読書日和

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「毛利元就 第四回 女の器量」

2018-06-13 21:50:08 | ドラマ
今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第四回 女の器量」です。

-----内容&感想-----
松寿丸(しょうじゅまる)は重臣の井上元兼(もとかね)によって城から追い出され、納屋に閉じ込められて過ごします。
元兼は「松寿丸様には物事を深く考え、人を慈しむという気質が欠けている」と言い、源氏物語を読むように言います。
「腰砕け男」が主人公の源氏物語を読ませて松寿丸を腰砕けに教育して元兼の思うがままの城主にしようとしています。


松寿丸(画像はネットより)。

杉は侍女の久(ひさ)に「私はこんな同じ毎日を繰り返して、死んでいくのかのう」と言い、毎日に楽しさがないと感じています。
久が「井上様が館を建ててお迎えしたいと申しておりましたぞ」と言うと「ありがたいとは思うが、面白うはない」と言い、気が乗らないようです。
杉は亡き弘元との日々に思いを馳せ、「あれは面白い日々じゃった。松寿丸と憎しみ合って立ち回りをして、相合(あいおう)と激しくお方の座を争って、嫌なことばかりなのに、今になるとみんな面白かった」と言い、さらに次のように言います。

「嫌なことを、何とか良い方向に変えようともがくことこそ、生きる面白さじゃのう」

この言葉は印象的でした。
私は嫌なことは起きてほしくなくて、面白さも感じられないですが、杉のように考えられると人生にどんな波乱があっても楽しめるだろうなと思います。


杉の方(画像はネットより)。

先の将軍足利義稙(よしたね)を奉じて京都に上洛した大内義興(よしおき)は現将軍足利義澄(よしずみ)との戦を前に酒宴を開く余裕を見せます。
松寿丸の兄、興元(おきもと)も参加していて、緊張でがちがちになっていました。
安芸の旧守護、武田元繁はかつては大内に対抗できる力がありましたが今では牛耳られていて、元繁はそのことを苦々しく思っています。


大内義興(画像はネットより)。

周防(すおう)、長門(ながと)の国人領主のみならず安芸の国人もこぞって義興に従い上洛していて、出雲の尼子経久(つねひさ)は「安芸におけるお力、見せ付けられた思いが致しました」と義興を褒め称えます。
さらに「此度(こたび)は、大内殿にその戦ぶりを教えて頂きたく、勇んで上洛を致した次第」とお世辞を言います。
そんな経久を見て重臣の亀井秀綱が「大内の力を見て、怖気ずきましたのか!」と言うと、経久が狙いを語ります。
経久が京都に上った理由は二つあり、一つは大内の勢いを見ること、もう一つは武田の顔を見ることです。
武田が大内への憎しみを隠すのに必死の顔だったことから、経久は武田を利用できると考え、手を組もうとします。
出雲一国さえまだ平定できない尼子が、安芸に進み、瀬戸内をものにし、大内に対抗しようなどと誰が気付くものかと考えています。

「人間、力がないうちだからこそ、やれることがある」

経久のこれは印象的な言葉でした。
大内の力に圧倒されているように見せかけて、その裏では虎視眈々と勢力拡大を狙っています。


尼子経久(画像はネットより)。

筆頭重臣の志道広良(しじひろよし)と、裏で尼子に通じている重臣の桂広澄(ひろずみ)との話で、広澄が「井上殿は金と、後見人という立場と、杉殿と、要所要所を抜かりなく手を打って、大内に接近している」と言います。
広澄が「我らは別の道を考えてなくて良いのか」と言うと広良が「大内から鞍替えして、尼子にでも付きまするか」と言い二人とも大笑いします。
しかし二人とも目にはただの笑いではない雰囲気がありました。
広良は広澄の心の内を知っていて言っているように見え、広澄は面と向かって尼子の名前が出てきたことで気まずさを誤魔化すために笑っているように見えました。

武田は最初経久の「尼子が北から攻め、武田が南から攻め、安芸を挟み撃ちにして攻めよう」の誘いを断ろうとしていましたが、経久の言葉を聞いて考えが変わります。
「安芸の名族、武田氏が滅びるなら、それはそれで華の余韻を残すと考えるが、今の武田氏は大内に見くびられた扱い。見くびられて永らえることの、どこに華を見出しまするか!」
相手の心を巧みに操っていて、やはり経久は調略が上手いと思います。

