読書日和

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「毛利元就 第十九回 夫の恋」

2019-01-19 21:11:37 | ドラマ
今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第十九回 夫の恋」です。

-----内容&感想-----
オープニングのナレーションで村上水軍のことが語られました。
元就の生きた時代に瀬戸内海を掌握していたのが村上水軍で、「能島、来島、因島の三島を本拠とする村上氏が率いた海の武士団」とあり、これはまさに「村上海賊の娘 上巻」「村上海賊の娘 下巻」(著:和田竜、第11回本屋大賞受賞)に書かれていた「能島、来島、因島からなる三島村上」と全く同じで胸が高鳴りました

毛利元就は自身に殴りかかってきたのが野田次郎だと分かり、17年前に次郎が言った「地の果てに行こうと、一生、松寿丸(しょうじゅまる)様を恨む」という言葉を思い出します。
元就が辛い目に遭わせて申し訳なかったと謝ると次郎は去って行きます。

安芸の国(広島県)の厳島の大内軍本陣で元就が殴られた傷の手当てをしていると加芽(かめ)とともに父の村上虎吉(とらよし)がやって来ます。
虎吉は村上水軍の将で、次郎の乱暴を謝ります。
また次郎は行き倒れていたところを虎吉に助けられ、我が子同然のように育てられてきたことが明らかになります。
加芽は元就に清々しい思いがしたと言います。
毛利家当主という立場にありながら一介の水軍兵の次郎と目線を同じにして向かい合い殴らせていて、家臣を呼んで次郎を斬らせるのが当然至極なのにそうしなかったところに引かれ、そんな元就のことが好きだと言います。
好きと言われ元就は戸惑っていましたが加芽のことが気になってもいました。

郡山城(こおりやまじょう)では美伊(みい)の侍女の藤野が毛利が尼子を見限り大内に付くことにし、元就が今大内を訪ねていると吉川(きっかわ)家に書状を送ろうとしていることに美伊がそんなことをすれば毛利の動きが尼子に筒抜けだと激怒します。
しかし藤野も嫁ぎ先の様子を吉川家に知らせるのは本来美伊の役目なのに、元就に惚れ込みすっかり毛利の人間になっているから自身がやっているのだと応戦します。
「そういうお気持ちでは、いつ殿に騙されても気づきませぬぞ!」とも言い、美伊は「殿は美伊を騙したりはせぬ!」と言っていました。

元就が厳島の大内軍本陣から帰ろうとした時、再び胡弓(こきゅう)を演奏する音が聞こえてきて、音のする方に行くと加芽がいました。
加芽は元就に村上水軍の舟徳利(ふなどっくり)をプレゼントしてくれます。
村上水軍は舟の中で酒を飲むこともあるため揺れても倒れないように徳利の底が広くなっていて、それをお守りにするように言い、殿として悩み多い元就に「揺れても揺れても決して倒れませぬよう、加芽も祈っておりまする」と言っていました。

郡山城で藤野が吉川の間者に書状を渡そうとすると、謎の集団が襲撃してきて藤野は斬られます。
忍の小三太が助けに来てくれて命は取られずに済みましたが誰の仕業なのかについて元就、重臣の桂元澄(もとずみ)、重臣の赤川元保、重臣の児玉就忠で話し合います。
元保は藤野を斬ったのは大内の間者に違いないと言い、大内は毛利とのつながりを藤野が吉川に洩らすのを恐れたのだろうと言います。
尼子方の吉川から尼子に情報が伝わるのは目に見えています。
就忠はこの先も藤野から吉川に何かと情報が洩れるのは必定だと言い、元保は藤野だけ吉川に帰すのが良いと言います。
しかし元就は藤野はこのまま泳がせておけと言い、さらに大内の間者が動けばかえって我々は敵方の動きを知ることができると言います。
清濁併せ飲むような対応が印象的でした。

元就は加芽のことばかり考えるようになります。
因島の村上虎吉の館では加芽が元就から届いた手紙を読み、中身がまるでラブレターのようでした。
嬉しそうな加芽と対照的に次郎が嫌そうな顔をしていたのが面白かったです。

