読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

「ユング名言集」カール・グスタフ・ユング

2015-09-12 20:22:11 | ノンフィクション・エッセイ


久しぶりに「小説」カテゴリ以外の読み物となります。
今回ご紹介するのは「ユング名言集」(著:カール・グスタフ・ユング、編:フランツ・アルト、訳:金森誠也)です。

-----内容-----
完璧ではなく充実した生を求めよ!
「分析心理学の巨人」による考察が凝縮された151の言葉。

-----感想-----
名前は聞いたことがあるユングについて、「ユング名言集」という本があったので読んでみることにしました。
偉人の言葉ということで、どんな言葉を遺したのか興味深かったです。
ユングの言葉について特に興味深かったものを紹介し、感想や意見を書いていきます。

P26 完全を望むな
自己の完成に向かって努力することは立派な理想である。
しかし私は次のように言いたい。
「お前はとうてい達成できないことに向かって努力するよりもむしろお前ができることを何か実現させよ」

これは一気に高いところに行こうとするのではなく、階段を一歩一歩上っていく方が良いということだと思います。
まず目標を高くし過ぎないことです。
また、高い目標を持つのは良いですが、そこに向かう道は一足飛びで行こうとするのではなく、自分の足元を見ながら一歩一歩行きましょうということだと思います。

P37 暗い性質も私の一部だ
これは自分自身が嫌だと感じている欠点のことです。
ただし、欠点があるのは悪いことではないです。
そういった性質も全て入れて、その人が形作られています。

P45 情熱地獄の恐怖
自分の情熱の地獄のような有様を通り抜けたことのない人間は、自分の情熱をけっして克服することはできない。
ここでの情熱とは、後悔の念や憂鬱な気持ちに沈み込んでいってしまうこととありました。
つまり「自分の情熱の地獄のような有様」とは、物凄く後悔したり憂鬱な気持ちになったりすることです。
これを経験したことのない人は自分の情熱をけっして克服することはできないとユングは言っています。
言い換えれば、物凄く後悔したり憂鬱な気持ちになったりした経験のある人は、自分の情熱を克服することができるということです。

P60、61 「ペルソナ」について書かれています。
ペルソナとは、もともと俳優が舞台でかぶることにより自分が演ずる役割をはっきりさせる仮面のこと。
ペルソナとは、その人には本来ないものでありながら、本人および他人が、その人の実情とみなしているもののこと。
その人の本来の姿ではないものを演じていて、本人も周りの人もその姿がその人の性格、普段の立ち居振る舞いだと思っているということで、ユングはこれを「ペルソナ」と名づけました。
「ペルソナ」という、社会的な役割を果たすために演じている仮面の後ろに、その人本来の姿が隠れているとのことです。

P92 生きる上で欠陥は不可欠
私たちの罪、あやまち、それにもろもろの欠陥は、私たちにとってはまさに必要不可欠である。
それというのも、それらがなければ私たちの精神の価値ある発展の可能性が奪われてしまうからだ。

欠陥があるのは悪いことではないということです。
自分自身にどんな欠点があるかを客観的に把握することができれば、その欠点を補うための対策を立てることができ、ユングの言う「精神の価値ある発展」につながっていきます。

P101 外的個性と内的個性
私は人それぞれの外的立場、性格をペルソナと名づけ、そして内的立場、性格をアニマ(魂)と名づけている。
ペルソナに続き、アニマという言葉が出てきました。
言葉の表現が抽象的で意味を捉えずらいのですが、なかなか面白いです。
「人には外向けの態度に個人差があるのと同様に、内的にもそれぞれの個性があることが認められている」とあり、これは人それぞれの考え方の特徴のことだと思います。

P134 人が個性を育成しつつ人生行路を歩むとき、しばしばあやまちを犯すことがある。さもなければ生は完全ではない。
これは間違いがあって当たり前ということであり、それが人生です。

P155 私たちはけっして「各人がなすべきこと」ではなく、「各人ができること」「各人がやらねばならないこと」に従って行動すべきである。
これは「その人なりにできることをやれば良い」ということだと思います。