蔵に閉じ込められている松寿丸に毛利家家臣の子、平太郎と次郎が会いに来ます。
次郎は平太郎の弟です。
松寿丸は「弓を引かせてくれないか」と頼みますが二人は「井上殿に見つかったら大変だ」と断ろうとします。
しかし松寿丸は強引に二人を連れて戦道具のある櫓(やぐら)に忍び込みます。
その帰り道に警護に見つかってしまい、平太郎が飛んできた矢に当たり殺されてしまいます。

知将と呼ばれ安芸の国の小領主から中国地方10ヶ国、120万石の大名に上り詰める毛利元就が子供の頃はこんなに浅はかに描かれるとは意外です。
しかし子供の頃のいくつもの苦い経験が後の知略に長けた毛利元就に繋がっていくのだと思います。

元兼が「平太郎は死んだが、弟の次郎への罰として野田家は取り潰し」と言い、広良、広澄、渡辺勝(すぐる)もそれしかないと言います。
広良が「古人いわく、泣いて馬謖(ばしょく)を斬る。心で泣いても、厳しい処分をせねば、統率がつきませぬ」と言っていて印象的な言葉でした。
次郎は「地の果てに行こうと、一生、松寿丸様を恨む」と言います。
翌朝次郎の姿は消えていて、「後に瀬戸内の水軍に拾われた次郎が、凛々しい海の武将となって元就と劇的な再会を果たすのは、ずっと先のことになります」とナレーションがありました。

元兼は杉のために屋敷を建て、迎え入れようとしていました。

当初杉は元兼の屋敷を建てての迎え入れを気が乗らないながらも受けると言っていましたが、広良、広澄、勝、元兼での話の中で、広良から杉が断ったことが伝えられます。
広澄が心にもない様子で「わしが女子なら一も二もなく井上殿のお側に上がる(側室になる)」と言っているのが面白かったです。
久が杉に「何ゆえお断りになられた」と聞くと「良い暮らしは、飽きるということに気付いた」と言います。
「良い暮らしはしたいが、良いだけの暮らしも飽きるもの。困ったものよのお」と言っていましたが、私は良いだけの暮らしがしたいです。
久の「杉様、この先どうなるか分かりませぬぞ」の言葉には「先が分からぬほうが、生きていることは面白いではないか」と言っていました。

松寿丸は自身のせいで平太郎が死に、野田家が取り潰しになったことでショックを受け、何日も高熱を出して寝込んだままになります。
元兼が杉に、松寿丸が閉じ込められている蔵に一緒に住んで世話をするように言います。
側室になるのを断られたことへの仕返しでした。
杉も意地で「お引き受けします」と言い松寿丸の世話を始めますが、侍女が運んできた夕膳を杉が寝込んでいる松寿丸のそばに置くと、「そちが触ったものはそばに置きとうない」と言いひっくり返してしまいます。
二人はかなり険悪な雰囲気でした。
また久は元兼によって暇を出され、国に帰ることになります。

高熱にうなされた松寿丸が誰かに助けを求めるように天に手を伸ばしているのを見て、杉はその手を掴みます。
「殿!しっかりなさいませ!」
松寿丸は無意識でしがみついてきます。
杉は「大丈夫ですぞ。一人じゃありませぬぞ」と優しく声をかけます。
松寿丸の孤独を杉は初めて感じ取っていました。


松寿丸に酷く嫌われ喧嘩ばかりしていた杉ですが、助けを求めるかのような手を見た時は迷わずその手を掴んでいました。
喧嘩ばかりしていても助けたい思いが自然に湧いていたのは杉の持つ優しさだと思います。
これまで仲の悪かった松寿丸と杉がこれをきっかけに打ち解けていくことが予想され、その様子を見るのが楽しみになりました


各回の感想記事
第一回  妻たちの言い分
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ
第十五回 涙のうっちゃり
第十六回 弟の謀反
第十七回 凄まじき夜明け
第十八回 水軍の女神
第十九回 夫の恋

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