読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

「DIVER-特殊潜入班- 第二話」

2020-10-13 19:11:37 | ドラマ


(演技をする山口真帆さん。写真はネットより。以下同じ)

今回ご紹介するのはドラマ「DIVER-特殊潜入班- 第二話」です。

-----内容&感想-----
9月29日、ドラマ「DIVER-特殊潜入班-」の第二話が放送されました。
「DIVER-特殊潜入班-」は身分を隠して犯罪組織に入り込み、組織の闇を暴く兵庫県警の潜入捜査官チーム、通称”D班”の物語です。
昨年アイドルから女優に転身して活動し始めた山口真帆さんが、第二話のゲストで登場すると知り興味を持ちました。
山口真帆さんのドラマ出演は今年1月の「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」の第一話ゲストに続いて二度目、また今年9月には舞台「走れメロス ~文豪たちの青春~」にも出演しています。

冒頭、暗い屋内で女性が息を切らしながら、丸い飴玉のようなものを食べるシーンで物語が始まります。
食べると息切れが収まっていて禁断症状に見えました。
すぐに女性は飛び降り自殺をして亡くなってしまいます。




(左から兵庫県警本部長(県警トップ)の阿久津洋子(りょう)、潜入捜査官黒沢兵悟(福士蒼汰)、潜入捜査官佐根村将(野村周平)、D班の班長伊達直哉(安藤政信))

阿久津洋子から伊達直哉に、女子大生の自殺者がこの半年間で兵庫県内だけで5人目と語られます。
今回亡くなったのは烏鷺谷大学の学生で、5人は通っていた大学はバラバラですが同じ高級風俗店に勤務していた共通点があります。
この場面を見ていて安藤政信さんもりょうさんもかなり演技が上手くて驚きました。
一つの台詞を言っている中にもしっかり濃淡があり、声に表情が宿っているかのようでした。




(犯罪組織に入り込むので捜査官は危険と隣り合わせになります。)

阿久津洋子は伊達直哉に烏鷺谷大学のことを調べるように言います。
さらに匿名で通報が入り、5人とも烏鷺谷大学の学生が主催するグルメサークルに所属していたことが分かります。
グルメサークルを主催しているのは小野原光生(鈴木仁)という参議院議員の息子です。
サークルは週に何回か会合を開いていて、物語の主人公にして問題児でもある黒沢兵悟が大学で潜入捜査をします。




(黒沢兵悟に声を掛ける井川エリ(山口真帆))

黒沢兵悟が問題のグルメサークル「ワールドグルメキャンプ」のポスターを見ていると、「これー、興味ありますよね?」と井川エリが声をかけてきます。
にこやかに声をかけていて甘い雰囲気が出ていました。
一人ではなかなか行く勇気がなくて、もし良かったら一緒に行かないかと言い、黒沢兵悟は「良いですよ」と承諾します。
黒沢兵悟の雰囲気が伊達直哉と話していた時の不遜な態度から、はにかんだ穏やかな大学生の雰囲気になったのが印象的で、流石に潜入のプロだと思いました。

二人が席についた時、黒沢兵悟の左手の腕時計にカメラ付き通信機が仕込まれていて驚きました。
カメラに映った映像はD班のメンバーの居る部屋にリアルタイムで送られ、闇医者の皆本麗子(片瀬那奈)とIT担当の宮永壮一(浜野謙太)が見ていました。
やがて小野原光生が現れて挨拶をし、爽やかな好青年に見えました。




(微笑む井川エリと黒沢兵悟。山口真帆さんの笑顔の良さが発揮された場面だと思います。)

北海道産の小麦粉とアメリカ産の小麦粉で作られたパンの重さを両手に持って比べることになり、井川エリが「微妙に違うよね」とここでも甘い雰囲気で黒沢兵悟に聞いていました。
そのパンを食べてみてくださいと言われ、黒沢兵悟は皆本麗子と宮永壮一の「食べるな」という忠告を聞かずに食べます。

グルメサークルでビュッフェパーティーが始まり、黒沢兵悟は楽しむふりをしながら周囲を見回します。
その目の演技が潜入捜査官というより闇世界の住人の雰囲気が出ていて上手いと思いました。

井川エリが「また来週もこの会が開催されるらしいから、一緒に参加しない?」と聞き、黒沢兵悟が「うん、そうだね」と言うと「ほんと?やったー!」と喜びます。
終始可愛らしく甘い雰囲気で、こんな美人さんに甘い雰囲気で来られたら一般の人はなかなか断れないかも知れないなと思いました。




(戦う黒沢兵悟と佐根村将。)

グルメサークルの中に一人不審な男が居て、黒沢兵悟と男子トイレで激しい戦いになりやがて男を取り押さえます。
男は佐根村将といい、伊達直哉の指示で動いていた味方だと明らかになりますが黒沢兵悟は協力する気は全くないです。

その夜、黒沢兵悟、佐根村将、皆本麗子、宮永壮一でグルメサークルについての話をします。
黒沢兵悟はとても態度が大きく、佐根村将に役に立たないから出て行けと言い、宮永壮一にも偉そうな態度を取っていました。
しかしとても頭が良いようで、グルメサークルで行われていたことが「スタンフォード催眠感受性スケール」という、暗示にかかりやすい人を選別するものだと見抜きます。
皆本麗子が「早くしないと次の犠牲者が出る」と言っていました。
さらに、佐根村将が「一緒に居た女の子(井川エリ)も危ないんじゃないか」と言うと黒沢兵悟は大笑いし、「あいつは引きだよ」と言います。
声を掛けてきた人が偶然高級バッグを持ち、200万円以上する時計を付けているなんてことがあるか?と言い、よく見ているなと思いました。
皆本麗子が「相当悪事を働いて稼いでいるってことか」と言うと、黒沢兵悟は見当外れなことを言っていた佐根村将に「わーったろ?お前には無理なんだよ」と不遜に言い、佐根村将は出て行きます。

出て行った佐根村将のところに伊達直哉がやって来ます。
佐根村将は伊達直哉に頼まれ、匿名で通報したのが誰なのかを調べていたことが明らかになります。

2回目のグルメサークルの会合が開催されます。
今回はABC三つのカップが用意され、小野原光生が出汁が入っているので飲み比べて一番美味しかったものを前に出してと言います。
通信機で宮永壮一が「味違うの?」と聞くと黒沢兵悟は「全部一緒だよ。全部水だ」と答えます。
しかしどれかのカップを前に出す人が続出し、これが「ABCは味が違う」という暗示をかけ騙されやすい人を選別しているのだなと思いました。
黒沢兵悟は迷っているふりをして一つを前に出します。




(モニター越しに会合の様子を見る井川エリ。それまでの甘い雰囲気から一転して悪の組織の女性幹部の雰囲気になります。)

井川エリが黒沢兵悟の様子を、悪女顔でハンバーガーを食べながらモニター越しに監視していて驚きました。
「やっぱこの人、ハマりやすいかもなー。誘おっかなー」と不気味な笑顔で言っていて、豹変ぶりが印象的でした。
この場面を引き立てるためにそれまでをことさら甘い雰囲気にしていたのかも知れないと思いました。




(不気味に微笑みながら「誘おっかなー」と言う井川エリ。山口真帆さんの演技が新たな一面を見せたと思います。)

やけに甘い雰囲気の人は腹に思惑があると思った方が良いのかも知れないと思いました。
小野原光生が飴で一度口の中をリフレッシュしてと言い、今度はお茶の飲み比べで一番濃厚だと思うものを選んでと言います。

匿名で通報したのは立花という非常勤講師で、伊達直哉が話をします。
冒頭で亡くなったのは立花のゼミの子で、同じサークルの人が5人も亡くなっているのに大学側が動かないのは、小野原光生の父親が地元選出の国会議員だからだと言います。

グルメサークルの会合が終わって黒沢兵悟が外に出て歩き始めると、目の前を歩いていた女性が具合が悪くなって倒れそうになります。
黒沢兵悟が助けますがその時に何か異変を察知していました。
すると小野原光生がやって来て「あっちで休みましょう」と女性を連れて行きます。




(黒沢兵悟に声をかける井川エリ。)

今度は井川エリが「佐藤君!」と声をかけてきて、「やっぱ間に合わなかったかー。だったらご飯行かない?」と誘い、黒沢兵悟は「え、急だね」と戸惑った素振りを見せます。
「ダメー?」と聞かれ「今日はちょっと…」と言うと、佐根村将が高校の時からの同級生のふりをして近付き、それなら俺と行かないかと誘います。
井川エリは当初「あなたには言ってないんだけど」と冷たい雰囲気でしたが、佐根村将の腕時計を見て金づるになると見たのか良いよと言います。