P207 現にある物が大切なのだ
事物の存在がきわめて重要なのは、私にとって「それが現にある」ということであって、けっして、「そんなものはない」とか「それは前にはあったが今はもはやない」などということではない。
「そんなものはない」と卑屈になるのではなく、今あるものを見ましょうということです。
今あるものが何かを冷静に見つめ、それを認識し大事にすることが、前を向くことにつながっていくのだと思います。

P214、215
私は自分のわがままな心からつくり出された、多くの愚行を後悔している。
しかし、こうした愚行に走らなかったならば、私はけっして自分の目標に到達できなかったであろう。

今までの失敗があって、現在の到達点にいるということです。
失敗した道は無駄ではなく、目標到達への糧として現在につながっています。

P232 他人に接して苛つくことのすべては自分自身の理解に役立つ。
これは「人は鏡」ということです。
相手がやっていることで嫌だなと感じることは、自分自身が普段から嫌だなと思っていることです。
例えば周りに聞こえるように愚痴ばかり言っている人を見て嫌だなと感じるのは、自分自身が愚痴ばかり言うことを嫌なこと、やってはいけないことと思っているからです。
自分がよくないことと思っていることを相手が平気でやっているから、見ていて不快になります。


全体的に言葉が漠然としていて難しかったです。
ただその中で、何を伝えようとしているのか意味を感じとるのが面白かったです。
心理の概論を語っているため抽象的な表現になるのだと思いますが、抽象的な言葉から意味を感じ取れた時には達成感があるものだなと、この作品を読んで思いました。


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「浅田真央 age15-17」

2009-12-23 13:57:32 | ノンフィクション・エッセイ
今回ご紹介するのは「浅田真央 age15-17」(著:宇都宮直子)です。

-----内容-----
超一流の技術と可憐にして繊細な表現力。
天才と呼ばれた少女は世界のトップアスリートへと成長し、その可能性は未だとどまるところをしらない。
いち早く浅田真央の才能と魅力に着目していた著者は、長きにわたる取材を試み、温かな視線で真央を見つめつづける。
精緻な文章と貴重な写真で、青春の日々を綴った傑作ノンフィクション。

-----感想-----
もうすぐ全日本フィギュアスケート選手権なので、その前にこの本のご紹介をしようと思います。
この本は宇都宮直子さんという人が数年前から浅田真央さんを取材してきたことをまとめたノンフィクションです。
どうやら行動を共にすることも多かったらしく、プライベートでの会話もたくさん載っていました。
テレビではあまり見ない発言も色々あり、とても興味深かったです。

「ユナかな」
「ユナ?たしかに上手な子だけど、まだジュニアの選手じゃない」
「でも、ユナはきっと、もっと上手になるよ。真央はそう思う」
この場面は印象的でした。
将来、シニアで闘うようになったとき、どんな選手がライバルになるのかを話していたときのことです。
どうやら浅田真央選手は、早い段階から韓国のキム・ユナ選手がいずれ強敵になるだろうと予感していたようです。
(この本ではヨナではなくユナで統一されているので、こちらも合わせます。)

また、この本ではメディアを冷静に見つめた記述がありました。
一例をご紹介すると、

「メディアは同じ年の彼女らを対比し、煽る。
闘いをさらに盛り上げようと、互いに互いを語らせようとする。
強いて、意識を向けさせようとする。」

これは私も何度も同じようなことを思いました。
とにかくメディアは浅田真央選手とキム・ユナ選手をライバルとして煽りまくり、試合前になると浅田真央選手に「ライバルの撃破」を期待というより半ば押し付けてきます。
しかもご都合主義なので、今季浅田真央選手が不調でキム・ユナ選手に歯が立たないのを見るや、今度はキム・ユナ選手を「無敵の女王」として持ち上げる報道に変わってきています^^;
あの煽りは何だったの…?と思ったりもしました(笑)

私的には、この二人はウオッカとダイワスカーレットの関係のようなイメージがあります

浅田真央  →ウオッカ(調子にムラはあるが、ここぞの場面で勝つ!)
キム・ユナ →ダイワスカーレット(能力バランスの取れた、最強の敵役!)