美伊は杉にこのところ元就がおかしいと相談します。
今までは何でも自身にぼやいていたのに、今回は知らんぷりしてくれれば良いと言っていると言います。
杉の侍女の久(ひさ)が「ぼやかずには生きてはおれぬ男にございますのになあ」と言っていたのが面白かったです。
美伊が元就の上の空な様子を話すと杉は「女じゃな」と言い美伊を仰天させます。
美伊は元就は他の女子には興味がないといつも言っているのでそれはあり得ないと言います。
しかしずっと愛に生きてきたと自負する杉は元就の様子を聞いて間違いなく女だと確信していて、美伊は次第に不安になります。

出雲の月山富田城(がっさんとだじょう)では毛利が尼子を離れ大内に付いたという書状が尼子経久(つねひさ)に届きます。
経久は孫の詮久(あきひさ)を呼びます。
詮久は独自の情報網で毛利の離反を既に知っていて、さらに大内が与えた所領(領地)がどの場所なのかも調べがついていてこれには驚きました。
そこから詮久は「若輩ながら詮久、尼子の取るべき道を考えておりまする」と言い、自身は経久がここまで大きくした尼子の勢力をさらに拡大し、天下を取るのが務めと思っていると言います。
東に向かって攻め進み京都に上ると言っていて、かなり未熟に見えた前回よりも頼もしく見えました。
「志というもの、追いかければいつかは必ず追いつきまする」と言っていたのが印象的でした。
詮久の若々しさを見て自身の老いを感じ寂しそうな雰囲気になった経久に正室の萩が「殿は死ぬまで家督を譲ってはなりません。誰が何と言おうと、邪魔にされようと、しがみつきなされ。散り際の美しさだのはいらん。しがみつく強さも美しさにござりまする」と言っていたのも印象的でした。

厳島の大内軍本陣では大内義興(よしおき)と嫡男の義隆が話をします。
義隆は尼子詮久には断じて負けないと決意を語ります。
「この先毛利を上手く働かせ、尼子の背後を一つずつ潰し、ここぞという時に一気に出雲を攻め落とす所存」と言いこちらもかなり頼もしく見えました。
そんな義隆を見て義興は次のように言います。
「年を取るのはよいことじゃのう。年を取ると、周りの者は皆己より若く青い。失敗したりしくじったり、喜んだりを傍で見ておると、自分がもう一度生き直しておるようなのじゃ。父は義隆を通して、今一度生き直しておる。年を取るのは幸せなことじゃ」
年を取ることについて経久と正反対に考えているのがとても印象的でした。



(元就と美伊。画像はネットより)

美伊が元就に好いた女子が他にいるのではないかと聞くと元就は馬鹿なことを申すなと言い、「わしはな、美伊とおる時だけが一番気持ちが安らぐのじゃ」と言いますが美伊が信じていない表情だったのが面白かったです。
美伊は杉に、杉が言っていたとおり女に間違いないと言います。
美伊がこの先一切気づかないふりをすると言うと杉がそれは間違っていると言い、泣き叫んで怒るべきだと言います。
美伊が一切気づかないふりをしてくれる妻の元に最後は帰ってくるのが男というものだと言うと、杉は女がそう思っているだけで利口ぶっている女ほど男には好都合と言います。
そして美伊が何も知らぬかのごとく笑っているつもりだと言うと杉は「女は顔で泣いて心で笑うものじゃ。これが、男を調略する極意じゃ」と言っていて、ずっと愛に生きてきた人は言うことが凄いなと思いました。


今回は元就が奥様がいるのに他の女の人に恋をするとんでもない回でした
ずっと元就に浮気などあり得ないと言って信じていた美伊もついに元就の浮気を確信しました。
美伊がこの先一切気づかないふりをすると言った時の声が寂しそうだったのが印象的で、声の響きに胸が痛みました。
元就には浮気してもなお愛想を尽かさずに自身のもとに戻ってきてほしいと思ってくれている美伊の偉大さに気づき、大事にしてほしいと思いました。


各回の感想記事
第一回  妻たちの言い分
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第四回  女の器量
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ
第十五回 涙のうっちゃり
第十六回 弟の謀反
第十七回 凄まじき夜明け
第十八回 水軍の女神

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