。
最初はピアノとヴォーカルだけで、やがてヴァイオリンとドラムが入り、その場面の時にヴォーカルは一度止まっていました。
再びヴォーカルが歌い始めると控えめにヴァイオリンとドラムが演奏し、主役のヴォーカルを引き立たせるように演奏しているのが分かりました。
ヴォーカルの声量の凄さにも改めて驚かされました。




2曲目はSuperflyさんの「輝く月のように」のカヴァーで、この曲はヴァイオリンのソロから始まりました。
また楓子さんはSuperflyさんを尊敬していると言っていました。




とてもよく通る声は尊敬していると言っていたSuperflyさんによく似た声質で、いずれSuperflyさんのようになるのではと予感させる歌声でした。




HIPPYさんという見た目もパフォーマンスもパワフルな広島出身のシンガー・ソングライターがゲストで登場しました。
「あなたと」というコブクロさん、絢香さんの曲を二人で歌っていました。
その後はHIPPYさんが「きんさいや」という曲を歌いました。
その時は観客も立ち上がって隣の人と肩を組んで一緒に歌おうと言い、最初は恥ずかしかったですがやがて肩を組んで一緒に歌いました。
そんなことがあるのはやはりヴォーカルを中心にしたコンサートならではだと思います




「きんさいや」の後、バンドメンバーが一度下がりました。
トークで楓子さんがワンマンライブが終わったら脱け殻になるのではと心配だったと言っていました。
しかしもっと大きな場所に行きたいと思うようになったとも言っていて、今回の時点で何百人も聴きに来ていましたがいずれさらに大人数の前で歌う姿を見せてほしいです

3曲目は「散歩道」で、飼っていた犬が亡くなった実体験をもとに作った曲とのことで、歌いながら当時を思い出したようで最後のほうで泣いていました。
化粧が崩れていないかをチェックしにダッシュで舞台袖に戻って行ったのが面白かったです
4曲目の「ナイスなフェイス」と5曲目の「それでいいんだ」を連続で歌ってラストになりました。

アンコールは1stアルバムの『Best Smile』から2曲歌い、再びバンドメンバーも登場しました。
1曲目が「マーメイド」、2曲目が「スマイル」で、「スマイル」だけ撮影がOKになりました。




写真はコンサート終了後のダンサー紹介です。




コンサート終了後の全員集合での記念撮影です。
後列左から三人目までがヤルキストさんで、左から四人目がHIPPYさんです。
このように最後に出演者が全員登場して観客に写真を撮らせてくれるのはかなり良いサービスだと思います
さらに一番最後、楓子さんとバンドメンバーが観客を後ろにしての記念撮影になりました。




コンサートが終了し出演者が退場した直後の会場の様子です。




かなりの人が来ていて、後ろにビデオカメラもたくさん並んでいました。


楓子さんの生の歌声は今回初めて聴きましたが、とてもよく通る声でさらによく響いていたのが印象的でした。
声楽をやっていたのかも知れないと思い帰ってから調べてみたら大学時代にミュージカルをやっていたとあり、それで声の出し方を熟知しているのだと思いました。
そこに元々の声の良さが加わり、迫力のある声と綺麗な声が合体した素晴らしい歌声になっているのだと思います。
良いコンサートを聴かせて頂いて嬉しく思うとともに、ぜひさらに大活躍してほしいと思いました


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。
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「毛利元就 第十七回 凄まじき夜明け」

2018-11-18 19:14:37 | ドラマ
今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第十七回 凄まじき夜明け」です。

-----内容&感想-----
異母弟の相合(あいおう)元網と重臣の桂広澄(ひろずみ)の謀反による死は元就に大きな影を落としていました。
元就が元網のお墓に手向けようとして花を切っていると、筆頭重臣の志道広良(しじひろよし)がやって来て「花なぞ誰ぞに用意させまするぞ」と言います。
元就が己の手で手折りたいと言うと広良は「元綱殿へのせめてもの償いでござるか?」と言い、さらに「一体いつまでぼやけば気が済みますのか。己が家督を継いだから二人は兵を挙げた。わしが継がなければ死ぬことはなかったのじゃといつまで…」と呆れながら言っていたのが面白かったです。
元就はお墓に手向ける花を誓いの花だと言い、次のように語ります。
「毛利のためを思うて死んだ元網の遺志、兄は忘れぬ。必ず毛利を強うするからという、誓いの花じゃ」

