読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

「そして、バトンは渡された」瀬尾まいこ

2019-08-24 20:53:25 | 小説


今回ご紹介するのは「そして、バトンは渡された」(著:瀬尾まいこ)です。

-----内容-----
血の繋がらない親の間をリレーされ、四回も名字が変わった森宮優子、十七歳。
だが、彼女はいつも愛されていた。
身近な人が愛おしくなる、著者会心の感動作。
2019年第16回本屋大賞受賞作。

-----感想-----
主人公の森宮優子の高校二年生最後の進路面談で物語が始まります。
これまでの人生で何度も家族が変わった優子は昔から「何でも話すように」と先生達に言われてきましたが、家庭のことで特に悩んではいないです。
平凡に生活していることに引け目を感じなくてはいけないなんて、それこそ不幸だ。とあったのは印象的でした。
「優子は不幸な境遇なのだから本人も不幸だと思っているに違いない」と思われていることに違和感があるようです。
優子は近場で栄養士の資格が取れる園田短期大学への進学を考えています。

優子は今の父を「森宮さん」と呼んでいて、二人で暮らしています。
私には父親が三人、母親が二人いる。家族の形態は、十七年間で七回も変わった。とありこれには驚きました。
森宮壮介は37歳で、優子の母親の一人のことを「梨花」と呼んでいる場面があり知り合いなのかも知れないと思いました。

高校三年生の始業式を迎えます。
物語は第1章と第2章があり、第1章では高校三年生の一年間を描く中で次第に今までの親のことが分かっていきます。
優子には田所萌絵と佐伯史奈という友達がいます。
優子は今まで家庭環境が変わるたびにそれぞれの家で違うタイプの朝食を食べてきたとあったのが興味深かったです。
整った和食の朝ご飯の時もあればパンだけで済ませていた時もあり、やはり家によって朝食をどうするかは大きく違います。
これまでに保護者が替わったのはいつも春で、春が来るたび私は落ち着かなくなるという言葉がありました。
冒頭で悩み事はないと言っていた優子ですがやはり家族が変わる影響はあるのだと思います。
優子は母親が一度、父親が二度替わっていて、物語が進むにつれてどう替わっていったかが明らかになります。
血のつながった母親とは生まれてから最初の3年間過ごしましたがどんな人か記憶はないです。

小学校に入学する時の話になります。
優子は二年生の時に母親がトラックに轢かれて亡くなったことを知ります。

森宮との話に戻ります。
優子の二番目の母親である梨花が「すごく賢い同級生がいる。優子ちゃんの父親にピッタリだ」と森宮を連れてきたことが明らかになります。
森宮の言動はどこかずれていて面白いです。
また小学校高学年の頃から優子は告白されることが多く、お洒落な梨花の影響とありました。

梨花が最初に現れたのは優子が小学二年生の夏休みの時で、実の母親以外の四人の親にはつながりがあることも明らかになっていきます。
優子の前に現れた梨花は優子の父を「しゅうちゃん」と呼び、しゅうちゃんは優子の実の父親で水戸秀平と言います。
梨花は27歳で秀平より8歳年下です。
小学三年生になると梨花が母親になります。
梨花から「楽しいときは思いっきり、しんどいときもそれなりに笑っておかなきゃ」と笑うことの大事さを教わった時の優子の心境は印象的でした。
きっと、こんなふうに楽しいことだけの毎日なんて続かない。笑っていないとだめなことが、いつかやってくる。どこかでそんな予感がしていた。
この後に波乱があることが予感されました。

優子が歴代で一番長く一緒に居たのは梨花です。
高校三年生の今は梨花がいなくなって二年になり、現在の高校三年生の話と過去の親達の話が交互に進んでいきます。

5月最終週の球技大会の実行委員を決めるホームルームで、優子は浜坂という優子のことが好きな男子に誘われて一緒に実行委員になります。
6月の球技大会の後、優子はグランドで一人でトンボを引く浜坂を見て、他の子達がトンボ引きをさぼろうとしている中でグランドに戻ります。
心の優しさがあるなと思いました。

梅雨に入り、萌絵が浜坂を好きになったから優子に浜坂との仲を取り持ってほしいと言います。
浜坂を呼び出して話をしようとした優子ですが、優子のことを好きだと言う浜坂に他の女子と付き合うのを勧めるのは忍びないという考えから萌絵のことは言わずに終わります。
すると萌絵が激怒します。
ただし萌絵は自身では告白できず優子に言わせようとしていたので、優子に怒りをぶつけるのはおかしいと思いました。

恐ろしいことに優子は翌日からクラスの大多数の女子に無視されます。
しかし優子は一番優先すべきものは友達ではないと考えていて意外と冷静です。
これは友達を優先するあまり自身を見失いかねないという点では正しい気もしますが、優子のように迷いなくそう考えられるのは凄いと思います。

小学五年生になる直前の春休みの話で、五年生からは英語の授業があるとありました。
私の小学生時代に英語の授業はなくて、昔と今の教育で変わったところだと思います。
秀平が優子に、梨花と別れてブラジルに行くからどちらと暮らすか選んでと言い、悩みながら優子は日本で梨花と暮らすことを選びます。
のちの優子は今の暮らしに不満はないとしながらも次のように胸中で語っていました。
友達は、またできる。だけど、私と血のつながった、赤ん坊だった私を抱いてくれた父親を手に入れることは、二度とできない。
「一番優先すべきものは友達ではない」という今の優子の考えにつながっていると思います。

高校三年生の二学期の始業式の日、萌絵は既に怒りが収まっていますが同じクラスの矢橋と墨田という意地の悪い女子が優子に嫌がらせをしてきて萌絵は気まずそうにします。
担任の向井先生が心配して大丈夫か聞いてきますが、優子は困ってはおらず「集団で生活していればこういうこともあると、どこか客観的に考えてもいる。」と胸中で語っていてそれも凄いなと思いました。
何度も家族が変わるのを経験した優子ならではの落ち着きだと思います。
矢橋と墨田が優子が血のつながっていない若い父親と二人で暮らしていることを揶揄しますが、優子は何度も家族が変わった自身の生い立ちを平然と話し、二人は面食らいます。
そして優子の強さに教室が驚きます。

小学五年生の時の梨花との暮らしの回想になり、梨花が優子のお洒落にお金をたくさん使うことで金欠気味になっていました。
秋の終わり、優子が「もう夕焼けだ。まだ五時を過ぎたばかりなのに」と言う場面があり、季節による日の長さの移り変わりに注目していて優子は小学五年生にしてかなり良い感性を持っていると思いました。

高校三年生の話に戻り、優子の強さを見た人達が話しかけてきたり、萌絵も話しかけてきたりして少しずつクラスの雰囲気が変わります。
優子が一番優先すべきものについての考えを語った場面は印象的でした。
優先順位の一位は友達じゃない。何が一番かわからないのなら、正しいことを優先すればいい。だけど、何が正しいかを決められるほど、私は立派ではない。
これを見て優子は既に大人の域と思うようなかなりしっかりした考えを持っていると思いました。

