読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

ロンドンオリンピック始まる

2012-07-30 20:07:55 | スポーツ
28日から始まったロンドンオリンピック。
初日から金メダルが期待された柔道ですが、これまでのところなかなか苦戦しているようです。
それでも男子60キロ級の平岡拓晃(ひろあき)選手の銀メダルは立派なものだし、昨日の男子66キロ級の海老沼匡(まさし)選手の銅メダルも最後は綺麗な一本勝ちで決める見事なものでした。
日本では柔道に対して「金を取って当たり前」という風潮がありますが、選手にとってはかなりのプレッシャーだと思います。
実際に金メダルが期待されていた女子48キロ級の福見友子選手などは試合での硬さが指摘されていましたし。
やはりオリンピックという舞台での独特の緊張もあるかと思います。

ところで、昨日の海老沼選手の準々決勝、韓国のチェ・ジュンホ選手との戦いの判定は不可解でしたね。
延長戦までもつれた末、勝負の行方は旗判定に委ねられることに。
海老沼選手は延長戦で「有効」に近い技をかけ、結構押している印象だったので、おそらく海老沼選手が勝つだろうと思っていました。
ところが三人の審判が上げたのはいずれもチェ・ジュンホ選手の勝利を示す青旗。
これには見ていて「えっ!?」と思ったし、会場からも大ブーイングが起こりました。
この判定に対して審判をチェックする「ジュリー(審判委員)」から物言いがつき、しばらくの間協議がありました。
その後、旗判定をやり直すという前代未聞の事態に。
今度は三人の審判全員が海老沼選手の勝利を示す白旗を上げ、海老沼選手の勝利となりました。

あれを見ていて思ったのは、「ジュリー(審判委員)」というのがいて本当に良かったということ。
判定が覆ってくれて本当に良かったです。
素人目に見てもあの判定はおかしいと思いますし。
海老沼選手もあれだけ振り回されては気持ちを保つのが難しかったのではないかなと思います。
なので三位決定戦での見事な一本勝ちには胸がすく思いでした
よく気持ちを切り替え戦い抜いたと思います

一方、競泳のほうでは北島康介選手が100m平泳ぎ決勝で5位となり、残念ながら三大会連続の金メダルはなりませんでした。
でもまだ200mがありますし、今度はそちらで頑張ってほしいと思います。

まだまだオリンピックは始まったばかりだし、これからも注目の競技は盛りだくさん。
日本人選手たちの健闘を祈りたいと思います

「サマーウォーズ」著:岩井恭平 原作:細田守

2012-07-28 17:36:31 | 小説


「おおかみこどもの雨と雪」の流れでこちらも読んでみました。
今回ご紹介するのは「サマーウォーズ」(著:岩井恭平 原作:細田守)です。

-----内容-----
小磯健二は、憧れの先輩・篠原夏希に、「4日間だけフィアンセの振りをして!」とアルバイトを頼まれ、長野県の田舎に同行することに。
夏希の曾祖母を中心にご親戚に囲まれながらも、大役を果たそうと頑張る健二のもとに、謎の数列が届く。
数学が得意な彼は、夢中で答えを導きだすが、翌朝世界は一変していた。
世界の危機を救うため、健二と夏希、そして親戚一同が立ち上がる!
熱くてやさしい夏の物語。

-----感想-----
もともと先日テレビで放送された映画「サマーウォーズ」を見ていたので、読んでいてとてもイメージがしやすかったです。
それにしても憧れの先輩・篠原夏希に「4日間だけフィアンセの振りをして!」と頼まれる…何と素敵なアルバイトでしょうか(笑)
しかし物語はフィアンセの振りで終わるようなものではなく、サマーウォーズ、まさに夏の戦争へと発展していきます。
これはOZ(オズ)という電子ネットワーク上の仮想世界を舞台にした、一夏のネット戦争の物語。
そして夏休みに集まった篠原夏希の「ご親戚」総勢29人もの人々が登場するファミリードラマでもあります。

陣内(じんのうち)家という、戦国時代から数百年以上続いている家の16代目の当主・陣内栄の90歳の誕生日を祝うため、個性豊かな面々が長野県にある陣内家に大集合
夏希は「大おばあちゃん」に当たる陣内栄に「フィアンセを連れていく」と約束してしまっていて、その役を健二に頼んだのでした。



