読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

「まほろ駅前狂騒曲」三浦しをん

2014-09-28 23:59:50 | 小説
今回ご紹介するのは「まほろ駅前狂騒曲」(著:三浦しをん)です。

-----内容-----
まほろ駅前で起きる、混沌と狂乱の大騒ぎ!
まほろ市で便利屋稼業を営む多田と行天。
ある日多田は行天の元妻から子供を無理やり預けられて困惑する。
待望のシリーズ第三弾。

-----感想-----
※「まほろ駅前多田便利軒」のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「まほろ駅前多田便利軒」-再読-のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「まほろ駅前番外地」のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。

まほろ駅前多田便利軒のシリーズ第三弾、以前から気になっていました。
私の好きな作家である三浦しをんさんの本でもあります。
だいぶ厚い本だったのでいつ読むかタイミングを考えていました。
先日書店に行ったら「10.18 全国ロードショー! 映画『まほろ駅前狂騒曲』 主演:瑛太×松田龍平」と帯にあり、来月映画が公開されることを知りました。
そこで気分も盛り上がってきて、ついにこの作品を読んでみることにしました

東京都の南西部に位置するまほろ市は、人口三十万人を擁する一大ベッドタウンです。
JR八王子線と私鉄箱根急行線(通称ハコキュー)が交差するまほろ駅前は、複数のデパートが林立し、商店街にも活気があります。
ハコキューで新宿まで30分なので、若いサラリーマン家庭向けの大型マンションも建設ラッシュです。

今作も冒頭でまほろ市の説明がされていました。
まほろ市は、東京都町田市をモデルにしています。
町田市は東京都南西部最大の都市として栄えています。
JR八王子線はJR横浜線をモデルにし、私鉄箱根急行線(通称ハコキュー)は小田急小田原線(通称オダキュー)をモデルにしています。
そして二つの路線が交差する町田駅前は、複数のデパートが林立し、商店街にも活気があり、まさにまほろ市のモデルであることが分かります。

多田啓介がまほろ市で始めた便利屋稼業は、低空飛行ながらも何とか収益を上げ、地道かつ堅実な商いで信頼を得て続けることができています。

そして多くの人が、忙しい日常の中でちょっとした雑事をこなすとき、だれかの手を借りられればなと思ったりする。
重い箪笥の後ろに年金手帳を落としてしまったとき、庭掃除をしなければならないのに気乗りしないとき、スーパーへ買い物に行きたいのにぎっくり腰になってしまったとき。
そこで登場するのが、多田便利軒だ。
色々な立場や事情の人々が住んでいるおかげで、多田はまほろ市で便利屋として暮らしていけるのだった。


多田便利軒にはもう一人、行天(ぎょうてん)春彦という男がいます。
多田とは都立まほろ高校時代の同級生で、多田の事務所兼自宅に居候しています。
行天が事務所に転がり込んだのは二年前のお正月で、そのまま居座って今に至っています。
今回の物語の冒頭もお正月なので、行天の居候は三年目に突入というわけです。
今作でも行天は相変わらずハチャメチャな発言や行動をたくさんしていました。

事務所にルルとハイシーがやってきてみんなでお正月を楽しんでいたところ、山城町の岡老人から電話がかかってきて今作の便利屋稼業が幕を開けます。
岡老人のところに向かう途中、まほろ駅前にあるバスターミナルへ向かうために南口ロータリーを突っ切った時、幟を立てた団体に遭遇しました。
幟には「家庭と健康食品協会~Home & Healthy Food Association~」と書かれていました。
通称「HHFA」と言い、無農薬野菜を栽培して販売している団体です。
物語の終盤まで関わってくることになる団体です。

行天には小さな子どもと接するのを嫌がるという性質があります。
多田はその理由が行天自身の子ども時代にあるらしいことを察していて、今回この謎が明らかになるかも知れないと思いました。

岡老人には横浜中央交通のバスの間引き運転を監視する習性があります。
「横中バスめ、今年も絶賛間引き運転実施中だ」
岡老人はさっそく気炎を上げていました。
そして多田便利軒によくバスの運行状況を監視するように依頼してきて、多田と行天はこの退屈すぎる依頼に辟易しています。
ちなみに何度監視してもバスは時間通りに運行されていて、未だに多田と行天が間引き運転を目の当たりにしたことはありません。
しかし今回、岡老人は今までのような監視だけでなく、何か別の方法を企んでいるようでした。
多田はそこに嫌な予感を覚えます。

便利屋稼業で大切なのは、地雷をなるべく避けることだ。

便利屋は、他人の家に入り込んで仕事をする。必然的に、依頼主やその家庭の、個人的な事情が垣間見えてしまうことが多い。


多田はそこには立ち入らないように気をつけています。
岡が何を画策していようが、顧客の事情に首を突っ込まないのが便利屋のたしなみというわけです。

季節が春になります
まほろ街道沿いにある「キッチンまほろ」は、地元発祥の洋食チェーン店。
大手のファミリーレストランほど画一的でも機能的でもないが、店内はいつも明るく清潔で、料理もなかなか美味しい。
まほろ市民にとって、「家族で外食」といえば、まっさきに浮かぶのが「キッチンまほろ」だとありました。
これもきっとモデルの店があるのだろうなと思い、どんなお店がモデルなのか気になりました。
多田は「キッチンまほろ」によく行っています。

柏木亜沙子は「キッチンまほろ」グループの社長。
多田は亜沙子に恋心を抱いていて、亜沙子に会えるかもという思いがあって「キッチンまほろ」によく来ています。

曽根田菊子、通称曽根田のばあちゃん。
曽根田のばあちゃんは高齢のため、以前からまほろ市民病院に入院しています。
多田はばあちゃんの息子から依頼を受け、見舞いの代行をしています。
曽根田のばあちゃんはたまに予言じみた物言いをすることがあります。
多田が依頼を受けてばあちゃんの見舞いに行った際にも予言のような発言がありました。

「便利屋さんは今年、なんだか騒ぎに巻きこまれそうだから」

タイトルに「狂騒曲」と付くだけに、今回は騒がしい展開になるんだろうなと思いました。

三峯凪子は行天の元妻です。
凪子は自身が海外出張になる一ヶ月半の間、娘のはるを預かってほしいと頼んできます。
しかし行天は大の子ども嫌いであるため、多田は困ってしまいます。
凪子のほうは行天に対し、この機会に行天の娘でもあるはると交流を持ってほしいと願っているようでした。

星良一はヤクザまがいの、自称「多少スネに傷を持つ一般市民」。
星のところにもHHFAの名が知れ渡ってきていました。
HHFAはヤクザに接触しています。
学校給食用に野菜を卸したいと考えていて、そのためにまほろ市をシマにしている岡山組を利用しようとしています。
沢村というHHFAの幹部の男がなかなかのやり手で、南口ロータリーに立つHHFAを追い払おうとした若頭を相手に一歩も引かず、いつの間にか仲良くなってしまいました。

「コーヒーの神殿 アポロン」はまほろ大通りに古くからある喫茶店。
これもモデルになっている喫茶店があるのかなと気になりました。
今作に何度か出てくるお店です。

やがて星が多田便利軒に依頼をしてきます。
HHFAは無農薬栽培の野菜を売っているのですが、実際には農薬を使っています。
星はHHFAが農薬を撒いている証拠の写真を撮るように依頼してきました。

「キッチンまほろ」の柏木亜沙子社長もHHFAに困っています。
HHFAの野菜販売車が『ご家庭で手作りした料理を』とスピーカーで流しながら「キッチンまほろ」のような外食のお店の周りを走るため、一種の営業妨害になっています。
さらに外食のお店に対し、HHFAの野菜を使ってくれとしきりに営業もしてきています。
「ここだけの話……HHFAって、なんだか胡散臭くないですか?」
「ここだけの話ですが、俺もそう思います」
やはり今作は謎の野菜売り団体HHFAとの攻防が繰り広げられることになるようです。

季節が夏になります
凪子の娘、はるが事務所にやってきます。
三峯はるは4歳。
はるを一ヵ月半ほど預かることを行天には言わずにおいたため、この事態に行天は激怒します。
しかし何だかんだでしばらくはると暮らすことを受け入れたようでした。

「タダサン、あのひと……」
「行天だ」
「ギョーテンって、おかしいねえ」


この多田とはるの会話は面白かったです。
4歳時の率直な言葉が、多田便利軒に普段とは違う会話を生み出します。

はるが居る間は、はるも仕事場に連れていっていました。
山城町の岡老人の家に行ってみると、岡達は横中バスに対して決起しようと集会を開いていました。
「もちろんだ!」
「断固抗議すべし!」
「我々の要求を通すべく、いまこそ行動あるのみ!」
老人達の秘密会合は何やら不穏な気配を漂わせていました。

田村由良も登場。
由良は小学六年生になりました。
中学受験をする由良は塾の夏期講習に行っていて、六年生の夏休みは「天下分け目の戦い」と言われているとのことです。
そして同級生の松原裕弥の悩みについて、多田と行天に相談してきます。
裕弥は塾に行く傍ら親によって無理やり農作業をやらされていて、ここにもHHFAが関わっています。