10月になり、11月20日に行われる合唱祭に向けて優子がクラスのピアノの伴奏に選ばれ、優子がいる二組は「ひとつの朝」という曲を歌うことになります。
合唱祭に向けた各組合同の伴奏練習で五組の早瀬という男子が「大地讃頌」を弾いた時、凄い上手さで優子は驚きます。
通っていた音楽教室で途中で先生より上手くなり、現在は電車で一時間かけて別の音楽教室に通っているとありました。

小学六年生になり、優子はピアノを習いたいと梨花に言います。
そして小学校の卒業式の日、梨花が卒業祝いにピアノをプレゼントすると言いますが、家とピアノと新しい父親を手に入れたとも言い優子を驚かせます。
梨花は泉ヶ原茂雄という大きな家に住みピアノを持つ男と籍を入れていて、この行動には驚くとともに梨花らしいと思いました。
この時泉ヶ原は49歳、梨花は32歳でした。

会ったこともない人が父親になることに納得がいかない優子は次のように思います。
だけど、私はまだ子どもなのだ。お父さんと日本で暮らすことがかなわなかったように、ただ受け入れるしかない。親が決めたことに従うしかない。子どもというのはそういうものなのだ。それを思い知った気がした。
自身が子どもであることをよく分かっている優子は内面がしっかりしていて偉いと思います。

9月になると梨花が退屈すぎて死にそうと言います。
吉見さんというお手伝いさんがいて何もしなくて良い生活は楽ですが梨花には息苦しくて苦痛でした。
やがて梨花がいなくなります。
不安になる優子にとって、ピアノを弾くことが心を平穏でいさせてくれる唯一のものでした。

高校三年生の話に戻り、早瀬が優子のピアノを好きと言い、優子はどきどきした気持ちになります。
早瀬に恋心を抱いているのが分かりました。

ある日の夕飯で優子がふとグランドピアノが欲しいなと言ったのがきっかけで、優子と森宮がぎくしゃくします。
俺の稼ぎが良かったら三つでも四つでも買ってあげられるのにと言う森宮に気を遣い、優子は今持っている電子ピアノで十分だと言いますが、森宮はどうしてそんなに遠慮するんだと言い不機嫌になります。
普段は気にしないようにしていても、そんな時優子は森宮と血のつながった親子でないことを意識してしまうようです。

早瀬が優子のピアノが乱れていると言い、二人で話します。
優子が父親ともめていることを言うと早瀬は親ともめるなんて日常茶飯事だろうと驚きながら言います。
担任の向井先生にも様子がおかしいのを見抜かれて呼び出され、父親ともめていることを言うと「森宮さん、いつもどこか一歩引いているところがあるけど、何かを真剣に考えたり、誰かと真剣に付き合ったりしたら、ごたごたするのはつきものよ」と言われます。
生きていく上で、何かと真剣に向き合う時は何もかも上手くいくなどということはないという考えはそのとおりだと思います。

森宮がピアノと防音設備のしっかりしているマンションを買うと言い優子を驚かせます。
引っ越しをしなければいけなくなるため優子がピアノの代わりにコートを買ってと言いますが、森宮は「ピアノは健全な感じがするけど、コートをねだられるのは何か違う気がする」と言い断ります。
優子はふくれ森宮は勝ち誇り、やっと気まずさがなくなります。
また森宮は「父親なら娘が合唱祭で歌う曲くらい歌えて当然」というずれた考えのもと、「ひとつの朝」の練習をしていました。
何と優子も森宮が高校三年生の合唱祭で歌った歌を問い合わせて練習していました。
中島みゆきの「糸」という曲で、演奏会で聴いたことがあるので印象的でした。

優子は脇田という同級生と付き合い始めます。
合唱祭の日、優子は早瀬に音楽大学二年生の彼女がいることを知りショックを受け、その二日後に脇田に告白され寂しい気持ちを紛らわすかのように付き合い始めます。

梨花は森宮とも結婚していました。
また泉ヶ原の家を出て行って一年以上経っても優子の様子を見に訪れていて、泉ヶ原もお手伝いの吉見さんも特に文句も言わずみんな変わっているなと思いました。
また梨花はそれだけ優子のことが気になっているのだと思いました。

中学三年生の三学期になってすぐ、梨花が中学の同級生の森宮と結婚すると言います。
梨花が森宮と結婚するから優子を引き取りたいと言うと泉ヶ原が分かったと言い優子は驚きます。
泉ヶ原と優子は三年一緒に暮らし、泉ヶ原は梨花よりも良い親だと言い切る自信がないと言っていました。
この作品の冒頭で優子は悩んでいないように見えましたが、物語が進んでいくと親が変わる時に悩んでいるのがよく分かります。

高校三年生の三学期になります。
脇田と行ったショッピングモールで早瀬がピアノを弾いているのを見かけます。
優子は脇田よりも早瀬と話す時のほうが嬉しそうで、本当の気持ちは早瀬のことが好きなのがよく分かります。

梨花が連れてきた森宮と三人での一緒の暮らしが始まる場面で、優子が次のように胸中で語る場面がありました。
みんないい人なのはわかっている。けれど、恨みや怒りが沸いてしまいそうになることもあった。別れた人がたくさんいるのだ。懐かしさや恋しさは簡単に募った。
やはり恨みや怒りが沸くことがあるのだと思います。
それでもその思いと向き合い、今日のように立派に育った優子は偉いです。

優子は園田短期大学に合格し、やがて卒業式を迎えます。
回想で、三人で暮らし始めてから梨花が出て行ったとありました。
今までの梨花なら出て行っても優子には会いに来ていたのが今回はそれもなく、しばらくすると森宮に離婚届が送られてきます。
結婚相手が連れてきた子供を押し付けられることになる森宮を気の毒に思う優子ですが、森宮は離婚届を出せば結婚相手の子どもではなく正真正銘の優子の父親になれるとウキウキしていました。
そして優子は森宮を誰よりも大事な父親と思うようになります。


第2章で優子は22歳になり早瀬賢人と結婚することになり、二人で森宮に挨拶に行きます。
脇田と付き合ってはいましたが結婚相手が早瀬なのが嬉しかったです。
しかし二人が挨拶すると森宮が猛反対します。
森宮は早瀬を「風来坊」と呼び、早瀬がピザの修行をしたいとイタリアに行ったり、通っていた音楽大学を中退してハンバーグの修行をしたいとアメリカに行ったりと飛び回っているのが気に入らないです。

優子は園田短期大学を卒業後、山本食堂という高齢者用の宅配弁当も行う小さな家庭料理の店に就職しました。
就職して8ヶ月経った冬のある日の夜、早瀬がやって来ます。
早瀬はつい最近イタリアから帰国したばかりで、再会した二人は付き合うことになります。
翌年の秋、早瀬が今度はハンバーグを学びにあと5ヶ月で卒業の音楽大学を中退してアメリカに行きます。
森宮はこういった、音楽、ピザ、ハンバーグとフラフラしていて一貫性がないところが気に入らないのだと思います。
三ヶ月後、アメリカから帰国した早瀬はファミリーレストランを作ると言い、優子に結婚してくれと言います。

その後、フランス料理屋で働き始めた早瀬がアルバイトから正社員になります。そして挨拶に行ったら森宮の猛反対に遭いました。
優子は森宮を後回しにして歴代の他の親から説得することにします。
森宮が優子に、森宮は紅白で言えば北島三郎や石川さゆりのようなトリだとおだてられてその気になっているのが面白かったです。