その夜、黒沢兵悟、伊達直哉、皆本麗子、宮永壮一で話をします。
黒沢兵悟は倒れかけた女性の様子から、薬物の影響だと言います。
出汁や飴の中に入っていたと思われ、宮永壮一が「でも兵悟君は大丈夫じゃないか」と言うと「薬物くらい慣れてる」と答えていて、やはり闇世界の人だなと思いました。
ただし皆本麗子が検査すると黒沢兵悟は陰性になり、なぜなのかとなります。
すると佐根村将がボロボロになって現れ、ぼったくりバーに連れて行かれてボコボコにされたと言います。
さらに、ボコボコにされてしばらく店の前に倒れていると、倒れかけた女性と小野原光生がその店に入って行くのを見ます。
女性は少しボーッとした様子だったと言い、ぼったくりバーで高額な請求をされ男性は払えなければボコボコにされてお払い箱になり、女性は風俗に沈められる構図が浮かび上がります。
小野原光生達は風俗への女性の紹介料で稼いでいて、薬物漬けにすれば被害を訴えにくくなり、そして薬物欲しさにまた借金を抱えることになります。
黒沢兵悟は「負の連鎖にはめていくってことか」と言っていました。
佐根村将がボコボコにされた時の様子をボイスレコーダーに記録していて、それが傷害の証拠となりバーに伊達直哉率いる兵庫県警が逮捕状を持って踏み込みます。

立花が伊達直哉を訪ねて来て再び話をし、娘を持つ父親としてこれ以上犠牲者を増やすわけにはいかないので出来る限り協力すると言います。
立花がワールドグルメキャンプの部室の鍵を開け黒沢兵悟と佐根村将が忍び込みます。
金庫に大量のお金があるのを突き止め、飴もあったのでサンプルに持って行きます。
お金の一部を「ほらよ」と渡す黒沢兵悟に、佐根村将が「亡くなった彼女たちが稼いだお金をよく取れますね」と言うと、「世の中騙される奴が悪いんだ」と言います。
これは違うなと思い、やはり騙す人が悪いと思いました。

金庫に8800万円あり飴からはコカインが検出されたことを伊達直哉が阿久津洋子に報告します。
小野原光生の逮捕状を取るにあたり、父親が国会議員であることから県警トップの阿久津洋子の身を心配すると、次のように言います。
「(逮捕する)それは正義でしょう?ならば躊躇なくやるべきよ。国会議員がいくら喚こうが、事実は変わらないでしょ。忖度するような警察官は、すぐにでも辞めるべきね」
堂々たる態度で印象的な場面でした。
台詞に胆力があり、りょうさんの演技はかなり上手いと思いました。

3回目のグルメサークルの会合が開催され、黒沢兵悟と佐根村将が行きます。
井川エリも現れますが佐根村将にはよそよそしい態度でした。
黒沢兵悟が井川エリと二人で話し、「あいつ酔っ払って何も覚えてないんだってさ」と言うと少し安心した様子で、自身は喧嘩が起きる前に先に帰ったと言います。
ただし前回までのような甘い雰囲気はなくなりぎこちない笑顔になっていて、動揺が隠せていませんでした。

AとBの飴を食べ比べているところに伊達直哉率いる兵庫県警が突入すると、驚きの展開が待っていました。
黒沢兵悟という人の悪を潰すためなら手段を選ばない狂気を感じた場面でした。

佐根村将がお前は人を殺すために潜入をやっているのかと詰め寄ると、黒沢兵悟は「狩るか、狩られるかだ」と言います。
黒沢兵悟がなぜダークになったのか幼少期の回想で明らかになり、「俺は、騙す側の人間になる」と言っていて、現在の姿を形作る言葉だと思いました。

終盤、検査に引っかからない麻薬の謎が明らかになります。
また、黒沢兵悟が実は小野原光生達の命を助けてあげていた可能性が浮かび上がり、これは意外だなと思いました。
根っからの悪人ではないのかも知れないと思いました。




(山口真帆さんが所属する芸能事務所「研音」の大先輩、りょうさん。元々はモデルとして活動し、現在では演技力の高い女優と評されています。)

注目していた山口真帆さんの演技は、悪女に豹変する場面と気まずそうな雰囲気の場面が印象的で、今後に向けて演技の幅が広がったのではと思います。
先輩方との差を感じたのは、「罪のない嘘」での菅原りこさんと同じく台詞の緩急でした。
特にりょうさんや安藤政信さんなどは一つの台詞の中でもスピードが変わったり声のボリュームが変わったりして凄く上手いと思いました。
これは経験を積みながら身に付けて行くもので、特にりょうさんは事務所の大先輩でもあり芸能活動の途中から女優になった点も共通していて、その姿から得るものがたくさんあるのではと思います。
同年代では松岡茉優さんも途中から女優に転身して若手きっての実力派女優になっており、似た境遇での大成功例は心強いです。




(頬杖をついて穏やかに微笑む山口真帆さん。)

山口真帆さんは派手さと上品さを併せ持つ美人な佇まいに加えて「利発」な印象もあり、教師や弁護士のような知的な役柄にも向いている気がします。
まだまだ女優として駆け出したばかりの存在で、台詞の緩急のような演技力も経験を積むごとに上げて行けると思います。
山口真帆さんのこれからのさらなる活躍を楽しみにしています



-----山口真帆さん登場作品の記事-----
「山口真帆 1st写真集 present」
「DIVER-特殊潜入班- 第二話」
「ショコラの魔法」(主演:山口真帆)


-----関連記事-----
「罪のない嘘 ~毎日がエイプリルフール~」三谷幸喜
辰巳真理恵 菅原りこ 追川礼章 SPECIAL CONCERT
「PERSONA5 the Stage #3」(主演:猪野広樹)
「長谷川玲奈 1st写真集 一瞬の光」
「海辺の街でもう一度、あの日の彼女に会えたなら 〜Diary〜」
「海辺の街でもう一度、あの日の彼女に会えたなら 〜Hanabi〜」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「毛利元就 第二十一回 百万一心」

2019-02-09 23:09:22 | ドラマ
今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第二十一回 百万一心」です。

-----内容&感想-----
1529年(享禄2年)1月、この頃安芸の国一帯では築城ブームが起きていました。
西国一の守護大名、大内義興(よしおき)が亡くなり戦国の嵐が刻々と近づいていることの現れであり、元就も郡山城(こおりやまじょう)の拡張工事に取り掛かっていました。
当時城を建てたり拡張したりする時はどの城主も人柱を埋めていたとのことですが元就はそれをやめ、「百万一心(ひゃくまんいっしん)」と彫った巨大な石碑を埋めます。
百万の人々が心を一つにするという意味ですが、軍事担当の重臣の桂元澄(もとずみ)が百と万の字が間違っていないかと元就に聞きます。
すると元就は「一日一力(いちにちいちりき)とも読めよう。一日一力一心じゃ。百万の人間が、時と心と力を一つにせんと、そう願いを込めて考えた字じゃ」と言います。
これを聞いた筆頭重臣の志道(しじ)広良は「殿。志道広良、惚れ抜きましたぞ」と言い感銘を受けていて元就の名将ぶりが際立っていました。

しかし正室の美伊(みい)と息子の千代寿丸(ちよじゅまる)、娘の可愛(えの)が遊んでいるところにやって来た元就は不機嫌で、美伊がどうしたのかと聞くと重臣の井上元兼の手の者が誰も工事を手伝いに来ないと言います。
元兼は自身の力で元就を城主にしたと思っていて、元就が名将ぶりを発揮して自身の意のままにはならないと分かってくるにつれ言うことを聞かなくなってきました。
元就が「元兼一人抑えられぬわしが何が百万一心だ」と不貞腐れ気味に言うと、美伊は「元兼の手を借りずとも、どんどん城はできてるじゃないかと、美伊ならそう考えまする」と言い、二人の性格の違いがよく分かる場面でした。

そこに忍の小三太がやって来て不審な人物が拡張工事中の郡山城の見取り図を持っていたことを知らせます。
そこには元就の他には限られた者しか知らないはずの道も描かれていました。
小三太は不審な人物を斬り、その人物は高橋家の領内に入ろうとしていたと言います。
高橋家は亡くなった元就の兄、興元(おきもと)の正室の雪の里です。
元就が雪に話を聞くと「甥の高橋興光(おきみつ)が致したことに相違あるまい」と言い元就に謝り、高橋家は今家中が揉めていると伝えます。
元就は雪が知らないところで起こったことなのだから気にしなくて良いと言い慰めます。

郡山城で評定(ひょうじょう)が開かれ、経済担当の重臣赤川元保が元就に、高橋家を探らせたところ元光亡き後興光が当主になったものの、いとこの盛光が不満を持ちいがみ合っていてお互い討ち殺す機会を狙っていると言います。
外交担当の重臣の児玉就忠は興光は郡山城の絵図面を尼子に流すつもりだったのだろうと言います。
さらに高橋は尼子方で、毛利家は尼子から大内に鞍替えしたので尼子は毛利を恨んでいて、興光は絵図面を流すことで尼子に恩を売り盛光を討つ援護を頼もうとしたに相違ないと言います。
元保は幾度となく煮え湯を飲まされている高橋を討つには揉めている今が好機だと言い、高橋は領地も大きく毛利より格も上で、今高橋を討てば国人領主の中で毛利が一歩前に出ることになると言い、就忠も千載一遇の好機だと言います。
しかし元就は動かないと言い、元保が「なにゆえ!?」と言うと広良が雪殿がこちらに居る以上元就は兄嫁の実家を討つわけにはいかないからだと言います。
元保は「そんな甘さで好機を逃してはなりませぬ!今、今しかござらん!」と言います。
広良は「雪殿は散々辛い目に遭うてこられた。それを思えば、高橋には手は出せん」と言います。
この評定は兄嫁の実家でも討つべきだという戦国時代の凄まじさが分かる緊迫した場面でした。

