読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

「毛利元就 第一回 妻たちの言い分」

2018-04-18 21:49:51 | ドラマ
第一回オープニング


今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第一回 妻たちの言い分」です。

-----内容&感想-----
再び山陽に来たのを機に、中国地方が舞台の1997年の大河ドラマ「毛利元就」を最初から見てみることにしました。
毛利元就は安芸の国(広島県)の中の小領主から中国地方10ヶ国の覇者、120万石の大名に上り詰めた戦国時代きっての名将です。
記事冒頭のオープニングの映像は元就の生涯を表しています。
一粒の雫が滴り落ち、小川になり、小川よりも大きな川になり、やがて瀬戸内の海へと広がり、それはまさに元就の歩んだ人生です。


(画像はネットより)

しかしその生涯は決して平穏なものではありませんでした。
当時、中国地方には周防(すおう)の国、長門(ながと)の国(山口県)の大内家、出雲の国(島根県)の尼子(あまご)家という強大な力を持つ二大勢力がいました。
元就の住む安芸の国は「国人(こくじん)」と呼ばれる小規模な領地を持つ人が何人もひしめきあっていました。
そして安芸の国はこの二大勢力に挟まれ、いつ滅ぼされるか分からない脅威に晒されていました。
そんな中で知将として名高い元就は知略を駆使して大内家、尼子家の間で生き抜き、次第に力を付けて安芸の盟主になり、ついには大内家と尼子家を倒し中国地方の覇者になります。

大河ドラマは毛利弘元(元就の父)率いる毛利家が尼子家が攻めてくるという知らせを受けて急いで戦いの準備をしているところから始まります。
元就はまだわんぱくな小さな子供で松寿丸(しょうじゅまる)という名前で、兄に幸千代丸(こうちよまる)、姉に芳姫がいます。
混乱の中で弘元の正室の祥(さち)の方(元就の母)が松寿丸を探します。
松寿丸は仲間の子供達と連れ立って「平家の亡霊」を退治しに行こうとしていました。

毛利家の主な家臣には井上元兼(もとかね、経済担当の重臣)、渡辺勝(すぐる、軍事防衛の専門家)、桂広澄(ひろずみ、外交担当の重臣)、福原広俊(元就の祖父)がいます。
毛利家の重臣はそれぞれが領地を持っていて、当主の弘元でも重臣には気を使わなければなりませんでした。
また毛利の家臣になって日の浅い井上元兼が遅れてきた桂広澄に突っ掛かり口論になっていて、冒頭から毛利家は一枚岩ではない印象がありました。

松寿丸達は夜道を歩き、行く先に集団を見つけ平家の亡霊かとなりますが、何と尼子経久(あまごつねひさ)の率いる軍勢でした。
経久の家臣達は松寿丸を「毛利の男子ゆえ、殺すべき」と主張しますが経久は「松寿丸殿、弓が射てるようになったら戦場で合間見えよう」と言い見逃します。
「子供の命を助けたことが、やがて二人の運命を大きく変えることになる」というナレーションが印象的でした。
緒形拳さん演じる経久はかなり風格と大物感がありました。
経久は尼子が毛利を攻めると情報を流し毛利がどう動くかを試していました。
また広澄は密かに尼子に通じていて、隠密に経久のもとを訪れて話す場面がありました。

山口に居る大内義興(よしおき)のもとを室町幕府前将軍の足利義稙(よしたね)が訪れます。
義稙は京都を追われ放浪将軍と呼ばれ、義興を頼ってきました。
義興は義稙を将軍に復帰させるため、大内家配下の諸国に命じて京都のエセ将軍、足利義澄(よしずみ)を討たせると言います。
重臣の陶興房(すえおきふさ)に言った「これからはこの義興が天下を動かす」という言葉が印象的でした。
細川俊之さん演じる義興も経久に負けず劣らずの風格と大物感があり、この二人はまさに天下に名を轟かせる大名の雰囲気でした。

京都の義澄将軍を討てという名礼状が毛利家にも届けられます。
時を同じくして室町幕府からも使者が毛利家を訪れます。
室町幕府からの命令は「大内義興のもとに居る義稙を即刻討て」というものでした。
大内に付けば幕府を敵に回し、幕府に付けば大内を敵に回し、九百の兵力しかない毛利はどちらに付いても地獄なため、弘元は途方に暮れます。

その夜、正室の祥が決意を持って弘元と話をします。
祥は三人の子達のため、弘元に城を捨てるように言います。
翌朝、弘元が家臣達に「8歳の幸千代丸に家督を譲り、自身は郡山城を出る。そして猿掛城に入り隠居の身となることを決めた」と言います。
さらに幸千代丸の治める郡山城は今までどおり大内に付き、隠居した自身は幕府につくと言います。
毛利として両方を立て、当主の弘元が隠居になることで家を存続させようという苦渋の決断でした。
8歳の幸千代丸なら子供なので義澄将軍を討ちに行かなくても済みます。

第一回はタイトルが「妻たちの言い分」となっているとおり、正室と側室に存在感があります。
側室の相合(あいおう)の方は弘元との子の月夜丸(つきよまる)を連れて郡山城に血相を変えてやってきて、「私は隠居のことなど何一つとして聞かされていなかった。月夜丸はどうなるのか。この子のことをどう考えているのか」と迫っていました。

そして正室の祥と側室の杉の方、さらに杉と相合の当てこすり合戦が凄かったです
相手を褒めているようで実際にはけなしている陰湿な言葉使いが印象的でした。
竹下景子さん演じる祥には病に臥しながらも家の存続を何よりも考える正室の凄味、松坂慶子さん演じる杉には天真爛漫さ、松原千明さん演じる相合には野心を特に強く感じました。

杉は明るい人で深刻な展開の中にあって楽しいことをたくさん言っていました。
杉にも野心はあり祥亡き後の奥方の跡目争いで重臣の福原広俊、井上元兼を味方につけ次期奥方の座を手に入れていましたが、策略を練っている時も明るく楽しいので憎めないところがあります。

杉が悪びれもせず「女は顔と、口じゃ」と言っていたのは面白かったです。
しかしは松寿丸はそんな口先ばかりの杉が大嫌いで、絞め殺してやりたいと言っていました。
杉も自身になつかない松寿丸が大嫌いで絞め殺してやりたいと言っていました。
祥のことも「奥方、絞め殺してやりたい」と言っていて、同じ言葉が場面を変えて何度も出てくるのが面白かったです。

弘元と祥、松寿丸が猿掛城に入るために郡山城を出る時、見送る幸千代丸と芳姫に松寿丸が「一緒に行かぬのですか?」と言う場面は悲しかったです。
戦国時代には家の存続のため、家族が離れ離れになることもありました。


第一回では毛利元就はまだ小さな子供で、中国地方の覇者になるのはずっと先です。
元就の魅力は弱小の家に生まれながら知略を駆使して強大な敵を倒していったところだと思います。
わずかな領地の毛利家がどうやって西国最強の戦国大名になっていったのか、元就の活躍を見るのが楽しみです


各回の感想記事
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第四回  女の器量
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ
第十五回 涙のうっちゃり
第十六回 弟の謀反
第十七回 凄まじき夜明け
第十八回 水軍の女神
第十九回 夫の恋

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ことり」小川洋子 | トップ | 「毛利元就 第二回 若君ご... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