泉ヶ原は結婚を喜んでくれます。
泉ヶ原の家で早瀬はアンドレ・ギャニオンの「めぐり逢い」という曲を弾いていて、どんな曲なのか気になりました。
そして泉ヶ原は梨花の場所を知っていました。
梨花と再会するとなぜ森宮と離婚してから一度も姿を現さなかったのかが明らかになります。
思えば梨花は優子の歴代の父親全員と一緒に暮らしたことがあり、見方によって次々と再婚して優子を振り回したとも見え、血のつながりのない優子を大事にしてくれたとも見えます。
梨花はある事情によって森宮を自身の後継者にしていました。
そして梨花は最初に一緒に暮らした相手、水戸秀平の居場所を知っていました。

梨花と会った後、優子は早瀬が「羊は安らかに草を食み」という曲を弾いているのを聴き、これもどんな曲か気になりました。
早瀬の圧倒的才能のピアノを聴いた優子は、ハンバーグやピザを焼いている場合ではないと言い、やはりピアノを弾くべきだと言います。

6月、優子達は結婚式場を見て回ります。
しかしまだ森宮の説得が残っています。
当初優子は他の親に賛成してもらえば森宮の反対を押し切れると考えましたが、やはり森宮が心から「いいよ」と言ってくれなければ意味はないと考えるようになります。
早瀬も同じことを考えていて、森宮に「僕は自分の父のことは親父と呼んでいます。だから僕が、お父さんと呼ぶのは、その筋合いがあるのは、お父さんだけです」と言っていたのが印象的でした。


優子の高校生の時点で父親が三人、母親が二人いて家族の形態が何回も変わった人生はかなり特異なものだと思います。
人生が嫌になり性格が歪まなかったのが幸いで、何度も変わりはしたものの親には恵まれたと思います。
歴代の親達がみんな優子を本当の娘のように可愛がり接したことで、優子は時に親が変わることへの怒りを抱くことはあっても誠実でさらには芯のある子へと育ちました。
特異な人生を歩んだ優子がこの先の人生は穏やかに歩めることを願います。


※図書レビュー館(レビュー記事の作家ごとの一覧)を見る方はこちらをどうぞ。

※図書ランキングはこちらをどうぞ。

木村紗綾さん ヴァイオリン・サマーコンサート

2019-08-15 14:09:56 | コンサート、演奏会


7月27日、広島県広島市のlifeone221ホールに木村紗綾さんの「ヴァイオリン・サマーコンサート 未来のヴァイオリニストに寄せて ~過ぎし日の私とまだ見ぬあなたへ~ Vol.2」を聴きに行きました。

木村紗綾さんの演奏を聴くのは2018年の「威風堂々クラシック in Hiroshimaコンサート」「安田女子中学高等学校 第8回復興支援チャリティーコンサート」以来三度目です。
特に「安田女子中学高等学校 第8回復興支援チャリティーコンサート」はピアノ伴奏でのヴァイオリンソロ演奏だったので音がよく分かりました。
非常に切れのある演奏をされていたのが印象的で、ぜひまた聴いてみたいと思いました。
普段はチェコに住んでおられますが今回日本で演奏会をしてくれることを知り、日程も大丈夫だったのでこれはぜひ聴きに行こうと思いました


第一部

演奏プログラムは第一部と第二部がありました。
第一部は一般的にコンサートではあまり演奏されないですがご自身が幼少の頃によく弾いた曲を集めたとのことです。


1.「クライスラー:シチリアーノとリゴードン」



(構えているところ。ピアノは吉清彩香さん)

発表会でよく弾いた曲とのことです。
パラディスという人が作曲した「シチリアーノ」は聴いたことがありますがこの曲は初めて聴ききました。
どことなく「シチリアーノ」と似たメロディがあったのが印象的です。

やや悲しげな音色でした。
綺麗な音色で、最後のほうの音の強弱が音が唸っているかのようでした。
そして派手な演奏になるところのスピードが凄かったです。



2.「ヘンデル:ヴァイオリンソナタ 第4番 二長調 第1、第2楽章」



(演奏中)

第1楽章は高音の多い曲で、その伸びが凄く良かったです。
第2楽章は陽気な雰囲気が印象的で、「タッタッタッタター」というリズムの良いメロディが特に良かったです



3.「ヴィオッティ:ヴァイオリン協奏曲 第22番イ短調 第1楽章」



(調弦をしているところ)

ドとレを高速で繰り返す技巧的なものもある曲と言っていました。
聴いてみると「ドレミファソ」とドから一つずつ音を上げていく演奏が何度かありました。
やがて凄いスピードになりました。
そしてドとレの繰り返しの場面になり、それもスピードが凄かったです。
哀愁高い曲と言っていたとおり、そんな音色がよくあったのも印象的でした。



4.「カバレフスキー:ヴァイオリン協奏曲」



(演奏中)

小学2年生の発表会で弾いたとのことです。
ロシアを感じるメロディで攻撃的で格好良い曲とも言っていました。
木村紗綾さんの演奏には切れ鋭い攻撃的な印象があったので曲との相性も良いのではと思いました。

冒頭が凄く攻撃的でした。
ピッチカート(指で弦をポロンポロンと鳴らすこと)の切れが凄くて迫力がありました。
そして猛スピードで細かく刻む音の迫力も凄かったです



5.「ベリオ:バレエの情景」



(演奏中)

コンクールの課題曲で弾いた曲で、バレエの情景がいくつも出てくるとのことです。
そして最後は「実力者のバレリーナ」が出てくると言っていました。
また母親から「この場面は宝塚歌劇団のスターの人が活躍するように」、「この場面は誰もいない」などと演奏の仕方を習って、そのメモの書き込まれている楽譜が残っているとのことです。

迫力のある刻み音で始まりました。
ゆったりとしてどこか悲しげな演奏になり、音の伸びが凄くなります。

スペインのような雰囲気になります。
情熱のステップを踏んでいるかのようでした。

物凄く上手い刻み音がありました。
千切りや、フライパンの上で高速で浮かせながら炒め物をしているようにも聴こえました。

シーソーのような演奏になった場面もありました。
弦の一番上(低音の弦)と一番下(高音の弦)を高速で行ったり来たりしていました。

やがて物凄く派手な演奏になり、これが実力者のバレリーナでした。
踊っているような演奏で、凄いスピードでのステップが思い浮かびました。



第二部

第二部は「今ぜひ聴いてほしい曲」とのことでした。


6.「シューマン:3つのロマンス Op.94 第2番」

題名のとおりまさにロマンチックな音色でした。
ヴァイオリンはロマンチックな音色の演奏をするのに相性の良い楽器な気がします。



7.「フィビヒ:ポエム」



(トーク中。
冒頭の曲と休憩後最初の曲以外、1曲演奏するごとに次の曲の紹介をしてくれました。
曲の特徴を知ることができて良かったです。)

チェコの作曲家の曲で、今チェコに住んでいるので入れたとのことです。
メランコリック(憂鬱な雰囲気)なメロディとも言っていました。
2分くらいの短い曲で、ゆったりとした演奏が続き次第に迫力も出て行きました。



8.「ドヴォルザーク:マズルカ」



(楽譜の準備中。緊張感があります。)