そんな中、陣内家にて必死にフィアンセの振りをして頑張る健二の携帯に謎の数列が綴られたメールが届きます。
不審に思いながらも、数学オリンピックにあと一歩で出られるほど数学が得意な健二はその数列を解いてみることに。
見事解答を導き出した健二はOZ(オズ)を用いてメールの送り主に解答を送ります。
すると携帯には「thank you!」の着信メールが。
訳が分からず、ただのイタズラだろうと結論づけて眠りについた健二でしたが。。。翌朝、世界は一変していました。
なんとOZ(オズ)の世界が大混乱。



健二が解いた謎の数列は、OZ(オズ)のセキュリティシステムの管理センターに潜入するためのパスワードだったのです。
それを使ってOZ(オズ)管理センターに潜入してシステムを乗っ取り、OZの世界で大暴れを始めたのが通称「ラブマシーン」と呼ばれるAI(人口知能)。
自分で考える力を持ち、「混乱」を作り出すことで成長していきます。
OZは今や登録者が世界中で10億人を超えるほどの超大規模ネットワーク仮想空間なだけに、各地で大混乱が起こります。
何しろOZで何でもできる今、コンピューターを使う施設のほとんどがOZを導入しているのです。
水道局員のOZアカウントが盗まれれば水道局の管理システムを好きにされてしまうし、JR職員のOZアカウントが盗まれればJRのダイヤも滅茶苦茶に変更されてしまいます。
便利になりすぎた世の中が裏目に出ているような感じで、ネット世界の危うさもこの作品のテーマの一つになっているなと思いました。



OZにおける超有名なアカウント「キング・カズマ」でも「ラブマシーン」との対決に敗れ、もはやOZの混乱は拡大する一方かと思ったその時、陣内家の人間が立ち上がる
特に16代目当主の「大おばあちゃん」こと陣内栄が大活躍、各界の著名人に顔が効く栄はOZによる各地の大混乱の収束のために尽力してくれます。
また陣内家の親戚の面々は総勢29名にも及ぶので、小説の最初にある「家系図」が大変役に立ちました。
名前が出てくるたびに「えっ、この人誰だっけ」となり、家系図を見て確かめていました。
それを繰り返していくうちにだんだん陣内ファミリーの個性豊かな面々を把握できるようになりましたね^^

やがてOZによる現実世界での混乱は一段落しますが、まだOZの中では「ラブマシーン」が暴れています。
「キング・カズマ」でも勝てなかったこの最強のネットモンスター相手に対抗するすべはあるのか?
そこは戦国時代から現在まで続く陣内家、かつて徳川の精鋭を相手に戦ってきたとされるご先祖様の兵法でもってラブマシーン撃退の策を練ります。
かくしてOZというネットワーク上の仮想世界を舞台にした戦い、「サマーウォーズ」はいよいよ激化
先に映画を見ていただけに、読みながらOZにおけるあのド派手な戦い、そして終盤では美しき戦いが鮮烈に甦ってきました。
夏希の花札勝負とかはルールは知らなくともかなり見応えがありました。
非常にスピード感を持って読める小説なので一気読みにも向いています
最強のネットモンスター「ラブマシーン」との行き着く暇もない戦い、そして陣内家の個性豊かな面々、どちらも小説でも映画でももう一度見てみたいなと思える楽しさがありました


※スピンオフ作品「サマーウォーズ クライシス・オブ・OZ」のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。

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金曜ロードショー 「太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-」

2012-07-27 19:48:03 | 音楽・映画


来週の金曜日、8月3日、金曜ロードショーで「太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-」があります。
この映画は太平洋戦争の激戦地・サイパン島の闘いを日米双方の視点から描いたもので、私も以前映画館に観に行きました。
※当時書いたレビュー記事をご覧になる方は以下のURLからどうぞ。

http://blog.goo.ne.jp/since2007_1984/e/597113ebc043b79a4dc88004595b7d5e?fm=entry_awc

多くの方に観てもらいたい映画なので、金曜ロードショーで放送してくれるのはありがたいことですね。
やはり8月となると戦争について考える機会が多くなりますし。



この映画の主人公・大場栄大尉(竹野内豊)は生き残った47人の兵士たちと共に「玉砕」ではなく「一人でも多くの民間人の命を守りきる」ことを選びました。
玉砕が当たり前となりつつあった当時、珍しい決断だったのではと思います。
実話をもとに作られた映画でもあり、大場栄大尉のわずか47人の少ない兵力ながらも地形等を大いに生かして米兵を翻弄する知将ぶりに注目です。



