11月3日、広島県広島市の音楽喫茶「一楽章f未完成」で行われた「永遠につづく音 坂本龍一・オーラビュ アルナルズ作品による」というトロンボーン、サクソフォン(サックス)、ピアノのコンサートを聴きに行きました。
2015年から活動している3重奏団「trio triK」によるコンサートで、メンバーは福原恭平さん(トロンボーン、写真右)、加藤和也さん(サクソフォン、写真中央)、田中香月さん(ピアノ、写真左)の音楽家三人です。
オーラビュ・アルナルズさんはアイスランドの作曲家で、当初チケットには「オーラフル・アルナルズ」とありましたが正式な発音が「オーラビュ」と分かったとのことでコンサートでは「オーラビュ・アルナルズ」になっていました。
エリザベト音楽大学博士の田中香月さんがトークでサクソフォンの加藤和也さんのことは「加藤君」と呼び、トロンボーンの福原恭平さんのことは「福原さん」と呼んでいると言っていました。
加藤和也さんは田中香月さんのエリザベト音楽大学での教え子だったとのことです。
演奏プラグラムは次のとおりです。
坂本龍一
Rain
Tribute to N.J.P
オーラビュ アルナルズ
Tomorrows Song
坂本龍一
八重の桜 テーマ
Merry Christmas Mr.Lawrence
~休憩~
坂本龍一
M.A.Y in the Backyard
1919
koko(さんびきのくま)
オーラビュ アルナルズ
Undan Hulu
坂本龍一
The Last Emperor
アンコール
オーラビュ アルナルズ
光
Rainはピアノが一定の音を続ける演奏で、サクソフォンの音が目立っていました。
Tribute to N.J.Pはトロンボーンの演奏で始まり、奥行きのある深い音なのが印象的でした。
そこにサクソフォンとピアノの高い音が加わります。
福原恭平さんがトロンボーンはどうしても機動力がなくて素早く音を出すのには向かないため、オーケストラのような大きな編成向きと言っていました。
大きな編成なら素早く音を出せる楽器がたくさんあるので自身の奥行きのある音を出すことに専念できます。
3人のような少人数の編成でトロンボーンを演奏するのは珍しいとのことです。
トロンボーンはピアノやヴァイオリン、フルートなどの派手な音を出せる楽器と比べると地味に聴こえるかも知れないです。
しかしこういった少人数での演奏を聴くとオーケストラの時よりも楽器の音を詳しく聴くことができ、音の特徴を知ることができます。
それがオーケストラ勢揃いの演奏を聴く時にも生かされると思います。
サクソフォンも少人数の編成での演奏を聴くと音が派手なのが分かって面白いです。
Tomorrows Songはピアノソロで演奏され、高い音が続きもの悲しい雰囲気がありました。
最後はゆっくりとした演奏になり、そして最後まで高い音が続きました。
大河ドラマ「八重の桜」のテーマはサクソフォンとピアノで演奏していました。
この曲ではサクソフォンをソプラノサクソフォンからアルトサクソフォンに変えていました。
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスと同じで楽器が大きくなるにつれて音が低くなっていきます。
Merry Christmas Mr.Lawrenceは加藤和也さんがトークでこの曲はピアノのソロが長く、田中香月さんのソロ演奏を聴くのが楽しみだと言っていました。
田中香月さんはソロ演奏は苦手と言っていましたが音の強弱や緩急のつけ方が上手く情感たっぷりでかなり良い演奏でした
M.A.Y in the Backyardはピアノソロの演奏がスピーディに始まり、とてもリズミカルでした。
そこにサクソフォンとトロンボーンも続きます。
サクソフォンが力いっぱい吹き込むような強い演奏をしていたのが印象的でした。
ピアノはずっと速い演奏が続き時に力強くもなります。
この曲は坂本龍一さんの家の三匹の猫を表現しているとのことです。
1919はほとんど音が変わらないのが印象的な曲で、加藤和也さんがトークで「高速道路を走っていてずっと同じ景色が続く中で、たまに違う景色が見えるような曲」と言っていました。