独特なリズムで民族的な曲と言っていました。
凄い迫力の刻み音で始まり、それが音を高くしてもう一度繰り返されました。
しばらく刻み音が多いのが続き、そこからゆったりとした演奏になり高音が多かったです。
民族的な音色もあり、ドヴォルザークは弦楽四重奏曲の「アメリカ」も民族的な音色で、民族音楽を上手くクラシックに取り入れたのだなと思います。



9.「ラヴェル:ツィガーヌ」



(ツィガーヌ終了後挨拶中)

今年の8月15日に広島市のJMSアステールプラザ大ホールで行われる「ピースコンサート」がフランス音楽をテーマにしているので今回この曲を選んだとのことです。
木村紗綾さんは昨年の8月に広島ゆかりの若手演奏家による「ピースコンサート」を発足させ、今年も行われます。
オーケストラによる大規模なコンサートで、主催するのはかなり大変だと思います。

ピッチカートは通常右手で行いますが、この曲は左手のピッチカートがあると言っていました。
最初の2分くらいはヴァイオリンの独奏で、ピアノが入って凄く華やかになるとのことでした。

低音の演奏で始まり、「ウィーーン」と伸びる音があったのが印象的でした。
左手が弦の端から端まで一直線に動いていました。

ピアノが入り、粒が次々と弾けていくように音が聴こえました。
ヴァイオリンがリズミカルな演奏になり、心地好い音色でした。
音をより高音にして繰り返してもいました。
凄くリズムの良いピッチカートがあったのも印象的でした。

やがてヴァイオリンとピアノで凄い迫力の演奏になります。
どちらも物凄い迫力でかなり豪華な演奏でした





(アンコール演奏中)




(アンコール演奏中)

アンコールはディズニー映画「アラジン」が公開されたということで、アラジンのテーマ「A Whole New World」が演奏されました。
昨年の秋から演奏会に行き始めてこれまでに何度か聴いたことがあり、穏やかさとワクワクさが両方ありやはり何度聴いても良い曲だと思います。


このコンサートは小さいお子さん達が皆お利口さんなのに驚きました。
ヴァイオリンなどを習って演奏会の雰囲気に慣れているのだと思います。


今回はこれまでに聴いた3回のうち、最も近い位置で聴きました。
激しい演奏をしている時、音が強風となって耳を吹き抜けていくかのように感じました。
そして巧みにヴァイオリンを操る様子がよく分かり、やはり切れ鋭い演奏をされる人だと思いました。
またぜひ聴きに行こうと思います



------------------------------

演奏者プロフィール

木村紗綾

広島市出身。
3歳よりヴァイオリンを始める。
2010年安田女子中学校を卒業後、15歳で渡欧。
プラハ音楽院に首席入学。
第13回日本クラシック音楽コンクール小学校の部全国大会入選、第15回第4位、第10回KOBE国際音楽コンクール奨励賞、第59回60回全日本学生音楽コンクール大阪大会入選、いしかわミュージックアカデミーIMA奨励賞、第50回コツィアン国際ヴァイオリンコンクール第1位、第35回チェココンセルヴァトワール・ギムナジウム国際コンクール最高位、第38回第1位を受賞するなど国内外のコンクールで入賞。
ドヴォルジャーク音楽祭にて指揮者、ヤロスラフ・クルチェク氏とバッハのヴァイオリン協奏曲を共演。
2011年度中村音楽奨学金奨学生。
2016年からは大植英次氏と威風堂々クラシック in Hiroshima、チャリティーコンサート等で多数共演。
また2016年よりチェコフィルハーモニー管弦楽団オーケストラアカデミーに在籍中はプラハの春音楽祭、スメタナ音楽祭等に出演。
2017年イタリアで開催されたインターハーモニー音楽祭ではコンサートミストレスを務める。
これまでに村上直子氏、石川静氏、中村英昭氏に師事、現在プラハ音楽院にてイージー・フィッシャー氏に師事する傍ら、チェコフィルハーモニー管弦楽団、プラハ交響楽団などの客演奏者としても国内外で活動中。


吉清彩香

桐朋学園大学音楽学部作曲理論学科作曲専攻卒業。
同大学研究科一年目修了後、国立ミュンヘン音楽演劇大学マイスタークラス作曲科卒業。
これまでにピアノを品川幸子、三瀬和朗、ローラン・テシュネの各氏に、作曲を故平吉毅州、安良岡章夫、フォン・ボーゼの各氏に師事。
ドイツでルーディ・シュテファン作曲賞受賞、ギュンター・ビアラス作曲コンクール三位入賞。
学生の頃からピアノ伴奏の研鑽も積みオペラの練習ピアニストなどを経て、現在は歌や器楽の伴奏、広島市映像文化ライブラリーに於いてサイレント映画の伴奏などの演奏活動や編曲を行う傍ら、後進の指導にもあたる。
ライフワンミュージック講師。

------------------------------



木村紗綾さん出演のコンサート、演奏会
威風堂々クラシック in Hiroshima 2018
威風堂々クラシック in Hiroshima 2019
安田女子中学高等学校 第8回復興支援チャリティーコンサート
一楽章f未完成 Violin & Cello Duo Concert
ひろしま美術館 ミュージアムコンサート(出演:木村紗綾)
CHRISTMAS IN PEACE CONCERT 2019
「新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第54回広島」
木村紗綾さんオンラインヴァイオリンリサイタル ~クラシックで満ち満ちて~
第52回福山音楽祭府中エリア特別演奏会 木村紗綾ヴァイオリンリサイタル
広島プレミアムコンサート~海外から凱旋した広島のアーティスト達
アンサンブル・プリエール 第1回演奏会 ~広島ゆかりの若手演奏家が紡ぐアンサンブルの調べ~
音のマリアージュ Vol.1 ~あなたが決める名曲コンサート~


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。

NGT48 村雲颯香さんへの手紙

2019-08-11 18:33:10 | ウェブ日記



5月6日の握手会後、山口真帆さん、菅原りこさん、長谷川玲奈さんのお見送りにて、左から長谷川玲奈さん、菅原りこさん、山口真帆さんと、運営会社AKSからの参加禁止圧力に屈せず駆け付けた村雲颯香さん
写真はネットより。以下同じ。

7月18日、新潟を中心に活動するアイドルグループNGT48の村雲颯香さん(愛称はもふちゃん)が8月末でグループを卒業すると発表しました。
私は衝撃を受け、先日の「渡邉歩咲さんと高沢朋花さんへの手紙」に続き村雲颯香さんにもお手紙を書くことにしました。


(村雲颯香さん卒業発表の動画)

村雲颯香さんは山口真帆さん暴行事件の発生から5月18日に山口真帆さんが菅原りこさん、長谷川玲奈さんとともに卒業するまでの日々、そして卒業してから今日までのNGT48の荒涼とした日々、その両方において最前線で奮戦した極めて重要な人物です。
この人がいなければ、事実上の活動休止になっていたNGT48は内部分裂でとっくに壊滅していたのではと思います。
その重要な人物が卒業するのは、NGT48が屋台骨を失うということです。





