読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

7月から8月へ

2015-07-31 20:49:51 | ウェブ日記
今日で7月も最終日を迎えました
山口県の7月はなかなか梅雨明けせず曇りや雨の日が多かったですが、幸い梅雨明けした状態で7月を終えることができました。
明日からは8月に突入します

同じ夏でも、7月と8月では感じるものが違うというのを以前書いたことがあります。
8月は7日に立秋を迎え、暦の上では秋となります。
またお盆頃になると日が短くなっているのが顕著に分かるようになります。
そのため猛暑ではあっても、気持ち的にはどこかしんみりとした寂しさがあります

とはいえ、そんな一抹の寂しさを吹き飛ばすほどのこの暑さ
やはり夏真っ盛りだなと思います
最近は朝からクマゼミがたくさん鳴いて大合唱になっています。
関東地方の夏の朝といえばミンミンゼミの大合唱なのですが、西日本に来るとクマゼミの大合唱になります。
無事に梅雨明けしたことですし、8月は快晴の夏空の日が多くなってほしいと思います。

梅雨明け

2015-07-29 21:57:34 | ウェブ日記
今日、福岡管区気象台から「九州北部と山口県が梅雨明けしたとみられる」と発表がありました
ようやく梅雨明けとなりました。
昨日、一昨日が朝起きてカーテンを開けると曇り空が広がっていたのに対し、今日は待望の晴れた朝になり何となく梅雨明けの予感はしました。
九州北部と山口県の梅雨明けは去年より9日、平年より10日、それぞれ遅いとのことです。

平年より10日遅いということは、山口県の梅雨明けは毎日7月19日くらいのようです。
もう少し早いのかと思いましたが、平年7月21日頃に梅雨明けする関東地方とほとんど差はないんだなと思いました。
むしろ今年は7月19日に梅雨明けした関東地方より10日も遅い梅雨明けになりました。

統計が残る昭和26年以降では5番目に遅い梅雨明けとのことです。
7月9日に「梅雨も最盛期」という記事を書いた時は梅雨明けが近いのかなと思いましたが、そう簡単に明けてはくれませんでした。
7月は明らかに晴れの日より曇りや雨の日が多かったです
もしかしてこのまま梅雨明けせずに8月に突入してしまうのではと心配していたので、今日梅雨明けしてくれて本当に良かったです。
梅雨明けが遅れた分、これからは夏晴れの日がたくさんあってほしいと思います

尾道浪漫珈琲

2015-07-28 21:57:50 | グルメ


広島駅前の老舗百貨店「福屋」にある「尾道(おのみち)浪漫珈琲」というお店に行ってみました。
「福屋」は中国地方を地盤とする老舗百貨店で、広島県内で強いブランド力を持っているとのことです。
尾道浪漫珈琲は広島県尾道市に本店がある喫茶店です。
店はレンガ造りでレトロな雰囲気でした。

この「尾道浪漫珈琲」は2012年にUCCコーヒーマスターズというコーヒー抽出の技と接客スキルを競う全国大会で優勝しています
コーヒーの美味しさと接客の両方に自信があるようです
私は写真のアイスコーヒーを注文しました。

注文してしばらくすると店員さんが来て、氷がたっぷり入ったグラスの上から4倍の濃さで抽出した熱々のコーヒーを注いでくれました。
注ぐと同時にコーヒーの熱さで氷が結構解けて4倍の濃さからちょうど良い濃さに向かっていきます。

ブラックで飲んでみると、かなり濃くて苦かったです。
しかし深みのある良い味でした。
時間の経過とともに残っている氷も解けていき、ちょうど良い濃さになる気がしました。
アイスコーヒーは氷が解けると薄くなる場合があるのですが、このアイスコーヒーはそれもなくて良いなと思いました。

ミルクを入れると当然ながら一気にまろやかな味わいになります。
コーヒーが結構苦かったからか、これだけでも甘く感じるのが不思議です。
その後はシロップも入れて飲んでみました。
ブラックで飲んでも美味しいですし、ミルクとシロップを入れても美味しいです。
そして次はホットのコーヒーを飲んでみたいと思いました。
こちらがこのお店の真打ちだと思いますし、全国大会で優勝するくらいなのでかなり美味しいのではないかと期待しています。
また行ってみようと思います

夏の日の上野公園

2015-07-26 17:50:10 | フォトギャラリー
6月7日、用があって東京の上野に行ってきました。
その帰り道、せっかくなので上野公園を歩いてみることにしました。
梅雨入り直前のこの日、晴れていたので夏の暑さになっていました
夏の上野公園は緑が力強く生い茂っていて桜が有名な春の時期とはだいぶ違う姿になっています。