元就が元網のお墓に行くと元網の母の相合がいます。
元就がお墓に花を手向け涙ぐみながら「元綱、兄を許してくれ…」と言うと相合は「そのお気持ち、忘れませぬ」と言います。
相合は水がなくては花が枯れるため、殿に用などもってのほかだが重くて私には持てないので農家で水を貰ってきてくれないかと言います。
元就は「容易いことじゃ」と言い喜んで引き受けます。
しかし水を貰って戻ってくると相合が自害し墓石に寄り添いながら亡くなっていて元就は衝撃を受けます。

郡山城で元就は美伊(みい)、杉、杉の侍女の久(ひさ)に水を汲みに行かなければ良かったと後悔を語ります。
美伊は相合は今頃元網に「最後にとうとう殿に水汲みをさせたぞ」と笑って言っているはずだと言い慰めます。
杉が「いかに辛かろうと、己の命を絶つは、間違うておる。体がぬくいうちは、仏に生かされておるのじゃ。仏に背くは、間違うておる」と言っていたのが印象的でした。
元就は「何もかも、わしのせいじゃ」と言い思い詰めます。

重臣の渡辺勝(すぐる)を嫡男の通(かよう)が朝食も夕食も食べていないと聞いたが大丈夫なのかと心配します。
勝は自身が謀反に加わっていれば広澄も元網も相合も死なずに済んでいたかも知れないと言います。
さらに毛利を守るためには謀反もあるだろうが自身はそこに身を置きたくはなかったと胸の内を語ります。
通は勝が元就を討たなかったことは毛利を守ったことに等しいと思っていると言います。

重臣の井上元兼が元就に勝の動きがどうも怪しいと言います。
広澄が亡くなった夜に城の前で勝の姿を見たと言い、広澄が謀反に失敗した時には勝が兵を挙げて謀反を起こす約束がかねてより出来ていたに違いないと言います。
元就は「勝はさような男ではない。信じられぬわ」と言いますが元兼は勝にはゆめゆめ油断するなと言います。
さらに元兼の屋敷で家臣が勝が死ねば元兼は元就、広良に次ぐ地位になると言うと、元兼は自身が欲しているのは毛利家だと言い、いずれは元就、広良にも刃を向けることになるかも知れないと言います。
元兼の曲者ぶりがよく分かる場面でした。

杉が雪(亡き毛利興元(おきもと)の正室)のところに行き、次から次へと人が死に虚しくてならないと胸の内を語ると、雪は自身も生きながら死んでいるようなものだと言います。
「夫に死なれ、子供に死なれた女は、この世にいないも同然。息だけしておれという世の中じゃ」と言っていてとても寂しい言葉でした。
そして杉が言われてみれば自身も何一つすることがないと言うと、雪が「これからの男は、女を上手く使うことを考えねば、人の上には立てぬ」と言っていたのが印象的でした。

広澄の嫡男の元澄が勝を訪ね、父の無念を晴らしたいので合力(ごうりき、援軍のこと)してくれないかと言います。
郡山城では元兼が元就と広良に、元澄と勝が謀反を企てていると自身の手の者が知らせてきたと言います。
元就がまずは謀反の証を掴むことだと言うと、元兼は「もしも証を掴めば、その場で討ち取ってもよろしゅうござりまするな」と言います。

美伊の侍女の藤野は間者から勝の屋敷に元澄が入って行ったことを聞きますがすぐには美伊に言えませんでした。
やがて二人が合力して兵を挙げるかも知れないと言うと、美伊はなぜ隠そうとしたのかと聞き、勝に想いを寄せているのではないかと言います。
美伊は「美伊に話せば兵を挙げる前に渡辺殿は殺されるかも知れぬ。美伊には言えぬはずじゃ」と言い納得します。
藤野が辛そうに「死なせとうない!」と言うと美伊は「藤野、想う人ができて良かったの。美伊が殿を死なせとうないように、藤野が渡辺殿を死なせとうない気持ち、痛いほど分かる」と言います。
そして「渡辺殿のこと、美伊は殿に話すぞ。藤野も、思うたとおりにやるがよい」と言います。

藤野は勝の屋敷を訪れ謀反を思い留まるように頼みますが、勝が謀反を起こす気がないことが明らかになり安堵します。
ところが元兼が兵を率いて勝の屋敷を襲撃して一気に緊迫します。
元兼は勝を謀反の証がなくても殺してしまおうとしていました。