山口真帆さん、菅原りこさん、長谷川玲奈さんの卒業公演後の写真撮影にて、前列左から長谷川玲奈さん、山口真帆さん、菅原りこさん、後列左から小熊倫実さん、日下部愛菜さん、村雲颯香さん、角ゆりあさん、渡邉歩咲さん、高沢朋花さん、高橋七実さん。



3人の卒業公演に駆け付けた後列の7人は山口真帆さんが「安心安全7」と命名したことで知られています。
NGT48には山口真帆さん暴行事件の犯人グループの人とプライベートで繋がっているような恐ろしい人もいるため、確実に安心で安全な7人ということでこの命名になったのだと思います。
中でも村雲颯香さんはその筆頭で、3人が卒業するまでは菅原りこさん、長谷川玲奈さんとともに山口真帆さんに寄り添い支えてもいて、異常な状態にあるグループを変えるために奮戦してきました。

今まで特にアイドルを見ていなかった私がNGT48に興味を持ったのは、暴行事件によって明らかになったメンバー個人個人の人間性と、その人間性によってもたらされるドラマに引かれたからです。
山口真帆さんとの友情、義を貫き、自身のアイドルの夢が絶たれることになっても一緒に卒業する道を選んだ菅原りこさんと長谷川玲奈さん、山口真帆さんに寄り添いながら少し残留期間を伸ばしてグループの浄化・再生に尽力した村雲颯香さんのように大きく名を上げた人達(正のドラマ)もいれば、反対に犯人グループとの親密関係及び暴行事件への何らかの関与の疑い濃厚や、人間性の酷さの露呈で大きく名を下げた人達(負のドラマ)もいます。
人間性によってもたらされる正負それぞれのドラマを見ると、「お天道様は見ている」という言葉が思い浮かびます。

村雲颯香さんが歩んだ道は非常に興味深く、常に最前線で奮戦したことで山口真帆さん以外では最も苦難の道になりました。
その姿は壮大な大河ドラマを見ているかのようです。
卒業発表時の言葉や、卒業発表を受けた他のメンバーのフォトログ(グループ公式の写真付きブログ)の内容から、残念ながら先に卒業した3人の「グループに変わって欲しかった」という思いを成就できずの卒業となりそうですが、新たに村雲颯香さんの意思を強く受け継ぐ角ゆりあさんという人が現れたのが救いです。
小熊倫実さん、日下部愛菜さん、高橋七実さんももちろん受け継いでいると思われ、特に高橋七実さんは研究生ではあってもかなり頭角を現してきています。

山口真帆さん・菅原りこさん・長谷川玲奈さんから受け継がれたこの系譜がまだ生きているのが私は嬉しいです
この系譜が生きているうちは、NGT48が変わる可能性がわずかに残されているのだと思います。
変わらない限りもう一度NGT48が世間の支持を得るのは難しいです。
そしてこの系譜が途絶えてしまっては、NGT48でのアイドル活動を断念して卒業・活動辞退していった人達の思いが報われないです。





便箋。




封筒。
便箋、封筒ともに、高沢朋花さんと同じものにしました。
雰囲気が村雲颯香さんが歩んだ道と合っている気がしました。

お手紙では村雲颯香さんの歩んだ道についてたくさん書きました。
アイドルという公人向けに書いたお手紙なので、今回も内容自体は公開でも良いかなと思い載せておきます。
興味のある方は読んでみてください。
角ゆりあさんが村雲颯香さんの意思を受け継いだと確信した胸に迫るフォトログは、郵送したお手紙の原本では17~21ページにかけて書いています。

音楽は、渡邉歩咲さんにはラフマニノフのピアノ協奏曲第3番、高沢朋花さんにはプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番をお勧めしましたが、村雲颯香さんにはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番をお勧めしました。
フィギュアスケートの浅田真央さんがソチオリンピックで演技した曲でもあり、山口真帆さん暴行事件の発生から今日まで、NGT48での日々を立派に生きた村雲颯香さんにはこの曲の雰囲気がよく合うと思います。





便箋36枚。




36枚もあると厚くなります

今回は便箋36枚の大長編になり、重ねてみたら書類の束のような厚さになりました。
それだけ村雲颯香さんの奮戦ぶりが凄かったということです。
山口真帆さん、菅原りこさん、長谷川玲奈さんが卒業するまでは三人に寄り添い奮戦し、卒業後は変わらなくてはいけないグループの浄化・再生を目指し(この願いは叶わなかったようです)奮戦し、こんな立派なアイドルがいるのを知ることが出来て良かったです。
常に「自身以外の誰か」のために奮戦し今までずっと大変な思いをしてきた村雲颯香さんなので、卒業までの残りわずかな時間はぜひ心安らかに過ごし、そして素敵で幸せな卒業公演になってほしいです



----------お手紙ここから----------

村雲颯香さんへ

7月18日にNGT48を8月末で卒業すると発表があり、衝撃を受けお手紙を書く決意をしました。
私は山口真帆さん暴行事件がきっかけで村雲颯香さんのことを知りました。
4月末、ゴールデンウィークで実家に帰省して、山口真帆さん暴行事件のことをもう少し詳しく知ろうと思いツイッターで様々な情報を見ていた時に、村雲颯香さんのツイッターアカウントに辿り着きました。

私は山口県在住の34歳の会社員で、ネットではブログとツイッターで活動していて、今まで特にアイドルのファンはしていなかったです。
しかし山口真帆さん暴行事件をきっかけに、山口真帆さんを支え、寄り添い、一緒に卒業する菅原りこさんと長谷川玲奈さんのことを知り、もう1人村雲颯香さんという人も山口真帆さんを支え寄り添ってくれていることを知りました。
ツイッターのプロフィール画像を初めて見た時の印象は、高貴な雰囲気の人だなというものでした。

NGT48のことは山口真帆さん暴行事件を知るまでは名前を知っているくらいで、どんなメンバーがいるのかは知りませんでした。
恐ろしい事件がきっかけではありましたが、最初から山口真帆さんに寄り添った村雲颯香さん、菅原りこさん、長谷川玲奈さん、さらには3人の卒業公演に駆け付けたメンバーのように、NGT48には素晴らしいメンバーがいるのを知ることができました。

オフィシャルサイトに村雲颯香さんの卒業発表が掲載されたのをツイッターで知った時、「まさか」と思い目を疑いました。
3人が卒業するまでの間はもとより、卒業されてからもグループの浄化・再生のために尽力する姿をフォトログを通して見ていたので、村雲颯香さんはまだNGT48での活動を続けるのだと思っていました。
もしかしたら村雲颯香さんがNGT48を復活させて率いていくのではとも思っていたので、卒業発表には驚きました。

私は村雲颯香さんの卒業発表を見て、2月3~4日頃にツイッターで4人が所属の表記を外したというのを思い出しました。
その時既に、村雲颯香さんの中で卒業の意思が固まっていたのだと思います。
そしてやはり、卒業を決意させるほど、暴行事件とその後の対応のまずさは重大なことだと思います。

振り返れば村雲颯香さんは常に「自身以外の誰か」のために尽力してきました。
これは誰にでもできるようなことではないです。
村雲颯香さんの偉大さがここに現れています。