---------- 夏の日の上野公園 ----------


というわけで、上野公園にやってきました。


桜の時期以外に上野公園を歩くことはたまにあります。
この日は天気も良く結構人がいました。




桜並木の通り。
濃い緑のいかにも夏といった葉桜になっていました。
ちなみに春の桜の時期に来ると以下のフォトギャラリーのようになっています。
http://blog.goo.ne.jp/since2007_1984/e/77b0448cee5d9f56c0b8d21c1c1a958f




みんななるべく日陰を歩いているのが印象的です。






楓の葉は黄緑で初々しかったです


6月上旬だけあってアジサイも初々しく咲いていました




「東叡山寛永寺 上野大佛」
大佛は大仏のことです。


ここを上っていくと上野大仏があります。




ちょっと見えずらいですが、写真左奥に顔だけの大仏が見えます。
この上野大仏は合格祈願の大仏として有名で、度重なる災害や戦争の影響によって現在は顔だけの姿になってしまったのですが、逆に「これ以上落ちない」ということで「合格大仏」として受験生に人気になっているとのことです。




この木漏れ日な感じが私は好きです。


「月の松」。
その名の通り、月の満月の形をした珍しい松です。








不忍池(しのばずのいけ)方面にも行ってみました。






不忍池にはたくさんの蓮の葉が生い茂っていました。
そういえば蓮の葉が生い茂っているのを見るのは今回が初めてです


ススキのような謎の背の高い草木も生い茂っていました。
夏場を迎え不忍池もパワフルになっています


イチョウの木も力強い姿を見せていました。


大道芸もやっていました。




蓮の葉の向こうに見えるのは弁天堂です。


ちなみに蓮の花の見頃は7月中旬~8月中旬です。
朝の7時~9時頃の早い時間帯にだけ花を咲かせます。
既に見頃を迎えているので、今上野公園に朝行けば美しい蓮の花を見ることができます


この日の青空は雲の出方が興味深かったです。




柳の木も元気にしなやかに葉を茂らせていました。


弁天堂。


「不忍池」と書かれた岩。
今まであまり注目していなかったのですが、夏の緑の多い時期に見るとかなりの存在感があるなと思います。

夏の日の上野公園の散歩、楽しむことができました。
緑が多く、歩いていると気分も明るくなってきます
いつか蓮の花も見てみたいと思います


※フォトギャラリー館を見る方はこちらをどうぞ。

※横浜別館はこちらをどうぞ。

※3号館はこちらをどうぞ。

「月あかり」の穴子めし

2015-07-25 21:06:39 | グルメ


原爆ドームの近くにある「月あかり」というお店に行ってみました。
広島駅から広電本線のある大通りを銀山町(かなやまちょう)、八丁堀、紙屋町と歩いていきました。
路面電車の広電に乗って紙屋町西という駅で下車すればすぐ到着できるようです。
「月あかり」は穴子めしのお店で、アーケードを歩いている時に店の前を通りがかり、美味しそうなので寄ってみることにしました。
広島はお好み焼き、カキのほかに穴子めしも有名なようです。



玄関を開ける形でお店に入ると二階に案内されました。
店内は畳じきで落ち着いた雰囲気です。



こちらが注文した「廣島名物 穴子めし」。
穴子めし、本日の小鉢、香物、汁物で構成されていました。
ご飯はタレが絡ませてあります。
穴子は炭火焼きで良い感じに焼かれていて、固すぎず柔らかすぎすちょうどいい歯ごたえです。
アマダレの味付けもちょうど良いです



急須について「こちらはダシなので、良かったら薬味を添えてひつまぶしにしてお召し上がりください」とのことだったので、せっかくなのでひつまぶしにしてみました。
のりやネギの風味によって新たな味わいとなります。
そしてダシによるひつまぶしの中では穴子の甘さが特によく生きます。
薬味は私のお勧めはのりとネギの二つにすることです。

とても美味しい穴子めしで、良い名物があるのだなと思いました。
また食べに行きたいと思います

検索から見えるブログの四季

2015-07-23 22:57:10 | ウェブ日記
gooブログのアクセス解析機能では、1日ごとにどんなキーワードで検索をしてこのブログを訪れたかを見ることができます。
例えば「みたままつり キリト」や「神去なあなあ日常 読書感想文」といった検索キーワードです。
毎日見ていると、季節によって検索キーワードが多くなるものがあります。
さながら、検索キーワードによってブログの四季が形作られているような気がします。
四季折々、よく見かける検索キーワードは以下のようになります。