トリプルアクセルが成功すれば一気に点を伸ばせる浅田真央選手はウオッカタイプ。
抜群の表現力で点が高いところで安定するキム・ユナ選手はダイワスカーレットタイプ。
こんなところです(笑)
メディアは選手が不調になると叩きたがるので、ここは一つ、静かに見守ってあげてほしいと思います。
ウオッカタイプということは、不調の後には必ず劇的な勝利が待っているということですしね
それが全日本選手権なのか、その先なのかは分かりませんが、このまま終わるような選手ではないです。
静かに復活のときを信じて待つのがベストと思います。

この本で色々悩んでいることも分かりましたし、やはり日々試行錯誤なのだなと思います。
仮面舞踏会の曲を気に入っているということも分かりました
流れが悪い中で迎える全日本選手権ですが、浮上のきっかけを掴めるような良い演技を期待したいと思います


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「自民崩壊の300日」

2009-09-19 15:22:33 | ノンフィクション・エッセイ
今回ご紹介するのは「自民崩壊の300日」(著:読売新聞政治部)です。

-----内容-----
2008年9月、自民党の起死回生を託された麻生政権が誕生。
しかし、「リーマン・ショック」に端を発する世界的な景気後退の嵐の中で、麻生首相は幾たびか訪れた解散・総選挙のタイミングをことごとく逃し、野党の攻勢に追い込まれていく。
政権発足前夜から300日のドラマを追った緊迫の政治ドキュメント!

-----感想-----
この本は先日本屋で見かけ、興味深いので手にとってみました。
福田前総理が辞任して、その後麻生総理が誕生してから、自民党が迷走していく様子が描かれていました。

「私は自分自身を客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです
その様子をテレビで観ていた自民党幹部は「あの記者会見は何だ?これから尾を引くぞ。国民を敵に回したんじゃないか。あれじゃ、逆ギレ辞職じゃないか」と深いため息をついた。

上記は麻生政権が誕生する前の、福田総理の辞任会見での一場面です。
やっぱり自民党の幹部もあの会見には困ったようですね
そしてその後、麻生政権が誕生しました。
当初は選挙の顔として期待されていた麻生総理。しかし…

「この下がり方は、坂を下るというより、がけから落ちたようなものだ」
自民党の閣僚経験者は支持率半減をこう評した。

「今、衆院解散・総選挙をやれば、自民党は大政奉還をせざるをえない。もはや解散する力は現在の麻生政権にはない」
党の有力者からこうした発言が飛び出すほど、政権は弱体化し、「選挙の顔」として麻生を担ぎ上げた自民党内では、急速に麻生離れが進んでいた。

公明党幹部は、半ば冗談、半ば本気の口調でこう語った。
「麻生さんはもはや『選挙の顔』じゃない。『選挙の邪魔』だ」

何だか散々な言われようの麻生さんが、ちょっと可哀相な気がしてきます。
支持率が下がったのは自業自得ですが、仲間内からもこんなことを言われては、ショックが大きいのではと思います。
特に『選挙の邪魔』は強烈です
この本によると、公明党は早期の解散を巡って何度も麻生総理に振り回されたらしく、鬱憤も溜まっていたのでしょうね。

そしていよいよ解散が近づいてきた2009年6月30日、麻生総理が党役員人事を行おうとして混乱が起きました。
解散総選挙の前に役員人事をやって支持率を上げようという目論みですが、かなりの人から反発があったようです。
そしてここで、大物議員が動きました。

とどめを刺したのはだった。
森はその夜、東京・赤坂のホテルオークラの中華料理店で麻生と二人きりで会った。
「党役員人事を考えているのか?」
「森先生、私は一言も役員人事をやるなんて言ったことがないんですよ」
「分かった。それなら、想定問答をしよう。幹事長を変えるなら誰だ?細田君より力強くて話もできる人は、舛添か?町村君か?だけど、俺は断るよ。(以下省略)」

この場面は興味深かったです。
ニュースで森さんが動いたというようなことを見ましたが、こうして本で詳しい会話まで見ると場面が思い浮かんできます。
最終的にこの説得により、麻生さんは目論みを断念することになりました。

また麻生さんは党内の根回しをしないまま、色々なことをやろうとしたようです。
どうやら小泉純一郎さんが派閥に囚われることなく、総理主導で色々なことをやっているのを間近で見ていて、自分も総理になれば同じ事が出来ると思っていたようですが、さすがに思い上がりのような気がします。。。^^;
根回しをしていなかったため、やろうとしていることが行き詰まり、「発言のブレ」になっていったようです。
テレビを見ているとただ単に「ブレた」という印象が強いですが、本だとなぜブレたのかの説明があり興味深かったです。