また、この映画を観てレビューを描いた当時、私は誤解していることがありました。
あの時私は『当時の日本では「投降すると拷問されて殺される」ということが信じられていたため、投降するという選択肢はありませんでした。』と書いていましたが、これは投降すればきっと助けてもらえたはずだという思いから書いていました。
ところが色々調べていくうちに実際にはそうではなく、「投降すると拷問されて殺される」が真実であることに気付かされました。

以下、「ねずさんのひとりごと」のサイパンの玉砕戦(2)の記事より一部引用

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米軍は、拡声器をいくつもすえつけ、一日中、「米軍は虐待しません。米軍によってよい待遇が受けられます。みなさん投降してください」と呼びかけた。

しかし、その呼びかけを信じて洞窟から出てきた婦女子は、全員が素っ裸にされ、数台のトラックに積み込まれた。

「殺して!」「殺して!」の絶叫を残してトラックは走り去った。

滑走路に集った老人と子供の周りにはガソリンがまかれ、火がつけられた。
たちまち阿鼻叫喚のちまたと化した滑走路。

我慢ならず我兵が小銃射撃をしたが、米軍は全く無頓着に蛮行を続けた。

火から逃れようとする老人や子供を、米兵はゲラゲラ笑いながら火の中へ蹴り飛ばしたり、銃で突き飛ばして火の中へ投げ入れた。

二人の米兵は、草むらで泣いていた赤ん坊を見つけると、両足を持ってまっ二つに引き裂いて火中に投げ込んだ。

「ギャッ!」といふ悲鳴を残して蛙のように股裂きにされた日本の赤ん坊とそれを見て笑う米兵士。

こんなに優勢な戦闘にも拘らず、米軍は毒ガス弾(赤筒弾)攻撃まで仕掛けてきた。

マッピ岬では、岩の間に一本の青竹を渡し、それに裸にされて股から串さしにされた婦人を見た。

自分と同じ洞窟に居た兵士や住民が、五体をバラバラに切り刻まれて倒れているのを眼前に見た。

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綺麗ごとではどうにもならない、これが戦争というものの恐ろしさなんですね。
戦争映画でたまに聞く「鬼畜米英」という言葉は決して大げさな表現ではなかったのです。
やっていることは、まさに鬼畜。
このような状況下では簡単に投降など出来るはずもありません。
映画ではさすがにこんな凄まじい描写は出てきませんが、アメリカ兵が「メリークリスマス!!ジャップ!!」と叫びながら一般人の日本人が隠れている壕に手榴弾を投げ入れて容赦なく殺す場面がありました。

この凄まじい修羅場であったサイパンで、最後まで玉砕することなく512日間に渡って民間人の命を守ったのが大場栄大尉。
敵である米兵からも「フォックス(きつね)」と呼ばれ恐れと尊敬を集めるほどでした。
戦闘そのものよりも生きるための知略や人間ドラマ、命の尊さに重きを置いた映画であり、いかにして民間人の命を守るか、強い決意と信念を目の当たりにしました。
来週の金曜日、興味のある方はぜひご覧になってみてください。

「おおかみこどもの雨と雪」 -小説-

2012-07-24 21:49:32 | 小説


※映画「おおかみこどもの雨と雪」のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。

というわけで、映画を観た勢いで小説のほうも一気読み。
今回ご紹介するのは「おおかみこどもの雨と雪」(著:細田守)です。

-----内容-----
私が好きになった人は、”おおかみおとこ”でした。
大学生の花は、人間の姿で暮らす”おおかみおとこ”に恋をした。
ふたりは愛しあい、新しい命を授かる。
<雪>と<雨>と名付けられた姉弟にはある秘密があった。
人間とおおかみの両方の顔を持つ<おおかみこども>として生を受けたのだ。
都会の片隅でひっそりと暮らす4人だが、突然”おおかみおとこ”が死んでしまう。
残された花は姉弟を連れて田舎町に移り住むことを決意する―。
映画原作にして細田守監督初の小説登場!

