読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

進化した携帯電話

2017-06-28 23:56:27 | ウェブ日記
先日電車に乗っている時、隣の席に座っていた女子高生がスマートフォンかiPhoneを使って話をしていました。
耳にかざすのではなく目の前に置いて、音がスピーカから出てくるようにして、相手の姿が映し出されているのを見ながら話しているようでした。
隣の席に座っていた女子高生は静かに語りかけていました。

「今日どうした?」

「泣いてるの?」

語りかけながら「うん…うん…」と静かに相手の言葉を聞いていました。
どうやらその日に高校で相手の子の様子がおかしかったらしく、隣の席に座っていた女子高生は心配して電話をかけていたようです。
語りかける声がとても静かでありながら感情がこもっていて相手のことを心配しているのが伝わってきて、何だかしんみりとして悲しい気持ちになりました。

そして私が高校生だった頃の「携帯電話」は今やスマートフォンやiPhoneに進化して、「電話をかける」こと一つを見ても使い方が変わってきました。
この女子高生のようにスマートフォンかiPhoneを目の前に置いて音がスピーカから出てくるようにして、相手の姿を見ながら話す使い方は私が高校生の頃はなかったです。
携帯電話の進化とともに友達との電話の仕方も変わってきたのだなと思います。
離れた場所にいても相手の姿を見ながら話せるのは、それだけ相手との繋がりが深くなるということで、必ずしも友達付き合いを楽しくするばかりではないかと思います。
それでもこの女子高生のように、必要とする場合もあるのだと思います。
進化した携帯電話を上手く使って高校時代の青春を楽しんでいってほしいと思います

モヤモヤを言葉にして吐き出す

2017-06-25 21:45:10 | ウェブ日記
毎日を暮らしていると、日によっては凄くモヤモヤとした気持ちになることがあります。
うんざりとした気持ちや怒りの気持ち、落ち込みの気持ちなどがないまぜになって、何もする気が起きなくなるような気持ちです。
そんな時、心の中のモヤモヤを言葉にして吐き出すとすっきりとした気持ちになります。
誰かに話して聞いてもらうのも良いし、ブログやツイッターなどで言葉にするのも良いです。
心の中のモヤモヤを何もせずにそのままずっと押し留めていると消化不良を起こしてしまうかも知れないです。

私は近年はあまり書かなくなっていますが、たまにブログやツイッターでモヤモヤとした気持ちを書こうかなと思うことがあります。
いくつかの気持ちがないまぜになっているので、思い浮かんできた気持ちを一つ一つ書いていくと、自分自身の気持ちを整理することができます。

話しているうちに、あるいは書いているうちに、自分自身がどんな気持ちでいるのかが見えてきます。
別の気持ちにとらわれていてあまり意識していなかったような気持ちが強く心の中にあることが分かったりすることもあるので興味深いです。

モヤモヤとした気持ちを長引かせないためにも、モヤモヤを言葉にして吐き出すのは重要なことだと思います。
特に梅雨の時期に雨が何日も続くような時は気象も相まってよりモヤモヤとした気持ちになるかも知れないので、そんな時こそどんどん言葉にして吐き出してあげたいと思います。

夏至

2017-06-21 19:38:38 | ウェブ日記
今日は朝起きた時から強い雨が降っていました。
体が持っていかれたり傘が壊されるような強風も吹いていたので、外を歩く時は傘を短く持ち足に力を入れながら歩きました。
雨も風も強くまるで台風のようでした。
梅雨入りしてから最初の二日以外はほとんど晴れていたので待望の雨でもあり、今まで降っていなかった分を取り返すかのような大雨でした。
これから花を咲かす紫陽花もまだあると思うので、この雨で元気になってほしいです

今日は一年で一番昼間の時間が長い夏至の日です
夏至の日は晴れれば昼間の時間の長さを実感するので私は夏至の日には晴れてほしいと思います。
しかし今日は朝から雨になりました。
昨日まではなかなか雨が降らず晴れの日が続いていたのですが、一番晴れてほしい夏至の日にようやくの雨が降るところに天気の妙を感じます。

それでも夕方になると雨が上がりました。
雲に覆われていた空からわずかに日差しが見え、その後は太陽の姿が見えるようになりました。
青空にはならなかったですが夏至の日に太陽を見ることができて良かったです

甘味喫茶 おかげ庵 本わらび餅と抹茶

2017-06-19 21:07:29 | グルメ


6月4日に茶屋ヶ坂公園の紫陽花を見た後、「甘味喫茶 おかげ庵」というお店に寄りました。
茶屋ヶ坂公園のすぐ近くにあり、コメダ珈琲店と同じ系列のお店なので興味を持ちました。
団子やあんみつ、抹茶など、和菓子や和の飲み物があるのがコメダ珈琲店との大きな違いでした。