(渡辺勝。画像はネットより)

勝は通に裏から逃げるように言い藤野に通を頼むと言います。
敵が大勢やって来ますが勝は物凄い強さで一人で何人も切り倒します。
そこに元兼が現れて殿の命だと言うと勝は「まことか」と疑わしそうに言い、さらに「これが、勝の生き方にござる」と言います。
これは戦いに生き戦いに死ぬということだと思います。
勝はなおも奮戦しますが多勢に無勢でやがてたくさんの槍に刺され息絶えます。

元兼が郡山城に戻ると元就は「何ゆえ討ち取った!」と言います。
元兼は自身が勝の屋敷に行き謀反の意思があるのかを尋ねたら向こうから切り掛かってきたと嘘を言います。
そこに元就の祖父の福原広俊がやって来て元澄が郡山城を襲う動きがあるという知らせが届いたことを伝えます。
広良が元澄の屋敷に兵を向けるべきだと言うと元就は一人で行くと言います。
広良と広俊が元澄の屋敷には手勢が群れていると言い止めようとしますが元就は制止を振り切り元澄の屋敷に行きます。

屋敷で元就は大勢の敵に囲まれますが全く怯まず、「元澄、父の思いが分からぬのか!何ゆえ命を粗末にする。父の無念を晴らそうと思い兵を挙げ、挙句に死んでは、父が尚更無念だということ、なぜ分からぬのじゃ!」と言い説得します。
元就は「広澄は死ぬ間際にわしに言うた。新しい毛利を託すと。広澄がわしに託したのは、そなたが兵を挙げることではないのじゃ!」と言います。
さらに「父が兵を挙げたは、この毛利の、行く末を案ずるがゆえじゃ!」と言うと元澄が涙ぐみます。
元就は「元澄、そちはこの毛利の力になれ!」「わしは広澄と約束したとおり、新しい毛利を作るのじゃ!」と言い力になってくれと頼みます。
元澄が断ると元就は「わしを斬れ」と言います。
「わしはな、広澄の子ということだけでそなたが信じられた。その広澄が信じたわしを信じられぬなら、わしを斬れ」と言い刀を差し出します。
ついに思いが通じ、元澄は刀を持って跪き「この太刀、頂きまする」と言います。

郡山城で元就は広良、元兼、広俊に元澄には一切咎めを負わせないと言います。
また元兼には自身の命に対しよくぞ忠義を尽くしてくれたと言い、今回起きたことの全てを許すことにします。
さらに今回のことは何もかも自身が命じたことで、誰のせいでもなく自身のせいであり二度と今回のような過ちは犯さないと言い、かなりの器の大きさだと思いました。

元就は美伊に元澄が考え直してくれたのは嬉しいがあの太刀をやるつもりはなかったので惜しいとぼやきます。
すると美伊が「いつまでぼやいておられます。これからさらに新しい家臣が必要にござりましょう。さように女々しうては家臣のなり手がござりませぬ」と言っていて面白かったです。
さらに美伊は新たな子を妊娠したと言い、最後にほっとできる場面になって良かったです。
また最後に「若い世代の幕開けは、実は毛利にとって、さらに過酷な時代への幕開けでもありました」というナレーションがあったのが印象的でした。


前回と今回で桂広澄、相合元網、相合の方、渡辺勝が亡くなり毛利が大きく変わりました。
広澄の嫡男の元澄、勝の嫡男の通がよく登場するようになり家臣の世代が若くなりました。
重臣を失う犠牲が出たのと元兼という曲者はいますがついに家督争いの余波が無くなり元就を中心に毛利がまとまっていくことになります。
名将としてどんどん活躍している元就のさらなる活躍を楽しみにしています


各回の感想記事
第一回  妻たちの言い分
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第四回  女の器量
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ
第十五回 涙のうっちゃり
第十六回 弟の謀反
第十八回 水軍の女神
第十九回 夫の恋
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花子cafe 月替わりプレート

2018-11-15 20:30:50 | グルメ


9月17日、広島県広島市にある「花子cafe」に行きました。
ブログで交流のある方がランチプレートが素晴らしいとお勧めしていたカフェで私も行ってみたいと思っていました。
平日は「日替わりプレート」、休日は「月替わりプレート」で、私が行った日は休日だったので月替わりプレートを頼みました。
9月は肉巻きかぼちゃがメインのプレートとありました。




