読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

ご挨拶

2018-12-31 23:59:00 | ウェブ日記


「読書日和」にお越しいただきありがとうございます。
このブログでは主に小説やエッセイのレビュー、街のフォトギャラリーなどを作っています。
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一楽章f未完成 FLUTE VIOLIN CONCERT

2018-10-14 23:17:21 | ウェブ日記


本日広島県広島市の音楽喫茶「一楽章f未完成」で「FLUTE VIOLIN CONCERT」が行われ、縁あって聴きに行きました。
コンサートを行ったのはフルート奏者の佐田晴菜さん(写真左)とヴァイオリン奏者の川本冴夏(さえか)さん(写真右)で、二人ともエリザベト音楽大学の同学年卒業生です。
トークの中で2005年に10歳だったと仰っていたので今年23歳だと思います。
昨日「一楽章f未完成」に寄った時に今日のコンサートのことを教えて頂き、時間もあったので行ってみようと思いました。



演奏プログラムは次のとおりです。

第一部〈クラシック・ステージ〉
1.愛の挨拶/E.エルガー
2.5つの小品/C.キュイ
(Ⅰ…Badinage Ⅱ…Berceuse Ⅲ…Scherzino Ⅳ…Nocturne Ⅴ…Waltz)
3.伝説曲/H.ヴィエニャフスキ(ヴァイオリンソロ)
4.ハンブルガー・ソナタ Gdur WQ133/C.P.Eバッハ(フルートソロ)
5.2本のヴァイオリンのための協奏曲イ短調 RV522/A.ヴィヴァルディ

~休憩~

第二部〈ポップス・ステージ〉
1.プラネタリウム(大塚愛)
2.真夏の夜の夢(松任谷由実)
3.A Whole New World(ディズニー映画「アラジン」のテーマ)
4.風笛(NHK連続テレビ小説「あすか」のテーマ)
5.ひまわり(葉加瀬太郎、NHK連続テレビ小説「てっぱん」のテーマ)

アンコール
エトピリカ(葉加瀬太郎)



演奏は素晴らしく、気迫に飲み込まれるように見入る場面が何度もありました。
ヴァイオリンは指だけでポロンポロンと弦を鳴らすことがあるのが意外でした。
弓の動きがダイナミックで、力強く動かすこともあればハイスピードで動かすこともゆっくり動かすこともありました。
フルートは指の動きが凄く速く、間近で見るとその速さに驚きました。
第一部最後の曲は2本のヴァイオリンで弾くための曲とのことで、本来フルートで演奏するのはかなり難しいのを無理を言って佐田晴菜さんに演奏してもらっているとのことです。
綺麗に聞こえたのが凄いと思います



ゲストの長谷川朱里さん(ピアノ奏者)。
エリザベト音楽大学の卒業生(二人の先輩)で、第一部と第二部5曲目、アンコールで演奏しました。



ゲストの笠岡里沙さん(写真右、エレクトーン奏者)。
エリザベト音楽大学の卒業生(二人の先輩)で、第二部とアンコールで演奏しました。

どの楽器の奏者も音の強弱の付け方が上手く、他の楽器よりも音が強まった時は自然とそちらに耳が向きます。
さらに速い演奏の時もあればゆっくりとした滑らかな演奏の時もあり、それが音の強弱とも組み合わさりとても良い音色でした



川本冴夏さんがトークの中で、第二部の曲の編曲を二人のために笠岡里沙さんが全てやってくれたと言っていて、それは凄いなと思いました。
笠岡里沙さんはそんな裏事情は言わなくて良いと止めていましたが、縁の下の力持ちが居ることをよく言ったと思います

昨日まで知らなかったこのコンサート、行ってみたらとても良い演奏を聴くことができました
気持ちも明るくなり、やはり音楽は良いと思います。
これを機に今回知った4人の方の演奏をまたどこかで聴けたら良いなと思います


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佐田晴菜さんプロフィール
広島女学院中学高等学校卒業。エリザベト音楽大学を総代で卒業。
同大学で特待生としてザビエル奨学賞を4年間にわたり受賞。
現在5年プログラム生として、同大学大学院修士課程2年次在学中。
2017年夏にドイツのベルリンで開催された音楽祭「ヤング・ユーロ・クラシック」にて、オーケストラでアルトフルートの独奏を務める。
日本フルート協会主催第44回フルート新人演奏会出演、優秀賞受賞。
ジュゼッペ・ノヴァ氏の公開レッスンを受講。
これまでにフルートを藤井智子氏、宮本美佐穂氏に師事。

川本冴夏さんプロフィール
広島県広島市出身。3歳からヴァイオリンを始める。
広島なぎさ高等学校卒業。
特別奨学生としてエリザベト音楽大学音楽学部演奏学科に入学。卒業時に卒業演奏会に出演。
これまでにヴァイオリンを甲斐麻耶氏、川本義幸氏、伊達万浩氏に師事。
大学卒業後はクラシック音楽にとどまらず、様々なジャンルの音楽で演奏活動を精力的に行っている。
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※「エリザベト音楽大学 大学祭」のフォトギャラリーをご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「一楽章f未完成 モンブランケーキとアイスコーヒー」の記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
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九州縦断味めぐり弁当

2018-10-10 20:36:58 | グルメ


この夏新幹線に乗った時に「九州縦断味めぐり弁当」を食べました。
駅で駅弁を買う時間がなくて新幹線に乗ってからワゴン販売でこの駅弁が目に留まり買いました。

蓋を開けると九つのエリアに分かれ九州地方に縁のある様々な具材が散りばめられていました。
ちらし寿司(写真左下)はしいたけの美味しさが印象的で、かなり煮方が上手いと思います。
中段右は玉子焼きとコロッケで、コロッケはじゃがいもと人参が入った野菜コロッケです。
煮物(下段中央)は蓮根、ごぼう、蕗(ふき)、イカ、人参で、甘味のある汁で煮てあります。
黒豚の味噌焼き(上段中央)は柔らかくて味噌の味が染み込んでいてかなり美味しかったです。

中央のご飯はうに飯で、うにが苦手な私でも美味しく食べられました。
中段左にあるのは焼き焼売とさばの塩焼きで、焼き焼売は肉の旨味が凝縮されていて食べるとふわりと旨味が広がりました。
さばの塩焼きも美味しく、魚が好きな私は駅弁などに魚が入っていると嬉しいです。