麻生さんが解散に踏み切るまでの間に、どんな攻防があったのかが色々と書かれていて、とても面白い本でした。
みんな様々な思惑があり、それがぶつかり合っているのがよくわかりました。
衆議院選挙の敗北で崩壊状態になった自民党ですが、その立て直しの第一歩とも言える総裁選挙が始まりました。
今までのことを反省して、もう一度頑張っていってほしいと思います。


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「乙女なげやり」

2009-04-21 23:07:13 | ノンフィクション・エッセイ
今回ご紹介するのは「乙女なげやり」(著:三浦しをん)です。

-----内容-----
ひとはいつまで乙女を自称しても許されるものなのか。
そんな疑問を胸に抱きつつも、「なげやり」にふさわしいのは、やっぱり乙女。
熱愛する漫画の世界に溺し、ツボをはずさね映画を観ては、気の合う友と妄想世界を語り合う。
気の合わない母との確執も弟とのバトルも、日常の愉楽。
どんな悩みも爽快に忘れられる「人生相談」も収録して、威勢よく脱力できる、痛快ヘタレ日常エッセイ。

-----感想-----
前回の「告白」が重い作品だったので、今回は軽めの作品にしました。

今作も三浦しをんさんの面白い日常が綴られていました。
しをんさんのことを「ぶたさん」と呼ぶ弟君も健在で、今回も偉大なる直木賞作家であるしをんさんに対して、無礼の数々を働いていました(笑)

そんなある日、なんとしをんさんの母親が腕を骨折してしまい、入院することになりました。
その際の、診察してくれた先生の言葉が笑えました。
「折れてるね。入院。そんで手術」
この場面を読んだとき、さすがにこんな投げやりな先生はいないだろうと思いました(笑)
特に「そんで手術」がウケました^^

他にも、しをんさんから見たドラマ「白い巨塔」の感想も面白かったです。
私はシリアスな人間ドラマとして毎回真剣に見ていたのですが、しをんさんから見ると「突っ込みどころ満載」なのだそうです。
東教授という登場人物がいるのですが、その人のセリフに「~たまえ、○○君」というのがあります。
ドラマを見ている限り、とくに気にならなかったのですが、しをんさんから見ると日常会話で「~たまえ」と言う人なんて見たことないとのことです。
たしかにそうだなあと思いました。
私も未だかつて「~たまえ」と言う人なんて見たことがないです
もしいるとしたら、やはり大学病院ですかね。。。

また、後の政治家の失言を予感させるような記述もありました。
出生率の低下について、道行く女性にアンケートが行われたことについて、しをんさんが意見を書いていたのですが、
「社会の要請に応えてポコポコ子どもを生む機械じゃないんだから、こういう無神経な数値を根拠に、道行く女性にアンケートなどするのはやめてもらいたいものだ。」
とありました。
「生む機械」で某政治家の失言が思い浮かびました。
たしか失言があったのは2007年だったと思います。
このエッセイは2003~2004年に書いているので、失言よりだいぶ前から「産む機械じゃないんだから…」と憤りを感じていたようです。
となると、失言があったときは人一倍頭激怒したのでは、と思いました。

そういえばこのエッセイの時点では、まだしをんさんが直木賞作家になる前ですね。
今は直木賞作家となり、作品が映画化されたりもして、この当時よりかなり威厳が出てきたのではないでしょうか。
となると弟君も改心して、「ぶたさん」呼ばわりを辞める日が来るかも知れませんね。
最近のエッセイではどんな呼び方になっているのか、気になるところです。
ぶたさんのままのような気もしますが。。。

というわけで、なかなか気軽に読めるエッセイでした。
シリアスな作品も良いですが、たまにこういった作品を読むのも良いなと思います。


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「フー・アー・ユー?」

2008-05-08 15:08:33 | ノンフィクション・エッセイ
読んで爆笑な政治家の迷言集を読みました。
今回ご紹介するのは「フー・アー・ユー?」(著:のり・たまみ)です。