今回の暴行事件とその後の対応に代表されるように、グループの存続に関わるような大問題が起きた時、メンバー個人個人の真の姿が現れるのだと思います。
私は最近、暴行事件が起きる前の、アイドルのお仕事を楽しんでいる村雲颯香さんの姿を見てみました。
意外にも大食いキャラと美貌への自信満々によるお笑い要員のような振る舞いでした。
しかし本当は極めて聡明で、高い協調性を持ち全体を見る力にも長けた立派な人だというのがよく分かります。

口でグループのことを第1に考えると言うのとは全く違い、村雲颯香さんはそれを日々の活動の中で示していました。
何も言わずとも「この人は常にメンバー1人1人を見て、全体を見て、グループのことを第1に考えている」というのが分かりました。
村雲颯香さんは紛れもない「大将の器」の人だと思います。

昨年の12月8日、犯人達に襲撃された直後の山口真帆さんのもとに即座に駆け付けてくれたメンバーが1人おり、それが村雲颯香さんだと言われています。
山口真帆さんが信頼できるメンバーとして助けを求めたのがその人で、これまでの数々の立派な姿を見て、私も村雲颯香さんに違いあるまいと思っています。
(後に、9月冒頭に公開された事件直後の音声データによって、駆け付けたのは村雲颯香さんだと明らかになりました。)
それからも常に山口真帆さんに寄り添ってきた村雲颯香さんなので、今日まで様々な思いを胸に秘めてきたと思います。

4月の初め、株式会社AKSさんの偉い人が来ていて普通なら萎縮してもおかしくないミーティングで、村雲颯香さんが「山口真帆さんがいないのに前に進むべきではない」と敢然と言ってくれたという話もあります。
誰が言ったかまでは公になっていませんが、3人が不在のミーティングでそんなことが言えるのは村雲颯香さんくらいと思われ、その胆力がよく分かります。
そして村雲颯香さんの考えは完全にそのとおりで、世間は反発しました。
村雲颯香さんには被害者を無視して強引に活動しても、世間の支持は得られないであろうことがよく分かっていたのだと思います。

4月21日に行われた「逆上がり公演」で山口真帆さん、菅原りこさん、長谷川玲奈さんが卒業を発表し、その翌日の村雲颯香さんのツイッターの言葉は凄いと思いました。
「このような事件が起きて、被害者であるメンバー、そしてそこに寄り添ったメンバーが辞めるなんて、絶対にあってはならないことだと思います」や「最悪の結末と言われても仕方がありません」とあるのが非常に印象的でした。
世間から見れば当然そうなのですが、NGT48で正面からこれに言及できる人は極めて少なく、村雲颯香さんくらいです。
村雲颯香さんには3人を卒業させるのが「一番やってはいけない悪手中の悪手」であることがよく分かっていたのだと思います。
他にも「それなのに、グループは真帆ちゃんの気持ちに寄り添うことができませんでした」や「悔やんでも悔やみきれない」とあり、無念の気持ちがよく分かりました。
暴行被害という重大な事件を前に、グループとして寄り添えなかったのは辛くて悲しかったと思います。

5月6日に行われた3人にとって最後の握手会は運営から「お見送りをしないように」と通達が出されていたことが知られていますが、村雲颯香さんと角ゆりあさんの2人はお見送りに駆け付けてくれました。
お見送りのことを調べてみたら、「AKB48系列のグループでは卒業するメンバーにはグループとしてお見送りをすることになっている」とありました。
なので、村雲颯香さんと角ゆりあさんは3人の時だけお見送りが禁止になるのはおかしいと判断され、ご自身の正義と照らし合わせ、駆け付けてくださったのだと思います。
素晴らしい勇気です。

5月18日の卒業公演で読んだ3人へのお手紙も凄いと思いました。
お手紙の中で村雲颯香さんは「みんなは痛いほど分かると思うけれど、人を疑うことは辛いことです。信じたいものを信じられないのはとても苦しいことです」と言っていました。
3人にとって、名前は伏せますが暴行事件とその後のことによって特定のメンバー達、特定の人達のことが信じられなくなっているのがよく分かる言葉でした。
また「大切なみんなのことを守れなくてごめんなさい」と3人に謝っていたのも印象的でした。
これも村雲颯香さんが大将の器だと思う場面です。
その時、山口真帆さんが静かに首を横に振っていたのも印象的でした。
村雲颯香さんがどれだけ奮戦してきたかを知っているから「そんなことないよ」と首を振ってくれたのだと思います。

3人が卒業されてから、私はグループに残留した村雲颯香さんのことが気になり、NGT48のフォトログを見たり、ツイッターで村雲颯香さん関連のつぶやきを見たりするようになりました。
3人卒業後のNGT48は村雲颯香さんのおかげでグループの形を維持できていたのだと思います。
そう確信するほど、グループの浄化・再生に向けた努力が伺えました。

卒業公演直後の5月20日、名前は伏せますが襲撃された山口真帆さんを気にかけるどころか、邪魔者扱いしていたのを自ら明らかにする形のインスタグラム投稿をしたメンバーの問題で、村雲颯香さんはメンバーが起こした問題はグループ全体の問題と捉え、ツイッターで謝罪していました。
一切言い訳せずに世の中に向けて謝罪される姿は本当に立派でした。
これを見てもグループのことを考えているのがよく分かり、大将の器の人だと思いました。
他にも数人の、山口真帆さんに近いであろうメンバーが謝罪されていましたが、村雲颯香さんという偉大な人がいるからみなさん迷わずにそうできた面もあるのではと思います。

それからも村雲颯香さんはグループのために尽くされていました。
少しずつ村雲颯香さんのフォトログに他のメンバーとの写真が掲載されるようになりました。
グループの浄化・再生に向けて活発に動き始めたのだと思いました。
そして徐々に村雲颯香さんが上げるフォトログに、山口真帆さんとの距離が遠いであろう人も載っていったのが印象的でした。
村雲颯香さんがグループ全体に目を配り、少しずつメンバーと話し合っていっているのが分かりました。

また、相手は村雲颯香さんとの写真をアップしても、村雲颯香さんはアップしない人達も存在します。
これは話し合ってはいるものの、相手が一連のことに対して非を認めようとせず、きちんと非を認めるまで完全には心を許さないという意思表示と受け止めました。

研究生が活動辞退された時も村雲颯香さんはとても立派なコメントを出されていました。
山崎美里衣さんが活動辞退された時は「私達1期生がしっかりしていれば活動辞退しなくて済んだ」という旨のことを言っていました。
渡邉歩咲さんと高沢朋花さんが活動辞退された時は「二人の決断はたくさん悩んで考えて出したものだから、そこに間違いなんてありません」というコメントがとても印象的でした。

私は活動辞退された渡邉歩咲さんと高沢朋花さんに対し、今回の村雲颯香さんのように便箋にお手紙を書かせて頂きました。
それが人生で初めてのアイドルへのお手紙で、村雲颯香さんは3人目です。
渡邉歩咲さんと高沢朋花さんが卒業公演に駆け付けた姿を知っているので、2人の活動辞退には思うところがありました。
その中で高沢朋花さんに対し「卒業公演に駆け付けた7人のような人は真面目に、真剣に、NGT48のことを考えられる人だと思うので、その人がたくさん悩んで出した答えはそれが正解であり、尊重すべきものだと思います」と書きました。
これは村雲颯香さんの「二人の決断はたくさん悩んで考えて出したものだから、そこに間違いなんてありません」に感銘を受けてのものでした。
なので、村雲颯香さんが書かせてくれた言葉で、私1人ではこの言葉は出てこなかったと思います。
相手に寄り添いながらその気持ちを尊重している良い言葉だと思います。