-----感想-----
オススメは映画を観た後に小説を読むこと。
そのほうがイメージがしやすいと思います。
ああ、やっぱりあの時の心情はこんな感じだったんだなというように、映画では映像のみで表現されていた細かな部分の心情が分かります。
例えば主人公の花が序盤でスーパーで野菜を買ったり家で本を読んだりしている時、何度も考え事をしたり、瞳を潤ませたりしていた場面。
あれはたぶん”おおかみおとこ”のことを考えているのだろうと思いましたが、小説だとそこが思いっきり書かれているため、「ああやっぱりそういうことか」となります^^
完全に恋に落ちていましたね
鏡の前で服を選んでいた場面も、”おおかみおとこ”を意識して可愛い服を着ていきたいのだろうと思いましたが、やはり小説ではそこに触れていました。
これが映画と小説の違うところで、「映像」と「文字」の差ですね。
映画では映像からそういったものを感じ取ります。
なのでアニメーション映画ということで小さなお子さんも観に来ていましたが、そういった感性で感じ取る部分はちょっと難しかったかも知れませんね。
小学生には少し難しく、中学生くらいの感性になれば感じ取れるかな、といった印象です。

小説を読んでいると、映画での花(声優:宮崎あおい)の柔らかな声が甦ります。
内気で臆病な雨の背中をさすりながら「大丈夫、大丈夫」言ってあげる場面が何度かあるのですが、その声がとても優しく落ち着いていて印象的でした。
「大丈夫、大丈夫」
読んでいてその落ち着いた安心させてくれるような声が鮮烈に甦りましたね。

あと、花が姉弟を連れて田舎町に移り住んだ時、雪は5歳、雨は4歳だったのも小説を読んで分かりました。
活発に動き回る雪と弱気な雨、二人の可愛い姿が小説を読んでいて思い浮かんできました^^
大自然の田舎町に引っ越したのは二人がおおかみと人間、どちらかの道を選べるようにしなければいけないと考えたからで、その自然の中で二人それぞれ、成長していくことになります。

この田舎町で何とも言えぬ良い味を出しているのが、「韮崎のおじいちゃん」。
小説でも映画と全く同じ台詞、行動で、声優の菅原文太さんの味のある声を思い浮かべながら読んでいきました。
このおじいちゃんは無愛想なように見えて、畑での作物作りが上手くいかない花のことを気にかけて厳しいながらも色々と教えてくれます。
そして映画で印象的だった「畑が広くなきゃいけない理由」。
韮崎のおじいちゃんによってそれを悟らされた花は、おじいちゃんに「理由が分かった」と言っていたものの、どんな理由かについて直接の言及はしていませんでした。
ただこれもそれまでの流れを見ていれば分かるもので、ああなるほどと思いました。
そして小説ではそれについて明確な言及がありました。

収穫は、その家のためだけのものではない。里の者みんなのためであり、収穫はみんなで分かち合う。花は畑づくりを通して里の暮らしの流儀を知った。

つまり、広い畑でたくさん作って、みんなでお裾分けし合うということです。
小さな畑で、自分達だけ食べていければ良いというものでもないんですね。
都会にはなかなかない助け合いの精神が、この大自然の田舎町にはありました

それと映画で印象的だった、雨の成長。
内気で臆病だった雨が喧嘩で雪を圧倒するほど逞しく強くなるのですが、それは山に行ってアカギツネの「先生」から色々なことを学んだからでした。
映画ではどういう過程で「先生」に師事したのか説明はなかったものの、これも映像描写から何となく読み取ることは出来ました。
かつて自然観察の森という場所で、飼育されていたシンリンオオカミと雨が見つめ合うシーンがあったのですが、やはりあのオオカミから山のことについて聞いていたのでした。
ただこれも小さなお子さんでは読み取れないと思いますし、子供に色々聞かれたらぜひ親御さんが教えてあげてほしいですね。

そして連日山に行く雨を見ているうちに花の心に芽生える不安。
もしかしたら雨がこの家に帰らなくなり、母親としての自分の役割が終わってしまう時が来るのではと不安に駆られます。
雨が自分の道を歩み始めたのを見て、あれほど嬉しかったはずの子供の成長が、不安に変わっていきました。
おおかみとして生きるのか、人間として生きるのか。。。

映画を観ていたので、ラスト数ページは読んでいて胸が熱くなりました。
生き方の決断、旅立ち、そして母としてそれを受け止める心。
本当に素晴らしいラストだと思います


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「おおかみこどもの雨と雪」 -映画-

2012-07-23 19:50:26 | 音楽・映画
※小説「おおかみこどもの雨と雪」のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。