右下は明太子とご飯で、明太子が極端に辛くはない程よい辛さで美味しかったです。
右上はかしわ飯で、崩した鶏肉が載っていて甘ダレの味付けになっています。
左上は唐揚げとさつまいもの甘露煮で、さつまいもの甘露煮はほんのりとレモンの味がしました。
かなり美味しくてもっと沢山食べたくなり、さつまいもの甘さとレモンは相性が良いと思いました

この駅弁は冷めていてもとても美味しかったです。
「お魚づくし弁当」を食べた時にも思いましたがやはり美味しい駅弁は冷めていても美味しいのを感じました。
またいずれ食べてみたいと思います
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一楽章f未完成 モンブランケーキとアイスコーヒー

2018-10-08 19:14:31 | グルメ
本日広島県広島市にある「一楽章f未完成」という喫茶店に寄りました。
今年5月にエリザベト音楽大学の大学祭に寄った後、「一楽章f未完成」というエリザベト音楽大学の卒業生がやっている喫茶店があることを知り興味を持ちました。
※「エリザベト音楽大学 大学祭」のフォトギャラリーをご覧になる方はこちらをどうぞ。



お店に入ると何とピアノを弾いている人がいました。
ピアノの先生をされている人のようで、上手い演奏で聴き入り心地良い時間になりました



「一楽章f未完成」はお店公式では「音楽喫茶」とあり、店内にはグランドピアノやヴァイオリン、チェロなどの楽器が置かれています。
広島近辺の音楽家達と連携を取っているようで本格的なコンサートが開催されることもよくあり、その場合は大々的に告知され主に夕方から夜に開催されます。

店員さんに聞いたところ今日私が遭遇したのは音楽家の人が突発的に行う告知なしの演奏です。
音楽家の人がお店に連絡をして、例えば「今日弾きに行けますか?」と聞き空いていれば弾けるとのことです。
いつも昼間演奏があるとは限らず先月は月に2回くらいで、今月は珍しく昨日、今日と二日続けて演奏があり今日お店に寄ったのはラッキーだと言っていました。
演奏はピアノとは限らずフルートなど他の楽器もあり、
演奏のない平常時はクラシック音楽が流れています。



私はモンブランケーキとアイスコーヒーを頼みました。
アイスコーヒーは器の大きさに驚きました。
程よい苦味でかなり飲みやすくて喉越しが良かったです。

モンブランクリームは洋酒入りでとてもまったりしていて程よく甘いです。
このモンブランクリームは柔らかさが印象的で、口にすると溶けていきます。
スポンジケーキはとてもしんなりしていて柔らかなモンブランクリームとよく合います。
モンブランクリームの下にはホイップクリームもあり、ほんのりとバター風味があり良いアクセントになっていました。

店内は洒落ていてさらに落ち着きがありとても良い時間を過ごせました。
常に音楽が流れていて気持ちも安らぎます。
ぜひまた寄ってみたいと思います

※「一楽章f未完成 FLUTE VIOLIN CONCERT(エリザベト音楽大学関係者のコンサート)」の記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
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三峯神社 天に近い神社

2018-10-06 20:43:01 | フォトギャラリー
2017年8月19日、埼玉県秩父市にある三峯(みつみね)神社に行きました。
三峯神社は三峰山の山頂、標高1100mの高い場所にあり、「天に近い神域」「天に近い神社」と呼ばれています
近年では「関東最大のパワースポット」として有名になり参拝者が大きく増えています。


-------------------- 三峯神社 天に近い神社 --------------------


三峯神社にやってきました。
入り口には三ツ鳥居があり、この形の鳥居は全国でも珍しいです。
また三峯神社は狼を守護神としていて、狛犬の代わりに狼の像があります。


「苗木三万本奉納」と書かれた石碑。
後ろの草木が映画「もののけ姫」のような古(いにしえ)の雰囲気を出しています。


石碑はいくつもあり、大勢の人が三峯神社に奉納をしていることが分かりました。




「三峯山」と書かれた門があります。


この門は「随身門(ずいしんもん)」と言い造りに風格があります。
「三峯山」の上に鶴が描かれているのが印象的です。


全体を撮るのが無理だったほど高さのある二股の木。
賽銭箱も置かれ、正面から見ると、


このように根元がつながっています。


三峯神社拝殿が見えてきました。


とても豪勢で風格のある造りをしているのが特徴です。


手水舎(ちょうずや)。
手水舎も竜などがあしらわれた豪勢な造りになっています。


拝殿の上から日が差し込み良い雰囲気になっていました




お守りなどの授与所。
三峯神社では毎月1日に白色の「氣守(きまもり)」という御神木入りのお守りを数量限定で配布しています。
緑色、朱色、紺色、ピンク色の氣守はいつでも買えますが白色の氣守だけは毎月1日にしか手に入らず、他の色と違い木箱に入っていてかなり風格があり、ご利益も非常に高いことが知られています。
古くから白色は太陽の光の色と言われ、神聖な色、純潔の色と考えられ「穢れ」を忌む祭儀の装束にも使われています。
白色は再生の色、新しい始まりの色でもあるため、月初めの朔日(ついたち)にのみ白い氣守が配布されます。
元フィギュアスケート選手の浅田舞さんが2013年にテレビ番組で三峯神社を訪れ白色の氣守を妹の浅田真央さんの分も買っていき、姉妹揃って白色の氣守を持っていることが世の中に広く知れ渡り、「ぜひ同じ物が欲しい」という人達が毎月1日に大勢やって来るようになりました。
あまりに交通渋滞が激しくなり住民生活に影響が出ているため、2018年6月1日から渋滞の解消策ができるまで当分の間白色の氣守の配布が中止になっています。


左に見える巨木は三峯神社の御神木です。
奥にもう一本あり、氣守にはこれらの御神木が入っています。


御神木は鎌倉時代の武将畠山重忠公が奉献したもので樹齢800年と推定されています。
御神木の下の案内板には次のようにありました。
神木より発する「氣」は活力そのものです
神木より氣をいただき三峯山の霊氣・神氣により活力のある毎日をお過ごし下さい

