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「プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番」(ピアニスト:尾崎未空)

2020-02-11 14:12:00 | ウェブ日記


今回ご紹介するのは「プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番」(ピアニスト:尾崎未空)です。

-----曲調&感想-----
セルゲイ・プロコフィエフはロシアの作曲家で、私はその名前を「蜜蜂と遠雷」(著:恩田陸、第156回直木賞、第14回本屋大賞受賞)という国際ピアノコンクールを題材にした小説で初めて知りました。
全ての予選が終わってからの本選(決勝大会。ピアニストがオーケストラと共演)でプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番が演奏される場面がありました。
当時はどんな曲なのかは聴かずにいましたが、その後「広島プロミシングコンサート2018」というクラシックのコンサートで初めて聴くことになり、曲目を見て「この曲は小説に登場したあの曲だよな」と思ったのを覚えています。
私は尾崎未空さんというピアニストによる演奏が好きなので、その演奏動画を元にご紹介します。



(尾崎未空さん。)


曲全体の印象

曲全体がとても華やかで、ワクワクする躍動感や誇り高さ、ドラマチックさがあります。
そしていたずらっぽさもあり、おどけているような曲調になることがよくあります。
それらの様々な表情を見せてくれる曲で、ピアノの高音の綺麗な音色や派手な音色が目立つ場面が何度もあり、華やかさが特に前に出た曲だと思います。



第1楽章(~9:20)

どこか気だるさを感じるクラリネットの独奏で協奏曲が幕を開けます。
そこにフルートやヴァイオリンなど他の楽器が入り、辺りに灯りが灯って明るくなったように感じます。
音によって明るく感じられるのが素晴らしい表現だと思います。

そこから一気にエンジンがかかったかのように、ヴァイオリンを中心にとてもワクワクする小刻みでハイスピードな演奏になります。
その最高潮と同時にピアノが弾けるように始まるのが印象的で、最初の音が目の覚めるような響きです。
ドラマチックさも感じ、ピアノが最初に入るこの場面はかなりの見せ場だと思います

ピアノが一瞬止まり、フルート、クラリネット、オーボエの管楽器を中心にした演奏になります。
スピードと迫力があり誇りや気高さを感じる音色になっています。
ピアノがまた始まり、こちらもスピードと迫力のある演奏をし、その状態で今度はヴァイオリンなどの弦楽器を中心にしたオーケストラとの掛け合いになります。

ピアノがややミステリアスさを感じる演奏になった後、カスタネットが登場してコミカルに音を響かせます。
カスタネットがこれだけ目立つ曲はこの曲で初めて聴きました。
ピアノも同じ演奏で続き、この辺りは踊っているような音色です。
音が爆発するかのような盛り上がる場面を迎え、同時に安らぎも感じる音色になりゆったりとした雰囲気になります。

再び冒頭のクラリネットのメロディになります。
ピアノも同じ演奏をして続き、クラリネットと響き合いながら穏やかな海のような音色になります。

ピアノが一気に物凄い速さの演奏になります。
オーケストラもその速さに寄り添いながら盛り上げてくれ、ピアノの音色もどんどん迫力を増して行き、やがて爆発を迎えます。
そこから冒頭でピアノが入った場面の演奏がもう一度行われます。
フルート、ピッコロ、オーボエなどを中心にしたコミカルな踊っているような音色になり、直前のドラマチックさからの切り替わりが印象的です。

ピアノが「ドレミファソラシド ドレミファソラシド…」というようにどんどん音階を上げて行き、高い音まで上がったところでオーケストラと一緒にコミカルな演奏をしたり迫力のある演奏をしたりするのが繰り返されます。
その終盤で登場するピアノの素早くなぎ払う高音の演奏が派手で印象的です。
華やいだ派手な雰囲気はこの曲の重要な特徴だと思います。
最後はピアノの物凄い速さの演奏にオーケストラも寄り添い、バンっ!と爆発して終わります。



第2楽章(~18:43)

森の中をゆっくり歩いているような演奏で始まります。
ピアノも始まり、ゆったりとした安らぐ音色です。

一転してピアノとオーケストラ全体で誇りを感じるドラマチックな音色になります。
特にトランペットの音色に誇り高さを感じ、トランペットがあることによってこの場面が非常に格好良くなっています。

やがてとてもゆっくりとした静かな音色の演奏になります。
綺麗な音色ですが安らぐ雰囲気とは違った、静かに考え事をしているような雰囲気があり、しばらく続きます。

そして第2楽章の盛り上がる場面を迎えます。
速いテンポの同じ演奏を繰り返しながら雰囲気が盛り上がって行きます。
一番盛り上がる場面はピアノの「タンターン!タタタタタンタンタンタタターン!」で幕を開け、そこから「タタタタタンタンタンタタターン!」を繰り返して行きます。
音色がとても格好良いです
どんどん音が大きくなって迫力が出て行き、オーケストラは「タタタタタンタンタンタタターン!」の「ターン!」の時に効果音になる演奏をしていてその音も良いです。
この場面の最後もバンッ!と弾けていて、盛り上がる場面の最後が弾けるのもこの曲の特徴だと思います。

その後は第2楽章冒頭の森の中を歩くような演奏が再び登場し、ピアノの速いテンポの演奏が加わったことで冒頭よりも忙しなく聴こえます。
第2楽章の最後は印象的な終わり方をしていて、まさに静かにゆっくりと幕が下りるように終わります。
低い音が消えて行く余韻が、幕が完全に降り切るまでの動きに聴こえます。



第3楽章(~28:12)

明るくアップテンポで弾むような演奏で始まります。
そしてどんどん迫力も出て行きます。

ピアノもオーケストラも迫力を増し、華やいだ雰囲気になります。
そこから夕暮れ時のような音色の演奏になり、聴いているとオレンジ色の夕焼けが思い浮かびます。
特にファゴット、オーボエが良い役目を果たしていると思います。

ピアノが一旦安らぐ音色の静かな演奏をしてから、今度はピアノとヴァイオリンを中心にした演奏に移って行きます。
ヴァイオリンが非常に伸びのある高音の演奏をしていて、ピアノと合わさった音色がとても綺麗で雄大さを感じます。

ピアノがポロロロロと流れるような演奏を何度も繰り返します。
一つ一つの音を同じテンポで出していて、羽衣が優雅に風にそよめいているような綺麗な音色です
そして力強くもなって行き、ドラマチックさを感じます。

最後はさらにドラマチックになって行きます。
どんどん迫力も出て、ほとんどが高音のため物凄く華やかです。
スピードも速いためどこか緊迫感もあり、強烈に引き込まれます。
そして圧倒的な華やかさの中で、この曲の特徴になっている爆発で終わりを迎えます。



小説「蜜蜂と遠雷」は昨年の秋に映画が公開されました。
映画のクライマックスでプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番が演奏されたとのことで、この曲の華やかな雰囲気はそういった場面に向いていると思います。
約28分の演奏時間はクラシック曲の中では普通くらいの長さで、全体的にスピードのある曲なので、華やかさに魅了されているうちにあっという間に時間が過ぎて行きます。
そして何度聴いても魅了される曲で、またぜひ演奏会で生演奏を聴いてみたいです



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