「どんな背後霊救出作戦を考えてんの?」
「背後霊とか言うな。傷つきやすい年ごろなんだから」
「大丈夫大丈夫。それで行くと、俺は地縛霊だから」
行天はふんぞり返って言った。「多田便利軒に取り憑いている」
頼むから成仏してくれ。多田はため息のかわりにウィスキーを飲み下す。


多田と行天の掛け合いが面白かったです。
背後霊というのは松原裕弥のことで、親によって無理やり農作業させられている裕弥を助け出すことになったのでした。

行天は他人に興味がないようでいて、実はなんでもお見通しだ。
たしかに行天はハチャメチャなことばかりしていて相手のことなど何も考えていないように見えますが、実は注意深く見ています。

やがて物語は怒涛の後半へ。
「便利屋の助手、よく聞け。我々の目的地は、横浜駅前にある横浜中央交通本社だ!」
「もしかしてこれ、バスツアーじゃなくバスジャック?」

まさかの展開が待っていました。
そしてバスジャックだから緊迫した展開のはずなのに、展開が面白すぎて終始笑ってしまいました。

さらにバスジャックが起きたのに続き、星も登場。
まさに狂騒曲のような展開になっていきます。
またしてもHHFAの名前が出てきて、どうやらまほろ駅の南口ロータリーで大規模な集会をするとのことです。
星から多田への依頼は、この集会を邪魔しろというもの。
すべてはまほろ駅前の南口ロータリーに。
HHFA、バスジャック軍団、そして多田たちが大集結。
小説タイトルどおり、狂騒曲のような大混乱の展開が待っていました。
シリーズ一作目であった多田の「行天ー!」という台詞を、また見ることになるとは思いませんでした。

この作品のイラストは下村富美さんという方なのですが、渋くて格好良いイラストなので、作品世界がハードボイルドに見えます
ただ行天がだいぶハチャメチャなキャラなので、ハードボイルドさはだいぶ崩れています。
それでも多田は雰囲気的にハードボイルドなところがあり、行天も何だかんだで時折格好良いところを見せるので、やはりハードボイルドさのあるコンビだと思います。
作品の語りにもどことなくそんな雰囲気があります。
クライマックスに登場した
多田の手のなかで、風鈴はちりちりとかそけき音を立てた(かそけきとは、今にも消えてしまいそうなほど淡いという意味)。
という表現などはまさにこの作品世界の雰囲気に合っていると思いました。
それでいてかなり笑わせてもくれるのだから素晴らしい作品だと思います。
もしまた続編が出るようならぜひ読んでみたいです


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「旅屋おかえり」原田マハ

2014-09-26 23:59:59 | 小説
今回ご紹介するのは「旅屋おかえり」(著:原田マハ)です。

-----内容-----
あなたの旅、代行します!
売れない崖っぷちアラサータレント”おかえり”こと丘えりか。
スポンサーの名前を間違えて連呼したことが原因でテレビの旅番組を打ち切られた彼女が始めたのは、人の代わりに旅をする仕事だった―。
満開の桜を求めて秋田県角館へ、依頼人の姪を探して愛媛県内子町へ。
おかえりは行く先々で出会った人々を笑顔に変えていく。
感涙必至の”旅”物語。

-----感想-----
32歳のアラサータレント丘えりかは旅するタレント。
お台場にある「あけぼのテレビ」というテレビ局にて、旅とご当地グルメがテーマの「ちょびっ旅」というたび番組をレギュラーで持っています。
ただし、丘えりかが持っているレギュラー番組はこの一本きりです。

丘えりかの本名は岡林恵理子。
テレビでは”おかえり”の愛称で親しまれています。
おかえりの故郷は北海道の礼文島(れぶんとう)という、人が住む最北端の小さな島です。
実家はその最北端・スコトン岬にほど近い場所、通称「名もない丘」にあるとのことです。

おかえりが所属しているのは「よろずやプロ」という弱小芸能プロダクション。
社長の萬鉄壁(よろずてっぺき)、事務及び経理担当副社長の澄川のんの、そしておかえりの三人しかいません。
所属タレントはおかえり一人だけです。

「ちょびっ旅」は、毎週土曜日の午前9時半から9時55分までの番組です。
青森県黒石市を舞台にした「ちょびっ旅<青森・黒石編>がオンエアされた翌週、おかえりと鉄壁社長は二人揃ってあけぼのテレビに呼び出されました。
そこで告げられたのは、「今回のオンエアで番組の打ち切りが決定した」という衝撃の言葉。
おかえりが黒石名物の「つゆ焼きそば」を食べた時、番組スポンサーの「江戸ソース」のために焼きそばに江戸ソースが使われていてそれが美味いとアピールしたのですが、その時致命的な言い間違いをしてしまいました。
おかえりが言ったのは「エゾソース」で、これは「江戸ソース」が昭和元年に創立して以来のライバル会社です。
一文字違いでよりにもよってライバル会社の社名を何度もPRしてしまい、スポンサーの「江戸ソース」は相当なご立腹となりました。
「ちょびっ旅」のスポンサーは不況の中でも続けてくれた「江戸ソース」の一社だけなので、その「江戸ソース」が激怒した今、もはや番組を続けられなくなったというわけです。

鉄壁社長もおかえりも、途方に暮れてしまいました。
「もう、なんにも仕事がない」というおかえりの言葉はかなり切実でした。
所属タレントはおかえり1人だけなので、おかえりの仕事がなくなれば事務所自体も存続不可能です。
「で、お前どうすんだ。クニへ帰るのか?」と聞く鉄壁社長に、「いえ。帰りません。……帰れません」と答えるおかえり。
鉄壁社長も「おれも、帰れない。クニにはこのさき、一生帰れないんだ」と言います。
二人とも故郷には帰れない事情があります。

だからここで、踏ん張るしかねえんだ。何があったって。

鉄壁社長のこの決意は印象的でした。

おかえりは、亡き父との約束で、芸能人として花開くまでは故郷に帰ってこないことになっています。
母からも父の死後、父との約束を守り花開くまでは決して帰ってこないように言われました。
私の開花日は、いったい、いつなんだろう。ひょっとすると、もう、花は開かないのかもしれない。
アイドルとして花開きかけた瞬間はあったものの、その後は下降線をたどり、おかえりはまだ故郷に帰れていません。

唯一のレギュラー番組が打ち切りになり、窮地に立たされたおかえりに転機が訪れます。
ある日、事務所に鵜野という藤色の和装の婦人が訪ねてきます。
鵜野はおかえりが電車の中に置き忘れてしまった全財産入りのバッグを事務所に届けてくれました。
ちょうどおかえりの真向かいに座っていて、目の前に座っているのがおかえりだと気づき、おかえりがバッグを忘れて降りていってしまったために届けてくれたというわけです。

鵜野さんはおかえりにお願い事があって来ていました。
それは、鵜野さんの娘の代わりに旅をしてもらえないかというもの。
鵜野さんのひとり娘の真与さんは、全身の筋肉が次第に萎縮していく難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)という病気になり、闘病生活を続けています。
真与さんはおかえりと同い年で、29歳のときに発病し、去年入院したきりまったく外へ出かけられなくなってしまいました。
また、真与さんは生きる望みを失っていて、この先病気が進行して呼吸が困難になった時、人工呼吸器を付けることを拒否しています。
鵜野家は華道「鵜野流」の家元で、鵜野さんのご主人である四代目家元・鵜野華伝氏はいずれ家元を継ぐ娘を厳しく教育してきました。
しかしその娘が難病に侵されて、家元は相当なショックを受けたようです。
ある時から娘を見舞おうとしなくなり、現実から目を逸らして、仕事へ逃げこむばかりになってしまいました。

真与さんは「ちょびっ旅」が始まった時から毎回放映を楽しみにしてくれていて、自分はもう旅はできないけれど、代わりにおかえりが旅してくれてるみたい、と言っていました。
そんな折、「ちょびっ旅」が終了してしまい、真与さんはだいぶ落ち込んだようです。
鵜野さんは娘を元気づけようとテレビ局に番組を再開してほしいと電話で嘆願したりしました。
「おかえりさんの事務所を訪ねてみる」と言い出したところ、家元は冷ややかな反応をして、喧嘩になって鵜野さんはたまらずその場を飛び出し、地下鉄に乗りました。
そしてそこで、目の前の席におかえりが座っていて、なおかつ忘れ物をしていったのです。
何ともできすぎな話ですが、鵜野さんは「神さまがそうしてくださったとしか思えない」と考え、おかえりにお願い事をするために忘れ物を持って事務所にやってきました。

