今回ご紹介するのは「ユング心理学でわかる8つの性格」(著:福島哲夫)です。
-----内容-----
ユングは心のクセをもとに、性格を8つのタイプに分類。
外向思考タイプ 物事を冷徹に分析する
内向思考タイプ 物事につねに論理と意味を求める
外向感情タイプ 好き嫌い、快不快の判断が速い
内向感情タイプ おとなしいけど実は豊かな感情を秘める
外向感覚タイプ 自分の感覚を羅針盤にする
内向感覚タイプ 自分の世界で完結する
外向直観タイプ 本質を見抜いてひらめきを発揮する
内向直観タイプ 見えないものを見通す目を持つ
あのユングが研究に20年を費やした性格類型による人生を劇的に変えてよりよく生きるヒント。
-----感想-----
この作品は
「面白くてよくわかる!ユング心理学」(著:福島哲夫)の「心には機能によって四つのタイプがある」の部分をより詳しく解説した内容となっています。
その四つのタイプとは思考、感情、感覚、直観で、四つのうちのどれが優れているかがその人の性格となります。
4つにはそれぞれ心のエネルギーが外側に向かうか内側に向かうかによって「外向」「内向」があるので、人間のタイプ(性格)は外向思考、内向思考、外向感情、内向感情、外向感覚、内向感覚、外向直観、内向直観の八タイプに分かれます。
「面白くてよくわかる!ユング心理学」(著:福島哲夫)の中にある
「思考、感情、感覚、直観タイプテスト」では私は外向感覚タイプの人だということが分かりました。
「ユング心理学でわかる8つの性格」では八タイプそれぞれの特徴について詳しく書かれているのでより自分のタイプの特徴を掴めるのではと思います。
本の中で印象的だった言葉とともに感想を書いていきます。
「多くの人が、自分の性格や本来の特質を正面から受け止め、まっすぐに理解する作業をしないまま生きている。」
自分自身のことを知るのは簡単ではないです。
あまり理解しないまま突き進み、生き辛さを感じている人もたくさんいると思います。
ユングは本当の自分を見つめ、自分らしく生きていくようになることを「個性化の過程」と呼び重視していたようです。
何かについて「こうあるべき」という固定化されたイメージにとらわれすぎると、それに振り回されて自分自身を見失ってしまいます。
そうした固定的イメージから離れて、本来の自分を見出だすことをユングは「個性化」と呼びました。
そしてその抑え込まれた自分を取り戻し、本来の自分を育てていくことを「個性化の過程」と言います。
個性化が実行されていくとその人の性格は成熟した完成形に近づくとのことです。
「コンプレックスと劣等感コンプレックス」
例えば学歴が低いことを気にしている人が、高学歴の人に対して「自分はああはなれないなあ」「あんな優秀な人になりたいなあ」と感じるのは単なる劣等感ですが、「学歴だけ高くてもどうせ使いものにならないよ」「いい大学出てるからって、態度が偉そうなヤツだ」などと根拠もなく否定したり悪感情を持つのは劣等感コンプレックスとなります。
その人ではなくその人の学歴に対して触れたくない痛みを抱えているためにその人自身を否定しているとのことです。
劣等感コンプレックスから解放されるには、まずは自分の中にあるコンプレックスを認めることとありました。
ここでもやはり、自分自身と向き合うことの大事さが書かれていました。
「自分の本当の性格を知り、それを受け止め、認めてあげる」
「性格は生まれ持ったものだけでなく、後から作られる部分も大きい」
育った環境によっては思考、感情、感覚、直観のうち、本来の生まれ持ったタイプとは違うタイプばかりを使うことになり、そのギャップによって生きずらさを感じる場合もあるようです。
そのため、自分の真の性格を知ることは自分らしく生きていく上で重要となります。
「人には本来、他人にオープンになりやすいタイプとそうでないタイプがいる」
「誰とでもすぐ仲良くなれる人」もいれば「誰とでも打ち解けるよりも、少人数と深くつき合っていくほうが向いている人」もいて、こうしたそれぞれの個性を大切にすることが、よりその人らしく生きていけるコツとありました。