私は「甘味とドリンクのセット」を頼みました。
それぞれ何種類かある中から好きなのを選べ、私は和菓子と和の飲み物で一息つこうと思い本わらび餅と抹茶を選びました。



本わらび餅は凄く柔らかく、食べるとあっという間にとろけていきます
そしてきなこと黒蜜による和の甘さが良かったです。
普段は生クリームやアイスクリームなどの洋の甘さに慣れていますが、たまには和の甘さも良いと思います。

抹茶はやはり苦いですが茶葉の香りに惹かれるものがあり、飲むと熱さと滑らかさが一体となった味わいにホッとした気持ちになります。
コーヒーも同じく苦いですが飲むとホッとした気持ちになり、一見ホッとできなそうな「苦さ」でホッとできるのが面白いです。
抹茶もコーヒーも自然とゆっくりと飲むようになることもホッとした気持ちなるのに関係していると思います。
休日に散策に出掛けた後はゆっくりとコーヒーや抹茶を飲んでホッとした気持ちになるのも良いものです

平凡な休日の良さ

2017-06-18 19:31:25 | ウェブ日記
今日は午前中にこの春名古屋にオープンした「タカシマヤ ゲートタワーモール」という大型商業施設に寄ってみました。
JR名古屋駅に直結していて、タカシマヤとあるように高島屋と連絡通路でつながっています。
ここには大型の三省堂書店が「東海地方最大の品揃え」と銘打って入っていて、もしかしたら他の書店にはなかった小説があるかも知れないと思いました。
そうしたら読みたかった蓮見恭子さんの「襷を、君に。」という小説を見つけることができました
「シマイチ古道具商 ―春夏冬(あきない)人情ものがたり―」という小説で初めて読んだ作家さんで、高校生の駅伝を描いた青春小説の「襷を、君に」も読んでみたいと思いました。
今読んでいる小説が読み終わったら読んでみようと思います。

午後は熱田神宮に参拝し、熱田神宮には本殿以外にもたくさんの社があり一ヶ所まだ参拝できていなかったのですが、そこに参拝することができました。
今日は写真をたくさん撮りに行ったわけではなく、午後の時間で参拝できていなかった残りの一ヶ所に行ってみようと思いました。
本殿にも参拝し、神聖な気持ちになりました。

今日は特に紫陽花などの写真を撮りに出掛けることもなく、よくある平凡な休日を過ごしました。
そして平凡な休日も良いものだと思います。
近い場所に軽く出掛けるくらいで合間にカフェでコーヒーを飲んだり小説を読んだりしながらゆっくりと過ごし、良い休日になりました

「わたしたちは銀のフォークと薬を手にして」島本理生

2017-06-17 22:56:50 | 小説


今回ご紹介するのは「わたしたちは銀のフォークと薬を手にして」(著:島本理生)です。

-----内容-----
限られた時間。
たった一度の出会い。
一緒に焼き鳥が食べられるって、一緒に生きていけるくらい大切なことなのかもしれない(知世)。
がんばったな、わたし。不毛な恋愛しながら、毎日会社に通って、笑ってお茶汲んで(茉奈)。
結婚して子供もいる。欲しかったものは全て手に入れたはずなのに(知夏)。
どうして人生には、結婚以外の正解が用意されていないのだろう(真澄)。
特別じゃないわたしたちの、特別な日常。

-----感想-----
12編による連作短編になっています。
季節は春、最初の語り手は石井知世(ちせ)で年齢は30歳です。
久々に出勤のない土曜日、椎名さんという男性から蟹鍋の誘いが来るところから物語が始まります。
知世は思い切って誘いを受けます。
知世は仕事で重大なミスをして落ち込んでいました。

椎名とは月に二回くらいデートしています。
ただし付き合っているわけではなく、知世は周りにいるちょっと良い感じの女友達の一人と扱われているのだろうと思っています。

椎名に誘われて江の島にドライブに行きます。
桜を見て生しらす丼を食べようと言っていました。
お店で生しらす丼を食べていると友達の茉奈からメールが来ます。
本の帯に名前があったので物語が進むと茉奈の話もあるのかなと思いました。

知世は椎名のことが好きになりますが、椎名の方は付き合うことに乗り気ではないです。
なぜなのかと知世が言うと、椎名は自身がエイズであることを告白します。
島本理生さんの小説では女性が深刻な目に遭うことがよくありますが、男性は珍しいなと思いました。
知世は戸惑いますが椎名への恋心は変わらないです。