真与さんからの「旅代理人」の依頼を、おかえりは受けます。
「旅屋」の仕事がここから始まります。
行き先は秋田県の角館(かくのだて)、日本随一のしだれ桜の名所です
病気が発症する直前、家元と母と角館にしだれ桜を見に行った時、満開の桜は待っていてはくれず、散々な雨が降っていて桜も散ってしまっていて、せっかくスケジュールを合わせて一緒に行ってくれた家元は怒ってしまいました。
真与さんはこれが心残りでした。
その後、角館への旅から帰ってきて間もなく真与さんは歩行困難になり、ALSと診断され、もう二度と角館にも行けなくなってしまいました。
おかえりは最後に家族で旅行した角館が雨降りで、散々な思いをして帰ってきた真与さんのために、何としても満開の桜を美しく撮って見せてあげたいと奮闘します。

いつも思う。旅が始まる前夜は、どうしてこんなにわくわくするんだろう。ひょっとすると、このわくわく感こそを味わいたくて、私たちは旅を続けてきたのかもしれない。

しかし晴れ女で旅の日に雨が降ったことなど一度もないおかえりなのに、角館に着いてみるとまさかの雨
「その太陽の娘は、いま、しとどに雨に濡れていた」という表現があり、しとどとはどういう意味か調べてみたら、「びっしょり」という意味のようです。
予想外の事態におかえりは途方に暮れます。
そこで1日目の予定を変更して、秘湯・玉肌温泉に向かいます。
その道中、雪が降ってきます

「信じられない……雪、雪が降っています。今日は4月25日、春の雪です。」

ビデオカメラにナレーションをつぶやきながら、おかえりは目の前の息をのむほど美しい風景に感嘆とします。
玉肌温泉では、玉肌温泉三代目湯守・玉田大志と祖母、そして子ども達に迎えられ、楽しい時間を過ごします。

旅は、出かけるだけで、すでに意味がある。
大志のこの言葉は印象的でした。

そして、角館への旅を終えたおかえりは鵜野さんと真与さんの待つ病院へと向かいます
新御茶ノ水駅にほど近い場所にある大学病院とあるので、順天堂大学医学部附属順天堂医院がモデルになっていると思われます。
おかえりが角館で撮ってきた映像を「成果物」として届ける時が来ました。
真与さんにもう一度生きる望みを持ってもらうための、そして父と娘に雪解けをもたらすための、渾身の「旅屋おかえり・角館編」の旅映像です

その後本格的にスタートした「旅屋」の仕事は徐々に依頼が来るようになります。
20件目の業務完了を果たした後、思いもよらぬ展開が待っていました。
かつて「ちょびっ旅」の唯一のスポンサーだった「江戸ソース」の江田悦子会長が、丘えりかの最近の仕事に興味を持っているというのです。
そして悦子会長はおかえりに四国の愛媛県、内子町(うちこちょう)に旅に行くことを依頼してきます。
天川(てんかわ)真理という元アイドル歌手がそこに暮らしています。
そしてその人が、悦子会長の遠縁に当たるとのことです。
本名は国沢真理子、53歳で、現在は内子で「やまもも」という喫茶店を経営しています。
真理子は悦子会長の妹の娘で、姪に当たります。
江田家の血縁関係者はすでに全員他界し、存命しているのは悦子会長のみのはずだったのですが、「江戸ソース」の創業85周年を2年後に控え、社史の編纂をしていた際、創業家の江田家の歴史を調べていたらかつてタレントだった人物が遠縁にいたということに行き当たりました。
悦子会長の依頼は、真理子と会って、一緒に妹のお墓参りへ行ってきてほしいというもの。
そして、藤色の袱紗を墓前に供えてほしいというものです。
「墓前に行くまで決して開けてはなりません」と言われた中身が謎の袱紗です。

この依頼を成功させれば「ちょびっ旅」の復活もあり得ることから、おかえりは張り切って引き受けようとします。
しかし、一緒に悦子会長の話を聞いていた鉄壁社長はなぜか気分が悪そうな表情をしています。
普段の元気さがなくなり、黙り込んでしまっていました。
どうやら天川真理こと国沢真理子と鉄壁社長には何かあるようです。
「ちょびっ旅」ファミリーの市川ディレクターからは、「もしおかえりが内子町へ旅に出たら、社長はもうこの業界でやっていけなくなるかもしれない」と言われ、「この話はなかったことにしてくれないか」とも言われます。
ただならぬものを感じつつもおかえりは、愛媛県の内子町へ旅に行きます。
果たしてどんな展開が待っているのか、悦子会長の依頼を果たすことはできるのか、緊迫した旅になりました。

旅を代行する「旅屋」という仕事は面白いなと思いました。
おかえりに「私の代わりに旅に行ってほしい」と頼んでくる人がいて、依頼人の数だけ色々な旅模様があります。
旅が大好きなおかえりには天職ですし、ぜひ色々な旅をしていってほしいと思いました


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女性のドキッとする髪型の変化

2014-09-25 23:16:21 | ウェブ日記
普段、茶髪のショートヘアの女性がいます。
茶髪はベージュ系の清楚な色合いが特徴的です。
ショートヘアは前髪なしのストレートボブ。
これがおっとり目で柔らかな雰囲気のご本人さんととてもよく合っていて良いなと思います。

ある日、その人を見かけた時、髪型が変わっていました。
ショートのストレートボブを後ろで束ねていたのです。
これがものすごく可愛らしくてドキリとしました。
束ねるだけでこんなにキュートな印象が強くなるのかと衝撃を受けました。
読者モデル、田中里奈さんの以下のヘアスタイルが近いかと思います。



以下のオフィシャルブログより。
http://ameblo.jp/rina620203/day3-20120309.html

長さもちょうどこのくらいでした。
ショートのストレートボブを後ろでひとつ結びにするのは小顔効果もあるのか、何だか顔が小さくキュートに見えました。
髪のカット自体は変えていないのですが、ひとつ結びにするだけで印象ががらっと変わるのが女性のヘアスタイルの奥深いところだと思います。
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「雨の降る日は学校に行かない」相沢沙呼

2014-09-23 23:16:29 | 小説
今回ご紹介するのは「雨の降る日は学校に行かない」(著:相沢沙呼)です。

-----内容-----
昼下がりの保健室。
そこは教室に居場所のないサエとナツのささやかな楽園だった。
けれどサエが突然“自分のクラスに戻る”と言い出して―(『ねぇ,卵の殻が付いている』より)。
“お父さん、お母さん、先立つ不孝をお許しください”。早朝の教室で毎日手帳に書いていた架空の遺書。
その手帳を偶然にも人気者の同級生が拾ってしまう―(『死にたいノート』より)。
揺れ動く6人の中学生の心を綴る6つのストーリー。

-----感想-----
物語は以下の六編で構成されています。

ねぇ、卵の殻が付いている
好きな人のいない教室
死にたいノート
プリーツ・カースト
放課後のピント合わせ
雨の降る日は学校に行かない

六編とも中学生の女の子の物語です。

「ねぇ、卵の殻が付いている」の語り手はナツ。
冒頭、サエとナツの会話から物語は始まります。
二人は保健室登校になっています。
ナツは一年近く保健室登校を続けていて、サエが保健室登校になってからは6ヶ月です。

ある日、サエが長谷部先生という保健室の先生に、来週から教室に戻ると言います。
サエの言葉を聞いていたナツには動揺が走りました。
自分だけ置いていかれるような心境になったナツは、素直にサエを応援してあげることができません。

どうして素直に、頑張ってねって言えないんだろう。

「もういいよ。サエなんて、どっか行っちゃえばいい。あたしなんて放って、教室に行っちゃえばいいじゃん。絶対にうまくいきっこないんだから」
とも言っていました。
ナツにとっての「教室」がどんな場所なのかを表す描写がありました。

だって、あそこ、あたしを笑う人たちしかいない。あたしのことばかにして、掃除を押しつけて、陰口を叩いて、くすくす笑って。

わからない。わからないんだ。自分にもどうしてなのか。どうして、脚が震えるのか、身体がすくんでしまうのか、ほんとうに、わからない。


心が悲鳴を上げて、どうしても、身体が前に進まなくなってしまうことってあると思います。
気合いが足りないからだとか、根性が足りないからだとか、そんなのではどうにもならない問題です。
もう一度教室に戻る決意をしたサエは素晴らしい精神力だと思いますし、物語終盤で勇気を出したナツもまた偉かったです。


「好きな人のいない教室」の語り手は森川なこ。
中学二年生の4月、教室は森川さんには息苦しい場所になっていました。

小さな酸素ボンベを抱えて、水の中で呼吸をしているみたい。きっと空気が足りなくなったら、窒息してしまう。

森川なこの隣の席には岸田という、オタクっぽい男がいます。
その岸田がよく教科書を忘れ、森川なこに見せてもらっているのですが、岸田のほうをちらりと見ると、ノートの隅になにかの漫画の女の子のイラストを描いているのが見えたりもしていました。
クラスの塚本さんという派手な女子からは、
「岸田が森川さんの気を惹くために、わざと忘れてくるんだよ。あいつ、森川さんのこと好きなんじゃないの?」「いっそ付き合っちゃったら?きっとお似合いだよ」
とからかいと嫌味が混じったようなことを言われていました。
「どうしてあんな嫌なことを言えるんだろう」と森川なこは、悪意のこもったからかいの言葉にうんざりとしていました。
やがてからかいはエスカレートしていじめになり、森川なこは学校に行けなくなってしまいます。
朝登校しようとしたらお腹が痛くて玄関から出られなかったというのが生々しく、限界が来てしまったことを物語っていました。

