読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

梅雨明け

2020-07-31 21:09:01 | ウェブ日記
7月30日、中国地方の梅雨明けが発表されました
その前日に梅雨の雨の降り方とは違う、真夏の時期特有の激しい雷雨があり、雷雨の後に日差しが見られました。
今年の梅雨明けを決定づける雷雨だったのだなと思います。

今年はなかなか梅雨が明けずにやきもきしました。
気象庁が定める夏の期間は6月から8月ですが、梅雨の間は曇りと雨の日が多く、あまり真夏という雰囲気ではないです。
なので梅雨明けが遅くなればそれだけ真夏の期間が短くなります。
山口県は平年より9日遅れたものの、何とか7月のうちに梅雨明けしてくれて良かったです

クマゼミも7月半ば頃から鳴き声を聞くようになりましたが、梅雨空では控え目な鳴き声でした。
それが今朝は久しぶりに朝から快晴になったこともあり、とても元気に鳴きました
クマゼミは辺りが朝日に照らされ始めるとともに鳴き始める印象があり、私は静寂の中で鳴き始めるその瞬間が好きです。
真夏の朝はこれだなという気がします。

明日から早くも8月になります。
8月は一番安定して真夏らしくなる月でもあり、そして夏の終わりの月でもあります。
梅雨明けが遅れた分、ぜひ8月は真夏らしい日が多くなってほしいと思います
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「強運の持ち主」瀬尾まいこ

2020-07-27 18:58:57 | 小説


今回ご紹介するのは「強運の持ち主」(著:瀬尾まいこ)です。

-----内容-----
元OLが営業の仕事で鍛えた話術を活かし、ルイーズ吉田という名前の占い師に転身。
ショッピングセンターの片隅で、悩みを抱える人の背中を押す。
父と母のどちらを選ぶべき?という小学生男子や、占いが何度外れても訪れる女子高生、物事のおしまいが見えるという青年……。
じんわり優しく温かい著者の世界が詰まった一冊。

-----感想-----
昨年8月の「そして、バトンは渡された」(著:瀬尾まいこ)以来11ヶ月ぶりという、久しぶりの小説感想記事になりました。
なかなか小説を読む気力が出ずにいましたが、やっと読むことが出来て良かったです
瀬尾まいこさんの作品は文章が穏やかで優しいので、久しぶりに読むならこの人の作品が良いなと思いました。
「強運の持ち主」は占い師を題材にしていて、「ニベア」「ファミリーセンター」「おしまい予言」「強運の持ち主」の4つのお話があります。


「ニベア」
ルイーズ吉田がお客さんを占っているところから物語が始まります。
彼氏ができるかという質問に「素敵な人が出てくる暗示がある」と言い、さらに「気付くかどうかはあなた次第」と言っているのが興味深かったです。
その言い方なら占いが外れても問題ないのが上手いなと思いました

ルイーズ吉田は本名を吉田幸子と言い、3年前に「ジュリエ数術研究所」という占いのお店に入りました。
短大を出て事務用品を扱う会社で営業の仕事を半年してから占い師になったとあるので、「ニベア」の時点ではまだ24歳くらいのようです。
「ジュリエ数術研究所」のドアを叩いた日、所長のジュリエ青柳という50歳過ぎの女性が「結局適当なことを言って、来た人の背中を押してあげるのが仕事なのよ」と言い、吉田幸子はそれを「いかさまのようないかしたことを言う人物」と評し、気に入ります。
ルイーズ吉田という名前も、吉田幸子という一般的な名前の人の言う占いはあまり信憑性がないため付けられたとあり、たしかにそうだなと思いました。
ミステリアスな名前の方がいかにも占いをする人という雰囲気は出ます。
ルイーズ吉田の占いは当たると評判になり、一年前に独立してショッピングセンターの二階奥のスペースを借りて一人で占いをするようになります。

2月の終わり、8歳の一ノ瀬堅二という男の子が占ってほしいと言ってきます。
占いは1回3000円なのでルイーズ吉田は心配しますが、堅二はおばあちゃんに貰った5000円があるから大丈夫だと言います。
堅二はスーパー丸栄とサトヤのどちらで買い物をしたら良いか占ってと言い、ルイーズ吉田はそんなくだらないことに3000円も使うのかと呆れます。
特に占いの知識を発揮することもなく、今朝の新聞チラシに入っていた両方のスーパーのチラシを思い浮かべながらサトヤにしておけと言い、私はインチキ占いだなと思いました。