大内義隆は九州の少弐資元(しょうにすけもと)を討つため因島の村上水軍に援護を求め、大内の館に村上虎吉(とらよし)、加芽(かめ)、野田次郎を招きます。
しかし加芽が大内はみんな無礼で、力を借りたいというのに物を頼む態度ではないと言います。
さらに義隆にもたとえ義隆でも物を頼む時は頭を低くするのが道理だろうと言い、陶隆房(すえたかふさ)が爆笑して「お見事!」と言い愉快そうに加芽を見ます。
隆房は「わが殿、大内義隆殿は、頭では分かっておっても頭を低くしたことがござらぬゆえ、やり方がよう分からんのじゃ」ととんでもないことを言い、父の陶興房(おきふさ)から「殿に対してその言い方はなかろう」と注意されます。

出雲では尼子の内輪揉めが深刻になり、尼子経久(つねひさ)の三男の塩冶興久(えんやおきひさ)は城主としては三千貫しか経久から与えられていないのを不満に思っています。
月山富田城(がっさんとだじょう)で経久の孫の詮久(あきひさ)は興久が経久を討つ噂があるのを経久に伝えます。
経久も承知していて、詮久はいずれ自身が家督を継ぐ以上興久の恨みは自身にも向くはずだと言い、もし興久が謀反を起こせば経久に我が子を手にかけるようなことをさせるわけにはいかないので自身が討つと言います。
こちらも戦国時代の凄まじさがよく現れた場面でした。
詮久が去った後重臣の宇山久兼(ひさかね)と亀井秀綱が現れると、経久は「興久が悪いわけではない。戦、戦、戦で、家を空けてばかりおった。父親としての思いを通わすことなく育ってしまった」と寂しそうに言います。
久兼が謀反は噂であって確かなことではないと慰めると、「わしは大きな領土を得て、小さな息子に殺されるかも知れん。それはそれで面白いか」と言っていて経久の抱える虚しさが分かりました。

高橋家では当主興光が盛光を討ち、盛光誅殺の知らせが雪にも届きます。
絶望した雪は元就と美伊に「もはや悲しみに会いとうはない」と言い、毛利家を去り京都に行って世を捨ててひっそり暮らすと言います。
雪が去る時に認知症の広俊が陽気に「雪殿、嫁に来て、幸せじゃったか」と聞くと雪は「はい、幸せにござりました」と微笑んで言います。
私にはとてもそうは思えず、広俊のために言ってあげた言葉に見えました。



(雪の方。画像はネットより)

その夜元就と美伊は雪のことを話し、二人とも雪が元就に高橋家を討たせるために毛利家を出て行ったことを悟っていました。
雪は興光が小さい頃から器量が小さく、高橋家は今や昔の見る影もなくなりいずれどこかの国人領主に討たれるだろうと話していて、それならば元就に討ってもらうのが一番良いと思っていました。
元就はついに高橋を討つ決意をします。

京都に向かったはずの雪は高橋興光の館に行きます。
雪は興光に今日からこの屋敷に置いてくれないかと頼みます。
雪が自身は働いて役に立ちたいが毛利家には働ける場所がないから出たと言うと、興光がそんな嘘を信じるとお思いかと言いこの場面はヒヤリとしました。
しかし直後に雪が高橋にいれば毛利が討ってくることもなくなるから高橋を守るために毛利を出たと察しがついていると見当違いなことを言っていて、器量が小さいはそのとおりだと思いました。

1529年5月、毛利軍が高橋家に攻め込みます。
毛利軍が興光を討ち取るとそこに雪が現れ、その直後に現れた元就は驚愕します。
元就がともに毛利に帰ってくれと頼むと雪は元就に刀を突きつけ、そのまま燃え盛る炎の中に消えて行きます。

出雲の月山富田城では詮久が「元就め。よくも高橋を潰してくれた。当家が興久殿のことで動けぬことを知ったその隙を縫うとは、何と姑息な男じゃ」と激怒します。
経久は「いや、元就は姑息ではない。あれは鷹だ。獲物を、爪にかけた」と言います。
さらに「名将と呼ばれる者は、みな、悪徳と背中合わせに生きておる」と言っていたのがとても印象的でした。
綺麗な理想を掲げるだけでは強敵がひしめき味方も誰が裏切るか分からないような世の中で生きてはいけず家を繁栄させることもできないのだと思います。

郡山城では元就が茫然とした様子で柱に寄りかかって座り込みます。
元就の目が「戦国の世はむごい」と語っていることを美伊は感じ取っていました。


今回は戦国時代の凄まじさを強く感じました。
相手が兄嫁の実家や親子関係であっても時として躊躇わず討たないといけないとは恐ろしい時代です。
最後の元就の茫然とした様子が印象的で、経久に鷹と呼ばれていてもやはり辛いのがよく分かりました。
そして美伊はそんな元就を支えていく決意をさらに強くしていて、殿である元就が茫然とした顔を見せられるのは美伊であり、元就が辛さに直面して飲み込んでいくのに美伊の支えは凄く重要と思いました。


各回の感想記事
第一回  妻たちの言い分
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第四回  女の器量
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ
第十五回 涙のうっちゃり
第十六回 弟の謀反
第十七回 凄まじき夜明け
第十八回 水軍の女神
第十九回 夫の恋
第二十回 隠し女
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「毛利元就 第二十回 隠し女」

2019-02-02 22:20:27 | ドラマ
今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第二十回 隠し女」です。

-----内容&感想-----
「結婚6年目、元就は恋をしました」というナレーションで物語が始まります
村上水軍の女神と呼ばれる加芽(かめ)が元就を追って因島(いんのしま)から郡山城下(こおりやまじょうか)に出てきます。
意気揚々と加芽のところに出掛けようとする元就に正室の美伊(みい)がどこに行くのかと聞き、元就が領内の田畑を見に行くと言うと「え?昨日も、一昨日も見て参りましたのでは?」と突っ込まれているのが面白かったです。

元就が出掛けた後美伊は侍女の藤野のところに行き、元就の様子が変だから探ってくれと頼みます。
藤野はやっと美伊が嫁ぎ先の情報を吉川家に送る気になったと思い喜びますが、元就の浮気相手のことを探ってくれという頼みだと知りがっかりします。
しかし「私にどこか悪いところがあったかのう。知らず知らずのうちに、殿に寂しい思いをさせておったのやも知れぬ…」と落ち込む美伊を見て引き受けます。
藤野は元就がどこに行っているかを調べ加芽とこっそり会っている現場を見ます。

藤野から元就が女と会っているのを聞き美伊はショックを受けます。
藤野は女に会ったほうが良いと言い、「孫氏はこう言うておりまする。敵を知り、己を知れば、百戦危うからずと。美伊様、敵を知れば、勝ったようなものにござりまする」と言います。
美伊の口癖の「勝ったようなもの」を藤野が言っていたのが印象的でした。

大内義興(よしおき)は安芸の国(広島県)の国人衆の制圧に乗り出し、尼子方に寝返った天野領米山城(こめやまじょう)を包囲します。
天野家当主の天野興定(おきさだ)は密かに敵国である大内方の毛利に使者を送り、大内との和睦を図ってほしいと願い出ます。
郡山城で評定(ひょうじょう)が開かれ、尼子方の天野など放っておけば良いという声が大半の中、元就は筆頭重臣の志道(しじ)広良にただちに間に入って和睦を図るように言います。
元就は「天野がそう願うてくること、察しがついておった」と言い、戦わずして天野に恩を売ることができるという狙いがあり智将ぶりが分かる場面でした。
一方元就の祖父の福原広俊は認知症の症状が出始め、元就と重臣達は心配します。

美伊は加芽が滞在している家を訪ねて話をし、城に来て側室になるように言います。
元就にこそこそ城を抜け出して密会されるよりもそれなら正室として貫禄を示せます。
しかし加芽は側室になるのを断り、「共に暮らせば、男と女子は必ず飽きまする」と言い元就と共に暮らしている美伊を絶句させます。

郡山城に戻った美伊は激怒しながら杉、杉の侍女の久(ひさ)、藤野に話を聞いてもらいます。
杉が「落ち着きなされ。殿には今、狐が憑いておるだけじゃ」と言うと、久が「いや、亀が憑いておると思いまするが」と突っ込んでいたのが面白かったです。
そして杉は自身が加芽に会って別れ話をまとめて来ると言います。