それでも、隣の席の岸田が森川なこを勇気付けてくれました。
なこの心に残る印象的な言葉を言っていたし、学校に行けなくなったなこを勇気付けるために、家に面白いものを届けてくれました。
オタクっぽいと評されていましたが、実は格好いい男でした。


「死にたいノート」の語り手は藤崎涼。
雨の降る日は好き。
わたしが憂鬱に沈み込んでいても、神様が赦してくれるような気がするから。

冒頭の出だしがこの言葉で、これもまた辛い物語なのかなと思いました。

藤崎涼は毎朝一番に教室に来て、ベージュの色をしたシステム手帳に遺書を書くという習慣があります。
毎日書いていて、死ぬ理由はいじめだったり失恋だったり、架空のものです。
藤崎涼はいじめられてはいませんが、どうしようもなく死にたくなっています。
クラスの子に上手く馴染めない自分に嫌気が差しています。

ある日、このたくさんの遺書が書いてある手帳をなくしてしまい、見つけた河田千瀬というクラスの人気者の女の子に中身を見られてしまいます。
手帳の持ち主が本気で自殺を考えていると思った河田さんは持ち主を早急に見つけ出すべきだ、そうでないと大変なことになると主張します。
自分が持ち主だとは言えない藤崎涼は河田さんと一緒に存在しない手帳の持ち主を探すことになりました。
もう一人、河田さんの友達のあっちゃんという子も一緒に探してくれました。

「きっと、死にたいなんて思ってないよ。この子は、助けてほしいんだよ」

三人で話していた時にあっちゃんが言ったこの言葉が印象的な物語でした。


「プリーツ・カースト」の語り手はエリ。
「スカートの短さは、教室での地位を表す」とありました。
丈が短いほど派手目な子ということです。
梓という、スカート丈が一番短く、教室で一番輝いている子がいます。
エリは梓のグループです。
同じクラスに福原真由という、エリが小学校の時に友達だった子がいます。
真由はスカート丈も長く梓などとは全く違うタイプの大人しい子で、エリと真由は現在は友達ではないです。

エリがグループ内でのウケを狙って言った真由の悪口が引き金となり、真由へのいじめが発生します。
エリは「陰口は悪かったけれど、本人のいないところで終わる話だと思っていた。真由を傷付けることはないだろうって」とやや後悔しているようでした。

梓のグループで真由の脚が短いと馬鹿にして盛り上がっている場面を読んだ時、思い出す光景がありました。
私がカフェに居た時、隣の席に女子高生のグループがいました。
そのうちの一人が席を外していて、その間にその人の悪口を言っていました。
「あの子マジ脚短いよねー」「ねー」などと言っていました。
しかし次の瞬間、「そうだねー、あたし脚短いねー」と声がして、ハッと思ってそちらを見ると、悪口を言われていた子が席に戻ってきて、そう言葉を返していたのでした。
隣の席に居ただけに、場が緊迫した空気になったのが分かりました。
その様子から、どうやら悪口を聞かれるのは想定外だったようです。
私は心の中で「よくぞその場面でその子らに切り返せた」と、心の強さに関心したのでした。
しかし平然と切り返したように見えても声に動揺が滲んでいたのが少なくとも隣で聞いていた私には伝わってきて、気丈に見せていても実際には心に傷が付く、傷付いたのだというのがよく分かり、私も胸が痛んだのでした。
そして真由も、梓達が真由の脚が短いだの何だのと悪口を言いまくっているのを聞いてしまい、真由は上記のようにその場で切り返すことはできず、教室を飛び出していってしまいます。


「放課後のピント合わせ」の語り手は堀内しおり。
しおりは自分の身体をスマートフォンで撮っています。
撮った写真を、インターネットのコミュニティでスレッドを立ててアップロードしています。
そしてコミュニティの人達から喜んでもらって自分の存在意義を見出すような、そんな子です。
あたしの居場所は、だから、あそこにしかないんだ。
の言葉が切なかったです。

この物語では、担任の柳先生とのカメラについての会話が印象的でした。
「これなぁ、実はフィルムなんだぜ」
「フィルム……?」
「知らないか?デジカメが生まれる前のカメラ」
「名前くらいなら、知ってますけど……」

現在はデジタルカメラが主流ですが、私が中学生の頃はまだフィルムカメラが主流でした。
今の中学生はフィルム自体知らないのかと驚きました。
先生のフィルムカメラで何か撮ろうとしたしおりですが、撮りたいものがなくて戸惑います。

撮りたいものなんてない。光を欲しいのは、光を浴びたいのは、だって、あたし自身なんだから。

それでもこの話では先生から借りたフィルムカメラを通して、しおりに新たな友達関係が生まれます。
なかなか馴染めなかったクラスで、一歩踏み出すことができました


「雨の降る日は学校に行かない」の語り手は小町サエ。
「ねぇ、卵の殻が付いている」に出てきたサエが、なぜ保健室登校になったのかの物語です。
「さっちゃん」と呼ばれていますが、途中でサエのことだと分かりました。

夏休みに入る前と、クラスの状況が変わってしまっていました。
飯島さんという子を筆頭に、情け容赦なくサエをいじめてきます。
クラスの子以外も、すれ違った時にサエを見てくすくす笑ったりして、こちらも情け容赦なくサエの心に傷を付けてきます。
いじめのきっかけは些細なものでした。
携帯電話の「LINE」と思われるアプリのグループメッセージで、飯島さんからのメッセージに一日返事をしないで置いてしまったというものです。
『既読になっているのに、一日シカトとかありえなくない?』と激怒した飯島さんと、それに賛同したグループの子達によっていじめが始まりました。

いじめによって心が潰れそうなサエは
普通の子はきちんと学校に通う。だから学校に行けない子は、普通じゃない。
と言っていましたが、これはそうとも言えないと思います。
脚が震えたりお腹が痛くなったり、漠然とした不安感があったりして、どうしても教室に行けない場合もあると思います。
普通じゃないで片付けてしまうことはできないです。
ちなみにサエの担任の川島先生は「サエの元気が足りないから、サエの根性が足りないからクラスに上手く馴染めないんだ」というような人で、全く何も分かっていませんでした。

もう、限界だった。

お母さん、ごめんなさい。
わたしは、もう、学校に行けません。


とうとう限界が来て、サエは学校に行けなくなってしまいます。
それでも、サエに寄り添ってくれる人もいました。
養護教諭の長谷部涼子先生で、「ねぇ、卵の殻が付いている」に登場した保健室の先生です。
サエと長谷部先生の扉越しの会話はかなり良かったです
やがて長谷部先生に誘われて、再び学校に行き、保健室に登校するようになりました。
そこで岡崎ナツとも知り合いました。

わたしは生きにくい子なのかも知れない。それでも、こうして生きているから。
ときどき、激しい雨に打たれて、挫けそうになるけれど。少しくらい、休んだっていい。
雨宿り、したっていい。雨に濡れた、こころが晴れるまで。


題名の「雨の降る日」は天気の雨ではなくて、こころに雨が降る日のことです。
やがてこころが晴れる時は必ず来ると思います。
挫折を超えて、もう一度羽ばたいていってほしいです。


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「春の庭」柴崎友香

2014-09-21 22:39:50 | 小説
今回ご紹介するのは「春の庭」(著:柴崎友香)です。

-----内容-----
行定勲監督によって映画化された『きょうのできごと』をはじめ、なにげない日常生活の中に、同時代の気分をあざやかに切り取ってきた、実力派・柴崎友香がさらにその手法を深化させた最新作。
離婚したばかりの元美容師・太郎は、世田谷にある取り壊し寸前の古いアパートに引っ越してきた。
あるとき、同じアパートに住む女が、塀を乗り越え、隣の家の敷地に侵入しようとしているのを目撃する。
注意しようと呼び止めたところ、太郎は女から意外な動機を聞かされる……
第151回芥川賞受賞作。

-----感想-----
この作品は今年の7月に第151回芥川賞を受賞しました。
私はその7月から柴崎友香さんの作品を読み始めていて、今回ついに「春の庭」を読んでみることにしました。

主人公は「太郎」という30数歳の男。
東京都の世田谷区にある「ビューパレス サエキⅢ」という、築31年のアパートの一階に三年前から住んでいます。

冒頭、同じアパートの二階に住む女がベランダから身を乗り出し、アパートのすぐ近くにある水色の家を見ているのが太郎の目に入ってきました。
それから何日か経ったある日、今度は女がコンクリートブロックを積み上げて足場にし、水色の家のブロック塀に手をかけてよじ登ろうとしているのが目に入ってきました。
女が水色の家に不法侵入しようとしていると思い、声をかける太郎。
しかし女は泥棒しようとしていたわけではなく、その水色の家が好きで、仕事で絵を描いているのでその参考に確かめたいことがあるとのことでした。
半信半疑ながらも太郎は、「太郎の部屋のベランダの柵に上らせてもらって、水色の家の様子を確かめさせてほしい」という頼みを聞いてあげることにします。