後日また堅二がやって来て、父親と母親のどちらに付くのが良いか占ってほしいと言い、ルイーズ吉田は離婚の相談だなと見て戸惑います。
もうすぐ小学四年生になり、四年生になる時には父親か母親かを決めておきたいとのことでした。
ルイーズ吉田は断ろうとしますが堅二が食い下がり、その場は引き取ってもらって四年生になるまでには占うと言います。

ルイーズ吉田は堅二の家の近くで張り込みをし、父親と母親のことを調べ始めます。
しかし数日張り込んでも母親の姿はなく、代わりに不思議な光景を目撃することになり戸惑います。
やがて堅二がどちらに付けば良いのかの答えを尋ねに来る日が近付きます。



「ファミリーセンター」
冒頭、ルイーズ吉田が「正論を言うより、星だ運命だと言えば、納得してもらえる」と胸中で語っていて、見も蓋もないですがそれが占いなのかも知れないと思いました。
1ヶ月ほど前に地元情報紙の「よく当たる占いの店」の特集に載って若い子がよく来るようになりました。
占いに来る女の子は持ち物や服装など何か変化を起こせることを提案すると納得するとあり、これもそうかも知れないと思いました。
そして一話目と同じで最初は占いが楽勝のように書かれているのが印象的で、これはこの後問題が起きるのだろうと思いました。

9月、墨田まゆみという17歳の女子高生が「気を引きたい人がいるんですけど、どうしたらいいですか?」と言ってきて、ルイーズ吉田は占いをします。
すると後日、まゆみが占いが外れたと文句を言いにやって来ます。
謝ると次の手を教えてくれと言うので、ルイーズ吉田はまゆみの誕生日から考えられることを元に「とにかくきちんと挨拶をしてみたら」と助言します。

後日またまゆみがやって来て、駄目だったがもう一度占ってくれと言い、意中の人の気を引けるまで延々と来そうな雰囲気でした。
しかし意中の人の特徴を聞くとなぜか曖昧な答えしか返って来ず、ルイーズ吉田は不思議に思います。
今度は「髪を切って印象を変えたらどうか」と提案し、さすがにそれでも駄目ならもうお店には来ないだろうと思っていました。

またもやまゆみがお店にやって来て、やはり駄目だったが次はどうすれば良いと言い、まだ続けることにルイーズ吉田は驚愕します。
諦めることを勧めても引きませんでした。
私は「あの人とうまくやりたい」という言葉が気になり、恋愛ではないのかも知れないと思いました。
ルイーズ吉田は覚悟してまゆみととことん付き合うことにします。
私がここまで彼女を動かしてしまったのだ。きちんと向き合う義務があると言っていて、プロとして誇りがあるなと思いました。
そして雑誌に載っていた、ルイーズ吉田自身は全然信じていなかった人の気を引くための技をしれっと提案していたのが面白かったです。
「どうせやるなら、もっと気楽に楽しく彼の気を引くほうが良い」と胸中で語っていて、本気で向き合いながらも肩の力を抜くのは意外と良いかも知れないと思いました。



「おしまい予言」
11月がもうすぐ終わり冬になろうとしています。
冬前になると気力が出ない、楽しいことが起こらない、物事がうまく行かないという相談が増えるとあり、季節によって相談内容が変わるのが面白いなと思いました。
ルイーズ吉田は「冬はオフシーズンで、本来ならこんな時期は人間だってひっそり冬眠すべきだ」と持論を語っていました。
ただ私は冬にしか見られないもの、冬ならでは催し事もあるので、冬眠ではもったいない気がしました

若い男がやって来て、占いの様子を見て「あんなん、当たり前のことやん」と言い、ルイーズ吉田はムッとします。
男は武田平助という22歳の大学四年生です。

平助には「物事のおしまいが見える」という変わった体質があります。
そしておしまいが見えるのをどうすれば良いかを占えと言いますが、ルイーズ吉田はあまり相手にしません。
しかし平助におしまいが見える能力をどう生かすか勉強するために、給料はいらないからここで働かせてくれと言われ押し切られてしまいます。
平助は関西弁で調子が良く、「まあ、いいからいいから」のように押し切られていました。
ルイーズ吉田が帰宅して同棲している通彦に平助のことを言うと、毎日その子はおしまいの予感だらけで気が休まらないだろうなと言っていて、これは鋭い視点だと思いました。