野田次郎が加芽を心配してやって来て一緒に因島に帰ろうと言いますが加芽は断ります。
そこに元就がやって来て次郎が嫌悪の表情を見せ険悪な雰囲気になります。
次郎は「元就に言うておく。大内であれ尼子であれ、これからは水軍を味方に付けた者が絶対に勝つ。されど水軍は元就の味方には断じて付かない。村上水軍は誇り高き海の武将じゃ!覚えておけ」と言います。
そこに今度は杉がやって来て加芽と話をします。
加芽が今回はお方様(美伊)に余計な心配をかけて心苦しく思っていると言い、元就は美伊が加芽に会いに来たことを知ります。
加芽が他の女子が磨いた男を奪うのは下品な仕業でそこまで成り下がりたくはないと言うと、杉は人の夫を好きになったというだけで十分下品だと言います。
しかし加芽が「好きな気持ちは止められませぬ」と言うと杉は「それはそうじゃ」と言い感心してしまいます。
そして加芽は元就にここで元就とだけ向かい合っていれば十分なので何も心配はいらないと言います。
元就は加芽が大事だと言いますが、しかし美伊も大切だと言い、次郎が「元就!両方大切などということがあるのか!」と掴み掛かっていました。

元就と杉が郡山城に戻り門の前に来た時、元就が「わしには入る勇気がない。美伊に何と言えばよいのじゃ」と言っていたのがかなり面白かったです。
杉も同じ思いで、別れ話をまとめてくると言ったのにこれではと気まずくなっていました。

元就が美伊の部屋に行くと美伊は荷物をまとめていて、息子の千代寿丸と娘の可愛(えの)を連れて吉川の里に帰ると言い元就は慌てます。
美伊が「あの女子のどこがお好きで、近寄られました?」と聞くと、元就は「いやそのなあ、なんじゃ、こう、いつも湯漬けばかりでは飽きて、ついその、生きのよい魚が食べとう…」と言い、この言い訳が酷過ぎて美伊はますます機嫌を悪くします
「はっ!美伊は、湯漬けじゃと」と怒りながら言っていました。

元就は一晩悩み、加芽のところに行って側室になってくれないかと頼みます。
加芽は「加芽は縛られるのが嫌いじゃ。されど、殿がそこまで言うてくれたこと、嬉しゅうござる」と言いしばらく考えることにします。

大内と天野の争いを仲裁した元就は天野と軍事同盟を結び大内方に引き込みます。
戦わずして敵を味方に引き込むという元就の狙いが見事に当たりました。
大内家重臣の陶興房(すえおきふさ)がやって来て元就に大内からの褒美として刀を渡し、「元就殿、大した武将になられたものじゃ」と笑顔を見せながら満足気に言います。

加芽の返事を聞く日が来て元就が家に行くと既に加芽の姿はありませんでした。
そして美伊に加芽に振られたことを言い「このとおりじゃ。許してくれ」と謝ります。
美伊は「此度(こたび)だけは、笑い話に致しまする」と言います。
しかし元就の足をつねりながら「男と子供は、痛い目に遭うて初めてやってはならぬことが分かります」と言っていてやはりまだ怒っているなと思いました
それでもやっと元就と美伊に仲の良い雰囲気が戻って良かったです。

三年が過ぎ、大内の安芸攻略が大詰めを迎えていた頃、突然前線に出ていた元就達を呼び出した義興は厳島を引き上げて山口に帰国すると言います。
元就が与し、興房が動いてくれて、芸備の国人衆のあらかたは大内方に戻って来たと言い、元就に「安芸のこと、後は頼む」と言います。
久しぶりに郡山城に戻った元就ですが安芸平定を夢見ていた義興の突然の心変わりが気がかりでした。



(大内義興。画像はネットより)

山口の義興の館では義興が声をかけて正室の綾の方、義隆と三人で梅見をします。
綾が「おかしな御屋形様。今まで三人で梅見をしようなどと仰られたことはござりませぬのに」と楽しそうに言うと、義興は微笑みながら「わしは三人で梅見がしとうて、厳島から帰国致したのかも知れんのう」と言います。
そして「辺りは墨絵のごとく冬枯れじゃというのに、真っ先に咲くのが梅の花じゃ。何やら、大内の家に似ておる。強く、美しく香りがあって、当家は末代までかくありたいものじゃ」ととても印象的なことを言います。

その夜、義興が急死します。
綾は「帰国致したのも、梅見も、死を感じられたゆえであったやも知れぬ」と言っていて、虫が知らせて死ぬ前に三人で過ごしたかったのかも知れないです。

義興の亡骸の前に並ぶ義隆、綾、重臣の陶興房、重臣の内藤興盛の元に興房の息子の隆房が現れます。
義隆が「父上は、大内は梅のごとくありたいと、望まれた」と言うと隆房は「御屋形様がまことに望まれたは、天下!御屋形様!陶隆房、義隆殿をお助けし、必ずや天下を取りまする!」と言います。
興房は義隆に息子は猪武者だが好きなように使ってやってくれと言います。

西日本最大の守護大名、大内義興死去の知らせはたちまち西国全土を駆け抜け、出雲の月山富田城(がっさんとだじょう)では尼子経久(つねひさ)と孫の詮久(あきひさ)が話をします。
経久は今こそ大内の攻め時と見ていて、詮久も今は毛利を討つ絶好の機会なのでただちに戦略を考えると言います。
郡山城では元就が「御屋形様を亡くした今、当家は後ろ盾を失った。尼子の標的にされるのは目に見えておる」と危機感を募らせていました。


今回は元就の浮気の言い訳の酷さと義興の死が印象的でした。
美伊とは仲直りできましたが義興の死によって再び戦の気配がしてきました。
大内、尼子の二大勢力の全面対決の戦になれば必ず毛利は巻き込まれます。
危うさのある義隆が率いる大内のもとで元就がどう尼子と戦いながら毛利家を守っていくのか注目しています。


各回の感想記事
第一回  妻たちの言い分
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第四回  女の器量
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ
第十五回 涙のうっちゃり
第十六回 弟の謀反
第十七回 凄まじき夜明け
第十八回 水軍の女神
第十九回 夫の恋
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「毛利元就 第十九回 夫の恋」

2019-01-19 21:11:37 | ドラマ
今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第十九回 夫の恋」です。

-----内容&感想-----
オープニングのナレーションで村上水軍のことが語られました。
元就の生きた時代に瀬戸内海を掌握していたのが村上水軍で、「能島、来島、因島の三島を本拠とする村上氏が率いた海の武士団」とあり、これはまさに「村上海賊の娘 上巻」「村上海賊の娘 下巻」(著:和田竜、第11回本屋大賞受賞)に書かれていた「能島、来島、因島からなる三島村上」と全く同じで胸が高鳴りました

毛利元就は自身に殴りかかってきたのが野田次郎だと分かり、17年前に次郎が言った「地の果てに行こうと、一生、松寿丸(しょうじゅまる)様を恨む」という言葉を思い出します。
元就が辛い目に遭わせて申し訳なかったと謝ると次郎は去って行きます。

安芸の国(広島県)の厳島の大内軍本陣で元就が殴られた傷の手当てをしていると加芽(かめ)とともに父の村上虎吉(とらよし)がやって来ます。
虎吉は村上水軍の将で、次郎の乱暴を謝ります。
また次郎は行き倒れていたところを虎吉に助けられ、我が子同然のように育てられてきたことが明らかになります。
加芽は元就に清々しい思いがしたと言います。
毛利家当主という立場にありながら一介の水軍兵の次郎と目線を同じにして向かい合い殴らせていて、家臣を呼んで次郎を斬らせるのが当然至極なのにそうしなかったところに引かれ、そんな元就のことが好きだと言います。
好きと言われ元就は戸惑っていましたが加芽のことが気になってもいました。

郡山城(こおりやまじょう)では美伊(みい)の侍女の藤野が毛利が尼子を見限り大内に付くことにし、元就が今大内を訪ねていると吉川(きっかわ)家に書状を送ろうとしていることに美伊がそんなことをすれば毛利の動きが尼子に筒抜けだと激怒します。
しかし藤野も嫁ぎ先の様子を吉川家に知らせるのは本来美伊の役目なのに、元就に惚れ込みすっかり毛利の人間になっているから自身がやっているのだと応戦します。
「そういうお気持ちでは、いつ殿に騙されても気づきませぬぞ!」とも言い、美伊は「殿は美伊を騙したりはせぬ!」と言っていました。

元就が厳島の大内軍本陣から帰ろうとした時、再び胡弓(こきゅう)を演奏する音が聞こえてきて、音のする方に行くと加芽がいました。
加芽は元就に村上水軍の舟徳利(ふなどっくり)をプレゼントしてくれます。
村上水軍は舟の中で酒を飲むこともあるため揺れても倒れないように徳利の底が広くなっていて、それをお守りにするように言い、殿として悩み多い元就に「揺れても揺れても決して倒れませぬよう、加芽も祈っておりまする」と言っていました。