「ビューパレス サエキⅢ」は面白いアパートで、部屋に101号室、102号室…のような番号はありません。
変わりに十二支の干支が割り当てられています。
一階と二階に四部屋ずつあり、一階は亥(い)、戌(いぬ)、酉(とり)、申(さる)、二階は未(ひつじ)、午(うま)、巳(み)、辰(たつ)。
太郎が住んでいるのは亥の部屋で、女が住んでいるのは辰の部屋です。
もう一人、作中によく出てくる人物に巳の部屋に住んでいる太郎の父親と同年代の女の人がいます。

太郎が会社の同僚の沼津という男から貰ったお土産に、「ままかりの味醂干し」と「鮭とば」がありました。
両方知らないので調べてみました。
ままかりは、サッパというニシン科の魚で、ママカリ(飯借り)という別名を持っています。
ママカリという名は、「飯が進み、家で炊いた分を食べ切ってしまってもまだ足らず隣の家から飯を借りてこなければならないほど旨い」に由来しています
そんなに美味しいのかと興味を持ちました
また、ママカリ料理は岡山県の郷土料理として有名とのことです。
鮭とばは、秋鮭を半身におろして皮付きのまま縦に細く切り、海水で洗って潮風に当てて干したものです。
「とば」は漢字で冬葉と書き、冬の北海道・東北地方・新潟県(村上市)の風物詩になっているとのことです。
ままかりの味醂干しは岡山に出張した時の土産で、鮭とばは北海道の釧路に行った時の土産だったので納得しました。

女の苗字は西と言います。
最初、太郎の女の呼び方は部屋の干支から「辰さん」となっていましたが、女が名乗ってからは西さんになりました。
ちなみに巳の部屋に住んでいる女の人はずっと「巳」さんになっていました。
巳さんはこのアパートに住んで17年になります。

西は頼みを聞いてもらったお礼に、太郎に居酒屋で晩御飯をご馳走してくれます。
そこで西から、「春の庭」という写真集が紹介されます。
その写真集に載っている家が、西が熱心に見ている水色の家でした。
「春の庭」はCMディレクターの牛島タローと、小劇団の女優で牛島の妻である馬村かいこの共著で、西が「春の庭」に出会ったのは高校三年生の教室ででした。
友達が持ってきていました。
西は東京で暮らして20年になり、大学進学を機に上京したとあったので、現在は38歳かなと思います。
漫画やイラストを描くことを仕事にしています。
西は今のアパートに引っ越してきてから、高校時代からの思い出深い水色の家を毎日家の前を通ったりベランダから眺めたりしていました。

太郎はよく人から貰ったものをそのまま西や巳さんや会社の同僚にくれているのですが、同僚が引っ越すことになった際の餞別の品まで貰いものをあげていたのはいかがなものかと思いました。
そういうのは自分で選んで買った品をプレゼントすべきではないかと思いました。
なかなか適当な性格をしているのかも知れません。

読んでいるうちに、季節が春から夏になり、秋、冬となっていくのが分かります。
その間に西は水色の家に現在住んでいる森尾さんの奥さんと友達になり、家に入れるようになっていました。
かつて牛島タローと馬村かいこが住んでいた、西にとってずっと気になっていた家の中についに入ることができました。
そしてずっと静かな雰囲気のこの作品では珍しくちょっとした事故が起きたりもします。

「ビューパレス サエキⅢ」は大家さんの都合で取り壊しが決まっています。
なので物語が進むにつれて、引っ越していく住人もいました。
アパートのすぐ近くにある水色の家を中心にした物語で、そこから人と人とのちょっとしたつながりが紡ぎ出されていました。
静かで淡々とした雰囲気の中で時折家に不法侵入しようとしたり事故が起きたりといったことがあるのが特徴でした。
アクセントのつけ方が柴崎友香さんらしくもあり、特に事故のところはまさかそういう展開になるとは思わなかったので驚かされました。
芥川賞に相応しい作品であったと思います。


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「くちびるに歌を」中田永一

2014-09-20 23:51:51 | 小説
今回ご紹介するのは「くちびるに歌を」(著:中田永一)です。

-----内容-----
長崎県五島列島のある中学校に、産休に入る音楽教師の代理で「自称ニート」の美人ピアニスト柏木はやってきた。
ほどなく合唱部の顧問を受け持つことになるが、彼女に魅せられ、男子生徒の入部が殺到。
それまで女子部員しかいなかった合唱部は、練習にまじめに打ち込まない男子と女子の対立が激化する。
一方で、柏木先生は、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲「手紙~拝啓 十五の君へ~」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を課した。
そこには、誰にもいえない、等身大の秘密が綴られていた。

-----感想-----
この夏、文庫本のフェアで見かけたこの作品。
帯に「2012年度 読書メーターおすすめランキング第1位 映画化決定!」とあり、興味を持ちました。
そしてついに今回読んでみることにしました。

著者の中田永一さんは、乙一(おついち)さんの別名義のペンネームとのことです。
さらに山白朝子というペンネームも持っているらしく、一人で3つもペンネームを持っているのには驚きました。

物語の舞台は長崎県の五島列島。
五島列島は長崎県西部の海に密集する140ほどの島の総称です。
比較的大きな島が五つ並んでいて、その周辺に中小の島々が点在しています。
語り手は仲村ナズナと桑原サトルの中学三年生の二人。
この二人の語りが交互に展開されていきます。
また、各章の冒頭には作品の登場人物が書いた手紙があります。

合唱部は当初、女子部員しかいませんでした。
仲村ナズナの同級生では部長の辻エリや長谷川コトミ、一学年下の福永ヨウコなどがいました。
顧問の音楽教師、松山ハルコ先生のもと活動していたのですが、松山先生が新年度から一年間出産と育児のため休職することになります。
代わりに一年間の臨時教員としてやってきたのが柏木先生。
30歳で松山先生と同級生の音楽教師で、五島列島の出身でもあります。
音楽大学のピアノ科への進学を機に東京に上京していて、東京では自称ニートな引きこもり生活をしていたらしく、今回松山先生に頼まれて五島列島に帰ってきました。
柏木先生は腰まである長い黒髪が印象的なかなりの美人で、たちまち学校内の注目の的になりました。
そして柏木先生目当てで男子が入部してくることに。

その時、成り行きで合唱部に入部することになってしまったのが桑原サトルです。
桑原サトルは同級生の合唱部員、長谷川コトミのことが気になっていて、他の男子生徒が柏木先生目当てで入部する中、長谷川コトミと一緒に活動できるなら…という理由で入部していました。
また桑原サトルはものすごく内気な性格で、本人曰く「ぼっちのプロ」とのことです。
ぼっちとはひとりぼっちのことで、クラスではいつも一人で過ごし、クラスメイトと言葉を交わすこともないです。

長谷川コトミは幼稚園の先生になるのが夢の、博愛精神に満ちた美少女と周りからは思われています。
しかし実はおっとりとしていて穏やかな印象とは別の本性を持っていて、中学一年の二学期に長谷川コトミとの間にあったちょっとしたエピソードから、桑原サトルはそのことを知っています。

合唱部に入部してきた男子は全部で七名になったのですが、その中に三年生の向井ケイスケと三田村リクがいます。
向井ケイスケと仲村ナズナは幼馴染で、ケイスケが柏木先生目当てで合唱部に入ったことに激怒していました。
ナズナは母や自分を見捨てて愛人のところに転がり込んだ父のせいで男性不信になり、男の人が嫌いになってしまいました。
そのため合唱部に男子が何人も入部してきたことにも人一倍不快感を露にしていました。

合唱の世界には、「NHK全国学校音楽コンクール」というものがあります。
通称「Nコン」と呼ばれていて、7月末にNコンの都府県地区コンクールが行われます。
Nコン長崎県大会も7月末にあり、合唱部はそこに向けて活動していくことになります。
そして例年は女子部員だけなので「女声合唱」で出場するのですが、今年は男子部員が何人も入ってきたので「混声合唱」で出場することになります。
Nコンには課題曲と自由曲があり、今年の課題曲は『手紙~拝啓 十五の君へ~』。




実際に2008年のNコンの課題曲がアンジェラ・アキさんの『手紙~拝啓 十五の君へ~』で、それがモデルになっているようです。
この『手紙~拝啓 十五の君へ~』をよく理解して歌うために、十五年後の自分あてに手紙を書くという宿題が出ます。

桑原サトルにはアキオという自閉症を患っている兄がいます。
親戚の工場で働いていて、サトルが工場まで一緒に歩いて送り迎えをしています。
ぼっち状態のサトルにとって、アキオだけが心の拠り所になっていました。
それでも合唱部での活動を通じて、徐々に自分というものを見出していきます。