翌朝、平助は本当にお店に来ていて、しばらくの間ルイーズ吉田の横に座って占いの様子を見ることになります。
その日の昼食は二人でショッピングセンターの社員食堂できつねうどんを食べたのですが、平助は「あげ」が不味いと言っていました。
すると翌日、同じ場所で今度は二人で素うどんを食べる時、平助が家で炊いたあげを持ってきて入れてくれ、ルイーズ吉田は凄く美味しくて驚きます。
この場面も「まあ、いいからいいから」のように話が進んでいて、押しが強いわりにあまり不快にならない雰囲気はいかにも関西らしいなと思いました。

やがてルイーズ吉田が、お客さんに「ましな終わり方」が見えた時はそれを告げてみたらと言い、平助も気乗りしなそうでしたが頷きます。
あなたは間もなく何かが終わりますよと言えば相手は当然戸惑うので、言うのはやはり気乗りしないだろうなと思います。

ある日平助が何とルイーズ吉田に終わりが見えると言い、ルイーズ吉田は同棲相手の通彦との仲が終わると見て動揺します。
どうにかして終わるのを回避しようと手を尽くすルイーズ吉田に対して、通彦の方は一体どうしたんだろうと不思議に見ていて、その差が面白かったです。

この話ではルイーズ吉田が考える占い師の役割が書いてありました。
「その人がさ、よりよくなれるように、踏みとどまってる足を進められるように、ちょっと背中を押すだけ。占いの役割って、そういうことなんだね」
この考えは良いなと思いました。
妙に「こうしなければ駄目です」という態度より、「ちょっと背中を押すだけ」の方が信用できる気がします。



「強運の持ち主」
ルイーズ吉田は竹子というアシスタントを取ります。
その竹子が冒頭、自身が占ったお客さんに絶望的な結果が出たと言い動揺していて、お客さんも動揺していました。
占い師があまり動揺すると、お客さんも「私の未来はどうなってしまうのか」と不安になるのではと思います。

竹子は24歳で4歳の子供が居て離婚をしていて、1ヶ月ほど前にお店で働き始め、2週間前から一人で占いを始めるようになりましたがそれがさっぱりとのことです。
ルイーズ吉田は「誰かと一緒に働くのなんて、百害あって一利なしだ」と胸中で語っていて、アシスタントを取ろうとしていた前話とは言っていることがガラッと変わっていたのが面白かったです。
竹子は占い結果をストレートに伝えたがる特徴があり、対してルイーズ吉田は相手に希望を持たせ背中を押すことを考えていて、そこに差があります。
ルイーズ吉田は竹子とは合わないと感じています。

新年度が近付いたある日、平助がお店にやって来ます。
今でもたまに来ていて、もうすぐ大学を卒業して社会人になるとありました。
この時平助が「回転焼き」という食べ物を持って来ていて、どんな食べ物なのか調べてみたら「今川焼き」のことだと分かりました。
地域によって呼び方が違うのが興味深いです。
そして平助がまたルイーズ吉田に何かが見えると言っていて、何が起こるのか気になりました。

竹子が占いをすると人の不幸ばかり見て落ち込むと言うので、ルイーズ吉田は「強運の持ち主」である通彦を占わせてあげようとします。
かつてルイーズ吉田はお客さんとしてやって来た市役所勤めの通彦を占った時、とてつもない強運の持ち主であることに驚き何としてもこの人と一緒になろうと思い、当時付き合っていた女性とは別れたほうが良いなどとインチキ占いをうそぶいたりして、策略を駆使して付き合うことに成功した経緯があります。
ところが、竹子が占うと通彦に暗闇が迫っていてルイーズ吉田は驚きます。

ルイーズ吉田が通彦に最近何かなかったかを聞くと、もうすぐ市町村合併があることに悩んでいることが分かります。
そして通彦は大きな決断をしようとしていて、どうしたら良いかと聞かれてルイーズ吉田は戸惑います。