久しぶりとなる映画のレビュー。
昨日「おおかみこどもの雨と雪」(監督:細田守)を観に行ってきました。

------- ストーリー -------
人間の姿で暮らす“おおかみおとこ”に恋をした大学生の花。
やがて妊娠し、雪の日に女の子の、雨の日に男の子の《おおかみこども》を産む。
姉弟は雪、雨と名づけられる。
ところが、ある日突然“おおかみおとこ”が帰らぬ人に。
遺された花は子供たちを人間として育てるか、おおかみとして育てるか悩み、山奥の古民家に移り住む。
日々成長する快活な雪と内気な雨。
小学生になった2人にそれぞれ転機が訪れる。


------- 感想 -------



まず冒頭から素晴らしい映像美に引き込まれました。
話題になっていた「背景を動かす」という演出を目の当たりにしました。
これまでのアニメーションでは背景は固定されていることが多かったのですが、この作品では非常に完成度の高いレベルで背景を動かすことに初めて成功したとのこと。
冒頭からその演出があって、それがすごく美しかったです

この作品は、母と子の成長の物語。
作品全体では13年間の月日が流れます。
当初19歳の大学生だった主人公の「花(声優:宮崎あおい)」は、人間の姿で暮らす“おおかみおとこ(声優:大沢たかお)”に恋をすることに。
二人の間には雪の日に女の子が生まれ、雨の日に男の子が生まれ、それぞれ雪、雨と名づけられます。
しかし雨が生まれて間もなく“おおかみおとこ”である彼が死んでしまったために、花は一人で「おおかみこども」を育てていくことになります。
ここからが、花と雪と雨、三人の成長の物語の始まりです。



花が「まるで狼として生きるか人間として生きるか迷っているみたいだった」というように、幼い二人はおおかみになったり人間になったり、ポンポン変身しています。
活発で勝ち気な姉と、内気で臆病な弟。
この二人を人間として育てるかおおかみとして育てるか悩んだ末、花は自然豊かな山奥の古民家に移り住んで子育てをしていくことにします。
その開放的な環境で、二人がどう生きていくか少しずつ答えを見つけていってくれればと思ったのだと思います。
都会からいきなり大自然に環境が変わったことに活発な姉は大喜びし、臆病な弟は「もう帰ろうよ」と怖がっていました。

ボロボロの古民家を毎日少しずつ掃除し、直し、手入れしていく花。
畑も耕し作物も作ろうとしますが、これがなぜか枯れてしまい上手くいきません。
そんなとき花を助けてくれたのが、地域の人々。
もともとほとんど人がいないような田舎ですが、韮崎のおじいちゃん(声優:菅原文太)と呼ばれる頑固じいさんを筆頭に、みんなで花の助けになってくれます。
都会にはない人々の暖かさ、地域の助け合いが感じられる場面でした。

やがて姉の雪が小学校に入学することになり、「絶対におおかみには変身しない」と母と約束を交わします。
万が一「おおかみこども」だとバレれば大変なことになりますから。
今まで活発で「おおかみこども」らしくねずみや蛇を取って遊んでいた雪は、周りの女の子がそうではないことに気付かされ、とても恥ずかしい気持ちになります。
それからは自分も周りの女の子みたいにおしとやかでお洒落好きな女の子になろうと決意します。
これが雪にとっての転機でしたね
そのことを真顔で相談したら母は笑いながら「しょうがないなあ」と言い、雪のために青い花柄ワンピースを縫ってあげていました



一方の雨も次の年には小学校に入学するのですが、こちらは内気で臆病な性格のため、どこかクラスにも馴染めない感じです。
いじめられそうになっているところを姉の雪が飛んできて蹴散らしている場面もありました。
そして段々学校に行かなくなっていく雨ですが、代わりによく山に出かけるようになり、その山に住むアカギツネを「先生」と呼び、山の中で色々なことを教わっていきます。
これが雨にとっての転機
二人とも転機を迎え、今までとは少しずつ変わってきていたのでした。

そしてある時垣間見られる、姉弟の逆転。
活発で勝ち気だった雪は、ほかの女の子たちと同じになれるよう、頑張っておしとやかにしようと努めていました。
一方内気で臆病だった雨は、山に行って「先生」から色々なことを教わるうちに成長し、いつの間にか逞しく強くなっていました。
そんな二人が学校に行かない雨のことで喧嘩になったのですが、今まで活発だったはずの雪が雨に負けてしまいました。
喧嘩で弟に負け、泣く姉。
何だかこの場面は男の子と女の子のパワーの逆転が描かれていて印象に残りましたね。
いつまでも臆病な弟ではなかったのです。
そしてそれは姉弟それぞれが歩みつつある生き方の差でもありました。