仲村ナズナは柏木先生を意識しまくりの男子達にイラついています。
柏木先生が「低い声が好き」と言っているのを聞いた途端に男子達が低い声で話し始めた様子を見て「男子はやっぱり死んだほうがいい」と言っていました
また、男子は柏木先生がいないとやる気を出さず、それにナズナを始め女子部員達が怒り、次第に合唱部に亀裂が入っていきます。

第二章では、『手紙~拝啓 十五の君へ~』の歌詞について長谷川コトミが解釈していました。
『手紙』の歌詞は「僕」という人物の一人称で書かれているのですが、「十五歳の自分」と大人になった「現在の自分」という二人の「僕」がいます。

一番の出だし
拝啓 この手紙読んでいるあなたは どこで何をしているのだろう
十五の僕には誰にも話せない 悩みの種があるのです

二番の出だし
拝啓 ありがとう 十五のあなたに伝えたい事があるのです
自分とは何でどこへ向かうべきか 問い続ければ見えてくる

十五歳の自分が未来の自分に手紙を書いている一番の出だしは女子が歌い、大人になった現在の自分が十五歳の自分に返事をしている二番の出だしは男子が歌います。
これにより、変声期前の「僕」と変声期後の大人になった「僕」を歌声によって表現することができます。
高い女声によって子どもの「僕」を、低い男声によって大人の「僕」を表現します。
この演出は女子だけではできず、男子の声があって初めて成立するもので、混声合唱の醍醐味のようです。
なので、男子と女子の間に亀裂が入っていても、男子を排除するようなことはせず混声合唱で歌いたいと長谷川コトミは考えていました。

それと、有名なアニメ映画と五島にはつながりがあるようです。
「天空の城ラピュタ」「火垂の墓」の美術、「時をかける少女」の背景を担当したのが五島の出身とのことでした。
また、五島列島の方言も面白かったです。
長崎県本土の長崎弁に似ていますが、五島列島独特の方言もあります。
会話の中で何度も出てきた「ざーま(とてもという意味)」などは特に印象に残りました。

Nコンの九州・沖縄ブロック長崎県大会は諫早市にある文化会館で行われ、長崎県内の中学校のうち、二十校ほどが参加します。
良い成績を残せた学校のみが九州大会に進み、そこでも上位に食い込んだら全国大会で歌えます。
全国大会は紅白歌合戦が行われる場所でもある、東京の渋谷にあるNHKホールで行われます。

柏木先生が語った合唱の面白さは印象的でした。
「ひとりだけが抜きん出ていても、意味がないんだ。そいつの声ばかり聞こえてしまう。それが耳障りなんだ。だから、みんなで足並みを揃えて前進しなくちゃいけない。みんなで一緒になって声を光らせなくちゃいけない。なによりも、他の人とピッチを合わせることが武器になるんだ。だから、誰も見捨てずに、向上していかなくちゃならない」

また、この作品では時折面白い言い回しがあります。
男子と女子の亀裂について、「それまでにも溝はあったが、いまやその深さは修復不可能な日本海溝レベルとなり、うっかり目を合わせたら舌打ちをされるほどである」など、どこか森見登美彦さんが思い浮かぶ言い回しでした。

そして一学期が終わり、夏休みに入ります。
いよいよNコンの長崎県大会に臨むことになります。
諫早市の諫早文化会館に乗り込むのですが、大会は現地に到着した日もコンクールの当日もなかなかの波乱の展開になりました。
現地に到着した日は長谷川コトミと桑原サトルに色々なことがありました。

ありえない、ということがおこったとき、人は動揺する。

という言葉が出てきて、まずい展開が待っていることが予感されました。
いつも飄々としていて落ち着いている柏木先生の様子がおかしく、何があったのかと部員にも不安が走ります。
しかし大会の進行は待ってはくれず、着々と出番が近づいてきます。

「くちびるに歌を持て、ほがらかな調子で」

という、産休中の松山先生がよく言っていた言葉を思い出しながら、本番のステージに臨んでいきます。
課題曲『手紙~拝啓 十五の君へ~』の歌いだしとともに登場する、部員の手紙としては最後に登場する手紙。
この場面はかなり心を揺らしました。
合唱している場面と、手紙を書いた人の心理が合わさって、読んでいて寂しいような、切ないような心境になりました。
しかしこの合唱によって手紙に綴ってあった心境を超えて、先の人生に向かっていけるのではと思いました。

最後に、渋谷にあるNHKホールで行われた全国大会の様子をご紹介します。
涙を流しながら歌っている生徒達もいて、これが合唱が持つ力なのだと思いました。
動画を見ていたら私も涙ぐんでしまいました。




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朝日新聞廃刊の現実味

2014-09-19 00:24:51 | 政治
※「朝日新聞吉田調書、従軍慰安婦捏造報道 謝罪に至る経緯」をご覧になる方はこちらをどうぞ。

ツイッターの良いところの一つに、色々な人の意見が見られるのがあります。
同じ問題でも、自分一人では考えついていなかった意見が出ていたりもして、なるほどと思ったりもします。
朝日新聞社の従軍慰安婦捏造・嘘報道、吉田調書捏造・嘘報道、池上彰さんへの言論封殺事件を経て謝罪会見に至る一連の事件について、ツイッターで印象的だったツイート(つぶやき)を以下にご紹介します。

ちなみに「リツイート」とはその人のつぶやきが他のツイッターユーザーによって紹介され広まっていく「情報の拡散」を意味しています。
各ツイッターユーザーには「フォロワー」というブログでの読者に該当する人達もいるので、リツイートされればされるほど、乗数的にどんどん情報が広まっていきます。


----- 印象的だったツイッターでのつぶやき -----

nakayamanariaki(中山なりあき)  衆議院議員
ついに朝日新聞が白旗を揚げた。
公開されないと考えていた福島原発事故に関するいわゆる吉田調書が公開されるに及んで観念した。
日本を貶める為には捏造でも事実の歪曲でも躊躇しない反日体質が明らかになった。
慰安婦問題と合わせ国際的に日本の信用と名誉を地に落とした。罪は重い。

1267人がリツイート


nakayamanariaki(中山なりあき)
朝日の木村社長は会見で読者の皆さんに謝罪すると言ったが、日本の皆さんに謝罪すると言うべきだ。
朝鮮女性を性的奴隷にしたと濡れ衣を着せられ、韓国等から理不尽な非難を受け、国際社会で名誉を傷つけられているのは日本国民なのだ。
慰安婦問題の本質は女性の人権侵害ではなく朝日の捏造なのです。

1263人がリツイート


nakayamanariaki(中山なりあき)
これまで何度も指摘したが、読者を一段低く見て、騙し、誤導する手法はネットの普及で通用しなくなったのだ。
朝日を読めばインテリと思われていた時代は終わった。
日本のマスコミだ、報道の根底に日本を大切に思う気持ちがほしい。
今回は若い社員が立ち上がった。
慰安婦についてはまだ謝罪が足りない。

819人がリツイート


hyakutanaoki(百田尚樹)  作家
朝日新聞が福島原発の「吉田調書」の記事で、「所員の9割が命令を聞かずに逃げた」というウソを書いたのはなぜか。
その少し前、韓国のセウォル号事件で、韓国人船長の責任感のない行動が非難された。
まさか、朝日新聞は「日本人も同じだよ」と言いたいために記事を捏造したのではないよね?

1738人がリツイート


hyakutanaoki(百田尚樹)
あはは。このツイートの主は朝日新聞の編集長らしい。
店で万引きした商品を、元の棚に戻すだけで、誇りを感じるようなもんか。誇りのレベルが低すぎて^^→@wsawa 多様な意見を載せる。その原則を守れと同僚たちが声をあげる。社が受け入れる。結果的にそうできたことに誇りを感じる。

2385人がリツイート

解説:池上彰さんへの言論封殺の件が国民にバレて批判が殺到し、最終的にコラムを掲載した件についてのことです。


hyakutanaoki(百田尚樹)
世間の注目が集中している時に、池上彰氏の朝日批判コラムを掲載中止にすると、どんな反響が起きるか想像できなかったならば、危機管理能力の欠如以前に、正常な判断力を失っていると言われても仕方がない。
そして実際に世間の批判を浴び、慌ててその決定を覆するにいたっては、もう混乱の極みである。

1280人がリツイート


hyakutanaoki(百田尚樹)
かつて多くの文化人や作家やジャーナリストや大学教授が朝日新聞になびいていた。
朝日新聞に褒められたら喜んでシッポをふる者たちが沢山いたし、今もいる。
彼らは朝日新聞こそ正義だと信じ、朝日の忠実なる下僕になっていた。
朝日が主張するものを称賛し、朝日が批判するものを攻撃した。
クズである。

1296人がリツイート


FIFI_Egypt(フィフィ)  タレント
朝日新聞が会見の中で「慰安婦問題」について事実に基づいていない記事だったとして謝罪したけど、日本を否める記事を世界配信した罪は大きい。
私も討論番組出演の際に、それを鵜呑みに?いや、その記事を利用して日本を非難したいだけの方々に相当な言葉を浴びせられた。
彼らも今頃赤っ恥状態だろう。