竹子が私の人生は息子の健太郎次第と語っていた場面は印象的でした。
言葉が重く聞こえましたが、同時に母親として息子を第一に考えているのが分かり、立派だと思いました。

ルイーズ吉田が通彦のしようとしている「大きな決断」について占うと、決断しても成功しそうだという結果が出ていました。
しかしルイーズ吉田はその占い結果がしっくり来ず違和感を持っていましたが、やがてどうしてそう感じたかの理由が分かります。
占いの結果が絶対ではないことが示されていたのが興味深く、自身の予感を信じた方が良い場合もあるのだと思います。


この作品には食べ物を食べている場面が何度も登場したのが印象的です。
占い師も私達一般の人間と同じで、決して超人的な存在ではないのを暗示しているように見えました。
そしてルイーズ吉田の「背中を押す」という考えは相手と対等な立場に立っている気がして好感が持てました。
もしルイーズ吉田のような人がいれば、占いをして貰うのも良いかも知れないと思いました


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「Go Toトラベル」と新型コロナウイルス

2020-07-19 11:23:08 | ウェブ日記
一昨日、7月22日から始まる「Go Toトラベル」の割引きキャンペーンについて、赤羽国土交通大臣から東京での新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、東京発着の旅行を割引きの対象外にすることが発表されました。
また、国としてキャンセル料の補償をする考えはないことも明らかにしました。

「Go Toトラベル」とは、今年4月に発表された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」にある「Go Toキャンペーン」の一つで、国内旅行の費用を補助する「Go Toトラベル」、飲食需要喚起の「Go Toイート」、イベントなどのチケット代補助の「Go Toイベント」、商店街振興の「Go To商店街」があります。
「Go Toトラベル」は上限2万円まで費用を国が出すという太っ腹なキャンペーンで、それは同時に、それくらいしないと持ちこたえられないくらい観光業界が壊滅寸前ということだと思います。

狙いは新型コロナウイルスによって人が動かなくなり、人が動かないと観光地に行く人が激減し観光業界は壊滅するので、緊急事態宣言が解除されている今これをどうにかして打開したいのだと思います。
また、旅行は好きでも新型コロナウイルスの影響で減収している人や、ウイルスの驚異に備えて財布の紐を固くしている人もたくさん居ると思うので、それを考えるとキャンペーンの趣旨は良いことだと思います。
しかし物事は理想どおりに行かないこともあります。
新型コロナウイルスは人々に感染症をもたらすウイルスで、ウイルスに経済対策をしたいから大人しくしてくれと言っても聞いてはくれないです。
今回はまさに、再び東京で感染拡大の動きがあるため、東京がキャンペーンの対象から外されることになりました。

キャンペーンが理想どおりに行かないのはウイルス相手なのでどうにもならないです。
ただ今回、国の割引きキャンペーンがあるからという理由で東京発着の旅行を申し込んだ人が多数いるのではと思います。
それなのに、都合が悪くなったから東京をキャンペーン対象から外すのに、代金の補償をしないのは酷くないかなと思いました。

この先似たようなキャンペーンをしても、「でも政府は都合が悪くなってキャンペーンの変更や中止をしても補償しないんだよなあ」と思い、みなさんお金を使うことに及び腰になる気がします。
国が主導して国民を旅行に動員した以上、その「義理」はないがしろにしないほうが良いのではないかなと思います。
「補償はしません」では率直に梯子を外された人達が可哀想です。
ぜひ補償する方向に向かってほしいなと思います。
※7月21日、赤羽国土交通大臣から当初の方針を変更し、補償すると発表がありました。補償なしは不義理だと思うので、その方が良いと思います。

私的には、自身の近場の地域を助けるにはこのキャンペーンを使うのも良いかなと思います。
例えば広島県の世界遺産厳島神社がある宮島にはお店がたくさんあり、観光客によって成り立っているので、新型コロナウイルスの問題によって島全体が壊滅の危機に立たされています。
なので「Go Toトラベル」のキャンペーンを使って宮島に泊まりに行くのも良さそうです。
何とか観光業界が根こそぎ壊滅という事態にならずに済むことを願います。
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「罪のない嘘 ~毎日がエイプリルフール~」三谷幸喜

2020-07-12 17:25:51 | ウェブ日記


(写真はネットより。以下同じ。)