とても印象的だったのが、物語の終盤、6年生になった雪が学校で「早く大人になりたい」と言っていた場面。
大雨の降る中、同級生の「草平」君と話しているときのことでした。
最初は分からなかったのですが、しばらくしてこの台詞に込められた意味に気付きました。
あれは人間・雪の11歳はまだ子供だけど、狼・雨の10歳はもう大人だという姉弟の「対比」の意味なんだと思います。

姉弟それぞれの、生き方の選択。
狼として生きるか、人間として生きるか。
それぞれが生き方を決め、羽ばたいたところで物語は終了。
とても心に残るクライマックスでした
雪も雨も自分で考えた生き方だし、母もそれを受け入れ、エールを送ります。
「しっかり生きて!!」
間違いなく素晴らしい良作だし、一人でも多くの人にこの母子の感動の物語を見てほしいなと思います

レモンカスタードケーキ

2012-07-22 23:23:07 | ウェブ日記
今日は新宿バルト9に映画「おおかみこどもの雨と雪」を観に行きました。
話題の映画で、宣伝を見ていても久しぶりに「観たい」と思う映画でした。
11時過ぎに着き、チケットの状況を見たら13時からの回にまだ少し空きがあったのでそれを取りました。
映画は冒頭から素晴らしい映像美で引き込まれ、物語も笑いあり、ほのぼのあり、感慨あり、感動ありで想像を遥かに上回る素晴らしいものでした☆
映画のレビューは後日ぜひ書きたいと思います。

そして今回は13時まで時間があったのでマルイのスターバックスカフェに寄って時間を潰していました。
ご飯を食べるほどお腹が空いていなかったので軽くお茶でもしようと思い頼んだのが写真のレモンカスタードケーキ。
これが思いのほか美味しくて印象に残りました。
レモンの酸味にレアチーズとカスタードのまったり感が絶妙にマッチ。
濃厚さを備えていながらもしつこさは全くなく、とても美味しく頂きました(^_^)
わりとパクパクケーキを食べる私でもゆっくりと味わいたくなるようなケーキでしたね。
なかなか良いケーキを見つけたので、またスタバに寄って気が向いた時は食べてみたいと思います♪

「ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~」三上延

2012-07-21 20:38:18 | 小説
今回ご紹介するのは「ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~」(著:三上延)です。

-----内容-----
鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。
すっかり常連の賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。
人々は懐かしい本に想いを込める。
それらは予期せぬ人と人の絆を表出させることも。
美しき女店主は項をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読みとっていく。
彼女と無骨な青年店員が、その妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは?
絆はとても近いところにもあるのかもしれない―。
これは”古書と絆”の物語。

-----感想-----
というわけで、ビブリア古書堂の事件手帖シリーズの第3巻となる今回。
今回は年末から翌年の春先にかけての物語。
第1巻は夏頃だったので、いつの間にか季節も変わり時間も経過しています。
主人公の篠川栞子も、この人に密かに想いを寄せる五浦大輔も、日々古書店の業務をこなしていく毎日。

そんな中、今回も古書にまつわる謎解き依頼が舞い込んできます。
今回印象的だったのが、書名も作者も分からない本を探してほしいと頼まれたこと。
分かっているのは「タヌキとワニと犬が出てくる、絵本みたいなの」というごくわずかな情報のみ。
さすがにこんな断片的な手がかりでは本を探すには厳しく、依頼人と話をしながら少しずつどんな本なのかに迫っていきます。
そういえば私も似たようなこととして、「コミックスの名前は分かっていてどうしてももう一度読みたい場面があるが、それが何巻なのか分からない」ということがあります。
そういう場合は片っ端から読み返してその場面を探しだしたりすることがありますね。
やはり気になるものは知りたいものです。
なのでこの話の「名前も作者も分からないが、どうしてもその本を探したい」という気持ちは分かる気がしました。

問題の本は結構有名な某キャラクターが主役の本で、それが分かった時「なんと、あのキャラが?」と驚きました。
しかもそのキャラのデザインがまだ正式に決まっていなかった頃の作品で、現在のあのキャラクターとはだいぶ違うデザインになっています。
古書の謎を解いていくとこんなこともあるんですね。
あるキャラクターの現在とはだいぶ違う昔の姿が知れて興味深かったです。