知世が初めて椎名と会った時のことを思い出して椎名の雰囲気について胸中で語っていました。
そう、本当に明るかったのだ。まるで降りかかるつらい出来事なんて、すいすいかわして生きてきたみたいに。
知世が最初に椎名と話した時の印象はこのように明るく悩みなどないように見えていましたが、実際にはエイズという難病を抱えていました。
明るい人が何も悩んでいないとは限らないということです。

次は雨の降る6月に新宿でのデートになります。
椎名とご飯を食べていると茉奈からメールが来て、デートの後は四ツ谷に行って茉奈と飯田ちゃんという女友達に会います。
この三人はとても仲が良くてよく一緒に飲みに行ったり恋愛相談をしたりしています。

梅雨明けが近づいた頃、大阪に出張することになった椎名に誘われ知世も大阪に行きます。
本当はこの日が誕生日の知世のために夕方から都内のフレンチのお店に行くことになっていたのですが椎名が急遽大阪に出張になったため、知世の誕生日祝いを大阪でしてくれることになりました。
しかし大阪で知世は椎名が病気になった過去のことを話してくれないことへの我慢などによる気持ちの緊張状態が限界になります。
どうして良いか分からなくなって茉奈と飯田ちゃんにメールしかけた知世はとっさに飯田ちゃんだけにメールをしていました。
これは茉奈のことを信じていないわけではなく、友達にもそれぞれ性格があり、性格による向き不向きがあるからだと思います。
茉奈は直情型の性格なので知世がどうして良いか分からないというメールをすれば一緒に感情移入して混乱するかも知れないため、冷静な性格の飯田ちゃんだけにメールをしたのだと思います。
電話をかけてきた飯田ちゃんが椎名と話し、知世の「昔から我慢しすぎて突然嫌になるタイプ」という性格を椎名に言ってくれていました。
良い友達だと思います。

知世の次の言葉はとても印象的でした。
たくさんのよけいなことを考えて、いくつもの現実をこなさなければならない。私たちは、そういう生き物だ。
人間はそういう生き物ということです。
私も考えたくなくても余計なことが頭に思い浮かんでくるタイプなのでその煩わしさがよく分かります。

本格的な夏が来る前に知世、茉奈、飯田ちゃんの三人で箱根に旅行に行きます。
三人で温泉旅館の部屋でくつろいでいる時、茉奈が時々会っている会社の先輩の彼女のブログを見ていることが明らかになります。
先輩は彼女と同棲しているのですが茉奈に二股をかけています。
茉奈は先輩の情報を辿っているうちに偶然彼女のブログを見つけ、以来見るようになっています。
茉奈はとても感情移入しやすいタイプで、先輩の彼女がブログに疲れていることを書けば先輩に「もっと大事にしてあげろよ!」と憤り、知世が椎名の病気が重いものだと話したら泣きそうになっていました。

真夏になり知世と椎名は二人で静岡県の大井川鉄道のSLに乗ります。
そしてSLに乗って山の上に行き、そこから山奥の温泉旅館に行きます。
そこで妹の知夏からメールが来て、好戦的で態度の大きい言葉に驚きました。
応対するのにうんざりした知世はスマートフォンの電源を切っていて、姉妹の仲が悪いのが分かりました。

茉奈が語り手になる話があります。
茉奈は事務の仕事をしていて、冒頭で会社の先輩こと三宅と飲んでいます。
三宅は同棲している彼女は静かに家でお花を育てているようなタイプの人なのですが茉奈とは下町の居酒屋に行ったりします。

ある日知世、茉奈、飯田ちゃんの三人が通称「五ツ星」と呼んでいる(店員のイケメン具合が五ツ星とのことです)お店で飲むことになった時、知世が椎名を連れてきます。
飯田ちゃんはファッション誌などの雑誌でフリーライターをしていて、女性同士の時は強気でさばさばした言動が多いのですが男性を前にすると業界慣れしているので気の効いた女に変貌するとあり、椎名にも変貌していました。

茉奈と飯田ちゃんが二人で話していた時に知夏の話題になり、「あの態度のでかい妹」と言っていました。
二人が知世の実家に遊びに行った時、お土産のお菓子を目の前で開け、こちらには一切よこさずにその時遊びに来ていた自分の彼氏と全部食べてしまったとあり、とんでもない人物だなと思いました。

三宅が彼女のことを悪く言い別れるのを考えているようなことを言います。
茉奈は三宅の心境を「体育会系の営業マンなので、美術館の学芸員をして家ではお花を育てたりしている彼女といざ結婚して暮らすとなれば上手くいかないことを薄々悟っている」と予想していました。
そして「それなのにどうしてわたしを選ばないのか、その理由だけが分からない。」と語っていました。
選ばれない理由が何かあるのかもと思いました。
またこの話の中で茉奈の本名は藤島茉奈だと分かりました。