郡山城で藤野が吉川の間者に書状を渡そうとすると、謎の集団が襲撃してきて藤野は斬られます。
忍の小三太が助けに来てくれて命は取られずに済みましたが誰の仕業なのかについて元就、重臣の桂元澄(もとずみ)、重臣の赤川元保、重臣の児玉就忠で話し合います。
元保は藤野を斬ったのは大内の間者に違いないと言い、大内は毛利とのつながりを藤野が吉川に洩らすのを恐れたのだろうと言います。
尼子方の吉川から尼子に情報が伝わるのは目に見えています。
就忠はこの先も藤野から吉川に何かと情報が洩れるのは必定だと言い、元保は藤野だけ吉川に帰すのが良いと言います。
しかし元就は藤野はこのまま泳がせておけと言い、さらに大内の間者が動けばかえって我々は敵方の動きを知ることができると言います。
清濁併せ飲むような対応が印象的でした。

元就は加芽のことばかり考えるようになります。
因島の村上虎吉の館では加芽が元就から届いた手紙を読み、中身がまるでラブレターのようでした。
嬉しそうな加芽と対照的に次郎が嫌そうな顔をしていたのが面白かったです。

美伊は杉にこのところ元就がおかしいと相談します。
今までは何でも自身にぼやいていたのに、今回は知らんぷりしてくれれば良いと言っていると言います。
杉の侍女の久(ひさ)が「ぼやかずには生きてはおれぬ男にございますのになあ」と言っていたのが面白かったです。
美伊が元就の上の空な様子を話すと杉は「女じゃな」と言い美伊を仰天させます。
美伊は元就は他の女子には興味がないといつも言っているのでそれはあり得ないと言います。
しかしずっと愛に生きてきたと自負する杉は元就の様子を聞いて間違いなく女だと確信していて、美伊は次第に不安になります。

出雲の月山富田城(がっさんとだじょう)では毛利が尼子を離れ大内に付いたという書状が尼子経久(つねひさ)に届きます。
経久は孫の詮久(あきひさ)を呼びます。
詮久は独自の情報網で毛利の離反を既に知っていて、さらに大内が与えた所領(領地)がどの場所なのかも調べがついていてこれには驚きました。
そこから詮久は「若輩ながら詮久、尼子の取るべき道を考えておりまする」と言い、自身は経久がここまで大きくした尼子の勢力をさらに拡大し、天下を取るのが務めと思っていると言います。
東に向かって攻め進み京都に上ると言っていて、かなり未熟に見えた前回よりも頼もしく見えました。
「志というもの、追いかければいつかは必ず追いつきまする」と言っていたのが印象的でした。
詮久の若々しさを見て自身の老いを感じ寂しそうな雰囲気になった経久に正室の萩が「殿は死ぬまで家督を譲ってはなりません。誰が何と言おうと、邪魔にされようと、しがみつきなされ。散り際の美しさだのはいらん。しがみつく強さも美しさにござりまする」と言っていたのも印象的でした。

厳島の大内軍本陣では大内義興(よしおき)と嫡男の義隆が話をします。
義隆は尼子詮久には断じて負けないと決意を語ります。
「この先毛利を上手く働かせ、尼子の背後を一つずつ潰し、ここぞという時に一気に出雲を攻め落とす所存」と言いこちらもかなり頼もしく見えました。
そんな義隆を見て義興は次のように言います。
「年を取るのはよいことじゃのう。年を取ると、周りの者は皆己より若く青い。失敗したりしくじったり、喜んだりを傍で見ておると、自分がもう一度生き直しておるようなのじゃ。父は義隆を通して、今一度生き直しておる。年を取るのは幸せなことじゃ」
年を取ることについて経久と正反対に考えているのがとても印象的でした。



(元就と美伊。画像はネットより)

美伊が元就に好いた女子が他にいるのではないかと聞くと元就は馬鹿なことを申すなと言い、「わしはな、美伊とおる時だけが一番気持ちが安らぐのじゃ」と言いますが美伊が信じていない表情だったのが面白かったです。
美伊は杉に、杉が言っていたとおり女に間違いないと言います。
美伊がこの先一切気づかないふりをすると言うと杉がそれは間違っていると言い、泣き叫んで怒るべきだと言います。
美伊が一切気づかないふりをしてくれる妻の元に最後は帰ってくるのが男というものだと言うと、杉は女がそう思っているだけで利口ぶっている女ほど男には好都合と言います。
そして美伊が何も知らぬかのごとく笑っているつもりだと言うと杉は「女は顔で泣いて心で笑うものじゃ。これが、男を調略する極意じゃ」と言っていて、ずっと愛に生きてきた人は言うことが凄いなと思いました。


今回は元就が奥様がいるのに他の女の人に恋をするとんでもない回でした
ずっと元就に浮気などあり得ないと言って信じていた美伊もついに元就の浮気を確信しました。
美伊がこの先一切気づかないふりをすると言った時の声が寂しそうだったのが印象的で、声の響きに胸が痛みました。
元就には浮気してもなお愛想を尽かさずに自身のもとに戻ってきてほしいと思ってくれている美伊の偉大さに気づき、大事にしてほしいと思いました。


各回の感想記事
第一回  妻たちの言い分
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第四回  女の器量
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ
第十五回 涙のうっちゃり
第十六回 弟の謀反
第十七回 凄まじき夜明け
第十八回 水軍の女神
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「毛利元就 第十八回 水軍の女神」

2019-01-14 19:59:26 | ドラマ
今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第十八回 水軍の女神」です。

-----内容&感想-----
1524年(大永4年)、尼子経久(つねひさ)と大内義興(よしおき)の中国地方の覇権争いがいよいよ激化します。
安芸の国(広島県)での前線基地、鏡山城を奪われた大内は巻き返しに出て、尼子に与する武田氏の居城、銀山城(かなやまじょう)を狙います。
武田氏の前の当主は「第十回 初陣の奇跡」で毛利元就が討ち取った武田元繁です。
経久は銀山城を大内から守るにあたり、武田氏と因縁の深い元就に援軍を要請してきました。
弟の相合(あいおう)元網、重臣の桂広澄(ひろずみ)と渡辺勝(すぐる)を相次いで失った元就は毛利家を立て直す決意を三人の霊前に誓います。

新体制を運営するための元就の側近(重臣)選びが郡山城(こおりやまじょう)で始まります。
その中で児玉就忠と赤川元保が元就の目に留まります。
元就が今回の尼子に与しての合戦の意義はどこにあるかを聞くと、就忠は「恨みを解くための戦」と言います。
銀山城の当主、武田光和(みつかず)の父は元就に討たれた元繁で、さらに尼子方として出陣する熊谷信直も父を元就に討たれたも同然と思い恨んでいるはずなので、この機に恨みを晴らすべきと言っていました。
同じ質問に対し元保は「大内と尼子の力を計る好機」と言います。
力というものは現状よりも先々の勢いが大切で、今回尼子と組んでもそれに捉われることなく両家の力を見定め、毛利家の行く道を殿とともに探るのが家臣の務めだと言っていました。
桂元澄(もとずみ)とともに三人が元就の新たな側近として働いていくことになります。

元就は新たに選ばれた側近を率いて出陣します。
毛利軍の役割は尼子方の後詰として大内軍に包囲された銀山城の救援をすることです。

大内軍では毛利軍が近づいてきたのを聞いた大内義隆(よしたか)が「待っておったぞ!」と大はしゃぎして今すぐにでも打って出ようとします。
それを大内家重臣の陶興房(すえおきふさ)と内藤興盛(おきもり)が止めます。
興房は早って万が一のことがあれば大内の名に傷がつき、まして義隆は初陣なのだから朝まで待って慎重に動くべきだと言います。
ところが義隆は援軍を撃退すれば銀山城の武田は完全に孤立し、打って出てくるしかなくなるので真っ向から戦えると言い、興房の制止を振り切って出陣してしまいます。
義隆の未熟さが印象的で、万が一のことが起こるのが予感される場面でした。

大内軍が動いたことを知り迎え撃つ覚悟を決めた熊谷信直の元に元澄が使者として行き、毛利軍も尼子方の援軍として来たので一緒に戦うから何なりと指示を出してくれという元就の言葉を伝えると、信直は「合力(ごうりき、援軍として一緒に戦うこと)には及ばぬ」と言い断ります。
やはり父親を殺されたも同然という思いから元就を恨んでいました。

元澄から話を聞いた元就は元澄と就忠に、信直には気づかれないように信直軍の後方にただちに陣を張るように指示します。
圧倒的な軍勢差で信直軍が劣勢に立たされた時、後方に陣を張っていた毛利軍が一斉に弓矢を放ち大内軍を次々と倒していき、手酷い打撃を受けた義隆は軍を引きます。
戦いが終わり、信直は突然背後から弓矢を放ち助けてくれたのは毛利軍だと悟ります。

祝勝でお酒を飲んだり餅を食べたりしている毛利軍本陣に信直がやってきます。
信直は助けてくれた礼を言おうとしますが元就は遮り、あくまで信直軍だけで大内軍を撃退したことにし素晴らしい戦いぶりだったと絶賛します。
その心遣いに感銘を受けた信直は元就に笑顔を見せて全てを水に流し、「信直の恨みを解く」という就忠の願いは元就の知略によって叶えられました。