かなりの速さの演奏でサクソフォンもトロンボーンも息継ぎが大変そうでした。
途中でピアノとトロンボーンだけになり、トロンボーンはうなるような音を出していました。
元々は弦楽器二つとピアノで演奏する曲で、管楽器で演奏すると死にそうになると加藤和也さんが言っていました。
koko(さんびきのくま)はピアノとサクソフォンによる演奏でゆったりとした明るい曲でした。
ピアノの出す音をサクソフォンが追いかけながら演奏していました。
Undan Huluは元々はチェロとピアノのための曲で、今回はピアノとトロンボーンで演奏していました。
最初はピアノのソロで優しくゆったりとした演奏が続きました。
トロンボーンも同じで心の休まる曲だと思います。
The Last Emperorはピアノのソロ演奏で始まり、高い音でやや不穏な雰囲気があります。
やがてトロンボーンが続き、次にサックスも続き三つが揃います。
アンコールの「光」はピアノソロ演奏の高い音で始まり、トロンボーンが続き、サックスも続きます。
ゆったりとした優しい音楽で一番最後に聴くのにピッタリな気がしました。
広島市にはエリザベト音楽大学という音楽大学があり、やはり近くに音楽大学があると大学に縁のある人の音楽活動が活発だと思います。
たくさんコンサートが行われているので気軽に演奏を聴きに行くことができるのが嬉しいです。
広島は音楽の活発な街でもあることが分かってきたので様々な演奏を聴いて楽しんでいきたいと思います
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演奏者プロフィール
福原恭平
広島文化短期大学(現広島文化学園大学)音楽学科卒業。
東京ミュージック&メディアアーツ尚美ディプロマコース修了。
日本ジュニア管打楽器コンクール高校生の部第2位。
06年オーディションに合格しアメリカンウインドシンフォニーオーケストラに参加。
翌07年同オーケストラに首席トロンボーン奏者として招聘され、アメリカ各都市にて演奏する。
12年マイタウン広響in安芸区において広島交響楽団とF.ダヴィットのトロンボーン協奏曲を共演。
14年広島にてソロリサイタルを開催する。
これまでにトロンボーンを、小林泰一郎、吉川武典各氏に師事。
現在、広島ウインドオーケストラトロンボーン奏者。
あきクラシックコンサート実行委員会委員。
マーヴェラスクインテット、メンバー。
東広島市くららジュニアオーケストラ講師。
ハママツ楽器講師。
加藤和也
デンマーク政府奨学金を授与され渡欧。
デンマーク王立ユラン音楽院大学院ソリストクラス修了。
第2回ジャン=マリ ロンデックス国際サクソフォンコンペティションセミファイナリスト。
ユランサクソフォンクァルテットのメンバーとしてデンマーク国内を中心に活動を行った他、これまでに、イギリス、スウェーデン、シンガポールにてコンサートを行う。
デンマーク王立ユラン音楽院ティーチングアシスタントを務めた後に帰国。
帰国後は瀬戸内国際芸術祭2013サクソフォーンアイランド ディレクター、瀬戸内国際芸術祭2016オープニングセレモニーでパフォーマンスを行った。
日本ウインドアンサンブル 桃太郎バンド団員、Carrefour Saxophone Quartet メンバー、エリザベト音楽大学付属音楽園講師、広島県立熊野高等学校普通科芸術類型音楽コース講師。
田中香月
エリザベト音楽大学卒業。
武蔵野音楽大学大学院、モスクワ音楽院大学院修了。
エリザベト音楽大学博士(音楽)学位取得。
ソロ、2台ピアノ、トリオのリサイタルをはじめ、海外のオーケストラとの共演を重ねる。
デュオ部門においては、PTNAピアノコンペティション、ブルガリア国際音楽コンクール「MUSIC AND EARTH」など、国内外のコンクールで最高位受賞。
廣澤久美子、横山幸雄、K.ガネフ、J.ガネフ、E.リヒテルの各氏に師事。
現在、エリザベト音楽大学、同大学付属音楽園、広島修道大学、広島大学非常勤講師。
広島合唱団伴奏者。
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