「少人数と深く付き合うほうが向いている人」に無理やり「誰とでも仲良く」と押し付けるのはその人の個性を消してしまうようです。
本来の自分のタイプとは違うタイプの生き方になってしまい、生きずらさを感じることになると思います。
「人にはそれぞれ楽に、自然に生きられる本来の姿があり、それを見つめていくことが、その人の幸福につながる」
これも本来の自分は思考、感情、感覚、直観、さらには外向、内向のどのタイプなのかを知ることの大事さについての言葉です。
この本には何度もこのことが書かれていて、それだけ重要なことなのだと思います。
「今の性格を否定するのではなく、それを長所として伸ばしつつ、それ以外の機能を少しずつ耕していくのが、一番良い形での心の育て方」
これはそのとおりだと思います。
自分のタイプ(性格)は自身にとって最も適性が高いのだから長所として大事にするのがまずは重要です。
この本には「8つの性格別タイプ分け判定テスト」があります。
「思考、感情、感覚、直観タイプテスト」と同じで、自分がどのタイプなのかを知ることができます。
ここからは心理テストと、そこから分かる8つの性格についてのことになります。
私も「8つの性格別タイプ分け判定テスト」やってみたところ、
「思考、感情、感覚、直観タイプテスト」よりもより詳細な傾向が分かる結果となりました。
最も点が高かったのは外向感覚の22点、次が内向感情の15点、その次が内向思考と外向感情の8点…という結果でした。
思考、感情、感覚、直観それぞれのタイプはこの図のような位置関係になります。
最も点数が高かったものがその人の「主機能」であり、その両隣は主機能と相性の良い、主機能を補助する「補助機能」となります。
そして主機能と向かい合う位置にある機能(私の場合は直観)はその人にとって最も使いこなせていない苦手とする機能、「劣等機能」となります。
「自分の本来の傾向をつぶすほどまでに第2の傾向を優先してしまってはいけない」
心理テストの結果、二つ以上の性格が突出した結果となった人についてこのように書かれていました。
私はこれに当てはまると思います。
親から「こうあるべき」と教えられた人としてのあり方や、社会生活を送っているうちに身に付いた性質が高い点を付けることがあるが、親や社会生活の都合だけを優先して、本来の自分の傾向を抑え込みすぎると本来の自分らしさが失われるとありました。
自分でも何を目指していいのか、何が楽しくて生きているのかわからなくなってきて、最終的には親や社会の要求にさえも応えられなくなってしまう危険性があるとあり、これは怖いなと思いました。
「感覚タイプは絶対的なこだわりを持っている」というのはまさにそのとおりだと思います。
私も日常生活の中で「これはこの置き方で置こう」など、こだわっているものがいくつかあります。
また、「外向感覚タイプ」の特徴として、ファッションやグルメへの関心が高い、自分なりのこだわりをとても重視するなどがあります。
私もファッション、グルメ両方とも関心があります。
特に服については「夏場はこれ」「冬場はこれ」というこだわりが存在しており、外向感覚タイプの特徴がよく出ているなと思います。
また、感覚タイプは物事を五感を使ってそのまま感じとるため、例えば同じ映画を観ても感情タイプは「主人公の深い愛情に心を打たれた」と感じやすいのに対し、感覚タイプは「舞台となった街の景色が素晴らしい美しさだった」という感想を持つなど、物の捉え方に差があります。
ちなみに私は2005年に観た「スターウォーズエピソード3」の冒頭、宇宙での戦闘機による戦いから始まる導入シーンがすごく印象に残っています。
この捉え方は感覚タイプの特徴だと思いました。
また、外向感覚タイプの長所については「実務に長けた組織の実働部隊」であり、「このタイプがいるからこそ、世の中が回っていると言っても過言ではありません」とありました。
これは嬉しかったです。
自分の属するタイプに自信を持とうと思います。
私にとって二番目に高い点数となった内向感情タイプについて。