大内軍の厳島本陣で義隆は義興に、功を焦り興房の止める声も聞かず惨敗をして申し訳ないと言い謝り、さらに「大内の名に恥じぬようにと思い、父上に褒められたいと思い、早りました」と言います。
すると義興はよく戦ってくれたと労い次のように言います。
「此度は毛利の奇襲によって敗れたが、父はそなたが、毛利のごとき奇襲によって勝利いたせば、嘆いたであろう。我らは京都の幕府もひれ伏す大内じゃ。大内は、断じて奇襲などやってはならぬ」
天下に名を轟かす大内家としての誇り高さが分かる言葉でした。
さらに義興は義隆が戦陣にあっても父を心に留めていたことが嬉しいと言い、それは父を認めている証で、息子に認められることは父親として最高の喜びだと言います。
義隆は何もかもを父から学び、受け継ぎ、天下を大内のものにしてみせると言いそれまで見られなかった武将としての心構えを見せ、義興が嬉しそうなのが印象的でした。
また義興が「それにしても元就、なかなかの男よのう」と言っていてその力を認めているのが分かりました。

出雲の月山富田城(がっさんとだじょう)では尼子経久の孫の尼子詮久(あきひさ)が登場し、こちらも若い世代の活躍が始まります。
詮久は喋り方から強気で活発な性格なのが分かりました。
また経久の息子の一人で詮久の叔父の国久が登場します。
国久は「新宮党(しんぐうとう)」の当主で、新宮党は新宮谷に居住する尼子軍最強の集団です。
詮久は経久ももう66歳なのだから尼子を自身に任せて隠居してもらって大丈夫だということを言っていましたが、経久が質問をすると詮久が携わっていた戦の不手際が明らかになり経久はビンタをしていました。
詮久もまだかなり未熟なのが分かりました。

毛利家重臣の井上元兼(もとかね)と大内家重臣の興盛の間で秘密の交渉が始まります。
興盛は大内軍を退却に追い込んだのは元就だと皆分かっていて、今日にでも兵を挙げて郡山城を攻めるのは容易いと言い、「されど、元就殿は殺すに惜しい人物と、御屋形様の仰せじゃ」と言います。
さらに「殺すに惜しい人物とは、手を組むに限る。いかがじゃ」と言い、再び大内方になるように言います。

郡山城で評定(ひょうじょう)が開かれ、大内に付くか尼子に付くかが話し合われます。
そこで元就は「今こそ、大内に付く」と言い再び大内方になることを決断します。
尼子に付いて手伝い戦で兵を失うのはもはや我慢ならず、もしこの先安芸において大内の力が伸びれば周辺の国人衆はこぞって大内に付くことが予想され、そうなる前に大内に付いたほうが義興の覚えが良いと言います。

元就は厳島の大内軍本陣に行きます。
義興は再び大内に付く決断をしてくれた元就に何と所領(領地)を与えてくれます。
義興は「何もかも水に流し、ともに新しい旅立ちを致そうぞ」と言い、1525年(大永5年)元就29歳の早春、毛利家は再び大内方になります。

酔いを醒ましに外に歩きに出た元就は胡弓(こきゅう)を弾く美しい女性のいる集団が目に留まります。
その集団は村上水軍で、女性の名前は加芽(かめ)と言います。
村上水軍は「村上海賊の娘」(著:和田竜)でも描かれていた瀬戸内海を支配する海賊集団です。



(加芽。画像はネットより)

元就が女性に見入っていると、突然そばに居た一人の男が元就の幼名「松寿丸(しょうじゅまる)」と呼び殴りかかります。
その男は「第四回 女の器量」で元就の不手際によって兄を殺され元就を強く恨んで去って行った野田次郎でした。
村上水軍に入った次郎はとてもいかつい風貌になり、元就の姿を見ただけで殺気立っていて恨んでいるのがよく分かりました。


今回は終わり方が印象的でした。
再び大内方となり義興から所領まで貰い、登り竜のような良い雰囲気で終わりそうになったところで加芽と次郎が登場しました。
側近の児玉就忠と赤川元保のみならず、新たな人物が次々と登場しドラマの彩りが少しずつ変わってきました。
今回は次郎が元就に殴りかかったところで終わったので次回元就と次郎がどんな話をするのか注目しています。


各回の感想記事
第一回  妻たちの言い分
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第四回  女の器量
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ
第十五回 涙のうっちゃり
第十六回 弟の謀反
第十七回 凄まじき夜明け
第十九回 夫の恋
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「毛利元就 第十七回 凄まじき夜明け」

2018-11-18 19:14:37 | ドラマ
今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第十七回 凄まじき夜明け」です。

-----内容&感想-----
異母弟の相合(あいおう)元網と重臣の桂広澄(ひろずみ)の謀反による死は元就に大きな影を落としていました。
元就が元網のお墓に手向けようとして花を切っていると、筆頭重臣の志道広良(しじひろよし)がやって来て「花なぞ誰ぞに用意させまするぞ」と言います。
元就が己の手で手折りたいと言うと広良は「元綱殿へのせめてもの償いでござるか?」と言い、さらに「一体いつまでぼやけば気が済みますのか。己が家督を継いだから二人は兵を挙げた。わしが継がなければ死ぬことはなかったのじゃといつまで…」と呆れながら言っていたのが面白かったです。
元就はお墓に手向ける花を誓いの花だと言い、次のように語ります。
「毛利のためを思うて死んだ元網の遺志、兄は忘れぬ。必ず毛利を強うするからという、誓いの花じゃ」

元就が元網のお墓に行くと元網の母の相合がいます。
元就がお墓に花を手向け涙ぐみながら「元綱、兄を許してくれ…」と言うと相合は「そのお気持ち、忘れませぬ」と言います。
相合は水がなくては花が枯れるため、殿に用などもってのほかだが重くて私には持てないので農家で水を貰ってきてくれないかと言います。
元就は「容易いことじゃ」と言い喜んで引き受けます。
しかし水を貰って戻ってくると相合が自害し墓石に寄り添いながら亡くなっていて元就は衝撃を受けます。

郡山城で元就は美伊(みい)、杉、杉の侍女の久(ひさ)に水を汲みに行かなければ良かったと後悔を語ります。
美伊は相合は今頃元網に「最後にとうとう殿に水汲みをさせたぞ」と笑って言っているはずだと言い慰めます。
杉が「いかに辛かろうと、己の命を絶つは、間違うておる。体がぬくいうちは、仏に生かされておるのじゃ。仏に背くは、間違うておる」と言っていたのが印象的でした。
元就は「何もかも、わしのせいじゃ」と言い思い詰めます。

重臣の渡辺勝(すぐる)を嫡男の通(かよう)が朝食も夕食も食べていないと聞いたが大丈夫なのかと心配します。
勝は自身が謀反に加わっていれば広澄も元網も相合も死なずに済んでいたかも知れないと言います。
さらに毛利を守るためには謀反もあるだろうが自身はそこに身を置きたくはなかったと胸の内を語ります。
通は勝が元就を討たなかったことは毛利を守ったことに等しいと思っていると言います。

重臣の井上元兼が元就に勝の動きがどうも怪しいと言います。
広澄が亡くなった夜に城の前で勝の姿を見たと言い、広澄が謀反に失敗した時には勝が兵を挙げて謀反を起こす約束がかねてより出来ていたに違いないと言います。
元就は「勝はさような男ではない。信じられぬわ」と言いますが元兼は勝にはゆめゆめ油断するなと言います。
さらに元兼の屋敷で家臣が勝が死ねば元兼は元就、広良に次ぐ地位になると言うと、元兼は自身が欲しているのは毛利家だと言い、いずれは元就、広良にも刃を向けることになるかも知れないと言います。
元兼の曲者ぶりがよく分かる場面でした。

杉が雪(亡き毛利興元(おきもと)の正室)のところに行き、次から次へと人が死に虚しくてならないと胸の内を語ると、雪は自身も生きながら死んでいるようなものだと言います。
「夫に死なれ、子供に死なれた女は、この世にいないも同然。息だけしておれという世の中じゃ」と言っていてとても寂しい言葉でした。
そして杉が言われてみれば自身も何一つすることがないと言うと、雪が「これからの男は、女を上手く使うことを考えねば、人の上には立てぬ」と言っていたのが印象的でした。

広澄の嫡男の元澄が勝を訪ね、父の無念を晴らしたいので合力(ごうりき、援軍のこと)してくれないかと言います。
郡山城では元兼が元就と広良に、元澄と勝が謀反を企てていると自身の手の者が知らせてきたと言います。
元就がまずは謀反の証を掴むことだと言うと、元兼は「もしも証を掴めば、その場で討ち取ってもよろしゅうござりまするな」と言います。