-----内容&感想-----
この本は、全部で79本の政治家迷言が収録されています。
見開き2ページで、右側にその政治家の迷言を、左側に迷言に対する解説を載せるという形式になっています。
ところで、タイトルの「フー・アー・ユー?」は、ある政治家の伝説的迷言なのですが、みなさんご存知でしょうか。
森喜朗・総理大臣が、初めて会ったクリントン大統領に向かって言った言葉がフー・アー・ユー?(あなたは誰?)です。
大統領に向かって何て失礼な。。。
森総理は、本当はハウ・アー・ユー?(お元気ですか?)と言いたかったようです。
この発言があったとき、私はまだ中学生でしたが、あまりの迷言ぶりにクラスでも話題に上っていたような気がします。


この本で最大の収録数を誇るのが、ブッシュ大統領です。
迷言のレベルも、他の政治家とは一味違うと思います。
以下にいくつかご紹介。


子ども「ホワイトハウスはどんな所なんですか?」
大統領「白いよ」
はまかぜ感想:白いよって…そのままですね…


武装解除をせまっていたイラクに対し、
「あいつらが武装解除しないなら、我々のほうが武装解除する!」
はまかぜ感想:それだとまずいのでは。。。


「私の知能が足りないと思っている人間はその事実をまだ甘くみている」
はまかぜ感想:これはつまり、「私はお前らが思っている以上に馬鹿なんだぞ」と、自信満々に言っているわけですね。
すごいよブッシュさん。

こんな感じで、ブッシュさんの迷言は続きます。

この本では数少ない、名言と呼べそうなものもありました。
小泉純一郎・総理大臣(現・衆議院議員)
「郵政民営化は、俺の信念だ。
殺されてもいい。
そのくらいの気構えでやっている。」

記憶に新しい民営化をめぐる攻防。
衆議院を解散させてまで信念を貫いた小泉さんは、総選挙で圧勝し、ついに民営化を実現させました。
しかしあのときに獲得した「3分の2以上の議席」が、今のねじれ国会で利用されることになるとは…この展開は全く予想していませんでした。

昔の政治家の名前も出てきて、「あれ、この名前は聞いたことがあるな」というのもありました。
政治を身近に感じられると思いますので、興味を持った方は読んでみてください。

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「夢のような幸福」

2008-05-07 14:48:41 | ノンフィクション・エッセイ
今回ご紹介するのは「夢のような幸福」(著:三浦しをん)です。


‐‐‐‐‐内容‐‐‐‐‐
欲望の発露する瞬間を考察し、友人と特異な「萌えポイント」について語り合う。
伝説の名作漫画『愛と誠』再読でその不可解な魅力を再検証。
世界の名作『嵐が丘』を読み乙女のテイストを堪能し、女同士でバクチクライブ旅。
独自の見所発見の映画評、旅先の古書店の謎を探索。
物語の萌芽にも似て脳内妄想はふくらむばかり――
小説とはひと味違う濃厚テイストのエッセイをご賞味あれ!


‐‐‐‐‐感想‐‐‐‐‐
今回は久々にエッセイを読みました。
三浦しをんさんは小説もさることながら、エッセイもかなり面白いです。
小説のシリアスさとは打って変わって、エッセイではギャグ的な内容が続きます。
三浦しをんさんと友人たちの日常が綴られているのですが、この「日常」がすごいことになっています(笑)
今回のしをんさんは友人の結婚式に行ったり、ロード・オブ・ザ・リングのアラゴルン役のヴィゴ・モーテンセンに熱を上げたり、徹夜で漫画を読んだりしています。
ほかにも、「死国」の友人とバクチクというバンドのライブに行ったり、しをんさんのことを「ブタさん」と呼ぶ弟さんとのナイスなやりとりがあったり。
「死国」は「四国」のことだと思うのですが、なぜか「死国」となっています。
この友人さん、静岡でやるライブのために、四国からはるばる出てくるあたりが熱いなと思います。
バクチクというバンドは知らないのですが、どんなバンドなのでしょうか。。。
でも好きなもののために遠い地まで足を運ぶ気持ちはわかります。
私もこの春は天皇賞(春)を観に京都に行こうと考えたりしました(諸事情により諦めましたが…)。