まず前菜とコーンスープが運ばれてきました。
前菜があるのが驚きで、良いカフェだと思います
前菜は四つあり、きゅうりと鶏肉を和えたもの、茹でて皮を剥いたミニトマト、ドライいちじく、しそとチーズを生ハムで巻いたものです。
どれも美味しく頂きました。
特にミニトマトが印象的で、程よく甘くて食べやすかったです。
コーンスープには細かく刻んだパンとパセリが入っていて、じっくり煮込んでありまろやかで美味しかったです。




ランチプレートは品数が豊富でとても充実していました




かぼちゃの肉巻きは肉がとてもこんがり焼けていました。
かぼちゃがほくほくしていて甘く、甘さと肉の旨味が上手く合うように肉の味付けは控えめにしていました。
美味しい肉巻きです

サラダは水菜とキャベツで、フレンチソースがかかっていました。
キャベツの昆布和えもあり、これは初めて食べたような気がします。
キャベツの風味とともに昆布の濃厚な味が広がって美味しかったです。

オムレツには細かくカットしたきのことウインナーが入っていて、細部へのこだわりを感じました。
ローストビーフには玉ねぎが載っていて、胡椒とともにかすかにコンソメの味がしました。
柔らかくて美味しかったです。

ピーマンの肉詰めはごまがけになっていて、ピーマンがとてもしんなりと柔らかくなっていました。
肉の旨味にピーマンの風味がよく合っていて美味しかったです。

コーヒーゼリーにはコーヒー味のチョコが載っていました。
ホイップクリームが程よい甘さでゼリーとよく合っていました。
ゼリーも美味しく、かすかに甘さがありました。




食後にはアイスコーヒーを頼みました。
すっきりとしていて、心地よい苦味で飲みやすかったです。

ランチプレートもコーヒーも美味しい素晴らしいカフェだと思います。
私が寄った時からしばらくの間、コーヒーや料理を注文しながらゆっくり小説を読んでいる人がいて、私も時間がある時はゆっくり小説を読んでみたくなりました。
くつろげる雰囲気のカフェなので何度も寄りたくなります
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エリザベト音楽大学 院生アンサンブル「ライツェント・グランツ」

2018-11-12 22:45:37 | コンサート、演奏会


11月7日、広島県安芸郡府中町にあるイオンモール広島府中店の「ROJIのおと」というフードコート内ステージに演奏を聴きに行きました。
広島市にあるエリザベト音楽大学の大学院生四人が同級生アンサンブルとして「ライツェント・グランツ」というグループ名で演奏するとあり、そのメンバーに知っている人がいて興味を持ちました。
メンバーは次のとおりです。

佐田晴菜さん(大学院二年、フルート)
善村早紀さん(大学院一年、フルート)
遠藤ふみさん(大学院一年、打楽器)
讃井万由子さん(大学院一年、ピアノ)




佐田晴菜さん(写真右)は飛び級で二年に在籍していて、「一楽章f未完成 FLUTE VIOLIN CONCERT」で初めて演奏を聴いてぜひまた聴いてみようと思っていたところに今回の演奏のことを知り聴きに行こうと思いました。
さらに善村早紀さん(写真左)も「エリザベト音楽大学 Autumn Concert」で演奏を聴いたことがあり上手い演奏だったのを覚えています。
四人中二人の演奏を聴いたことがあり、どちらも上手かったのでこの二人が出るなら良い演奏になる気がしました




また讃井万由子さん(写真右)は「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」のパンフレットに挟まっていたチラシの一つに12月12日JMSアステールプラザ大ホールで開催の「広島プロミシングコンサート」があり、そこでピアニストとして演奏するのを把握していました。
遠藤ふみさん(写真左)は今回初めて知りましたが、同じく「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」のパンフレットに挟まっていたチラシの一つに「Trip!」というエリザベト音楽大学打楽器専攻生有志の打楽器アンサンブルが2月23日に同大学ザビエルホールで行うコンサートがあり、そこによく見ると遠藤ふみさんの名前がありました。
このように何度かコンサートを聴きに行っているうちに音楽家同士のつながりが見えてくるのが面白いです

演奏プログラムは次のとおりです。


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愛の挨拶(エドワード・エルガー)

ニュー・シネマ・パラダイス(エンニオ・モリコーネ)