今回ご紹介するのは舞台「罪のない嘘 ~毎日がエイプリルフール~」(作:三谷幸喜、演出:モトイキシゲキ)です。

-----内容-----
<嘘>も方便。
物事をうまく進めるためには、ちょっとした<嘘>は必要なもの・・・。
ある日の午後、高級マンションの1室。
以前この部屋の持ち主だった鏑木(かぶらぎ)が、テレビの修理屋を装ってやってくることから始まる。
彼は妻子と別れ、今は愛人と暮らしているが、娘が婚約者を連れてくることに。
そこで、4日前まで住んでいたこのマンションで会うためにひと芝居=<嘘>をつくことを思いついたのだ。
ところが、今の居住者の鴨田夫妻が留守の時間帯を調べて入り込んだはずなのに、次々に夫妻が帰宅してきてしまう。
そのうえ、マンション自治会の副会長夫妻や不動産屋、鏑木の前妻や愛人、ついには娘の婚約者の両親までが、入れ替わり立ち替わりやってきて……。
ちょっとした<嘘>のはずが、繕えば繕うほどに、いつの間にか”おおごと”に・・・。
絶体絶命のピンチ!
さあ、どうする鏑木研四郎!?
三谷幸喜が劇団東京ヴォードヴィルショーに書き下ろした不朽の名作喜劇が令和の新春に装いも新たに蘇る!
個性豊かなキャストが勢揃い。
令和初の新春に、老若男女すべての皆さんに贈る抱腹絶倒の初笑い!

-----感想-----
2月18日、広島県広島市のJMSアステールプラザ大ホールで舞台「罪のない嘘」を観ました。
新型コロナウイルスの問題でいよいよ何もかもが自粛になる、少し前のことでした。

私が「罪のない嘘」を知ったのは、出演者の一人の菅原りこさんがきっかけでした。
菅原りこさんは、昨年1~5月にかけて大々的に全国放送のテレビ番組などでも取り上げられ、世間の注目を集めたアイドルグループNGT48の山口真帆さん暴行事件において、一貫して山口真帆さんに味方して暴行事件を山口真帆さんのせいにしたい人達と戦ってくれた人です。
最終的に、暴行事件被害者なのに半ば追い出される形でグループを卒業することになった山口真帆さんとの友情・義を貫き、自らのアイドル生命が絶たれることになっても一緒に卒業する道を選びました。
戦いの舞台が新潟県だったこともあり、その姿からは義に厚い戦国大名”越後の龍”上杉謙信が思い浮かぶくらい大変感銘を受けました。
昨年5月18日の卒業後はエイベックス・マネジメントという事務所に移籍し、アイドルから女優・タレントに転身して活動することになりました。
その菅原りこさんが「罪のない嘘」でお芝居のお仕事をすると知り、実物の菅原りこさんがどんな雰囲気なのか、またどんな演技をするのか、それらに興味があり舞台を見に行こうと思いました。
私にとって初めての舞台観劇となりました。

「罪のない嘘」には「アパッチ砦の攻防より」という付記があり、これは大元の作品が「アパッチ砦の攻防」ということで、私は当初アパッチ砦とはどんな砦なのだろうと漠然と気になっていました。
やがて「罪のない嘘」が始まると、舞台になっているマンションの名前が「アパッチ」で、その一室でかつての居住者と今の居住者を中心にした攻防が繰り広げられるから「アパッチ砦の攻防」なのだと分かりました。
作中の舞台は終始マンション「アパッチ」の一室で、ずっと同じ場所で話が進むのに小さな世界感にならず大きな世界のように感じるのが凄いと思いました。
脚本の力と演じる役者の力の両方が揃って初めて作れる世界観だと思います。
内容欄に「抱腹絶倒の初笑い」とあるように、様々な人物が入れ替わり立ち替わり登場して次々と笑わせてくれました
三谷幸喜さんと言えば「喜劇」なのが強く意識される楽しい作品です。



(演技をする、左から菅原りこさん、佐藤B作さん、鈴木杏樹さん、片岡鶴太郎さん)