参拝に訪れた人が何人も御神木に手を当て氣を頂いていました。


右側の注連縄(しめなわ)のついた巨木がもう一本の御神木です。




摂末社(せつまっしゃ)。
全部で23社あり、いずれも三峯神社にゆかりの深い神様が奉られている神社です。


中でも天照大御神(あまてらすおおみかみ)が奉られている伊勢神宮は他の摂末社より一回り大きく造りも違っていました。


私は山陽に縁があるので広島の厳島神社があって嬉しくなりました


遥拝殿(ようはいでん)。
ここからは、


下界を一望できます。


「天に近い神社」の名前のとおり、空をとても近く感じます。


下の方にあるわずかな集落以外に見える景色は山と空のみで、こちらと同じくらいの高さに見える雲もあり、まさに神域だと思います。


三峯神社が「関東最大のパワースポット」と呼ばれるのは辺り一帯の霊氣・神氣が集まっているからだと思います。


天に近い神社の三峯神社、とても良い神社だと思いました。
山々に囲まれ空気も澄んでいて、しばらく神聖な雰囲気の中に身を置きたくなります。
ぜひまた行って天の近さや雰囲気の神聖さを感じたいです


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「アンダスタンド・メイビー(上)」島本理生

2018-10-05 19:27:52 | 小説


今回ご紹介するのは「アンダスタンド・メイビー(上)」(著:島本理生)です。

-----内容-----
筑波に住む中学三年生の黒江は、研究者をしている母との二人暮らし。
両親の離婚以来、家庭に居場所を見つけられずにいた。
ある日、書店で目にした写真集に心を奪われ、カメラマンになるという夢を抱く。
同じ頃、東京から転校生がやってくる。
太めで垢抜けない印象の彌生に、なぜか心を奪われる黒江だった。
「やっと見つけた、私だけの神様を」ーー。

-----感想-----
この作品は島本理生さんがデビュー10周年記念に発表した作品で2011年第145回直木賞候補作です。
内容が恐ろしそうなことから今まで読むのを避けていましたが、「ファーストラヴ」で今年7月の第159回直木賞を受賞し、書店で「祝・直木賞!」の帯のかかった本作を見て興味が湧き読んでみようと思いました。

「第一章」
冒頭は2000年の春で、物語は茨城県つくば市に住む藤枝黒江(くろえ)という中学三年生の一人称で語られます。
家の近くに大学があるとありこれは筑波大学だと思います。
黒江は浦賀仁(うらがじん)というカメラマンからファンレターの返事が来て喜びます。
春休みに池袋の大型書店で日本全国の廃墟の写真集を見て感動しファンレターを送っていました。

酒井彌生(やよい)という男子が東京から黒江のクラスに転校してきます。
席が隣になった黒江が話しかけると彌生は戸惑いながら答えます。
序盤、語り手が中学三年生と若く友達とも明るく話しているため島本理生さんの小説では珍しく雰囲気が軽くて明るいのが印象的でした。
新しく担任になった板東先生の「席つけえー」という言葉を聞いて黒江が「噛みきれないお餅みたいな口調」と表現しているのが珍しい表現だと思いました。

酒井君はもう席に着いていて、額にうっすらかいた汗を拭っていた。風でカーテンがふくらむと、ちょっと野暮ったい切り方の前髪が揺れた。
黒江が彌生を見た時の描写の一文の後にさらにもう一文あり、後ろの一文があることで教室の様子がとても鮮明に思い浮かびます。
こういった後ろに一文を添えるのは島本理生さんの作品でよく見られ、繊細な感性が感じられて私は好きです。

黒江は管野怜(れい)、石田紗由(さゆ)と仲が良くてよく一緒に遊んでいます。
黒江の父は家を出て行き母は研究所で香料開発の研究をしていて、黒江は母の愛情が感じられない事務的な話し方が嫌で一緒にご飯を食べるのも苦手です。

体育祭の種目決めで板東が走力のある黒江に1500m走に出ないかと言います。
黒江が家事をしないといけないから朝練も放課後練習も出られず無理だと言うと、羽田野という女子が「それなら昼休みに練習すれば大丈夫だと思いまーす」と言っていてこれは酷いと思いました。
人の昼休みを奪うのなら自身も練習に付き合うくらいのことはしないといけないです。
自身は昼休みをしっかり休むのに人には練習しろと言うのは許されないと考えます。

怜の部屋で怜と黒江、二人と同じクラスで怜の彼氏の四条淳史(しじょうあつし)が遊び、彌生と仲良くなっていた淳史が彌生も呼びます。
その帰り、彌生が黒江を送ってくれます。
黒江は彌生を「垢抜けないけれど結構良い」と思い好意を抱きます。

体育祭で黒江が左足を怪我して動けなくなると彌生が助けに来て左肩を支えて寄り添いながら保健室に連れて行ってくれます。
保健室で黒江は「やっと見つけた」と思い心の中で次のように呟きます。
どんな怖い夢からも助け出してくれる、私だけの神様を。

黒江は彌生を筑波山へのデートに誘います。
彌生の受け答えが面白く、強引にデートの誘いに話を持って行った黒江に「藤枝さんって、時々、すごい唐突に変なことを言い出すよね」と言います。
彌生には霊感があり幽霊の気配を感じることができます。
筑波山に黒江の母親に迎えに来てもらった帰り道、彌生は母親に変な影が立ち込めているのが見え「もしかしたら、人が亡くなるとか、そういうレベルかもしれない」と言います。

梅雨になり黒江と紗由で彌生の家に遊びに行き、四条もやって来て4人でカラオケに行きます。
黒江は彌生に好きだと告白しますが考える時間をくれと言われます。

月が高くのぼっている。その光を遮るように、どんどん雲が流れていく。
風の強い夜は、月が明るくて、暗闇が青い。

これはそのとおりで、そんな夜道を歩く時は空の明るさに心が引かれます。

ある日教室が険悪な雰囲気になり、怜が紗由が淳史に告白をしたと怒ります。
怜の誤解でしたがいつも可愛らしい口調で話す紗由が馬鹿にしたような薄笑いを浮かべて怜を見下したことを言っていてそれが真の姿かと思いました。

坂東が黒江が友達と学校帰りにカラオケに行ったことをそれとなく注意しますが、表沙汰にはせず今回に限り不問にしていて良い先生だと思いました。
その帰り、黒江は家の駐輪場に着くと痴漢に突然背後から抱き着かれ恐怖を感じて逃げ出します。
黒江は彌生の家に逃げ込み、気持ちが落ち着くと「ところで、私と付き合うかは、どうすんの」と改めて言います。
彌生が「あの、藤枝さんは、やっぱりもう少しデリカシーを持ったほうが」と言っていたのが面白かったです。
二人は付き合うことになります。