茉奈は結婚相談所に行きます。
三宅に見切りをつけて新たな出会いを求めます。
この結婚相談所の話は茉奈が自身の理想が高すぎることを指摘されて愕然としたり、相談所の斡旋で変な男性が出てきたりして面白かったです。

秋の日曜日、知世と椎名は二人でお昼ご飯にお好み焼きを作ります。
そしてお好み焼きを食べながら、知世が前の奥さんと会いたいと言います。
これは凄い展開だと思いました。
秋が深まった頃、知世は椎名のところに引っ越して同棲します。

飯田が語り手の話になります。
本名は飯田真澄と分かりました。
飯田は中目黒のカフェバーで一緒になったのがきっかけでグラビアアイドルの莉穂と知り合います。
莉穂は「いま六本木でーす。一時間以内にしゅうごうね」というように突然呼び出してくることがよくあり、飯田はそのたびに振り回されていました。

飯田の実家で兄と話す場面があり、「正直さ、ライターの収入だけだと生活できないんだよね」と言っていました。
それもあるので莉穂の勝手な呼び出しにも仕事につながるかも知れないため律儀に応じているのだと思います。
莉穂に呼び出されたバーで飯田は新たに智哉というミュージシャン、桐生という有名な音楽雑誌の編集長と知り合います。
飯田は桐生のことが好きになります。
また莉穂とは予想外に親しくなり、忌憚なく話している様子が良かったです。

瀬戸知夏が語り手の話もあります。
知夏は勝手すぎる自分のことは棚に上げて夫の有君に知世のことを悪く言っていました。
しかし有君はあまり同意はせずに「そこまで言わなくても、いいんじゃないかな」と言っていました。
そんな有君に対し、知夏は最近有君が何を考えているのか分からなくなっているとありました。
これは知夏があまりに好き勝手なことばかり言っているから有君が愛想を尽かし気味なのではと思います。

別の日、向かいの棟の奥さんの悪口と知世の悪口を言う知夏に対し、有君が「前から思ってたけど、知夏って、ちょっと性格悪いと思う」と言います。
この言葉に知夏は衝撃を受けます。

ただし有君が全て正義なわけではなく、ある日知夏は有君のスマートフォンを見て会社の女の人とメールしていることを知ります。
これを見て激怒した知夏は金森という女友達に誘われ自身も浮気に乗り出すようになります。
予想外の展開で一体どんな結末になるのか気になるところでした。

椎名は知世の実家に行って両親に挨拶をし、エイズの病気のことも話そうと考えます。
しかし両親からは交際に猛反発されます。
これは当然とも言える反発で、まず世界的に表向きは「エイズの人を蔑視するのはやめましょう。私達と同じように接しましょう」という意見こそ素晴らしいとみんな口を揃えます。
ところがいざ自分や自分の家族がエイズの人と交際することになった場合は、拒否反応を示す人がかなりいる気がします。
「エイズの人を蔑視するのはやめましょう。私達と同じように接しましょう。ただし自分と自分の家族に接触するのは一切お断り」が心の底にある言葉の本当の姿の気がします。
私も全く拒否反応を示さない自信はないです。
現時点では発症を抑え込むことはできてもウイルス自体を根絶させる特効薬はないので、万が一感染した場合に死ぬかも知れないという恐怖がエイズへの拒否反応につながるのだと思います。
最初に拒否反応が出るのは人間の心としては当然で、そこから気持ちを落ち着けていき、拒否反応と折り合いをつけるのが重要なのではと思います。


椎名が偉いのは、知世がエイズという言葉に拒否反応を示した時にそれが当然のものとして受け止めたことでした。
知世は椎名のエイズという病気について全くの無の境地になるのは無理で不安を感じてはいますが、それでも一緒に暮らしていきたいと思っています。
かなり薬が進歩して発症を抑えられるようになっているとあるので、平穏な暮らしが長く続いていくことを願います。


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本光寺 深溝松平の寺

2017-06-16 23:46:53 | フォトギャラリー
「本光寺 お寺に咲く紫陽花」では紫陽花を中心としたフォトギャラリーだったので、今回は本光寺の像や建造物を中心にご紹介します。
本光寺は徳川と縁が深く、深溝(ふこうず)松平家の初代当主、松平忠定によって建立されました。
歴史を感じるものがたくさんあり興味深く見て歩きました。


-------------------- 本光寺 深溝松平の寺 --------------------


本光寺の山門にやってきました。


山門を通り右手を向くと、奥に階段が見えます。


三界万霊塔(さんかいばんれいとう)。
三界とは、無色界(むしきかい)、色界(しきかい)、欲界(よくかい)の三つを指します。
そしてこの塔は三つの世界、全ての精霊に対して供養することの大切さを示しています。