そして7月18日、オフィシャルサイトでの村雲颯香さんの卒業発表を迎えます。
メンバー達は続々とフォトログを更新して卒業発表のことを書きました。
みなさん村雲颯香さんのことを非常に高く評価されていました。
そしてやはり卒業公演に駆け付けたメンバーは踏み込んだことを書いておられ、中でも角ゆりあさんのフォトログが印象的だったのでご紹介します。


--------------------
もふ

昨日、公式サイトにてもふの卒業が発表されました。
素直な気持ちは嫌です。
事前にメンバーにお話してくれて、その時も卒業の意思があるだろうなというのは分かってはいたから冷静に聞いていられたけど私の中でまだいてくれるってどこかで思ってて。
だからこのタイミングだというのにすごく驚いたしもふがいなくなったグループが想像できません。
この数ヶ月、グループを支えてきてくれたのは他の誰でもないもふです。
冷静に現状を見て、いつでも中立な立場でいてくれました。
もふに救われたメンバーはたくさんいます。
誰よりもグループのために行動してくれました。
もっと早くから卒業を決めていたのにここまで残ってくれたのもグループのことを考えてです。
自分の未来よりグループの未来を優先してくれた優しすぎる人です。
私は1人の女性としてもふを尊敬してるところがたくさんあります。
冷静に周りをみて判断して行動できるところ。
芯の通っているところ。
意見をちゃんと人に伝えられるところ。
その場の雰囲気を明るくできるところ。
私にはないものをもふはたくさんもっています。
だから私ももふをみてもっと自分にも取り入れなきゃなって思います。
そうすればもっともふのことを支えられたかもしれない。
この期間1番大変だったのはもふだとおもいます。
3人の1番近くにいたひと。
だから3人の想いも1番に汲み取ってきていた。
そして私たちの1番近くにもいてくれた人。
そして私たちの想いも1番に汲み取ってくれている人。
狭間に立ちながらも中立で見て接してどうしたらいいか考えて変えようとして。
本当に本当に感謝しかないです。
ありがとう。
だからこそちゃんと受け入れて送り出してあげなきゃいけない。
だけどまだ受け入れたくない気持ちもあったり、受け入れている部分もあったり複雑です。
まだこのグループにいて欲しかった。
まだもふが必要だから。
そう思ったり。
いつまでももふに重荷を背負わせちゃいけない。
もふが前向きに新たな道を見つけて進もうとしてるんだからちゃんと見送りたい。
そんな想いでぐちゃぐちゃです。
でも8月末、もふのアイドル人生の締めくくりとして相応しい公演にしたいです。
だから私もちゃんと前向きに笑顔で送り出したいです。
そして私もこのグループで活動していくにあたってもふが作ってくれたものを守りながらこのグループを変えられるように行動できる人になりたいです。
そしていつか変わったこのグループをもふ、そして3人に見せられるように頑張りたいです。
--------------------

村雲颯香さんの意思が受け継がれたことが分かりました。
「このグループを変えられるように」とあることから、依然として変われていないことも分かります。
村雲颯香さんの意思はそのまま3人の「グループに変わって欲しかった」という意思であり、この系譜がまだ生きていることが私は嬉しいです。

角ゆりあさんのみならず、日下部愛菜さんも、小熊倫実さんも、高橋七実さんも、みなさん良い文章を綴っていました。
必ず卒業公演に向けて力になってくれると思うので、ぜひ頼りにしてみてください。

卒業発表の動画を見ていたら、村雲颯香さんの後ろにいる高橋七実さんが懸命に涙を堪えようとしていましたが、堪えきれず涙が溢れてきて頬を伝わり、光っているのが見えました。
村雲颯香さんのことを慕っていて、卒業を悲しんでいるのがよく分かる場面でした。
そして涙を流しても表情だけは決して変えず前を向いているのを見て、高橋七実さんが持つ強さも感じました。
村雲颯香さんが卒業するまで、研究生の身ではあっても必ず支えになってくれる人だと思います。
また、他の研究生達にも村雲颯香さんを慕う人はかなり多いようなので、卒業公演に向けて必ず雰囲気を盛り立てていってくれると思います。

西村菜那子さんは「もふが卒業発表しました。今もこうして一緒に活動してくれていること、本当に感謝しています。」と書いていました。
この言葉から、グループは村雲颯香さんにとっくに愛想を尽かされて出て行かれていてもおかしくないような状態だったと分かりました。

村雲颯香さんは4月22日のツイッターで「グループの正常化」という言葉を使っておられました。
これはグループが異常な状態にあり、それが暴行事件を引き起こしたということです。
そして卒業発表の動画で「変わるのは簡単ではないのがこの数ヶ月で身に染みて分かった」と言っていることから、今もなお変われておらず異常な状態にあることが分かります。
運営が依頼した第三者委員会が提出した報告書によると、暴行事件を起こした犯人グループの人に代表されるような特定のファンと、複数のNGT48メンバーに「プライベートでのつながり」があることが事実認定されています。
なのでグループが今もなお変われていないのはこれだと考えられます。
また、「つながりをきちんと認めて、つながりが暴行事件を引き起こしたことに当該メンバーがけじめをつける」という姿勢が未だにないのも、変われていない部分だと思います。
一番全体を見てグループのことを考える力のある村雲颯香さんでも変えられないとなると、誰にも変えられないのではという気がします。
しかし村雲颯香さんの卒業発表時のフォトログで何人かの人が「グループは変わらなければならない」や「村雲颯香さんの気持ちを受け継ぐ」といったことを言っていて、まだ変わることへの望みは残されているのだと思いました。
私はこれも村雲颯香さんのおかげだと思います。
もし村雲颯香さんがグループの浄化・再生に尽力していなければ、とっくに望みは断たれていたのではと思います。
卒業公演に駆け付けたメンバー以外にも新たに1人、清司麗菜さんが「NGTを変えようというもふちゃんの気持ちをしっかり受け継いでいく」と書いていたのも嬉しいです。

また、村雲颯香さんは「変わった姿を見せたい人がいる」とも語っていました。
すぐに山口真帆さん、菅原りこさん、長谷川玲奈さんが思い浮かびました。
村雲颯香さんは3人の「グループに変わって欲しかった」という無念の思いを胸に秘めておられるので、変わらなければ3人に顔向けできないという思いがあるのだと思います。
そしてもう一つ、4月22日のツイッターで言っていた「今までNGT48を応援してくれていた人達」も思い浮かびました。
こちらも、失望させたまま終わらせるわけにはいかない思いがあるのだと思います。

村雲颯香さんは「事件直後から山口真帆さんに寄り添い、3人の卒業後はグループの浄化・再生に尽力した」ただ1人の人です。
両方において最前線で尽力した人は他に1人もいないです。
その奮戦ぶりは壮大な大河ドラマを見ているかのようです。
私が引き付けられたのはこれです。