春 桜(特に新宿の花園神社の桜)
夏 7月は「みたままつり」、8月は「スーパーよさこい」、7月後半から8月は「読書感想文」
秋 「神宮外苑いちょう祭り」「鷲神社の酉の市」
冬 「明治神宮奉納冬季全国氷彫刻展」「東京マラソン」

夏の今はみたままつり関連の検索が多くなっています。
また、少し前から「○○ 読書感想文」というように、小説のタイトルと読書感想文での検索を見るようになってきました。
これは中学生や高校生の学生さんが夏休みの宿題「読書感想文」を片付けるためにネットの小説レビューを参考にしようとしているのだと思います。
毎年7月半ば~8月終わりの夏休み期間にかけて読書感想文での検索が増えています。

このように、その季節らしい検索キーワードがどの季節にもあります。
これもまたブログの個性なのだと思います。
もともと四季の移ろいに敏感なので、ブログにもそれが現れているようです。


理解が深まらないと言うけれど

2015-07-21 22:54:10 | 政治
安全保障法制(集団的自衛権)について国民への理解が深まっていないとマスコミが言っているようです。
それもそのはず、他ならぬマスコミ自身が国民への理解を深める気がないのですから。

毎日毎日、ひたすら安全保障法制への反対意見ばかりを報道。
賛成の意見はテレビと新聞によって弾圧されてしまっています。
さらに「政府は国民にもっと説明しろ」と言っているわりに、あまりテレビに呼んではくれず説明の場を与えないようです。
これでは理解が進むはずがないですね。

昨日はようやく安倍晋三首相がテレビ(フジテレビの「みんなのニュース」という報道番組)に出演する機会を得たのですが、ツイッターで様子を見てみたら司会者もコメンテーターも安倍晋三首相が何か説明をしようとするたびにそれを遮って反対意見をかぶせたり、訳の分からない難癖をつけたりしてまともに説明させないようにしていたようです。
ちゃんとした議論ができないため、揚げ足を取る形で「安全保障法制に反対しましょう」という方向に印象操作したかったのだと思います。


政府  政府が国会等で法案について説明
        ↓
報道  テレビと新聞が法案への理解を妨害するために
    「法案は反対しましょう」と世論誘導する偏向報道を展開
        ↓
国民  テレビと新聞しか情報源がない人がそれを鵜呑みにして信じてしまう


この図を見れば分かるように、政府と国民の間に立つマスコミが妨害をしている限り、法案の理解が進まないのは当然です。
特に朝日新聞、毎日新聞、東京新聞、TBS、テレビ朝日など。
参考までにテレビの報道について定めた放送法第4条には以下のように記されています。

第4条
放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。
(1) 公安及び善良な風俗を害しないこと。
(2) 政治的に公平であること。
(3) 報道は事実をまげないですること。
(4) 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

毎日毎日ひたすら安全保障法制への反対意見ばかりを報道して国民に押し付けることは(2)の「政治的に公平であること」、さらには(4)の「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」にも違反していて、立派な法律違反の犯罪的行為なんですよ。
自分達が情報統制、言論統制をして法案の賛成意見を国民に知らせないようにしておきながら、あたかも政府が説明をしないから国民の理解が深まらないかのような印象操作までしています。
かなり悪質な偏向報道です。
放送免許の剥奪を真剣に考えるべきだと思います。

ちなみに、集団的自衛権の必要性を考える時真っ先に思い浮かぶのが覇権主義国家・中国の問題。
他の記事でも書いたように中国は現在進行形で南シナ海、南沙諸島を侵略してフィリピン、台湾、ブルネイ、ベトナム、マレーシアと激しく対立しています。
さらには陸においてもインドやブータンの領土を侵略してやはり激しく対立。
日本の尖閣諸島についても領海侵犯を繰り返し、ついには領空侵犯までし、領土を侵略しようとしています。
武力で他国の領土、領海を奪い取る凄まじい覇権主義国家ぶりを露わにしています。

ところで、ちゃんとこの中国の侵略の問題を安保法制への反対意見を報じる時と同じくらいのトーンで報じていますでしょうか?
現在進行形で武力によってあからさまに平和を乱そうとしているのですよ?
この武力で他国の領土、領海を侵略しようとする国に対し、抑止力を強化して侵略される可能性を減らすための方策の一つが集団的自衛権なのです。
この部分をきちんと報じ、反対意見を押し付けるのではなく国民に判断してもらうようにするのが本来のマスコミの成すべきことのはずです。