黒江は母の「親子っていうのも、難しいわね。分かり合えるとは限らないものね」という言葉を聞いて母が自身を好きではないと思います。
今までもしかしたらと思っていたものが黒江の中で確信に近くなり、ここから母との関係がさらにぎくしゃくしていきます。

黒江は家の電話から怜に電話をします。
電話で怜が今まで彌生を格好悪いと悪く言ってごめんと謝ります。
普段は文句を言っていることが多い怜ですが謝れる人なのだと思いました。
怜が携帯電話を買ってもらったと言い、黒江はクラスで携帯電話を持っている子はまだ一人もいないと胸中で語っていました。
2000年はまだまだ携帯電話を持っていない人も多く、さらに黒江達は中学生なので持っていなくても不思議はないです。

ある日差出人不明で、幼い黒江が男の人に酷い目に遭わされている写真が送られてきて郵便を受け取った黒江は衝撃を受けます。
誰が送ったのかがとても気になり、わざわざそんな写真を送りつけるところに性根の悪さを感じます。
その写真を誰にも見られたくないと思った黒江は生ゴミ用のゴミ箱なら母も調べることはないから大丈夫だと思い捨てようとしますが、フタを開けると信じられないものが捨てられていてさらなる衝撃を受けます。
これは明らかに母の仕業で一気に緊迫した展開になります。
黒江は助けを求めて彌生のところに行きますが詳しいことを言うわけにもいかず途方に暮れます。

黒江が彌生の家から戻りファミリーレストランで途方に暮れていると山崎博(ひろし)という男が声をかけてきます。
山崎はご飯をおごってくれた後にカラオケに行こうと言い黒江は断れずについて行きます。
黒江を乗せて車が走り出すと山崎が本性を現し、カラオケボックスには向かわず筑波山に向かい強姦しようとします。
二回もハンドルをがんっと叩いているのが印象的で怖がらせて言うことを聞かせようとしているのが分かりました。
黒江は窮地になりますが土壇場で怒りが爆発して山崎を追い返します。
怜に電話をし怜の父親の車で助け出されると警察官がやって来ます。
警察官は「だいたい、君ねえ、そんなふうに夜に見知らぬ男についていくって、なにされても、本当は文句言えないんだよ」と黒江が悪いと言わんばかりで、詐欺事件が起きると詐欺師に騙されるほうが悪いと言い出す人がいるのと似ていると思いました。
すると怜の父親が「そういう輩から子供を守るのが我々の仕事だろう」「おまえみたいなのがいるからなあ、なにかあっても女の子が警察に行けずに、犯罪者が野放しになるんだよ。よく覚えておけ」とかなり良いことを言っていました。

黒江は彌生に別れようと言います。
山崎に付いて行った瞬間付き合っている彌生を裏切ってしまったのが堪えていました。

黒江は山崎博と写真のことで苦しみます。
ねえ、誰か助けて。誰でもいい。どうして私の呼ぶ声が聞こえないの。


「第二章」
黒江は高校一年生になり百合という友達ができます。
怜と同じ高校に進学しましたがクラスは違います。
百合が「黒江って良い子だよねー。人の悪口とか言わないし」と言い、これは紗由も言っていたので印象的でした。
百合は悪いことばかりしている危険な子として知られ、百合と喋っているうちに周りがよそよそしくなります。
百合は冬馬(とうま)という男子と仲が良く百合と冬馬は中一から三年間同じクラスでした。

黒江が百合といるのは、百合の素行不良さが山崎から受けた仕打ちを大したことではないと思わせてくれるからとありました。
これは「夏の裁断」で主人公の千紘(ちひろ)が子供の頃に磯崎という男から受けた仕打ちを大したことではないと思おうとしていたのと似ていて二つの作品の共通点だと思います。
さらに島本理生さんの作品では女性が男性から酷い目に遭わされることがよくあり、デビュー10周年記念の今作にもその特徴が出ているのがとても印象的で、重要なテーマなのだと思います。

夏休みになってすぐ、黒江は百合に誘われてカラオケに行きます。
そこには亮、羽場先輩という男子達がいて亮は百合の元彼氏です。
カラオケボックスでの振る舞いを見ると百合は羽場のことが好きに見えましたが羽場は百合よりも黒江に興味がありました。
黒江は最初は羽場の素行不良な雰囲気に戸惑っていましたが話すうちに引かれていきます。

浦賀から久しぶりに黒江に手紙が来て二人の交流は続いていきます。
百合に勧められ黒江は冬馬をデートに誘います。
すると二人で寄ったショッピングモール内のマクドナルドで羽場が声をかけてきて黒江を連れて行きます。

百合が語っていた羽場との関係と羽場が黒江と話しながら百合について語ったことが違っていて、百合は羽場との関係を強調したかったのかなと思いました。
黒江と羽場は付き合うようになり、黒江が山崎にさらわれたことを話すと羽場が山崎を見つけてやると言います。
羽場は賢治というフリーターをしている男を呼んで協力してもらいます。
やがて山崎が見つかり羽場達がぼこぼこにします。
また羽場は黒江ときちんと付き合おうとしていて、粗暴な言動をしていても黒江のことを大事に思っているのが分かりました。

黒江がゲームセンターの出入り口でビラ配りのアルバイトをしていると賢治がやって来ます。
賢治は羽場のことを悪く言い、羽場も賢治のことを悪く言っていたことがあり、羽場も賢治も相手がいない時に黒江に相手の悪評を言います。
黒江はそれを真に受けやすくて根が素直なのだと思いました。

黒江が母親に反発すると母親は「やっぱり、言われた通りだった。子供の頃からちゃんと教育しておけば良かった」と言います。
誰に言われたのかがとても気になりました。

賢治が黒江のことを好きだと言い、羽場より自身と付き合ってほしいと言います。
2学期の初日、黒江が教室に入ると百合が黒江に対して冷たくなっていました。
百合は黒江が冬馬を置き去りにして羽場に連れて行かれたことに怒っていて、黒江は百合に無視され学校に居場所がなくなります。

賢治が黒江を飲みに誘いそこには羽場も来ると言います。
嫌な予感がし、黒江が飲み会の場所に行くとやはり百合がいました。
黒江はすぐに引き返し追いかけてきた羽場と口論になります。
黒江が「羽場先輩は、私の、神様じゃない。」と胸中で語っていたのがとても印象的で、彌生に対してやっと私だけの神様を見つけたと思った時と同じように、羽場のことも神様として見ていたのが分かりました。
好意を抱く男性を神様として見るのは強烈に依存することでもあり危険な状態だと思います。
黒江の心の描き方が凄まじくて読んでいて圧迫感があります。