天妙院殿。
天妙院は島原藩主深溝松平家第9代当主、松平忠侯(ただこれ)の正室だった人で、近江彦根藩の第13代藩主、井伊直中(徳川家臣の名門、井伊家)の娘です。




階段を上っていきます。


門が見えてきました。


階段沿いに紫陽花もたくさん咲いています。




東御廟所(ひがしごびょうしょ)。
深溝松平家第6代~19代当主の墓所です。


深溝松平家は途中から島原藩(現在の長崎県)に移ったのですが、代々の藩主は亡くなると深溝松平家の菩提寺である本光寺に埋葬されました。
それぞれの墓所には家紋の「重ね扇」が印されています。






階段を下り、戻ります。


本光寺の本堂です。


梵鐘(ぼんしょう)。
「本光寺 お寺に咲く紫陽花」にも書きましたが徳川三代将軍家光公の勅命助成により、日本の平和、国民の厄難消除を願って、吉田城主松平忠利公が金、銀、銅を使って鋳造しました。
鐘には徳川家康公、家光公の名が記載されています。


深溝(ふこうず)松平家は松平一族の一つです。
徳川家康も元々は松平姓であり(家康は松平宗家)、深溝松平家はその分家となります。
先祖を遡ると徳川家康と共通の祖になります。


「感謝観音」。
「「ありがとう」という感謝の言葉が言えることは幸せなこと」とあり、たしかにそうだと思いました。
自分自身に対し、誰かが善意を向けてくれているということです。


肖影堂。


深溝松平家第5代当主、松平忠利の廟(びょう、墓所のこと)です。
忠利の忠は、徳川二代将軍、秀忠の前で元服した際に一字を貰っています。
忠利が吉田城主の間に家康は吉田城に5回宿泊、秀忠は4回宿泊、家光は3回宿泊していて、忠利がいかに将軍家から信用されていたかを示しています。






肖影堂の後ろに階段があります。


階段を上ると「願掛け亀」があります。
亀の襟首に賽銭が入ると願いが叶えられ、万年幸せになるとのことです。
賽銭を投げてみたら見事に襟首に入って嬉しかったです




深溝松平家7代当主、松平忠恕(ただひろ)の廟です。
歴代の藩主の中で最も多難だった人で、天災、地変、飢饉、凶作、普賢岳の噴火に見舞われ苦難の藩政だったとのことです。




御先祖堂。
西御廟所とも呼ばれていて、深溝松平家の礎を築いた初代~四代当主の墓所です。


初代は忠定、2代は好景(よしかげ)、3代は伊忠(これただ)、4代は家忠です。
案内板を見たら桶狭間の戦い(織田信長対今川義元)、三方ヶ原の戦い(徳川家康対武田信玄)、長篠の戦い(織田信長・徳川家康対武田勝頼)といった有名な合戦に参戦したことが書かれていました。
この人達が戦国時代に礎を築いてくれたおかげで深溝松平家は長く続いたということで、偉大な人達だと思います。

というわけで、本光寺を歩いたことによって深溝松平家のことを知りました。
徳川との深いつながりが分かり、梵鐘のように当時の将軍と直接関わるものまで見ることができて面白かったです


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本光寺 お寺に咲く紫陽花

2017-06-14 22:24:50 | フォトギャラリー
6月10日、愛知県幸田町にある本光寺に行きました。
紫陽花の名所とあり、お寺も好きなのでぜひ見てみたいと思いました。
閑静な地域の小高い場所にあり、上り坂を上っていった先でたくさんの紫陽花たちが迎えてくれました。


-------------------- 本光寺 お寺に咲く紫陽花 --------------------


瑞雲山(ずいうんさん)本光寺にやってきました。
名古屋駅から電車で50分と徒歩で10分くらいの場所にあり、「アジサイ寺」と呼ばれています。


この参道は両側に紫陽花が咲き並んでいます。


参道の紫陽花はまだ5分咲きくらいでした。
「今年はいつもより咲くのが遅いね」と言っている人がいました。


ピンクの紫陽花。


これから満開になる初々しい紫色の紫陽花。


白色のガクアジサイ。




私は晴れた日の紫陽花も好きです。


淡い色合いの花が太陽の光を受けて穏やかに輝きます。


山門に到着しました。




次は境内の紫陽花を見て行きます。


白色の紫陽花。




薄紫色のガクアジサイ。
太陽の光によく映えています


青色の紫陽花。


紫色の紫陽花。


星のような紫陽花。


白い花びらにほのかにピンク色があります。






これから綺麗な青色になりそうです


本光寺の本堂。


本光寺は徳川と縁が深く、松平一族の一つ、深溝(ふこうず)松平家によって建てられました。


梵鐘(ぼんしょう)。
徳川三代将軍家光公の勅命助成により、日本の平和、国民の厄難消除を願って、吉田城主松平忠利公が金、銀、銅を使って鋳造しました。
鐘には徳川家康公、家光公の名が記載されています。