962人がリツイート


FIFI_Egypt(フィフィ)
朝日新聞の会見、社長は繰り返し“読者の皆様に”と謝罪したが、謝るならむしろ日本国民に対してでしょ。
吉田証言、吉田調書いずれの記事も国の名誉を傷つけた。
誤報というより、独自の解釈で歪曲記事を書き続けられた背景には、それを望んでいる人々が日本に存在するのも事実で、そのことの方が怖い。

1543人がリツイート


FumiHawk (青木文鷹)
新聞は免許制でも許認可制でもない。
新聞社独自発行印刷物を“新聞”足らしめている根幹は『発行している新聞社への信頼』だ。
信頼を失った時、その新聞は広報紙以下に成り下がる。
慰安婦~吉田調書捏造に謝罪すらせず信頼失墜させた昨夜の記者会見は新聞としての“朝日御臨終”の瞬間だったと言える。

260人がリツイート


yukehaya(林雄介)
朝日新聞の捏造は創業以来の伝統芸。
ネットがなかったから広まらなかっただけ。
連合赤軍をかばうために、あさま山荘事件の人質が入院していた病室に盗聴器を仕掛け、人質と警察のやり取りを捏造。
連合赤軍はいい人達でしたと人質語ると報道。
盗聴器事件は他社の記者を激怒させ暴露される。

591人がリツイート

解説:上から三番目のツイートにもあるように、ネットの普及で時代が変わりました。朝日新聞等の反日左翼マスコミの酷さについてもどんどん国民に知れ渡っています。


wenly_m(文里)
スクープが 実は捏造 何回目 #朝日川柳

124人がリツイート


toshio_tamogami(田母神俊雄)  元航空幕僚長
朝日新聞の社長が辞任したのは慰安婦の虚偽報道ではなく、福島原発の吉田所長に関する恣意的な虚偽報道だったのですね。
よくもまあ次々に日本を貶める報道ばかりを続けられるものです。
慰安婦の虚偽報道は本当に許せません。
朝日新聞を読まない、買わないことです。
反日を支援してはいけません。


1735人がリツイート


tan3768(NAO)
朝日新聞編集者のツイートが目に入ってきたけど何これ?「政権ヨイショ」とか「脅し」とか…。
さすが「安倍の葬式を出す」とかほざいていたキチガイ新聞社。
捏造までして反日記事を世界に垂れ流していたくせに何が脅しや。
今すぐ、発行停止しなさい! pic.twitter.com/UEtJhW157h

735人がリツイート

解説:朝日新聞の名言に「安倍の葬式はうちで出す」があります。捏造、偏向も厭わないバッシング報道をしまくることにより安倍晋三氏を政治的に抹殺し、葬式を朝日新聞社で出してやるという意味です。朝日新聞社は「反日左翼新聞」「売国左翼新聞」と呼ばれるだけに国家国益といったものが大嫌いで、国家国益を重視し日本のことを考えてくれる安倍晋三首相のことも大嫌いというわけです。最初から特定の政治家を叩きまくるのを目的とした新聞なんて、どう考えても異常ですよね。「報道」とはかけ離れた、ただのプロパガンダです。


ryoko174 (ryoko174)
朝日新聞は吉田調書のデマ報道をつい先日まで正しいと言い張り、その問題点を指摘・批判した人に法的措置さえちらつかせていました。
もし政府が故人の遺志を尊重して公開しなければ、逃げ切っていた可能性もありそうです。
恐ろしいことです。

558人がリツイート


daitojimari(渡邉哲也)  経済評論家
朝日が誤報を認めたことにより、第4の権力に対しての第5の権力(民衆)の監視が一気に強まったのですね。
TWITTERなどで民衆が連携する構造が生まれたわけで、今まで許されてきた事が許されなくなったと言う話でしょう。
また、取材を受ける側も録画するなど自己防衛を取り始めている

280人がリツイート

解説:今までは第4の権力「マスコミ」がやりたい放題だったのですが、ネットの普及によってそれが許されなくなってきたということです。マスコミの捏造報道、偏向報道への監視の目が構成されてきています。


ut_ken (ut_ken)
「朝日を批判しすぎて潰してしまってはいけない」「周りの空気に合わせてなぐよるような事はいけない」を、これまでに政治・行政・企業・インフラなどについても同じことを言っていたならごもっとも。
だがそれらに対しては徹底的に殴り倒し、朝日の問題になると手のひら返ししてるならただの詭弁

378人がリツイート


過去に「西山事件」というのがあり、これがきっかけとなって毎日新聞が不買運動で倒産したことがあります。
新聞の場合、書いている内容について国民から信用して貰えなくなったら終わりです。
捏造だらけの嘘新聞と分かっているものをお金を出して買いたいとは思わないですから。

現在、国民の間で「朝日新聞を廃刊にすべき」という声が上がってきています。
特に従軍慰安婦捏造・嘘報道は32年間も記事を取り消さずに世界中に嘘を拡散し続けた極めて悪質なものです。
朝日新聞のせいで、世界から私達の先人は女性を性奴隷として扱う極悪非道な人達という言われなき汚名を着せられてしまいました。
朝日新聞にはまず世界に向けて自社の報道が嘘だったことをきちんと発信させ、その後は廃刊にして罪を償わせるべきだと思います。
国民による朝日新聞の解約、不買運動です。
一番最後のツイートにあるように、政治家や企業などの不祥事の際は人が自殺したり企業が倒産するまで徹底的に追い込む報道を展開しておきながら、自分達の不祥事の時だけ「あまり批判するな」というのは論理に無理があります。
桁違いに悪質な、日本をぶっ潰そうとしているとしか思えない反日左翼思想全開の捏造報道ぶりから見て、廃刊によって消滅してもらうのが妥当だと考えます。
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「ココロ・ファインダ」相沢沙呼

2014-09-17 23:59:59 | 小説


今回ご紹介するのは「ココロ・ファインダ」(著:相沢沙呼)です。

-----内容-----
高校の写真部に在籍する四人の少女、ミラ、カオリ、秋穂、シズ。
それぞれの目線=ファインダーで世界を覗く彼女たちには、心の奥に隠した悩みや葛藤があった。
相手のファインダーから自分はどう見えるの?
写真には本当の姿が写るの?
―繊細な思いに惑う彼女たちの前に、写真に纏わる四つの謎が現れる。
謎を解くことで成長する少女たちの青春を、瑞々しく描く。

-----感想-----
物語は以下の四編で構成されています。

コンプレックス・フィルタ
ピンホール・キャッチ
ツインレンズ・パララックス
ペンタプリズム・コントラスト

主要登場人物のうち、ミラ、カオリ、シズは高校二年生、秋穂は一年生です。
四人とも写真部に在籍していて、章ごとにそれぞれが語り手になっています。

「コンプレックス・フィルタ」の語り手はミラ。
本名は野崎鏡子。
鏡の子なのでミラという愛称になったようです。
しかし本人は自分の容姿にコンプレックスを持っていて、鏡で自分の顔を見るのは嫌と語っていました。
鏡の見れないミラ子と自嘲気味に言っています。

物語の時期は残暑の残る9月。
ミラはサッカー部の鳥越君に恋をしていました。

恋をすると、いやでも鏡と向き合うようになる。

という言葉が目を惹きました。
好きな人の気を惹くために、鏡と向き合う時間が長くなるということです。
「鏡の見れないミラ子」との対比が印象深く、そんなミラ子をも鏡と向き合わせるのが恋の力なのだなと思いました。

9月の半ばになって、カオリが部活に顔を出さなくなります。
カオリはオシャレで可愛くて人気者で、男子からの評価は高く、へんに媚びた性格をしているわけではないから女子からも好かれているとのことです。
ミラはカオリと親友で、「わたしは密かに、カオリと親友でいられることを誇りに思っていた」と胸中で語っています。
しかし完璧なカオリに少し複雑な心境も持っていて、「わたしが持っていないものを、カオリはぜんぶ持っている」と羨んでいました。

ときどき、羨ましくて。ときどき、妬ましい。

カオリの容姿が羨ましく、嫉妬の気持ちが湧いてきてしまうのは、止めようがないのだろうと思います。
自身にコンプレックスを抱いている分、なおさらですね。
それでも歪んだ気持ちがカオリに向かって冷たくしたりといったことをしないのがミラの偉いところです。

写真部の戸嶋先生、堀沢部長といった名前が出てきたので、物語に絡んでくるのかなと思いましたが、あまり多くは絡んできませんでした。
あくまでミラ、カオリ、秋穂、シズの四人をメインにしています。

カオリはどうして部活に来なくなったのか、ミラは考えます。
そしてトラブルを起こす相手で思い浮かんだのが、シズ。
「彼女は他人に対する思いやりみたいなのが、ちょっと欠けているところがある」とのことで、ミラはシズとカオリの間に何かがあったのだろうと考えます。
本来シズとカオリは仲が良いはずなのに、何があったのか…
軽めのミステリーのように、謎を追っていきました。