そして、前作から伏線になっている栞子の母親の謎について。
十年前に突然出ていったきり行方不明の母親、篠川智恵子。
今作ではなんと、この篠川智恵子が現在のビブリア古書堂の近況を知っていることが発覚。
栞子や妹の文香(あやか)のことだけでなく、五浦大輔のことまでも。
いったい誰が情報を渡しているのか?
まさかの展開に栞子は驚きます。
まあこれは誰が情報を渡していたのかは予想がついていたのですが、にしても最後の終わり方は印象的でした。
あの展開だと次作ではついにずっとベールに包まれていた母親が動き出すのではないか?と思わせるものがありました。
「古書ミステリー」なだけに、実にミステリアスな展開です。
すっかりこのシリーズのファンになったので次作も期待して待ちたいと思います♪


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俺の創作らぁめん 極や

2012-07-19 20:27:30 | グルメ


神田神保町にあるラーメン屋・「俺の創作らぁめん 極(きわみ)や」。
比較的最近オープンしたお店のようで、店の前には行列が出来ていたりすることもあります。
このお店には過去二回行ったことがあり、一度目はラーメンを食べて、二度目は写真のつけ麺を食べました。

お店のこだわりとしては、『完全オリジナルで何処にも無い新しいスープを目指し、豚・鶏・牛・海産物・野菜等の自然素材の旨味、甘みをバランス良くふんだんに感じて頂くことのできる濃厚でいて上品なスープに仕上げております。また、飲み進めると素材の甘みが増していき最後の一滴まで楽しんで頂けるよう徹底的にこだわっております』とのこと。
たしかに最初に食べた時かなり美味しいスープだなと思ったものでした

そして写真のつけ麺ですが、こちらはとても上品で濃厚な魚介豚骨味のスープ。
魚介豚骨味はつけ麺の定番でもありますね。
濃厚なのにしつこさもなく、まさに「上品」な味わいです^^
麺はちぢれ麺の太麺で、スープにとてもよく絡みます。
何と大盛りも特盛りも無料で出来るとのことなので、私は大盛りで頼みました。
写真だと麺の入っている器の深さが分かりにくいですが、実はかなり深く、相当な量がありました。
他のお店なら「特盛り」に該当するような量のような気がしますね。
そんなわけでたらふく食べてきました。
かなり美味しかったのでまたいずれ食べに行きたいと思います

スカイツリーのある風景

2012-07-18 20:33:02 | ウェブ日記


写真は靖国神社みたままつりで撮ったものです。
画家の保井梅香さんという方が描いた絵で、スカイツリーが描かれていました。
先日作ったフォトギャラリーやフォトチャンネルには未掲載だったのでこちらにご紹介します。

ふと思ったのですが、これから先この浅草、墨田方面の写真や絵画には、スカイツリーが登場することになるんですよね。
かつてはなかったものが今はそこにあります。
これが時代の移り変わりなんだなと思って少ししみじみとしました。
東京の新名所として確実に定着しつつあります。

隅田川花火大会も、スカイツリーとのセットで花火の写真を撮ることが出来るかも知れませんよね
この花火大会は2年前に初めて見に行ったのですが、その時はまだスカイツリーは建設途中だっただけに、完成した今月日の経過を感じます。
何より私はまだ完成したスカイツリーを間近で見ていないのでぜひ一度見てみたいです
この夏のうちに一度見に行きたいなと考えています

靖国神社 みたままつり2012 寄せられた言の葉

2012-07-16 17:57:10 | ウェブ日記


「靖国神社 みたままつり2012 寄せられた言の葉」というフォトチャンネルを作ってみました。
昨日作ったフォトギャラリーでは言葉や絵画等、色々なものをご紹介しましたが、こちらのフォトチャンネルでは特にメッセージ性のあるものを選んでご紹介しています。
フォトギャラリーには未掲載のものも多数掲載しています
ご覧になる方は以下のリンクからどうぞ。

http://blog.goo.ne.jp/photo/184995

まあ達筆の文章は読めないものもあるし力不足を感じますが、見ていて何となく意味は伝わってくるんですよね。
ああそうか…というように。
みなさんもこういったメッセージを見てみて「何か」を感じてもらえればと思います。
難しく考えることはないし、時には色々な人の「言葉」を見てそこから何かを感じ取るのも良いのではないかと思います。
みたままつりに寄せられる言の葉はとても奥深いです。