私は集団的自衛権行使容認を支持し、そして憲法9条改正を希望します。
戦争は嫌ですから、中国に侵略されて戦争にならずに済むにはどうするべきかを考えた時、抑止力を強化し相手に侵略する気を起こさせないのが最善であると考えます。


※関連記事
安全保障法制 -瀬戸内寂聴さん-
懲らしめるべき -特別な存在ではない-
”一般の”学生が立ち上がる -安全保障法制反対デモ-




gooメール復活

2015-07-20 19:03:50 | ウェブ日記
gooがブログとともに行っているサービス「gooメール」を復活させました
アドレスはsince2007_1984アットマークmail.goo.ne.jpです。

昨年の春、今までブログを始めると無料セットで付いてきていたgooメールが有料になりました。
ブログを始める時にセットで付いてきたので使っていましたが、さすがに有料ではなと思い、有料になる時にそちらに移行することはしませんでした。

ただ最近は意外と役立つのかも知れないと思うようになりました。
そこで思いきってgooメールを復活させてみることにしました。
二つプランがあったので安いほうにしておきました。
使い勝手はどんなものなのかしばらく様子を見てみようと思います。

有料になるということは従来のような無料では経営的にシビアになってきたのだと思います。
できれば無料でいてほしいところでしたが、これはやむを得ないのだろうと思います。
サービスを行うには労力が必要で、そのサービスを利用するのなら労力に対価を支払うべきというのは何もおかしなことではありません(心境的には無料が一番有難いですが)
私的にgooはブログを始めた縁もあり好きなポータルサイトなので、有用なサービスなら活用していきたいと思います。

名勝 縮景園

2015-07-19 20:50:07 | フォトギャラリー
「広島城と護国神社」の後は、日本庭園の「縮景園(しゅっけいえん)」に行きました。
縮景園は初代広島藩主、浅野長晟(あさのながあきら)が広島城入城の翌年元和6年(1620)から別邸の庭として築庭したものです。
かなり天気が良かったので青空のもと日本庭園の緑を楽しむことができました

---------- 名勝 縮景園 ----------


名勝 縮景園。
名勝とは景色のよいことで知られている土地のことです。
さらには文部科学大臣により「名勝」と指定されたものという意味もあり、縮景園も指定を受けています。


さっそく園内を散策してみます。


清風館。
数寄屋造り(茶室風の様式を取り入れた建築)で屋根は杮葺き(こけらぶき)とのことです。
代々の藩主が愛好した名亭とありました。



杮葺きについての解説がありました。
屋根材に木材の薄板を用いる工法で、板材の中で厚さ2~3ミリのものを杮葺きと言うとのことです。








御前水井戸。
明治天皇が明治27年(1894)に縮景園に行幸(ぎょうこう)された際に御前水として使われた井戸。
ヒノキ造りの建物が井戸の位置にあったとのことです。




松の木。
風格が漂います。






こちらは茅葺き屋根の建物。




縮景園の特徴でもある大きな池。
この池を中心とした庭園になっています。






美しい新緑の緑。
私は新緑の緑、特に太陽の光を受けて輝く新緑の緑が好きです




日本庭園を散策していると、自然と心が和んでくるなと思います。






沢の水が池に流れ込んでいます。
そして池の向こうには清風館が見えます


沢には見たことのないカニがいました
関東で見る一般的な「沢ガニ」よりだいぶ大きくて、何というカニなのか気になるところです。


名月亭。
数奇屋造りで屋根は茅葺き、ひさしは杮葺きです。


白龍泉(はくりゅうせん)。
元々は牛田山(うしたやま)の清水谷(しみずだに)から水を引いていて、現在は井戸水を使用しているとのことです。


ツツジの花も綺麗でした


これは本当に名勝だなと思います




水辺の清風館でお茶を楽しむのはさぞかし風流だろうなと思います






湖に浮かぶ小島。
ここにも松の木があります。


原爆慰霊碑。


やはり被爆地なので原爆の爪跡が残っています。


跨虹橋(ここうきょう)。
縮景園を象徴する名橋とのことで、たしかに他の場所を歩いている時もこの橋の存在は気になりました。


池には鯉がたくさんいます。
人が橋に来るとエサを貰えると思って鯉も寄ってきます^^;