今回は三浦さんと家族のやりとりが一番面白かったような気がします。
「ブタさん」連発の弟さんや、勝手に結婚相談所に三浦さんのことを話してしまう母親。
この結婚相談所の話で、弟さんから強烈な一言が。

「ブタさんさあ、頼むからその結婚相談所に登録してくれよ。おまえがどんな男を連れてくるのか、俺はすごく見たいよ。
究極の怖いもの見たさっていうの?」

な、なんて失礼な弟さんなんでしょう…
こんな調子の姉弟ですが、何だかんだで仲は良いのかも。


エッセイを読んでいたら、どうやら三浦さんの家は原宿の近くにあるような感じでした。
色々な場所に出かける三浦さんなので、あまり地元の話は出てこないです。
でも出かけた先で繰り広げる友人たちとの面白いやりとりは、読んでいて思わず笑ってしまいます。
楽しい内容が満載なので、興味を持った方は読んでみてください☆

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「16歳の白い地図」

2007-11-10 16:16:03 | ノンフィクション・エッセイ
今回ご紹介するのは歌手・川嶋あいさんのノンフィクション「16歳の白い地図」。
路上活動時代のことが綴られています。

-----内容-----
歌手になるために上京。しかし、なかなか芽が出ずに街へ。
渋谷を拠点に路上ライブを続ける歌手、川嶋あい。
街で歌い続ける16歳の少女が抱く不安、そして夢と希望を写真、本人直筆のイラストとテキストでつづる本書。
みずみずしい言葉で満ちた本書には、次々とヒットをリリースする歌手、川嶋あいの原点がある。
当時、書きためていた未発表作品を特別収録。


-----感想-----
『渋谷公会堂でライブをやろう!
手作りのCDを5000枚売ろう!
路上ライブ1000回やろう!それも女子高生のうちに…。
きっと何かが始まるはずだ。
そう思ってスタートさせた路上ライブ。
今振り返ってみると「勇気」だったのか「最後のカケ」だったのか、もうわからなくなってきている。
どっちにしても、私にとって「大切な一歩」だったことは間違いない。』


これは本の最初のほうにある、川嶋あいさん直筆の文です。
目標が3つ掲げられていますが、既に彼女はこの目標を全て達成しました。
何もないところから一歩一歩進んできて、本当にすごい頑張りだと思います。
今では有名なアーティストとなった川嶋あいさんですが、そこに至るまでにはかなりの苦労があったようです。
中学を卒業した春、歌手を目指して東京に上京。
初めての路上ライブは、拍手も歓声もなく、誰も聞いてくれなかったとありました。
それでも地道に路上ライブを続けていき、徐々に軌道に乗ってきたある日、路上で大学生から声をかけられました。
それは「手伝わせて」という言葉でした。
ついに、彼女の頑張りが新しい仲間を作ったのです。
その日から、少しずつ仲間も増えたみたいです。

川嶋あいさんには父も母もいません。
父は小学校のときに、母は16歳のときに、亡くなっています。
新たな仲間ができて、『父も母もいなくなった。でも、この東京でちゃんと新しい家族ができた』という言葉には心が温かくなりました。
右も左もわからない東京で、たった一人で地道に頑張るその姿勢が、回りの人の心を動かすのかもしれません。
この本を読んで、川嶋あいさんのCDを聴きたくなってきました☆
「I WiSH」の曲は何度か聴いたことがありますが、「川嶋あい」の曲はまだ聞いてないので、ぜひ聴いてみようと思います。
何かオススメがあったら教えて下さいね(^-^)

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「たいのおかしら」

2007-09-19 20:50:45 | ノンフィクション・エッセイ
たいのおかしら」 著:さくらももこ

-----内容-----
虫歯治療用の笑気ガスがもたらした、とんでもない幻想。
朝から晩まで台所の床に寝そべり続けて、親を泣かせた中学生時代
はじめて明かされる、たよりなく取り柄もないが憎めない男・父ヒロシの半生……。
日常の中で出会うトホホな出来事や懐かしい思い出がつまった、爆笑エッセイ。

-----感想-----
今回も期待どおりの笑い話が満載でした♪
どの話も難しいことを考えずに読めるのが良いです
シリアスな小説も面白いですが、そういうのを読む気分ではないときに、さくらももこさんのエッセイがオススメです。