物語は、婚約者を連れて来る娘のちよみ(菅原りこさん)のために、以前住んでいたマンションに今も住んでいることにして見栄を張りたい鏑木研四郎(佐藤B作さん)と、今の住人である鴨田巌(片岡鶴太郎さん)・まち子(鈴木杏樹さん)夫妻の攻防を中心に進んで行きます。
夫妻は物凄く曲者感のある巌と物凄く天然感のあるまち子の凸凹コンビぶりがかなり面白かったです。
テレビの修理屋のふりをしながらどうにかして誰もいない状態にしてちよみを迎えたい研四郎ですが、夫妻以外の人達も次々現れどんどん事態は悪化していきます。
その場を誤魔化すために苦し紛れの嘘をつきますが、やがてその嘘とは矛盾する展開になってしまったりもして、次々訪れる大ピンチに四苦八苦しながらも誤魔化そうとする様子が面白かったです。
巌が曲者感たっぷりな言い方で「どういうことなんだ」的な突っ込みを研四郎に入れる場面などは特に印象的で、片岡鶴太郎さんは曲者役をやらせたら随一な気がします。
また佐藤B作さんは大ピンチの連続で焦っている役回りなので終始焦った雰囲気の演技をしていましたが、その焦りの中に巧みに笑いを入れて来たり、最後の方では一転してしんみりとした演技をしたりもして、流石に上手いなと思いました。

終始笑いに包まれた作品で、休憩を挟んで約3時間に及んだ上演時間のうち半分以上は観客席から笑いが起きていた気がします。
笑いにはアドリブと思われるものもあり、私は片岡鶴太郎さん、佐藤B作さん、あめくみちこさん(研四郎の元妻・若宮サダ役)のアドリブ的立ち回りが印象的でした。
本人達も笑いながら台詞を言っていた場面があったのが印象的で、笑いに包まれっ放しの会場の雰囲気を楽しみながら演技をしているのが分かり、ベテランならではの余裕、貫禄を感じました。
特に片岡鶴太郎さんが舞台のセットとJMSアステールプラザの床面との境界線をもじり、「ここより先はもう舞台セットの外じゃないか」のようなことを面白おかしく言っていた場面が印象的で、よく台詞が出てくるなと思いました。

不自然にならない場面で、台詞の中でもみじ饅頭などの御当地ネタを出してくれたのは嬉しかったです。
どの地域にも名産品はあるもので、他の地域の上演でも御当地ネタを出してくれたのではと思います。
これは各地を回りながら上演する舞台ならではの良さだと思います。

研四郎の愛人のビビアン(小林美江さん)が日本語を勉強中で怪しい片言を話すのですが、「明日は明日の風が吹く」などの格言を絶妙なタイミングで、絶妙な言い方で言っていたのは面白かったです。
周りの人を勇気づけているようにも茶化しているようにも見え、何か言うたびに客席から笑いが起きていました。
終盤になると驚愕の正体も明らかになり、そこでも笑いが起きました。

鴨田まち子役の鈴木杏樹さんは広島公演の前に不倫スキャンダルが報じられました。
ちよみが劇中でまち子の気の迷いを凄い勢いで怒る場面があり、まち子が演技ではない雰囲気で気まずそうにどんどん小さくなっていきリアルに落ち込んでいるのが面白かったです。
まさか劇中のまち子と実際の鈴木杏樹さんが同じような境遇になるとは驚きで、不倫は駄目ですがこの場面はかなり笑われていました。



(演技をする菅原りこさん)

ちよみは「いちず」「まっすぐ」という言葉が思い浮かぶような、何事にも勢い良く突き進んでいくタイプの人でした。
ちよみが登場すると場の雰囲気が明るくフレッシュになり、そういった役回りなのだと思います。
また、佐藤B作さんと片岡鶴太郎さんは二人とも1997年の大河ドラマ「毛利元就」に出演しており、菅原りこさんがそういった人と共演するところまで来たのが私は嬉しかったです

菅原りこさんは現在19歳で、今年20歳を迎えます。
アイドルから女優・タレントに転身してまだ日も長くなく、お芝居の分野では駆け出したばかりの存在です。
なので演技力ではさすがに先輩方には及ばない印象を受け、ベテラン勢の演技には「変幻自在」「緩急自在」といった言葉が思い浮かび、そこに差を感じました。
今後に向けて、役の幅を広げていくには緩急も重要になる気がします。