ユングはこのタイプについて「水面は静かで動きのない水の、深い水底でいろいろな色が混じり合っている」と表現しています。
また、「このタイプの人は、周囲の人から見ると控えめで物静か、そして他人ととても協調的だと映っています。けれど実は心の中では、誰とも共有しないさまざまな感情を抱えていることがよくあります」と書かれていました。
これは私も二番目に高い点数だけあり、当てはまる部分があります。
私は人前で怒ることは滅多にない大らかなタイプなのですが、心の中では激怒していることがあります。
感情を心の中に溜め込まないように気を付けたいところです。
そしてこの内向感情についても、メインの外向感覚機能を補助する機能として大事にしようと思います。
「よりよい人生を送っていくためには、主機能の研鑽と同時に、劣等機能を鍛えていくことが重要になる。そして補助機能も含め、思考、感情、感覚、直観の4つの心理機能を同じようなレベルで使いこなせるようになればなるほど、性格的には欠けた部分の少ない、円満な人格に近づいていくことができる」
これはそのとおりで、全ての機能の力を使いこなすことができれば理想的です。
ただそう簡単にはいかないもので、私も思考、感情、感覚、直観それぞれについて、得意不得意の傾向が出ています。
そこで、まずは主機能である感覚を一層磨き、補助機能である感情と思考も高いレベルで使いこなせるようにしたいところです。
その間、劣等機能の直観は地道に活性化させていきたいと思います。
ちなみに直観機能とは本質把握機能のことで、推測力でもあり、直観機能を鍛えるには「拡散思考」の練習をするのが良いとありました。
これは物事を論理ではなく、目的を定めずにパーッと広げていく発想法のことで、例えばペンを見て本来の「書く」という行為以外の使い道を10通り考えるというものです。
1つのものの本来以外の使用方法を考えることで直観機能が鍛えられます。
感情タイプの人が劣等機能である思考機能を鍛えるための方法として「ブログ」が登場していました。
「ブログや日記を書く時に、ただ気持ちを並べるのではなく、その理由をちゃんと説明する文章を作ることが訓練になる」とありました。
私の場合は感覚タイプなので思考機能は補助機能となるのですが、ブログで政治関連の記事を書く時に、この論理的な書き方を意識しています。
趣味のブログを通じて思考機能が強化できるのは嬉しいです。
おそらく内向思考が鍛えられていると思います。
感覚タイプは直観機能が劣等機能なので先を見通す力が弱いですが、ある程度直観機能を使えるようになってくると「今を客観的にとらえて、少し先を予測する」能力が身に付くようです。
私もぜひその能力を身に付けたいと思います。
ただ、その直観機能が主機能である「外向直観タイプ」の短所として、人の感情に配慮せずに好きに発言を繰り返すため、「その場の空気がまったく読めない人」になってしまうとありました。
さらに「いくらいいアイデアを持っていても、周囲と足並みを揃えたり相手の立場を思いやれない人は、この社会では受け入れてもらえません。そこがウィークポイントになりやすいのがこのタイプの人」とありました。
どの機能にも長所もあれば短所もあり、長所を伸ばしつつ、補助機能、劣等機能を鍛えることによって短所を補うのが大事です。
8つのタイプそれぞれに合った生き方についても書かれていて、外向感覚タイプに合った生き方は「居心地のいい環境を選ぶのが第一条件」とありました。
「嫌なものを長く我慢することは、このタイプにとって心身の病気にもつながるほど負担が大きいので十分な注意が必要」とあり、これは気をつけないとだなと思います。
変に背伸びして負担をかけるのではなく、居心地のいい環境を重視するようにしたいです。
なかなか興味深い内容で参考になりました。
自分の属するタイプについてだいぶ詳しく知ることができて良かったです。
いつの日か思考、感情、感覚、直観の4つの機能全てを高いレベルで使える人になれたら良いなと思います。
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