両側に紫陽花が咲く中を歩けるようになっています。




かなりの数の紫陽花で、お寺の落ち着いた雰囲気ともよく合っています。






カシワバアジサイ。


細長い独特な咲き方をします。




たくさんのガクアジサイ。


蝶々が舞っているかのようです

というわけで本光寺の紫陽花、楽しませてもらいました。
お寺で咲く紫陽花はより一層和の雰囲気になり風情があります。
青空のもと、太陽の光に映えるたくさんの紫陽花を見ることができて良かったです

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梅雨らしさ

2017-06-12 19:51:00 | ウェブ日記
今日は18時50分頃にまだ太陽が出ているのを見ました
もうすぐ日の入りが始まりそうな地平線に近い位置にいて、そこから穏やかな日差しで辺りを照らしていました。

夏至が近いので、この時期に晴れると昼間の時間の長さが目一杯発揮されて19時半過ぎまで空に明るさが残るようになります
ただし梅雨入りしてからそんな日を頻繁に見られるのは、本来の梅雨らしくはないです。
先週木曜に梅雨入りした後は土曜日から今日まで三日連続で晴れて、いずれも暑くはありますが湿度はそれほど高くなく、過ごしやすい空気になりました。
天気予報を見るとこの先も数日は晴れの日が続き、梅雨入りしたとは思えないような天気になっています。

晴れは嬉しいですが真夏の水不足のこともあるので定期的に雨も降ってほしいと思います。
土曜日は本光寺、日曜日は鶴舞公園に紫陽花を見に行ったのですが、心なしか紫陽花たちも雨を求めているように見えました。

毎年ちょうど良い梅雨の雨の量になるとは限らないのが自然の難しいところです。
降る量が少なくなれば水不足になり、多くなれば農作物に被害が出ます。
今年は特に8月が猛暑になるという予報も出ているので、水不足にならないために梅雨の時期の程よい雨を期待します。

「七緒のために」島本理生

2017-06-11 20:52:21 | 小説


今回ご紹介するのは「七緒のために」(著:島本理生)です。

-----内容-----
転校した中学で、クラスメイトとは距離をおく多感な少女・七緒と出会った雪子。
両親の離婚危機に不安を抱える雪子は、奔放な七緒の言動に振りまわされつつ、そこに居場所を見つけていた。
恋よりも特別で濃密な友情が、人生のすべてを染めていた「あの頃」を描く、清冽な救いの物語。
他に「水の花火」収録。

-----感想-----
「七緒のために」
冒頭は七緒との思い出を思い出す形で始まり、そこから中学校時代の物語になりました。
春、桜が咲き終わって若葉が出る頃、只野雪子は東京の中学校に編入します。

編入初日の昼休み、七緒が話しかけてきます。
雪子が名前を訪ねると七緒は「私、名簿の名前で呼ばれるのが嫌いなの」と言っていて、名前に何かあるのかなと思いました。

雪子は転校前の女子校の女の子同士の付き合いが嫌でした。
女子校の女子について次のようにありました。
彼女たちは、扱いづらい綿菓子だった。乱暴に扱えば、あっという間に潰れてしまう。水に濡れれば溶けて消える。ひとたび受け入れれば、喉を焼くほどに甘く、中途半端に触れたなら、べたつく感触を肌に残す。
溶けて消えるような存在なのに喉を焼くような甘さとべたつきがあるとのことで、女の子同士の付き合いの厄介さが上手く表現されていると思います。
そして七緒にはその雰囲気がないため雪子は七緒に興味を持ちます。
雪子は七緒にせがまれて美術部に入部します。
美術部の顧問は塩谷先生という女性教師で、雰囲気が妖しいことから七緒が「魔女」とあだ名をつけます。

7月になります。
七緒は夏になってもカーディガンを羽織っていて、雪子がなぜ真夏でも上着を着ているのかと聞くと、「撮影のときに困るから」と言っていました。
雑誌の読者モデルをやっていると聞いて雪子は驚きます。
七緒は原宿を歩いている時に読者モデルにスカウトされたとのことで、七緒の口ぶりにはスカウトされるのが当然という雰囲気があり、そのことに雪子は苛立ちます。