美伊の侍女の藤野は間者から勝の屋敷に元澄が入って行ったことを聞きますがすぐには美伊に言えませんでした。
やがて二人が合力して兵を挙げるかも知れないと言うと、美伊はなぜ隠そうとしたのかと聞き、勝に想いを寄せているのではないかと言います。
美伊は「美伊に話せば兵を挙げる前に渡辺殿は殺されるかも知れぬ。美伊には言えぬはずじゃ」と言い納得します。
藤野が辛そうに「死なせとうない!」と言うと美伊は「藤野、想う人ができて良かったの。美伊が殿を死なせとうないように、藤野が渡辺殿を死なせとうない気持ち、痛いほど分かる」と言います。
そして「渡辺殿のこと、美伊は殿に話すぞ。藤野も、思うたとおりにやるがよい」と言います。

藤野は勝の屋敷を訪れ謀反を思い留まるように頼みますが、勝が謀反を起こす気がないことが明らかになり安堵します。
ところが元兼が兵を率いて勝の屋敷を襲撃して一気に緊迫します。
元兼は勝を謀反の証がなくても殺してしまおうとしていました。


(渡辺勝。画像はネットより)

勝は通に裏から逃げるように言い藤野に通を頼むと言います。
敵が大勢やって来ますが勝は物凄い強さで一人で何人も切り倒します。
そこに元兼が現れて殿の命だと言うと勝は「まことか」と疑わしそうに言い、さらに「これが、勝の生き方にござる」と言います。
これは戦いに生き戦いに死ぬということだと思います。
勝はなおも奮戦しますが多勢に無勢でやがてたくさんの槍に刺され息絶えます。

元兼が郡山城に戻ると元就は「何ゆえ討ち取った!」と言います。
元兼は自身が勝の屋敷に行き謀反の意思があるのかを尋ねたら向こうから切り掛かってきたと嘘を言います。
そこに元就の祖父の福原広俊がやって来て元澄が郡山城を襲う動きがあるという知らせが届いたことを伝えます。
広良が元澄の屋敷に兵を向けるべきだと言うと元就は一人で行くと言います。
広良と広俊が元澄の屋敷には手勢が群れていると言い止めようとしますが元就は制止を振り切り元澄の屋敷に行きます。

屋敷で元就は大勢の敵に囲まれますが全く怯まず、「元澄、父の思いが分からぬのか!何ゆえ命を粗末にする。父の無念を晴らそうと思い兵を挙げ、挙句に死んでは、父が尚更無念だということ、なぜ分からぬのじゃ!」と言い説得します。
元就は「広澄は死ぬ間際にわしに言うた。新しい毛利を託すと。広澄がわしに託したのは、そなたが兵を挙げることではないのじゃ!」と言います。
さらに「父が兵を挙げたは、この毛利の、行く末を案ずるがゆえじゃ!」と言うと元澄が涙ぐみます。
元就は「元澄、そちはこの毛利の力になれ!」「わしは広澄と約束したとおり、新しい毛利を作るのじゃ!」と言い力になってくれと頼みます。
元澄が断ると元就は「わしを斬れ」と言います。
「わしはな、広澄の子ということだけでそなたが信じられた。その広澄が信じたわしを信じられぬなら、わしを斬れ」と言い刀を差し出します。
ついに思いが通じ、元澄は刀を持って跪き「この太刀、頂きまする」と言います。

郡山城で元就は広良、元兼、広俊に元澄には一切咎めを負わせないと言います。
また元兼には自身の命に対しよくぞ忠義を尽くしてくれたと言い、今回起きたことの全てを許すことにします。
さらに今回のことは何もかも自身が命じたことで、誰のせいでもなく自身のせいであり二度と今回のような過ちは犯さないと言い、かなりの器の大きさだと思いました。

元就は美伊に元澄が考え直してくれたのは嬉しいがあの太刀をやるつもりはなかったので惜しいとぼやきます。
すると美伊が「いつまでぼやいておられます。これからさらに新しい家臣が必要にござりましょう。さように女々しうては家臣のなり手がござりませぬ」と言っていて面白かったです。
さらに美伊は新たな子を妊娠したと言い、最後にほっとできる場面になって良かったです。
また最後に「若い世代の幕開けは、実は毛利にとって、さらに過酷な時代への幕開けでもありました」というナレーションがあったのが印象的でした。


前回と今回で桂広澄、相合元網、相合の方、渡辺勝が亡くなり毛利が大きく変わりました。
広澄の嫡男の元澄、勝の嫡男の通がよく登場するようになり家臣の世代が若くなりました。
重臣を失う犠牲が出たのと元兼という曲者はいますがついに家督争いの余波が無くなり元就を中心に毛利がまとまっていくことになります。
名将としてどんどん活躍している元就のさらなる活躍を楽しみにしています


各回の感想記事
第一回  妻たちの言い分
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第四回  女の器量
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ
第十五回 涙のうっちゃり
第十六回 弟の謀反
第十八回 水軍の女神
第十九回 夫の恋
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「毛利元就 第十六回 弟の謀反」

2018-10-30 19:36:28 | ドラマ
今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第十六回 弟の謀反」です。

-----内容&感想-----
1524年(大永4年)夏、尼子経久(つねひさ)が送り込もうとした養子を拒否し元就が27歳で毛利家当主となって以来、家臣団は元就派と反元就派の二つに分裂していました。
出雲の月山富田城(がっさんとだじょう)で経久、重臣の宇山久兼、重心の亀井秀綱が安芸の国(広島県)攻略への作戦を立てていると、裏で尼子に通じている毛利家重臣の桂広澄(ひろずみ)がやって来ます。
この時広澄の様子がおかしく何かを決意した言葉を語り、経久が他に取るべき道はないのかと聞くと今の自身には考えられないと言い去って行き、経久が凄く寂しそうな表情をしていたのが印象的でした。
経久は「桂は元就を斬る気だ」と言い、広澄が謀反(むほん、主君を裏切って襲撃すること)を起こそうとしているのを察知していました。

相合(あいおう)元網は広澄に謀反に同意すると言います。
相合の方(元就の亡き父、広元の側室で元綱の母)は毛利を強くしたいという思いは分かるが二人の考えは無謀だと言い必死に止めようとします。
元網はもはや元就を信じられず、信じられない殿の下では働けないと言います。
相合が広澄に「元綱に兄を殺せと申されるのか」と言うと広澄は元綱を誘う気はないと言います。
しかし元網はそれなら自害すると言い一緒に謀反を起こすと言います。
相合が「元綱に、兄を殺してまで上に立ってほしうはない」と言うと元綱は「お家のためとあらば親兄弟が殺し合うは道理の世にござる」と言い聞く耳を持たないです。
相合がさらに「兄弟で殺し合うより、兄弟で手を取り合い、結果お家が潰れるほうがマシじゃ」と言うと元網は「それは女子の道理じゃ!」と言いますが相合が「人の道理じゃ!」と言ったのが印象的でした。
元網が相合の説得を振り払って去って行った後、相合が「桂殿、お止めください!元網も桂殿も、かけがえのないお人じゃ。母として、女として、死なせとうない。失いとうないのじゃ!桂殿…」と必死の説得をしていたのが悲しかったです。

郡山城では忍の小三太が元就に広澄と元綱が謀反を起こそうとしていると伝えます。
元就は「謀反など信じられぬわ。わしは元綱は斬れぬ。元綱とて、わしを斬れぬはずじゃ」と言います。
すると美伊(みい)が「命に関わることゆえ、さような甘いお考えでは困ります」と言います。
これは血縁者とそうではない者の違いだと思います。
元綱と血の繋がった兄弟の元就は元綱の謀反を信じられずにいますが美伊は冷静に見ています。

毛利家重臣の渡辺勝(すぐる)を広澄が訪ねます。
広澄は「今度生まれてくる時は、武将などではのうて、天候のことばかりを話して、のんびり生きてみたいものじゃと思うたら、急に渡辺殿と空や雨の話をしとうなった。わしは渡辺殿と会えて幸せじゃった」と言い、勝は広澄が謀反を起こそうとしているのを悟ります。

郡山城では重臣の井上元兼が元就に謀反は確かなものだと自身の手の者が知らせてきたと言い、筆頭重臣の志道広良(しじひろよし)は警護を固めると言います。
元就は元綱に会いに行き「此度(こたび)のこと、許してくれ。元綱には煮え湯を飲ましてしもうた。このとおりじゃ」と頭を下げて謝ります。
元綱は元就に「よお分かっておりまする。兄上が家督を継がれて良かったと、今は思うておりまする。あれから悩みも致しましたが、終生兄上に付いて行きまする。何なりとお申し付けくださりませ」と言います。
しかし郡山城に戻った元就に美伊が声を掛けると浮かない顔をしていて、元綱の言葉が上辺だけで実際には謀反を起こそうとしているのを悟っていました。