糸(中島みゆき)

はなみずき(一青窈)

A Whole New World(ディズニー映画「アラジン」のテーマ)

カーペンターズセレクション

エトピリカ(葉加瀬太郎、「情熱大陸」のエンディングテーマ)

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アンサンブルという言葉には漠然と3~4人くらいでの演奏という印象を持っていましたが、意味を調べてみると少人数での合奏団や合唱団をアンサンブルと言い、さらに二人以上ならアンサンブルになるようです。
「愛の挨拶」は「一楽章f未完成 FLUTE VIOLIN CONCERT」の一曲目でも演奏されていて、ゆったりとして優雅な曲調はオープニング向きだと思います




フルートは二人一緒に吹く場面とどちらか一人が吹く場面がありました。
音のボリュームや響き方を調整していたのではと思います。
また佐田晴菜さんは途中でフルートよりかなり短めの吹く楽器に持ち替えて演奏した場面があり、音楽家の人は一人で複数の楽器を演奏できることがよくあるのが凄いと思います




「ニュー・シネマ・パラダイス」では遠藤ふみさんがウィンドチャームという金色の楽器を撫でてキラキラキラというゆったりとした高い音を出していたのが印象的でした。
遠藤ふみさんは基本は腰かけている打楽器を叩きながら演奏のリズムを取り、時折ウィンドチャームやドラムのような楽器を鳴らして変化をつけていました。

「愛の挨拶」と同じく「エトピリカ」も「一楽章f未完成 FLUTE VIOLIN CONCERT」の一番最後のアンコールで演奏されていて、これは明らかにエンディング向きな澄んだ心になる良い曲だと思います。




全ての演奏が終わり、演奏後の挨拶でステージの前に置いてあるこれからのコンサートのチラシを紹介している場面です。
今回は観覧無料で演奏時間も短めでしたが、チラシで活発に告知するコンサートは演奏時間も長くなり雰囲気もかなり本格的になります。




この日は平日で、四人とも学業の後に移動して準備をし演奏をするのは大変だったのではと思います。
音楽大学の人の活発な演奏活動ぶりを感じました

フルートの高い音、打楽器の低い音、ピアノの高低織り交ぜた音がよく合わさっていました。
ピアノはグランドピアノでの演奏もぜひ聴いてみたくなりました。
フルート、打楽器、ピアノが揃って演奏している時の音を聴くと、打楽器の音の上にピアノとフルートの音が乗っている印象を持ちました。
さらにその中でピアノは打楽器のすぐ上に乗り、フルートはピアノのさらに上に乗り音が三層構造になっていると感じる場面がありました。
そして今回、打楽器も良いものだなと思いました


私は今回の演奏は直近で聴きたいと思っているコンサートへの前哨戦と考えていました。
今回聴いたことでぜひ長い演奏時間と本格的な雰囲気でのコンサートを聴きに行きたいという思いが強くなりました。
そんな風に思わせてくれる演奏者達の演奏を聴くことができて良かったです


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。
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窓側の席

2018-11-11 19:46:58 | ウェブ日記
私は日差しを浴びるのが好きで、晴れた日はよく外に歩きに行きます。
電車で窓寄りの席に座った時もカーテンを全ては閉めずに外の景色を見ていることがよくあります。
JR山陽本線のカーテンは三段階に分けて閉められるタイプのもので、私は一段階目か二段階目で止めることが多いです。

ただし隣に女性が座って来た時はなるべくカーテンを全て閉めるようにしています。
女性の場合は日焼けを気にされる方が多く、窓からの日差しが顔や手や足に当たれば気になると思うからです。
たまに反応が遅れて何分か気づかずにいてハッとすることがあります。

通路側に女性が座りカーテンが全ては閉まっていなくて窓からの日差しが気になる時、「全て閉めてくれ」とは言いずらい女性が多いのではと思います。
「せっかく景色を見ていたのに閉めろと言うのか」と反発される可能性があるからです。
なので私はなるべくこちらから閉めてあげるようにできればと思います。

ただし本来「女性が座ってきたらカーテンを閉めてあげること」などという義務はないので、窓側の席の人が気がついてくれること頼みになります。
90年代に色黒が流行って以降は美白志向の人が多い今日、男性側が気を使ってカーテンを閉めてあげるくらいのことはしても良いのではないかなという気がしています。
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