黒江は羽場よりは賢治のほうがずっと自身を好きだと思い羽場と別れます。
しかしこれは自身を好きだと言ってくれる人に縋り付いているように見えます。
羽場が黒江は不安定なところがあるから気をつけろと言っていてそのとおりだと思いました。

賢治と付き合い始めると今度は賢治のことを不安に思っていて、そんなに毎回不安になるならしばらく誰とも付き合わなければ良いと思いましたが、それは黒江には無理だと思います。
黒江は居場所がなく常に誰かに寄りかかりたいという思いを抱いているのだと思います。

黒江は2年生になり怜と同じクラスになります。
何と百合が話しかけてきて黒江は仕方なく応じ、羽場と別れたのが影響していそうな気がしました。

左隣の席の佐々木光太郎が黒江に一緒に写真部を作らないかと言います。
古賀先生という人が部室を用意してくれ写真部の活動が始まります。
光太郎の家に行き写真を見せてもらうと黒江が久しぶりに楽しそうに話し、光太郎になら不安にならずに話せるのだと思いました。
光太郎は「藤枝さんは、○○な人ですね」とよく言い、言い方が彌生に似ていると思いました。
黒江の撮った写真を見た光太郎が黒江はプロになるべきだと言い写真の凄さを語ります。
黒江は生まれて初めて他人から認められたと胸中で語り、これは黒江が求めているものの一つだと思います。

賢治との場面になると緊張した嫌な雰囲気になります。
黒江は賢治と付き合うのが正しいと自身に言い聞かせていて、言い聞かせる時点で正しくはないのだと思います。
やがて賢治と連絡がつかなくなり私はそのまま別れたほうが良いと思いました。

偶然彌生に再会して黒江は泣き出します。
賢治とのことを話すと彌生が「そんなひどい男なんて、別れることが出来てむしろ良かったんじゃないかな」「そういうやつもいるってことが勉強になったし、良かったんだよ」と言い、かなり良いことを言っていると思いました。
「遠くの薄暗い空に浮かんだ月を見ながら、私はようやく長くて悪い夢から覚めたような気分になった。」とあり、やっと賢治とのことから抜け出せたのかとこの時は思いました。

賢治から電話がかかってきて黒江は会っても良いと言ってしまいます。
どうしてと思いましたが、少しでも自身のことを好きと言ってくれる人に依存する気持ちには抗えないのだと思います。
賢治が車で黒江を迎えに来ますが、カラオケボックスに財布を忘れたから取りに行って良いかと言い立ち寄ると賢治の友達の南と靖(やすし)が居て恐ろしい展開になります。
またしても賢治に裏切られ黒江は胸中で次のように叫びます。
神様、私はこの場で死んでもかまいません。だから今すぐ、こいつら、全員を殺してください!
女性が男性に酷い目に遭わされるのは今までに読んだ島本理生さんの作品で何度も見ましたが今作ほど恐ろしいのは初めて見ました。

数日後、黒江は「どんな理由があろうと、あんなふうに連絡を絶った相手を信じてのこのこ出かけていくなんて、私はどれほど馬鹿なんだろう。誰が聞いたって、おまえが悪いと言うに決まっている。」と胸中で語ります。
黒江は自身が悪いと自己嫌悪していますが悪いのは賢治達です。
高校を退学することにし塞ぎ込んでいる黒江を光太郎が訪ねてきて、光太郎と話すうちに黒江は東京に行って浦賀に会う決心をします。

黒江は東京に行く前に賢治に復讐しようとして一人で来てくれと言い公園で会いますが南と靖も茂みに潜んでいました。
賢治が一人で来るわけないのを見抜けないのは浅はかだと思います。
カラオケボックスでもその後の自己嫌悪でも黒江を馬鹿だとは思いませんでしたがこの場面では馬鹿だと思いました。
窮地の黒江を羽場が助けに来てくれ、別れたのに助けに来てくれるとは偉いと思います。

黒江は東京の渋谷に行き浦賀仁に会います。
家出したと言うと仁が家に下宿させてくれます。
仁は写真のことを教えてくれると言い、さらに基礎が身に付いたらアシスタントとして実際に現場に付いて来てもらうと言います。
仁との話し合いで黒江は東京の通信制の高校に入り直すことにし、母親から手紙が来て通信制高校に通いながら住み込みのアシスタントになるのを了承してくれます。
その手紙を読み終え黒江は何があっても家には帰らず東京でやっていくと決意を新たにします。


上巻では黒江の自身を好きと言ってくれる人への依存のしやすさがとても印象的でした。
そして「女性が男性に酷い目に遭わされる」という島本理生さんの作品によく見られる特徴が今までに読んだ作品の中で一番強く現れていたのも印象的で、デビュー10周年記念の作品がそうなっているところに島本理生さんのこのテーマへの思いの強さを感じます。
黒江は依存しやすい上に人を信じやすくもあるので悪意を持って近づいてくる人には酷い目に遭わされやすいです。
上巻で何度も酷い目に遭った黒江が下巻ではどうなるのか興味深く読んでいこうと思います。


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台風の後

2018-10-02 18:16:07 | ウェブ日記
先週末は台風24号で土曜、日曜ともに雨になりました。
特に日曜日は暴風雨になり大荒れの天気でした。

日曜日の夕方、突然空が明るくなり、何事かと思い窓から外を見たら雲がどいて青空が出てきました。
そして西の空に暮れていく太陽が姿を現し、数分でしたが日差しを浴びることができました。
土曜も日曜も全く日差しを浴びられなかったのでとても嬉しかったです

強い風がビュービュー吹いていて、閉めた窓越しに甲高い音が聞こえました。
窓を開けるとその風が吹き込み、降り続いた雨で沈みがちだった気持ちを爽やかにしてくれました。

やがて空にポツポツとあった台風の名残の雲達がそれぞれ夕焼けしました。
赤みがかったオレンジ色に染まりとても綺麗でした。

台風が通った次の日に台風一過の青空は何度か見たことがありますが、台風が通り過ぎた直後に一気に空が晴れる瞬間は初めて見たかも知れないです。
日が差した瞬間、やっと太陽が出てきてくれたと嬉しくなりました。
夕方に太陽を見ることができ、気持ちも明るくなれて良かったです
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あなごめし うえの