橋からの眺め1


橋からの眺め2


やはり新緑には活力が感じられて良いなと思います。




見ごたえのある木。
これもまた風格が漂っていて思わず見入ってしまいました。

というわけで名勝縮景園、楽しませてもらいました。
緑豊かな時期に来れば活力が感じられ、秋に来れば紅葉が楽しめる素敵な場所だと思います


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「火花」又吉直樹

2015-07-18 17:50:50 | 小説


二日前の夜、芥川賞受賞のニュースがありました。
今回ご紹介するのは「火花」(著:又吉直樹)です。

-----内容-----
「漫才は……本物の阿呆と自分は真っ当であると信じている阿呆によってのみ実現できるもんやねん」
お笑い芸人二人。
奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。
笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。
神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。
彼らの人生はどう変転していくのか。
人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!
第153回芥川賞受賞作。

-----感想-----
先週の日曜日、「火花」を一気に読みました。
元々は今年の春に書店で平積みされ大々的に売られているのを見かけたのですが、「お笑い芸人の書いた本では大したことないのではないか」と思い読まずにいました。
しかしブログ友達のレビューを読むとかなりハイレベルな文章なのではという気がしてきました。
そして先日書店に行ったら「第153回芥川賞候補作」として売られていて、芥川賞の候補になっていることを知りました。
40万部突破のベストセラーとなったのは『お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹』の名前によるところが大きいと思うのですが、名前だけでは純文学の高い文章表現力が求められる芥川賞の候補にはなれません。
これは面白い作品だという予感が一層強まりました。
ここでついに小説を購入し、どんな内容なのか読んでみることにしました。

物語の語り手は徳永。
冒頭、語り手の徳永と山下による漫才コンビが熱海湾に面した場所で祭りの夜に漫才を披露していますがほとんどの人が聞いていません。
そして二人の声をかき消すように打ち上がる花火。
祭りの夜に花火で、季節は夏
まさに夏の今読むのに適しているなと思いました
ちなみにこの冒頭で小説タイトルにもなっている「火花」という言葉が初めて登場しました。

細かい無数の火花が捻じれながら夜を灯し海に落ちて行くと、一際大きな歓声が上がった。

この夏祭りの夜、徳永は神谷という男と出会います。
神谷もお笑い芸人でこの祭りに呼ばれていたのですが、暴言を連発して主催者を激怒させていました。
ただ神谷には純粋無垢なところがあり、その姿を見て徳永はこの人こそが真実なのだと悟ります。
そして徳永は神谷に声をかけられ、二人で飲みに出掛けます。
お互いに自己紹介し、スパークスというコンビの徳永、あほんだらというコンビの神谷だということが分かりました。
年は徳永が20歳で神谷が24歳です。

芸人の世界では先輩が後輩に奢るのが当然とのことで、神谷は徳永に「俺が奢る」と言って譲りませんでした。
これは後輩の方が売れている場合はお互いに気まずいのではないかなと思います。
徳永が神谷に「弟子にしてくれ」と頼むと神谷は一つだけ条件を出してきました。
それは「俺のことを忘れずに覚えといて欲しい」というもの。
何となく物語が進むにつれて神谷は消えていき、徳永は上り調子になっていくのかなという予感がしました。
この飲みでは神谷が漫才について熱く語っていました。

「漫才は面白いことを想像できる人のものではなく、偽りのない純正の人間の姿を晒すもんやねん。つまりは賢い、には出来ひんくて、本物の阿呆と自分は真っ当であると信じている阿呆によってのみ実現できるもんやねん」

これは本当にそうなのかなと思いました。
漫才のネタを考えるには頭を使わないといけなくて、賢さが求められるのではと思っていたからです。
「漫才」というものをどう考えるかによって変わってくるのだと思います。
神谷の場合は事前にネタを考えて準備するよりも、超自然体であることこそ真の漫才師と考えているようです。

熱海の花火大会から一年が経過。
神谷は大阪での活動に限界を感じたらしく、拠点を東京に移すことにしました。
徳永のスパークスは、徐々にではありますが出番が増えていました。

神谷が吉祥寺に住むということで、二人で街を歩いて井の頭公園に行ったりしていました。
神谷が語った「なぜ秋は憂鬱な気配を孕んでいるのか」は興味を惹きました。
神谷の見解は「昔は人間も動物と同様に冬を越えるのは命懸けで多くの生物が冬の間に死んだ。その名残で冬の入口に対する恐怖がある」というものです。
私の場合は夏は蝉が鳴き虫達も鳴き、緑は力強く非常に躍動感があるのですが、それが秋になると蝉がいなくなりやがて虫達もいなくなり、緑は紅葉しやがて葉を落とし日も短くなり、どんどん静かになっていくからだと思います。
賑わいからの静寂は切ない気分になります。