村雲颯香さんという偉大な人を失うのがどういうことか、グループの他のメンバー達は果たして全員分かっているのだろうかと思います。
分かっていてほしいです。
グループは重要な屋台骨を失うことになり、屋台骨のない建物はあっという間に壊滅します。
この上は、村雲颯香さんが仰られていたとおり、1人1人がご自身を見つめ直し、グループの浄化・再生の意識を持つことが何より必要だと思います。
グループが変わらない限りもう一度支持を得るのは難しいです。

今回お手紙を出すのは8月10日で、村雲颯香さんの卒業まであと少しあります。
卒業公演を迎える日までに、村雲颯香さんに負担をかけずともグループのメンバー達が浄化・再生への意識を持つことによって、また一歩本来あるべきグループの姿に近づいていたら良いなと思います。

今まで特に意識していませんでしたが、私はいつの間にか村雲颯香さんのファンになっていたようです。
次はどんな動きをするのだろうと気になり、ワクワクするのは、その存在に魅せられていてファンということなのだと思います。
そして私も「もふちゃん」と呼んでみようかなと思いました。

「もふちゃん」の愛称はどんな由来なのか、最初は分かりませんでした。
ツイッターを見ていて髪の毛が多いという情報があったので、「髪の毛が多いのがもふっとしているからもふちゃん」なのか、大食いキャラなのを知ったので「もふもふたくさん食べるからもふちゃん」なのかなと思いもしました。
しかしやがて、「むらくもふうか」の「も」と「ふ」を取って「もふちゃん」なのだと分かりました。
良い愛称だと思います。
私もこれからは「もふちゃん」と呼ばせて頂きます。

今年、もふちゃんのことを知ることができて本当に良かったです。
アイドルでいるうちに知ったことで、もふちゃんの発信するものをリアルタイムで見るという楽しみができました。
応援したいと思わせてくれる素晴らしい人です。
卒業の日まで、ぜひ一日一日を大切に過ごしていってください。
もふちゃんの今後の人生が幸せなものになることをお祈り致します。


追伸
もし音楽を聴くのがお好きならラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を聴いてみてください。
お手紙で渡邉歩咲さんにはラフマニノフのピアノ協奏曲第3番、高沢朋花さんにはプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番をお勧めしましたが、もふちゃんにはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番が合うと思います。
フィギュアスケートの浅田真央さんがソチオリンピックのフリーで演技した曲でもあります。
Youtubeの、エレーヌ・グリモー(Hélène Grimaud)さんの演奏(37分01秒の動画)が特にお勧めです。

通常の曲が「曲を演奏する」なのに対し、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番はピアニストから「曲を生きる」と言われることがあるようです。
ラフマニノフ自身が精神的に苦しい時期を過ごし、その間作曲もできなくなり、そこから持ち直してようやく生み出した曲であることからそのように言われるようです。
もふちゃんは山口真帆さん暴行事件の発生から山口真帆さん、菅原りこさん、長谷川玲奈さんが卒業するまで、そして3人が卒業してから今日まで、大変な険しい日々を常にその中心に居て、誰よりも立派に生きたと思います。
この曲は暴行事件から今日までのもふちゃんの歩んだ道を表しているように見えます。
曲調の迫力、神聖さももふちゃんの和美人で胆力のある雰囲気によく合います。

12:00頃までの第1楽章は事件が起きてからの激しい日々と、3人の卒業が決まってからの5月18日までの日々です。
途中、ひっそりとした雰囲気になるのは、まさに3人が卒業することになった喪失感のように聴こえます。

第2楽章は5月19日からもふちゃんが卒業を発表するまでの日々です。
静かな日々もあれば、激しく思いがぶつかる日もあったのではと思われ、まさにそのような曲調になっています。
14:00頃からのフルートが目立つどこか空虚で寂しげな演奏は3人を失った直後の、荒涼としてひっそりとしたグループにもふちゃんが佇んでいるのが思い浮かびました。
またその時に、もふちゃんの卒業発表を受けた角ゆりあさんのフォトログを読んでいて、フォトログと曲が凄く合っていて胸に染み、涙ぐみました。

そして第3楽章、33:40頃からの凄く盛り上がるところは卒業して羽ばたいていくもふちゃんを表しているように聴こえます。
もふちゃんの羽ばたきは物凄く気高く美しいものだと思います。

卒業発表時のフォトログを見ても、もふちゃんのことはかなり多くのメンバーがその人間性を誉めていたのが印象的で、きっとみんなで盛大に卒業させてくれると思います。
この曲の最後の盛り上がりのようになるはずです。
最後の盛り上がりは暴行事件発生から今日に至るまでのもふちゃんの歩んだ道と、その道の終わりまで来て羽ばたかんとするもふちゃんに光が当たり、みんなが盛大に称えているように聴こえます。
荒涼としたグループで常に「自身以外の誰か」のために尽力したもふちゃんの功績は称えられるべきものだと思います。
そして今まで大変な思いをされたもふちゃんなので、卒業後はぜひご自身の幸せに向かって進んでいってください。

----------お手紙ここまで----------



関連記事
NGT48 山口真帆さん暴行事件 ~告発、強制謝罪、ネット大炎上、そして卒業~
元NGT48 山口真帆さん暴行事件 今も続く運営会社AKSからの嫌がらせ
NGT48 渡邉歩咲さんと高沢朋花さんが活動辞退を発表
元NGT48 渡邉歩咲さんと高沢朋花さんへの手紙
NGT48 村雲颯香さん卒業
NGT48 高橋七実さんへの手紙
元NGT48 村雲颯香さんへの最後の手紙
「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番」(ピアニスト:エレーヌ・グリモー)
「黒い羊」(山口真帆さん、菅原りこさん、長谷川玲奈さん卒業公演Ver)
元NGT48 高橋七実さんへの手紙



----------郵送したお手紙----------



村雲颯香さんへのお手紙1。




村雲颯香さんへのお手紙2。




村雲颯香さんへのお手紙3。




村雲颯香さんへのお手紙4。




村雲颯香さんへのお手紙5。




村雲颯香さんへのお手紙6。




村雲颯香さんへのお手紙7。




村雲颯香さんへのお手紙8。




村雲颯香さんへのお手紙9。




村雲颯香さんへのお手紙10。




村雲颯香さんへのお手紙11。




村雲颯香さんへのお手紙12。




村雲颯香さんへのお手紙13。




村雲颯香さんへのお手紙14。




村雲颯香さんへのお手紙15。




村雲颯香さんへのお手紙16。




村雲颯香さんへのお手紙17。




村雲颯香さんへのお手紙18。




村雲颯香さんへのお手紙19。




村雲颯香さんへのお手紙20。




村雲颯香さんへのお手紙21。




村雲颯香さんへのお手紙22。




村雲颯香さんへのお手紙23。




村雲颯香さんへのお手紙24。




村雲颯香さんへのお手紙25。




村雲颯香さんへのお手紙26。




村雲颯香さんへのお手紙27。




村雲颯香さんへのお手紙28。




村雲颯香さんへのお手紙29。




村雲颯香さんへのお手紙30。




村雲颯香さんへのお手紙31。




村雲颯香さんへのお手紙32。




村雲颯香さんへのお手紙33。




村雲颯香さんへのお手紙34。




村雲颯香さんへのお手紙35。




村雲颯香さんへのお手紙36。