「タンスを求めて」という話で、「ももこ心の俳句」というのが登場します。
テレビのちびまるこちゃんで見る「友蔵心の俳句」のモデルになっているのかも知れませんね。
この話は、さくらももこさんが急にタンスが欲しくなり、あちこち探し回るというものです。
タンスを探し始めて一週間、偶然読んだ雑誌に「タンス特集」があり、欲しいタンスが仙台のタンスだということがわかりました。
その後、仙台のタンスが「仙台ダンス」という一つの種類として呼ばれていることもわかり、デパートなら仙台ダンスを売っているのではということになりました。
すぐにタクシーでデパートに直行するさくらももこさん。
デパートでタンスと出会うときの様子を一部ご紹介。

『いろいろなことを考えているうちにタクシーはデパートに着いた。
私は一目散で家具売り場に直行し、遂に仙台ダンスと感動的な出会いをしたのである。
仙台の 仙台ダンス 良いタンス   ももこ心の俳句
このように心の中で一句読み、、少し落ち着きを取り戻しながら店員を呼び、ひと目で気に入った小ダンスを一個注文した。』

「タンスを求めて」の話を最初から通して読むと、この俳句が以外とウケます
結構リズムの良い俳句だと思います。


もう一つ、「写真」という話に出てくる父ヒロシのエピソードも面白かったです。
アルバムを見ていて、父ヒロシの写真に偏りがあることに気づいたさくらももこさん。その様子をご紹介。

『一方、父ヒロシの写真はバカバカしい。町内会の旅行に参加した時の写真か、ツリに行ったときの写真しかないのだ。
ずいぶん若い頃の写真を見ても、町内会の旅行かツリである。
私が生まれて成長して、父と一緒に撮った写真も町内会の旅行かツリである。
彼の人生の記録は町内会の旅行かツリしか残されていないのだ。
彼にとって町内会の旅行とツリは、人生の中のどの記念日よりも重要な事だったらしい。』

このときは電車の中で読んでいたのですが、あまりに「町内会の旅行かツリ」が連発されるものだから可笑しくて吹き出しそうになりました(笑)
「人生の中のどの記念日よりも重要」って、そんなばかな~。。。
結婚記念日とか子供の祝いごとの日は??と思わず突っ込みたくなりました
さすが父ヒロシ、期待通りの面白さです


他にも、「習字のおけいこ」や「小杉のばばあ」、「怠け者の日々」など、面白い話はまだまだあります。
「もものかんづめ」、「たいのおかしら」に続くエッセイ三部作の完結編というだけあり、今までで一番充実した内容だったかも知れません。
今回でついに三部作を読破しましたが、これを機に他にもさくらももこさんの本を読んでみようかなと思います♪
笑いが欲しいときにはさくらももこさんの本がオススメですよ

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「さるのこしかけ」

2007-09-15 00:12:36 | ノンフィクション・エッセイ
今回ご紹介するのは「さるのこしかけ」(著:さくらももこ)です。

この本では、巻頭に「インド旅行記」というカラーページがあります。
さくらももこさんと夫、旅行会社のガイドの3人で、インドに行ったときの写真が掲載されています。
エッセイ内にも「インド旅行計画」、「インド駆けめぐり記」というインド編があり、かなり面白かったです
まずは「インド旅行計画」。
爆笑だったのは旅行会社のガイドの人の登場シーン。
その人はやさしい感じの人なのですが、名前がすごい(笑)
少しネタばれになりますが、そのときのシーンをご紹介します。

『旅行会社のその人は、ニッコリしながら名刺をくれた。
私と主人は名前を見て息を飲んだ。

大麻 豊

名刺にはキチンとそう書かれていたのである。
ちょっとあんた、インドで大麻が豊かなんてそりゃまずいんじゃないの…という、言葉にもならない同じ想いが名刺を見つめる夫婦の間にたちこめていた。』

このあとのさくらももこさんと旦那さんのやりとりが面白いのですが、ここでは伏せておきます。
そして「インド駆けめぐり記」。
インドへ旅立つ成田空港のロビーでも、大麻さんの名前は注目を集めてしまいます。
そのときのエピソードをご紹介。