2018-09-29 17:38:37 | グルメ


7月22日と30日、広島県廿日市(はつかいち)市の宮島口駅近くにある「あなごめし うえの」に行きました。
このお店はかなり人気があり行列になっていることが多く、さらに夕方のうちに閉まるので前回山陽に住んでいた時は寄れませんでした。
7月22日は日曜日で、夕方に宮島(世界遺産厳島神社のある島)から戻ってきた時についに寄ることができました。



この時はあなご飯の上を頼みました。
ご飯は二膳弱で、穴子が二尾くらい入ります。



こちらは7月30日に寄った時に頼んだあなご飯の特上です。
特上はご飯の量は同じですがあなごの量が増えます。

食べてみてあなごの焼き方がかなり上手いと思いました。
炭火焼きでカリッと焼いていて、炭火の風味が強く出ています。
そしてあなごはさっぱりとした食べ心地になっています。
私はうなぎよりもあなごのほうが食べやすくて好きです。

ご飯はタレを絡めて炊いていて茶飯のようになっています。
漬け物も美味しく、しそ風味の漬け物、たくあん、菜っぱの塩漬けどれも美味しかったです。
さらにしょうがも美味しく、酸味の後に辛さがスーッと広がりました。
付け合わせまで美味しいのは嬉しいです。

これは大人気のお店になるわけだと思いました。
地域一帯で一番美味しいとも言われる評判どおりの美味しさでした。
あなご飯はお好み焼きや牡蠣とともに広島の名物でもあり、またいずれ食べに行ければと思います
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「毛利元就 第十四回 巨人とひよっこ」

2018-09-28 17:55:51 | ドラマ
今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第十四回 巨人とひよっこ」です。

-----内容&感想-----
毛利家は山陰の覇者になった尼子経久(つねひさ)の度重なる圧力に屈して尼子軍に与することになりました。
安芸の国(広島県)の鏡山城攻めを行う経久の本陣で、経久は幸松丸(こうまつまる)に尼子軍への合流が遅れた代わりにそれなりの働きをしてもらうと言い、毛利軍に先陣を務めてもらうと言います。
元就が自身に言ってくれと言うと、経久は「そなたは読みが浅く、決断が遅く、戦下手だ。9つの殿に申し上げたほうがまだマシと思うての」と馬鹿にしたことを言い、尼子軍からは笑い声が上がります。

1523年(大永3年)6月13日、戦いが始まりますが鏡山城の守りは堅く、毛利軍は何度攻めても落とすことができません。
軍議で元綱が元就にこれでは毛利の信用を無くすと批判します。
さらに元綱は全軍で一気にぶつかって敵の防御を突破するしかないと言いますが、元就は「それは兵を消耗させるだけで下手な手であろう」と言います。
元綱は批判ばかりで戦い方もいざという時にあまり良い策を考えられないと思いました。
何か策があるはずだと言う元就に元綱は「元就殿はいつもそうじゃ。いたずらに時をかせぎ、嵐が通り過ぎるを願い、かえって大きな嵐を招く!こたびもただちに尼子に付けば、経久殿とて病弱な殿を大将にせよとは申されなかったはずじゃ!」と食ってかかります。

大内方も厳島で謀反が起きすぐには鏡山城に援軍を送り出せない状況です。
義興(よしおき)は義隆に初陣の話をしようとしますがまたも遊び呆けていて激怒します。
「この大内がいかなる家であるか分かっておろう。我等が京都を発った今、幕府すら立ち行かなくなっておる。天下を動かすのはこの大内じゃと言うのに、朝から晩まで遊びばかりとは何じゃ!」
すると義隆は自身は天下を動かす家に好んで生まれてきたわけではないと言い、戦よりも書を読み、舞を舞い、歌を詠み、多くの者と遊び語らうのが好きで、そんな自身に天下を担えと言われても荷が重いと言います。
義興は義隆を殴り、「息子一人導けぬわしが、厳島で謀反が起きても道理じゃな」と言っていて寂しく聞こえる言葉でした。
義隆は立派に初陣を飾って見せると言いますが、涙を流しながらこのような家に生まれたくなかったとも言い、望んでいないのに大内のような家に生まれるのも大変なのだと思いました。

鏡山城の秘密の間道(かんどう、抜け道のこと)でも突き止めない限り城を落とせないと見た元就は重臣の井上元兼(もとかね)から鏡山城主の蔵田房信(ふさのぶ)と叔父の蔵田直信(なおのぶ)のことを聞きます。
元兼は房信は忠義者で戦上手でいかなる手も通用せず、直信は小心者で欲深く、落ち着きのない男だと言います。
これを聞いた元就は策が閃いて忍の小三太(こさんた)を呼び、蔵田軍に大内は厳島の謀反で手こずり合力(ごうりき、援軍のこと)が出せないという噂を流すのと、直信の側近に元就が会えるように手はずを整えてくれと言います。

数日後、小三太は元就のもとに直信の側近、湯浅信行を連れてきます。
元就は信行に、直信の手により房信の首を獲れば余計な血を流さずに戦を終わらせることができ、蔵田家も断絶せずに残ると言い、さらに房信の所領は全て直信に渡すと言います。
大内の本隊は謀反で援軍には来れず、元兼によって大内との縁が切れてはいない毛利の言葉だから信じられるだろうと言い信行を信じさせます。
直信は元就の条件を飲み鏡山城への間道を教え、元就率いる毛利全軍はその間道を進み鏡山城に攻め込みます。
直信は自身の家臣達とともに房信に刃を向け、切腹すれば妻子と家臣の命は助けると言い鏡山城は開城に向かいます。

元兼が経久のもとに行き、鏡山城開城の手はずが完了したことと、ただちに房信を切腹させるから妻子と家臣の命は助けて良いかと言います。
重臣の亀井秀綱はそのような条件は前もって経久に相談すべきことだと怒り、重臣の宇山久兼(ひさかね)は何も言わずに進めたのは元就が手柄を独り占めしたかったからではないかと言います。
経久は微笑みながら「元就、やってくれたのう」と言い妻子と家臣の命を助けると言います。
しかし元兼が帰ると表情が険しくなり、低い声で「元就、やってくれたな」と言い怒っているのが分かりました。