「聞いたことあるから、自分は知ってるからという理由だけで、その考え方を平凡なものとして否定するのってどうなんやろな?これは、あくまで否定されるのが嫌ということではなくて、自分がそういう物差しで生きていっていいのかどうかという話やねんけどな」
ここから始まるP31~P33にかけての神谷の言葉はかなり哲学的でした。
そしてこれは作者の又吉直樹さん自身が考えている哲学だと思います。
ブログ友達がレビューで「又吉ってこんなに哲学的なのか」と驚いていたのがよく分かる、物凄く論理立てた哲学文章になっていました。

「笑われたらあかん、笑わさなあかん。って凄く格好良い言葉やけど、あれ楽屋から洩れたらあかん言葉やったな」
「あの言葉のせいで、笑われるふりが出来にくくなったやろ?あの人は阿呆なふりしてはるけど、ほんまは賢いんや。なんて、本来は、お客さんが知らんでいいことやん」

これはお笑い芸人が書く文学小説だからこそ出てくる言葉だなと思いました。
私は芸人を見る側なのでまさに「あの人は阿呆に見えるけどほんとは賢い」と思うことがあります。
それが芸人の側から見るとこう考えたりもするんだなと思いました。

徳永と神谷はそれぞれコンビなので相方がいます。
徳永の相方は山下、神谷の相方は大林です。
どちらも頻繁には登場しませんが、それぞれ徳永と神谷の相方が務まるのはこの人だと思えるものがありました。

神谷は真樹さんという人の家に居候しているのですが、そこに徳永が行った時の「ベージュのコーデュロイパンツのセンス」についての話はちょっとぞっとしました。
こういうことはたしかに起こり得るかも知れないなと思います。
意識せずに致命傷を与えてしまっていました。

やがて徳永の所属する事務所に大手の事務所から数組の後輩が移籍してきます。
彼らは優秀ですぐにライブを成功させてみせ、まだライブを企画したことすらない徳永は焦ります。
そして物語は佳境へ。
徳永は段々と活躍の場が増えていき、神谷はどんどん落ちぶれていきます。

「他を落とすことによって、今の自分で安心するという、やり方やからな。その間、ずっと自分が成長する機会を失い続けてると思うねん」
ネットで誹謗中傷する人に対する神谷の意見。
これは的を得ていると思います。
ただし、自分が悪いことをしているから批判されているのに、それを「誹謗中傷」と言って被害者のポジションに立つことを確信犯的にする人もいるため、そこを見極める目が重要になります。

徳永は神谷のお笑いへの純粋無垢さに怖れを抱いてもいますが、信頼してもいます。
神谷が相手なら芸人なのに喋るのが苦手な徳永でも普段よりよく喋れると胸中で言っていました。
徳永は神谷に恐れを抱いたり称賛したりしながらも、神谷の語る哲学の全てに感銘を受けているわけではないです。
自分の考えと照らし合わせ、決定的に相容れないものについては疑問を投げ掛けたり胸中で批判したりもしています。
つまり徳永には徳永の考えがあり、自分を持っているということが分かりました。

この頃、鹿谷というピン芸人が大ブレイクし、時代の寵児となります。
それを見て、神谷の相方の大林が言ったのが以下の言葉です。

「俺達がやってきた百本近い漫才を鹿谷は生まれた瞬間に越えてたんかもな」

鹿谷の天性のお笑いの才能に対するこの言葉は自分達との才能の差を悟ったものでした。
その場にいるだけで回りを笑わせられる驚異の才能です。
そしてこの鹿谷の天性の才能こそ、かつて神谷が言っていた「超自然体であることこそ真の漫才師」を体現しているような気がしました。

スパークスも鹿谷には及ばないまでも、テレビの番組に出たのがきっかけになって少しブレイクしていました。
ただその昇り調子にも終わりの時は来ます。

「火花(ひばな)」。
このタイトルに込められた意味は「一瞬の煌めき」のことだと思います。
夜の中で一瞬だけ火花が弾けるように、芸人として輝く一瞬。
漫才に懸けた徳永の青春の物語、売れる漫才師としては純粋無垢すぎた神谷の破滅の物語、この両方の物語になっていたと思います。
そこにスパイスとして加わる、神谷が漫才について語る時の凄い哲学的文章。
第153回芥川賞受賞に相応しい純文学小説だと思います。


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