『空港に入る前のチェックで、警官から日程表を見せるよう言われたので、主人はサッと日程表を取り出した。
”成田で大麻と合流”という文字を見た警官の目が一瞬キラリと光った。私たちは”そりゃそうであろう”と警官の気持ちを察し、「大麻というのは代理店の人の苗字です」と、詰問される前に報告し、無事空港内に入っていった。』

これはたしかに警官も警戒すると思います。
”成田で大麻と合流”って、どう考えても怪しいですしね

「インド駆けめぐり記」ではインド国内を見て回った感想が書かれています。
それによると、どうもインドでは、物売りのしつこさが尋常ではないらしいです。
何か買ってくれるまで追いかけてくるとのこと。。。
さくらももこさんは「もうインドに用はない」と怒り心頭のコメントをしていたので、インド旅行はよほど興味のある方しか行かないほうが良いかも知れませんね


あと面白かったのが「お見合い騒動」。
さくらももこさんのお姉さんが21~22歳の頃、母親に無理やりお見合いさせられた話です。
「神経質そうなメガネ男」とお見合いするはめになったお姉さんは猛烈に嫌がりました。
このときの母親の口調がテレビの「ちびまるこちゃん」と全く同じ感じでかなり面白かったです。
その一部をご紹介。
「あんたねぇ、いつまでも時任三郎がいいだのとんねるずの誰それがいいなんて言ってる場合じゃないんだよ。全くバカだね。会うだけでもいいから何が何でも会ってちょうだいよっ」
「あんた、お姉ちゃんに、時任三郎やとんねるずなんて、この世にいないと説明しな。いつまでもそんなのがいると思われてちゃ、あたしゃ困るんだよ」

うむむ、まさに「ちびまるこちゃん」に出てくる「お母さん」ですね。
「あんたねぇ」とか、「あたしゃ」とか、昔「ちびまるこちゃん」を見ていたときによく聞いたセリフです
まるこの一家ってこういうセリフをよく使うのが印象的ですね。


今回もすごく読みやすくて良いテンポで読めました
今日からエッセイ三部作の三作目、「たいのおかしら」を読み始めています。
この本もかなり面白そうな予感がします

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「もものかんづめ」

2007-09-02 21:03:17 | ノンフィクション・エッセイ
数日前から気になっていた「もものかんづめ」(著:さくらももこ)を読みました。
ある方から「もものかんづめ」、「さるのこしかけ」、「たいのおかしら」のエッセイ三部作が面白いと紹介してもらいました。
それがきっかけで今回「もものかんづめ」を読んだのですが、想像以上に面白い内容で思わず吹き出しそうになりました(笑)
内容は短編のエッセイが17編収録されています。
そのどれもが日常的な話なのですが、さくらももこさんが書くと日常的な話が笑える話に変身しますね
その辺りは三浦しをん先生のエッセイと似ているかも知れません。
で、この「もものかんづめ」ですが、爆笑すると同時に、さくらももこ先生の作家としての度量を知ることもできました。
メルヘン翁」という話で、さくらももこさんの祖父が亡くなったときのことが書かれていました。
どうやら祖父は性格が悪かったらしく、家族からは嫌われていたとありました。
実はこの亡くなったときのエピソードがかなり爆笑する内容で、不謹慎ながら私も爆笑してしまいました。
100人が読んで99人は爆笑する内容だと思います。
でもこの「メルヘン翁」が雑誌に掲載されたとき、「身内のことを、こんなふうに書くなんて、さくらももこってひどい。もう読みたくない」という手紙が、編集部に2、3通届いたそうです。
このときさくらももこさんは「そうか、もう読みたくないか、それじゃ仕方ないな」という感想だったそうです。

「私は自分の感想や事実に基づいた出来事をばからしくデフォルメすることはあるが美化して書く技術は持っていない。それを嫌う人がいても仕方ないし、好いてくれる人がいるのもありがたいことである。」

↑上の文はさくらももこさんの作家としての姿勢がわかる一文でした。
無理に好かれようとはしない芯の強さを感じました。
それに、「メルヘン翁」は本当に笑える話でした。
こんなに楽しいエッセイを書ける人なんてそうそういないと思います。
ぜひ「さるのこしかけ」と「たいのおかしら」も読んでみたいと思います
ではまた

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