翌日房信が切腹して鏡山城は尼子の手に落ちます。
房信の首検分が行われ、病弱な幸松丸を心配した元就が首は自身が見ると言うと、幸松丸は「馬鹿にするでない!」と言い討ち取られた首を見ますが気持ちが悪くなり倒れてしまいます。

元就が直信を経久に引き会わせると経久は妻子と家臣の命は助けると言いますが、直後に刀を抜いて直信を殺してしまいます。
「このような裏切り者、次はわしを裏切る」という言葉が印象的でした。
しかし経久も武田元繁(もとしげ)を裏切っているので人のことは言えない気がしました。


毛利元就(画像はネットより)

経久は元就に「そなたもわしを裏切っておったようだな。大内と繋がっていたゆえ、こたびの調略が叶うた」と言います。
元就が必死の顔で「つながってはおりませぬ!」と言っても経久は信じず元就の首に刀を向けます。
殺しはしませんでしたが「斬って捨てるにも値しない。直信以下だ」と言い元就は打ちひしがれてとても悔しそうな顔をしていました。

猿掛(さるかけ)城に元就が帰ってきます。
勝ち戦だったのに茫然自失の顔の元就を見て出迎えた美伊(みい)、杉、美伊の侍女の藤野、杉の侍女の久(ひさ)は不審に思います。
みんなで祝い酒を飲んでいる時も表情が晴れない元就に、留守を守っていた祖父の福原広俊が幸松丸がまた倒れたことを知らせ、元就は郡山城に行きます。
美伊と杉は家臣に元就の身に何があったのかを聞きます。

美伊、杉、藤野、久で話をし、美伊は直信が殺されては元就の面目は丸潰れでそれでは喜べるわけがないと言います。
元就の調略を杉が人を騙すのは良くないと言うと、美伊は調略によって味方の犠牲を最小限に抑えることができたのだと言い、藤野も戦って手勢を失うのも戦なら舌先三寸で丸め込むのも戦で、調略は武器だと言います。
調略について意見が割れたのが興味深く、私は家が生き残るには必要だと思います。
杉が自身は仏の道を極めているから元就が地獄に落ちないか案じられると言うと、美伊と藤野がいなくなった後で久が「されど杉様。仏の道はもう飽きたと、3日ばかりで投げ出されましたよな」と突っ込んでいるのが面白かったです。

元就は美伊に「わしゃあ、半端な人間じゃ。経久殿のように冷酷な調略も使えぬし、何をやっても半端で道が定まらぬ」と苦しい胸中を明かします。
すると美伊が次のように言い励まします。
「半端な人間が、一番楽しみでござります。道の定まった人間は、もはやそれしかないということ。半端な人間は、どれもこれも可能になるということ。半端な人間ほど、勝ったようなものにござります」
「殿、美伊に何でも愚痴を言うて下さりませ。そして一歩外に出たら、凛々しい武将に変わり、帰ったらまた、美伊に愚痴をこぼされませ」

これを見て何て器の大きな素晴らしい奥方なのかと思いました。

出雲の杵築(きずき)大社(出雲大社のこと)に居る経久のもとに裏で経久と通じる毛利家重臣の桂広澄(ひろずみ)から火急の文が届きます。
そこには幸松丸の命が今日明日までしか持たないと書かれていて、経久は「元就を決して当主にしてはならん」と言います。
久兼が「鏡山城の蔵田直信の調略、実は元就を買っておられますな?」と言うと経久はにんまり笑いながら「元就は困る」と言い、その力を認めているのが分かりました。

毛利家の重臣が郡山城に集められます。
幸松丸と二人にしてもらった雪が「幸松丸、丈夫な体に生んでやれず、すまなかったのう。もう楽におなり。元気に父上のもとに走っておいき」と言っていたのがとても悲しかったです。
幸松丸が亡くなり、「時が止まったような静けさは、毛利家の波乱を暗示するものでした」というナレーションが印象的でした。


郡山城の毛利本家は跡継ぎがいなくなります。
元就か元綱が後を継ぐことになり、いよいよ元就が毛利を背負って立つ日が近づいてきました。
しかしその前には元綱との跡目争いがあり、経久が元就を当主にするのを阻止するために動くことも予想され、元就が毛利を背負って立つ前の山場を見届けたいと思います。


第一回  妻たちの言い分
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第四回  女の器量
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
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「毛利元就 第十三回 戦乱の子誕生」

2018-09-26 18:07:58 | ドラマ
今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第十三回 戦乱の子誕生」です。

-----内容&感想-----
安芸の国(広島県)を舞台に大内と尼子の直接対決が始まろうとしている時、美伊(みい)の兄で吉川家当主の元経(もとつね)が壬生城攻めで討ち死にします。
冒頭から波乱の展開で驚きました。
元就の異母弟の相合(あいおう)元綱の妹、松姫との間にできた嫡子、千法師(せんぼうし)はまだ5歳でした。

吉川家に山陰の覇者となった尼子家重臣の宇山久兼(ひさかね)と亀井秀綱、さらに毛利家の元就、元綱、重臣の桂広澄(ひろずみ)が集まって今後の話し合いをします。
久兼は吉川家を支えるのは尼子経久(つねひさ)を始めとする親戚縁者達で、今こそ親戚縁者が固く手を取り合わねばならないと言います。
さらに経久は大内方の鏡山城を攻めようとしているので、その時が来たら毛利家は吉川家とともに尼子方に付いて大内方と戦うように言います。
元就が毛利は父祖の代から大内に与していると反発すると、久兼は大内と手を切り尼子に与することを約束するように迫りその場を去ります。

元綱は元就に尼子に与するべきだと言います。
元就が経久はいざとなれば信義も何もないと言うと、元綱は武将は力を持たねば価値がないと言い、元就がそのためなら何をしても良いのかと反発すると次のように言います。
「裏切り、調略、それは悪ではござらぬ。戦の世には当然のこと」
まるで中国地方10ヶ国の覇者、120万石の大名に上り詰める時の元就のようなことを言っているのが印象的でした。
元就が元綱の言葉に「信義なきは悪だ」と言っていたのも印象的です。