七緒は美術部の今井先輩に気があり、マドレーヌを焼いてプレゼントします。
その時、魔女こと塩谷先生が美術室にやってきます。
塩谷先生はマドレーヌに目を留め、「美味しそうね。手作り?」と聞きます。
七緒が慌てながら「もうないんです」と言うと、今井先輩が「じゃあ、俺の分はいいから」とマドレーヌを塩谷先生にあげようとします。
その時に塩谷先生が「女の子からもらったものを横流ししたらだめよ。合田さんは、今度みんなの分も作ってきてね」と言っていました。
「女の子からもらったものを横流ししたらだめよ」という言葉がとても印象的でした。
自身のあげたプレゼントを目の前で他の人に横流しされたら「そのくらいにしか思われていない」ということなので悲しくなると思います。
ショックを受けた七緒に雪子は「魔女、けっこういい奴だね」と言い、七緒は「魔女から王女に昇格させようか」と言っていました。

新しい学校生活にすっかり慣れた頃、雪子はクラスメイトたちが七緒にあからさまに距離を置いていることに気づきます。
夏休みが明けると七緒は休んだり午後になってから登校することが増え、雪子が聞くと、石田さんという人が経営しているライブハウスに泊まっていたとか、原君という大学生の研究室で論文をまとめる手伝いをしていたなどと言っていました。
雪子は七緒がどんどんかけ離れた存在になっていくように感じます。

ホームルームで文化祭の役割分担を決める時、黒板に装飾の絵を描く係に雪子が手を挙げ、学校を休んでいる七緒も一緒にと頼むと、黒板には「黒板の絵係 羊飼いとその友達」と書かれ、クラス中から笑い声が巻き起こりました。
羊飼いの話は嘘ばかりついていたため誰からも発言を信じてもらえなくなるというもので、七緒の発言は既にクラス中からそのように見られていました。
聞こえよがしに「清々しいー。あのうざい喋りが聞こえなくて」と言っている人もいました。
そして七緒と一緒にいる雪子も蔑みの対象になっていて、学校での日々が危うくなります。

文化祭で展示する絵を描きに美術部で大きな公園に行った時、塩谷先生が『「今が一番良い日差しよ。早く行きなさい」と広く浅く呟いた』とありました。
広く浅く呟いたという表現は初めて見ました。
誰にともなく全体に向かって言ったという意味で、面白い表現だと思います。

七緒の言葉について雪子が胸中で語っていました。
たしかに七緒は話の筋が時々通ってないし、いちいちわざとらしいし、相手の心を引っ掻くようなことばかり言うけれど、少なくともその言動は、目を閉じた後も真夏の日差しのように焼き付いて、強い影を残す。
七緒の言動はイラつくとともに心の中で大きな存在となっているようです。
これは雪子が七緒のことを友達と思っているからだと思います。
クラスメイトたちは七緒の言動を蔑んで馬鹿にできさえすれば良いので、そこまで心の中で大きな存在にはなっていないと思います。
七緒の行動は本当に突拍子もなく、雪子が七緒と喧嘩している時も喧嘩しているのを忘れるほどです。

中学校には夏休み明けから来栖先生というスクールカウンセラーが来ています。
雪子は七緒のことを来栖先生に相談します。

ある日、塩谷先生の身に衝撃的なことが起こります。
そのことについて七緒が「べつに、可哀想なんかじゃない」「可哀想とか馬鹿みたい」と問題発言をし、非難の集中砲火を浴びることになります。
下駄箱に罵詈雑言を綴った紙くずを大量に入れられたりしていました。
雪子は「たしかに七緒の言ったことは非常識だ。けどこの子たちに非難される筋合いは一ミリもない。」と胸中で語っていて、これはたしかにそのとおりだと思いました。
「自分達が七緒の下駄箱に罵詈雑言を綴った紙くずを入れたりするのは良いが、七緒が問題発言をするのは許さない」ではダブルスタンダードです。
七緒にそのような嫌がらせをした時点で七緒のことを非難する資格はなくなっています。

冬になりクラスで四日間のスキー旅行に行きます。
七緒も雪子も夜に無断でホテルを抜け出して二人で雪景色の中で話をした時、雪子が七緒に「なんで嘘つくの」と詰め寄ります。
七緒の母親も七緒のことを信じていなくて、雪子は「嘘ばかりつかれるから信じなくなったんだよ。私も、もう限界だよ」と言っていました。
七緒は嘘ばかりつきますが鋭いところもあり、雪子の七緒に対する思いが「うんざり」だけではなく「友達でいたい」もあることを見抜いています。
二人の言い争いはやがて事件になります。
雪子の「私はもう七緒に疲れ切っていた。」という胸中での吐露が印象的で、うんざりさと虚しさが混ざった雰囲気がありました。