菅原りこさんと似た立場で女優として活躍する人では、松岡茉優さんが思い浮かびます。
元々は「おはスタ」という朝の子供向けバラエティ番組を中心に活動していましたが、番組卒業後は女優として活躍していきます。
私は「ちはやふる」という青春映画で本格的に松岡茉優さんの演技を見ることになり、その演技力の高さがかなり印象的でした。



(「ちはやふる」で主人公のライバル役を演じる松岡茉優さん。当時まだ21歳でしたがこの貫禄です。)

現在では演技力の高い若手女優として益々名を轟かせており、今後もさらに飛躍していくと思います。
こういった途中から女優に転身しての大成功例もあるので、菅原りこさんも努力次第で高い演技力を身に付けることが出来るのではと思います。

また、ちよみを演じる菅原りこさんを見て、声が透き通っていてよく通るのが印象的で舞台に向いていると思いました。
そして元アイドルということもあり細身でスタイルが良く、上背も伸びてきているようで雰囲気がとてもステージ映えします。
この高い素質があるので女優として成功する可能性は大いにあると思います。
これからどのように活躍していくのか、注目して見て行きたいと思います


私が「罪のない嘘」を観たのは、広島での1回だけでした。
しかし笑いの絶えないとても面白い舞台で、観終わってからもう一度観たいなと思いました。
初めて観た舞台が楽しい舞台になったのも嬉しく、これを機に気になる舞台があれば観に行くのも良いかなと思いました



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広島公演出演

佐藤B作
辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)
小林麻耶
菅原りこ
あめくみちこ
黒田こらん
小林美江
山本ふじこ
中西良太
まいど豊
佐渡稔
梅垣義明
鈴木杏樹
片岡鶴太郎
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-----菅原りこさん出演作品、コンサートの感想記事-----
辰巳真理恵 菅原りこ 追川礼章 SPECIAL CONCERT
「PERSONA5 the Stage #3」(主演:猪野広樹)


-----関連記事-----
「山口真帆 1st写真集 present」
「DIVER-特殊潜入班- 第二話」
「ショコラの魔法」(主演:山口真帆)
「長谷川玲奈 1st写真集 一瞬の光」
「海辺の街でもう一度、あの日の彼女に会えたなら 〜Diary〜」
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初夏と夏の体力作りとダイエット

2020-07-05 13:19:50 | ウェブ日記
5月下旬から、長距離ウォーキングを始めました。
主に会社の帰り道に歩いていて、休日も天気が良ければよく歩いています
会社への通勤でも毎日往復2km以上は歩いていますが、現状それでは不十分な気がしました。

長距離ウォーキングには3つの思いがあり、1つ目は新型コロナウイルスへの特効薬もない現状では、いざとなったら自身の体力が頼りなので向上させておこうと思いました。
2つ目は今のうちに真夏の猛暑を乗り切れる体力作りをしておこうと思いました。
そして3つ目は、長距離ウォーキングを続けることでダイエットをしようという思いでした。
主に一日片道4km、往復8km歩くようにしていて、昨日までのウォーキング結果は次のとおりです。


5月 8km歩いた日
21日、22日、23日(休日)、24日(休日)、25日、27日、29日、30日(休日)

合計64km


6月 8km歩いた日
2日、3日、4日、5日、6日(休日)、8日、9日、16日、19日、20日(休日)、21日(休日)、22日、23日、27日(休日)、28日(休日)

4km歩いた日
7日

合計124km


7月 8km歩いた日
2日

合計8km


全て合計すると、196kmというかなりの距離になります。
しかしそこまで痩せてはいないです。
以前、ブログ友達が自身を「万年ダイエッター」と言っていたことがありましたが、私も同じだなと思います。
体重が増えやすい体質でもあるようで、油断しているといつの間にか増えているので気を付けないといけないです。
また、理論だけ言えば「摂る栄養を減らして運動を増やせば痩せる」になると思いますが、新型コロナウイルスの驚異もある現状で栄養を減らすのは命取りな気がするので、食べるものは普段通りに食べています。

それでも体力はかなり上がったと思います
8kmのウォーキングは最初は長く感じましたが今では問題なく歩けるようになっています。
梅雨が明けて真夏になるまでにまだ歩くチャンスはあると思うので、さらに体力を上げて万全の状態で真夏を迎えられればと思います
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