それから間もなく元就、元綱、広澄、重臣の井上元兼(もとかね)、重臣の渡辺勝(すぐる)は大内家重臣の陶興房(すえおきふさ)に呼び出され鏡山城に行きます。
興房は次のように言います。
「わしらが京都におる間に、武将の有りようがすっかり変わってしもうた。いかなる手を使っても力を蓄え、裏切りに次ぐ裏切りを恥とも思わず、上に立とうとする。武将の信義など、どこにもござらぬ」
これは経久のことを言っていて、ここにも信義という言葉が出てきます。
さらに9歳の幼き毛利の殿、幸松丸(こうまつまる)と大内家の重臣、杉重清の娘の菊姫との縁組を考えてほしいと言います。
興房は微笑みながら「縁組など結ぼうが結ぶまいが毛利家が大内に対して信義を尽くしてくれることは、御屋形様(大内義興(よしおき))もよう存じておる」と言いますが、信義を尽くすとは限らないから縁組で関係を強化しようとしているのは明らかでした。
毛利は尼子からも大内からも戦になったら与するように言われ苦しい状況になります。

亡き毛利興元(おきもと)の正室、雪は大内と尼子どちらに付くか、元就に一任すると言います。
裏で尼子に通じる広澄は元綱、勝と話し合いをします。
元綱は信義などと言っている元就は甘く、今は力で他国をねじ伏せる時代、尼子の時代だと言います。
広澄は鏡山城の戦を機に大内と手を切り尼子に付くべきだと言います。
しかし勝は経久の調略の切れ味に惚れ込み広澄と手を結んだのに、今の経久は切れ味どころか力で弱き者を威圧してくると言い、経久に付くのに疑問を持ち始めているのが分かりました。

猿掛(さるかけ)城では美伊が元就にややができたと言います。
しかし元就は大して喜ぶ素振りも見せず、鬼吉川と恐れられた吉川家は元経が亡くなりわずか5歳の千法師が当主になったのに対し、いつ潰されてもおかしくなかった毛利家が生き残りその上ややができた運命の巡り合わせを不思議がります。
これには美伊も不機嫌になり、そこは素直に喜べと思いました。
1523年(大永3年)4月、美伊は元気な男の子(幼名は千代寿丸(ちよじゅまる)、後の毛利隆元)を出産します。
杉や杉の侍女の久(ひさ)、美伊の侍女の藤野が次々と千代寿丸を抱き上げて楽しそうにしていましたが、大内と尼子の戦が迫る中つかの間の平穏だと思いました。

美伊は元就に経久の正室、萩(美伊の叔母)から尼子と大内が戦になったら尼子に付くように元就を説得してほしいという手紙が来たと言い、説得などする気はなく元就が思うように決めれば良いと言います。
ただし死んでほしくないので手柄など無用だから危ないと思ったら逃げてくれと言い、孫子(そんし)も兵法という書物で兵力が劣っている時は逃げろと言っていると言います。
「生きてさえいれば、人間勝ったようなもの」という言葉が胸に迫りました。

大内家では亀童丸(きどうまる)が元服して義隆となり、女子達と遊び呆けていて義興が怒ります。
「義隆!大内は今西国一の大名じゃ。京都にさえ力を及ばしておる。されど!今一度言う。財も力も、必ず衰える時が来る。そうならないようにするのが、そちの務めであろう!」
これは印象的な言葉で、義興は大内がずっと安泰とは限らないのをよく分かっているのだと思います。
後に大内を滅亡させることになる義隆にこの言葉が届かなかったのが寂しいです。
「義隆、戦や政(まつりごと)しかできぬ男も恥じゃが、遊びしかできぬ男も恥じゃ」も印象的な言葉でした。

重臣の内藤興盛(おきもり)が義興に厳島で大内への謀反が起こったと伝えます。
厳島は安芸攻略への海の砦で、謀反が起きて鏡山城が孤立してしまいます。
義興はすぐに毛利に使いを出して尼子が鏡山城を攻める時は必ず大内に与するように言えと興盛に言います。

出雲の月山富田城(がっさんとだじょう)では久兼が厳島謀反が殿の調略とはさすがの大内も気付いていないと言い、経久が裏で動いていたことが明らかになります。
経久は久兼にすぐに毛利に使いを出し、大内方の鏡山城を攻め落とすから尼子に与するように言えと言います。
「鏡山城を落とし、大内に深手を負わすは、天下を手に入れる第一歩だ」という言葉が印象的でした。

尼子軍はすぐに安芸の鏡山城に向けて出陣します。
毛利家では評定(ひょうじょう)が開かれ、広澄、元綱、勝、元就の祖父の福原広俊が尼子に付くべきだと言い、元兼だけが大内に付くべきだと言います。
勝が周辺の国人衆はほとんど尼子に付いていて、今大内に付くのは死ぬことに等しいと言い、広俊も厳島で謀反が起きて鏡山城の背後が脅かされては大内に勝ち目はないと言います。
元就は鏡山城の戦だけを見れば尼子に付くのが得策だが長い目で見た時に尼子に付いて安心か、経久を信じられるのかと言います。
元就は経久の狙いが安芸に留まらず天下を手に入れることだと見抜いています。

元就は美伊に次のように言い無念の気持ちを露にします。
「この世は力だけか。強き者にひれ伏し、強き者をうかがい、強き者に取り込まれるのか。信義はないのか。経久などに取り込まれとうはない。されどわしには、はね返す力がないのじゃ」
美伊は「命さえあれば、人の世はどう転ぶか分かりませぬ。生きて生きて生きて、殿が信義の世をお作りなされませ。今、力がないゆえ、先が面白いのでござりましょう。力がある者は、後は転がり落ちるばかりにござります」と言い励まします。

元就はついに尼子に付くことを決断し、郡山城にやって来た久兼に毛利は尼子に付くと言います。
すると久兼が経久の言葉として尼子に付くならわずか9歳の幸松丸を大将にして先陣を務めるように言い毛利家を驚愕させます。
早く尼子に与しなかったことへの経久の嫌がらせでした。


尼子経久(画像はネットより)

1523年(大永3年)6月、幸松丸を大将にして毛利軍は尼子方として鏡山城を攻めることになります。
元就と幸松丸が経久の本陣に行くと経久は「毛利元就、今頃やってきて恥ずかしくないか」と元就を冷たく見据えながら言います。


今回は信義という言葉が何度も出てきたのと最後にはその思いが尼子という強大な力にねじ伏せられたのが印象的でした。
そして元就を励ます美伊の姿も印象的で、かける言葉は自愛に満ちていました。
今回元就が直面した辛い経験も、やがて中国地方の覇者に上り詰めることにつながるのだと思います。


各回の感想記事
第一回  妻たちの言い分
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第四回  女の器量
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十四回 巨人とひよっこ
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