カオリとルミネに買い物に行った時、他の学校の高校生を見かけて「シズみたいなさらさらの髪。いいなぁ。羨ましい」と胸中で言っている場面がありました。
カオリに加えてシズの髪も羨ましいようで、ここにも自身の容姿へのコンプレックスが現れていました。

やがてミラは、カオリがシズに怒っていること、そしてその原因がシズが撮ったカオリの写真にあることに辿り着きます。
その写真には「何か」が写っていなくて、カオリはそれに対して怒っていました。

シズがそうやって被写体に手を加えることができるのは、写真の中の世界だけ。カメラで閉じ込めた世界でしか、魔法は効かない。それはかりそめの手段で、現実じゃない。

シズが良い結果をもたらすと思って使った魔法は、写真の世界では威力を発揮しましたが、現実の世界ではカオリを激怒させてしまいました。
そして終盤でミラが語った
完璧に見える彼女にも、彼女なりのコンプレックスがあるんだと思う。
は、ミラが自身のコンプレックスを受け止めて、それまでより少し心にゆとりが生まれたのが分かって良かったです。


「ピンホール・キャッチ」の語り手は秋穂。
後輩から見たミラ、カオリ、シズの描写が出てきて、カオリのことは日比野先輩、ミラのことはミラ子先輩、シズのことはシズ先輩と言っていました。
この章では「謎の壁」の写真が出てきます。
ミラが部室で文化祭で展示する写真を印刷しようとしていて、デジカメ(デジイチ)のSDカードの中に妙な写真があるのを見つけます。
それはクリーム色の配色のコンクリート壁の写真でした。
ミラはそんな写真を撮った憶えはなく、一体誰が撮った写真なのか、謎が謎を呼びます。

秋穂は友達付き合いが苦手で、クラスのオシャレな友達と話している時、苦痛を感じています。
これを言うと空気読めないと思われるんじゃないかとか、あれこれ考えているうちに何も言えずに周りの友達の会話が進んでいってしまうようです。
そして秋穂はシズに好印象を持っています。

先輩は静かだ。ほとんど無口で、あまり自分から喋ろうとしない。わたしと違うのは、物静かなのに、なんだか堂々としているというか、他人を恐れる気配がまったくないところだと思う。いつだって胸を張って生きているような感じ。人と喋れなくてなにがいけないの?シズ先輩なら、そんな台詞を言ってくれそうな気がした。

自分と似たところがあり、それでいて堂々としているシズに惹かれるところがあるようです。
シズが秋穂に言った以下の言葉も印象的でした。

「服を選ぶのって、自分を作っていくのに似てる。どんな服が自分に合うのか考えるのって、自分がどんな人間なのか考えるのと同じだよ」

自分に似合う服を選んでいるうちに、自分の個性が見えてくると思います。
また、秋穂は自分のことが分からずに、「自分らしい、わたしらしいって何?」をずっと考えています。
やがて秋穂は、「たくさんの光を放つことのできない存在だってある。薄暗い場所だってある。日の当たらない場所だってあるんだ」と、自分があまり強い光を放てない存在だということを受け止め、吹っ切れていました。
自身が発するうっすらと弱々しい光をいつか誰かが受け止めてくれるだろうかとも言っていました。
誰もが強い光を発するわけではないのですし、秋穂の弱々しい光に反応してくれる人も必ずいると思います。
現にシズは秋穂の心の機敏を正確に捉えていました。


「ツインレンズ・パララックス」の語り手はカオリ。
本名は日比野香織。
最初の章でミラが「わたしが持っていないものを、カオリはぜんぶ持っている」と羨んでいましたが、カオリはカオリで悩みを持っていました。

この作品では、カオリとシズが初めて会った時のことが描かれていました。
また、シズという愛称はミラが名付けたということも分かりました。
「この子は、大人しいわけでも、人見知りするわけでもない。ただ、必要でないときは、ひたすらに静かなんだ」とあり、そこからシズという愛称になったようです。

そして、カオリとシズの二人での会話がかなり印象に残りました。
鏡についてシズが語っていて、すごくためになりました。

「人間は、鏡に映るものを見るとき、左右の概念を、鏡の中の人間の立場で当てはめようとする。無意識のうちに、鏡の裏側に回り込んでしまう」

これはたしかにそうだと思いました。
右手を上げると、鏡の中の自分は左手を上げているように見えます。
でも実際には左手のように見えるそれは右手で、左右は反転なんてしていないということです。
シズは「これは、ロマンチストが突き当たる問題なんだよ。鏡の中に、人間がいるんだって考えている」と言っていて、私も鏡の裏側に回り込んで考えてしまうことがあるので、ロマンチストなのかなと思いました(笑)

そして鏡の話ではシズの物凄い鋭さに驚かされました。
カオリがシズに話していた「映子」という中学校の時の、クラス中から仲間外れにされるいじめに遭っていた同級生について、カオリが話さずにいた真相を突き止めてしまいました。
シズは静かですが物凄く鋭く、そして本当はとても優しい人でした。
カオリとの最後の展開は感動的でした


「ペンタプリズム・コントラスト」の語り手はシズ。
本名は天野しずく。
時期は文化祭の後で、二話目の「ピンホール・キャッチ」が文化祭で展示する写真の準備をしていたので、そこからある程度時間が経っています。

シズは天才的な写真の腕を持っています。
よくカオリをモデルにして写真を撮っていて、周りからもかなり好評です。
そして写真家になりたいと考えていて、そのために芸術学部のある大学へ行くつもりです。
もともと成績はよく、親は「良い大学」に行かせるつもりなのですが、シズの考える路線は親の考える路線と大きくかけ離れていました。

この章では、カオリが色々あってクラスでの立場が危うくなっています。
文化祭にシズが展示したカオリの写真にも、嫌がらせがされていました。
そしてその遠因はシズでもありました。

自分の撮った写真が、人を傷付ける道具になるなんて、想像したこともなかった。

こと写真のことになると貪欲で周りが見えなくなりがちなシズですが、カオリへの嫌がらせを前に、シズは初めて自分が撮る写真に疑問を持ってしまいます。
母親とも進路のことで対立していて、心はすごくささくれ立っていました。
前の章で大人びていただけにこの章での取り乱しように驚きました。
ただシズがやけを起こして一眼レフのカメラを叩きつけようとした時、それを食い止めてくれた3つの「物」がちょっと感動的でした。
「早まるな!」とミラ、カオリ、秋穂が念を送ってシズを止めてくれたような気がしました。


四人とも、悩みを抱えています。
他の人から見るその人と、その人自身が見るその人には差があり、それぞれの章でその差の部分が描かれていました。
それでも四人とも自身の悩みと向き合いながら最後には自分の気持ちに整理をつけていて、心が成長していました。
この四人で織りなす友達と先輩後輩の関係、良いなと思います


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秋の香り

2014-09-16 23:17:03 | ウェブ日記


三連休で実家に帰省した際、ススキを見かけました。
立派な花穂が出てきていて、本格的に秋になってきたなと思います
実家に住んでいた頃、お月見でススキを切ってきて花瓶に生け、台座に月見団子や栗などを並べていたのを思い出します

もうすっかり、空気が秋になっています。
夏のモワッとした暑さの空気から爽やかな空気になってきました
空も夏の青空は水色がかっていたのですが、秋になって澄んだ青空になってきています。

気づけば蝉の鳴き声も少なくなり、秋の虫の鳴き声のほうが大きくなっています。
キリギリスや鈴虫、コオロギなどの合唱が聴こえてきますね

そして秋分の日も近づいています。
この日を過ぎると夜の時間のほうが長くなり、「秋の夜長」という言葉を意識し始めます。
10月の十三夜から満月にかけて、お月様を見るのも楽しみです
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実家に帰省

2014-09-14 22:25:33 | ウェブ日記
昨日から実家に帰省しています
三連休なので、実家に帰ってきて休むことにしました。

昨日と今日は素晴らしい秋晴れになりました
晴れの日が少ない状況が続いているので嬉しかったです

今日は父、母とともに妹の家に行ってきました
4月に生まれた妹の赤ちゃんとも夏休みに実家に帰省した時以来のご対面です。
1ヵ月ぶりのご対面だったのですが、わずか1ヵ月で明らかに背が伸びていて驚きました。
夏休みの時はまだまだすごく背丈が小さくプックリしていたのが今日は背が伸びて少しスリムになったように見えました。
そして動きが活発になり、寝返りが打てるようになりました。
あおむけの状態から一生懸命寝返りしようとし、反回転ほどしてそこで一呼吸置いて、さらに反回転して最後に体の下になっていた左手を抜き、寝返り完了。
その様子は父も母も私も初めて見たので感激でした
どんどん成長していて本当にすごいなと思います。
ただ寝返りしてうつぶせになった後はまだもう一度あおむけになることはできず、そこで止まってしまいます。
もうしばらくすればコロコロ転がるようになり、ハイハイやお座りもできるようになると思います。
この連休で赤ちゃんの様子を見ることができて良かったです
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