七緒が嘘をつき続けることについて雪子と来栖先生が話し合います。
その中で来栖先生の次の言葉は印象的でした。
「もし彼女から嘘を奪ったとしたら、そこにある世界は果たして生きるに値する魅力的なものなのだろうか」
これはカウンセラーならではの考え方だと思います。
七緒にとって嘘は生きる糧であり、嘘の中で生きているということです。
そのような状況を前に、七緒のことは理解しようとして理解できるものではないのだと思います。
正面から理解しようとした雪子はとても疲れてしまいました。
それでも雪子は雪子で七緒のことをクラスでただ一人の友達として必要としていて、そこが学校生活の大変なところだと思います。


「水の花火」
草野君と「わたし」が話しているところから物語が始まります。
草野君とは高校最後の春の体育祭後、打ち上げの居酒屋でたまたま草野君が隣の席に座ったことで話すようになったとありました。
打ち上げの居酒屋という言葉を見ておや?と思いました。
そうしたらすぐに「居酒屋での打ち上げと飲酒が学年主任に見つかってしまいクラス全員が翌日から一週間の停学処分になった」とあり、やはりと思いました。
草野君は猫を飼っていて子猫も三匹生んでいて、そのうちの一匹を「わたし」がもらうことになります。

草野君の本名は草野睦生(むつお)と言い、「わたし」は川本珠紀(たまき)という人を通じて草野君のことを知ります。
「川本珠紀はわたしが誰よりも好きだった友人だった」とあり、既に友人ではなくなっていることが分かり気になりました。
珠紀とは中学校二年のときに出会い高校も同じで、二人とも一年生の時だけ草野君と同じクラスになります。
珠紀は草野君のことが好きで同じクラスの時はよく草野君のことを見ていて、「わたし」にもそのことを話していました。
そんな珠紀を通して「わたし」も草野君のことを見るようになりました。
珠紀は一年後にいなくなってしまうとあり、やはり何か起きるのだなと思いました。
そして珠紀の身に恐ろしいことが起きます。
「七緒のために」でも魔女こと塩谷先生の身に恐ろしいことが起き、島本理生さんの作品では女性が恐ろしい目に遭うことがよくあります。
事件の後、珠紀はひっそりと転校していきます。

珠紀がずっと見ていた草野君と「わたし」は今話をするようになっています。
両親が共働きで帰ってくるのが遅い草野君の家に行ってご飯まで作ってあげています。
付き合ってはいないのですが見た目上は付き合っているように見えます。

珠紀がいなくなってからは、「わたし」は自分を外側とをつなげるものが何も無くなってしまったように感じていました。
そんな空虚さが草野君と話すことによって埋まっているように見えます。
夏休みに入ってからも「わたし」はほとんどの時間を草野くんの家で過ごします。

草野くんはトランペットをやっていて大学では音楽をやりたいとのことです。
ライブハウスで友達のバンドのライブに出演することになり、「わたし」はそのライブを見に行きます。
はたから見ると彼氏の応援に行く彼女のようにも見えます。
しかし二人の間には珠紀という大きな存在があり、珠紀のことを思い出しながら物語は進んで行きます。

草野君が「わたし」に「珠紀がオレのことを好きじゃなくても、今、ここにオレと一緒にいた?」と聞く場面があります。
「わたし」は草野君に想いを寄せる珠紀を通して草野君のことを知ったので、もし珠紀が草野君に興味を持たなければ「わたし」が草野君と親しくなったかは分からないです。
一方の「わたし」は「ごめんね。珠紀じゃなくて」と言う場面があります。
本当は草野君と一緒にいるのは珠紀のはずだったということに引け目を感じているように見えます。
また、草野君が「わたし」を通して珠紀の面影を感じているように見えているのかも知れないです。

珠紀は「わたし」に引っ越すことを告げた時、泣き出しそうな「わたし」に元気を出すように言って笑ってくれていました。
最後を笑って締めくくったところに珠紀の良さを感じました。
おかげで「わたし」は珠紀との最後の場面を思い出す時に笑顔を思い出すことができます。

「わたし」と草野君もいずれは珠紀とのことをそれぞれ気持ちに整理をつけることができるのではと思います。
何より珠紀が、二人が珠紀のことにとらわれて立ち往生することを望んでいるとは思えず、いつか記憶の中の珠紀が二人にそのことを気づかせてくれるのではと思います。
記憶の中の珠紀を大事にしながらも、「わたし」は草野君を、草野君は「わたし」を、正面から見るようになっていってほしいです。


あとがきを見ると「水の花火」は島本理生さんが高校生で作家デビューした直後、初めて作家として文芸誌に書いた小説とありました。
そこから10年後に書いたのが「七緒のために」です。
両方読んでみて、島本理生さんの文章の静かに流れていくような雰囲気は変わっていないと思いました。
これは島本理生さんの良いところだと思うので、これからもこの良さを大事にしながら新たな作品を書いていってほしいと思います。


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