広澄は元綱から元就が来たことを聞き、感づいていると予想はしていたが最早猶予はないなと言います。
元綱が「いっそ今夜」と言うと広澄は自身が郡山城に攻め入るから元綱は城を囲んでくれと言いついに謀反を決行します。
元綱が自身も城に攻め入ると言っても広澄は「元綱殿は城を囲んでくだされ」と強い声で重ねて言い押し切っていました。
血の繋がった兄弟の元綱を直接元就と戦わせるのは避けたかったのだと思います。

その夜、広澄の嫡男の元澄(もとずみ)が「兵を挙げられると耳に致しました。元澄をお供させてくださりませ」と言いますが広澄は「ならん」と言い、「そなたはまだ若い。しかも桂家の大事な跡取りじゃ」と言います。
桂の家を守るように言っていて広澄は死ぬのを覚悟していました。

出陣直前の元綱が相合に「すみませぬ」と謝ると相合は疲れ切った顔で「行きなさい」と言います。
言っても止まりはしないと諦めたのだと思います。
元綱が行こうとすると相合は即座に自害しようとして元綱に止められ「行きなされ!母は、謀反など起こす子は、見とうない!」と言います。
元綱は側室の子として生まれた苦しさ、そして側室とその子だからと卑屈になる必要はないことを語り、「兄上を斬るは苦しいが、母上とて、元綱を他人の手足とするために産んだのではござりますまい。元綱は己のため、母上のため、毛利のために、兄上を討ちまする」と語り出陣します。

兵を率いた広澄が郡山城に向かい、元綱は相合と話していたため遅れます。
小三太が元就と美伊に広澄が郡山城に向かっていることを伝え、さらに家臣の「謀反にござります!」の言葉で一気に緊迫した雰囲気になります。
広澄の「掛かれ!!」の言葉で戦いが始まります。
家臣は甲冑を着けているのに広澄だけはなぜか普段着で、広澄なりの謀反を起こすことへのけじめのように見えました。
戦いの最中、家臣を連れて郡山城に向かっていた元綱は小三太の率いる集団に襲われ命を落とします。
広澄は一太刀、また一太刀と浴びて満身創痍になりながらも一人で大勢を斬り倒して元就のもとに向かい対面します。


桂広澄(画像はネットより)

元就は静かに広澄を見ながら「申したきことがあらば、全て申せ」と言い、広良や元兼がやって来ると「広澄と話をしておる。下がれ!」と言います。
元就も甲冑を付けずに普段着で居て広澄への誠意だと思いました。
元就が「広澄、腹にたまっておること、申してみよ!」と言うと広澄は広元も興元(元就の亡き兄)も頼りにならないため自身が毛利を動かさんと力を尽くしたと言い、「某(それがし)の一念、分かってくだされ」と言います。
元就が「広澄、此度のことは、そなた一人の所存じゃな!」と言うと広澄は頷き、自身が死のうとしている時に元綱を庇おうとしていました。
広澄は「元就殿、毛利を、託しまする」と言い自ら首を斬り自害します。


今回は「第七回 われ敵前逃亡す」で興元が言っていた「とにかく世間では親兄弟同士が殺し合う。毛利だけはそのようなことのなきよう、兄弟三人力を合わせていこうぞ」が毛利もそうなるとても印象的な回でした。
広澄が自ら首を斬り自害した時、元就が呆然とした表情で涙を流していたのも印象的で深く悲しんでいるのが分かりました。
元就はこれまでに何度も涙を流していてかなり心も疲れているのではと思います。
この悲しさの先に中国地方10ヶ国の覇者、120万石の大名になった毛利元就の姿があり、そのような偉人になるまでには大変な思いをしていたのがよく分かる回でした。


各回の感想記事
第一回  妻たちの言い分
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第四回  女の器量
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ
第十五回 涙のうっちゃり
第十七回 凄まじき夜明け
第十八回 水軍の女神
第十九回 夫の恋
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「毛利元就 第十五回 涙のうっちゃり」

2018-10-23 21:58:51 | ドラマ
今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第十五回 涙のうっちゃり」です。

-----内容&感想-----
毛利家の当主、幸松丸(こうまつまる)が鏡山城の戦がもとでわずか9歳で亡くなり、幸松丸の曽祖父(元就の祖父)の福原広俊は孫の毛利興元(おきもと)、ひ孫の幸松丸を亡くした悲しみから髷(まげ)を切り「出家する」と言います。
元就は「元就には母上がおった。5つで死なれては何も覚えてはおらぬ。昔、元就には父上がおった。10(とお)で死なれては、ぼんやりとしか思い出せぬ。姉上や兄上もおられた。みなこの元就を残して死んでいかれた。じい、今また、元就に昔じいがおったと言わせたいのか」と言い懸命に引き止めます。
すると筆頭重臣の志道広良(しじひろよし)がやって来て大内が戦の準備を進めていると言い、鏡山城で尼子経久(つねひさ)に敗れた今、今回は大内義興(よしおき)自ら陣頭指揮を取る噂もあると言います。
さらにただちに家督を継ぎ、毛利家当主として来るべき戦に備えると亡き殿(幸松丸)の御前に誓ってくれ、毛利の直系は元就殿しかいないと言います。
広良が広俊に「この大変な時に、元就殿をともに支えていって下されますな」と言うと広俊は切った髷を見ながら「早まってしもうた」と言い、出家を思い留まってくれます。

雪(亡き興元の正室で幸松丸の母)も元就に「幼き殿のご無念を晴らすためにも、ただちに毛利家当主になって下され」と言います。
これを見て雪は元就の異母弟の相合(あいおう)元綱より元就のほうが当主に相応しいと思っているのが分かりました。

相合(元就の亡き父、広元の側室)の館に尼子家重臣の宇山久兼(ひさかね)がやって来て、尼子家から尼子国久(経久の次男)の次男、豊久(経久の孫)を元綱の養子に迎えないかと言います。
久兼は経久は元綱を誰よりも買っておられると言い相合は「ありがたき幸せにござります」と言いますが、これはどう見てもお世辞なのを気づかないものかと思いました。
さらに久兼は尼子から形だけの養子を迎え実際に毛利を動かすのは元綱、重臣の桂広澄(ひろずみ)、重臣の渡辺勝(すぐる)だと言いますが実際には経久に良いように利用されるのではと思いました。

久兼が帰った後広澄は庭で弓矢を持って佇んでいる勝に声を掛けます。
勝はお家の行く末、家督争い、天下など、政(まつりごと)は闇で自身の性には合わないと言います。
広澄は「闇というものは、必ず明ける。むしろ我々は、闇を明けさせるために力を尽くしておる」と言いますが勝は経久の政に取り入れられるのは本意ではないと言い、養子を迎えるのに賛成するのを餞別として広澄と手を切ります。

尼子から養子の話が持ちかけられたことについて郡山城で評定(ひょうじょう)が開かれ、雪は元就という人がいながらなぜ他家から養子を迎える必要があるのだと怒ります。
広良は養子など迎えては尼子の意のままに操られると言い、まさにそのとおりだと思いました。
広俊も養子などいらないと突っぱねなされと元就に言います。
しかし元就はそう容易くはいかないと言い、元綱、広澄、勝は養子に賛成なのだなと尋ねます。
広澄は元就殿では困るというわけでは決してないが、今尼子に逆らうのは何よりも恐ろしいことで、近隣の国人衆は皆尼子に付いているため皆を敵に回すことになると言います。
元就もそれを思うと自身が容易くは家督を引き受けられないと言い、まだ態度を決めていない重臣の井上元兼は別として雪、広良、広俊は自身に家督を継げと言っているため家中が真っ二つだと言います。
「かような時こそ、皆が心を同じゅうせねばならぬ。わしが家督を継いでも、養子を迎えても、皆の気持ちは二つに割れる。わしはそれが恐ろしゅうてならぬのじゃ」
元就が家中の団結を重視しているのがよく分かる言葉でした。
尼子から10日以内に返事をするように言われているため最終的にどうするかは7日後の評定で決めることになります。
そしてこの評定で広良が病気で倒れます。

猿掛城に戻った元就は物凄くやる気のない声で美伊(みい)に「あー、どうしてよいか分からぬ」と言い、評定でのしっかりした声との差が面白かったです。
美伊は「じれったい!いつまでそうやってしおしおと同じことをぼやいておられますのじゃ」と言い、「殿が当主におなり下され。殿から千代寿丸(ちよじゅまる)へと家督を譲り渡すが道理。以上にござります」と言い話を終わらせようとしていてさすが美伊だと思いました。
元就が経久に逆らえば恐ろしいことになると言うと美伊は「尼子の叔父上はもう年ですゆえ、そのうち死にましょう」と言います。
さらに元就が家臣の分裂は目に見えていると言うと「養子でも殿でも、どっちみち分裂するなら、殿が家督を継ぐ!考えるほどのことではござりませぬ!」と言い、これも美伊らしいと思いました。
元就が「美伊は短気で強い女子じゃ」と言うと「はい、腰の引けてる夫を持つと女は限りなく短気に、強うなりまする!」と言っていてこの掛け合いは面白かったです。
しかし元就は母は違ってもたった一人の弟だから元綱と敵になりたくはないと言い養子を迎える方に考えが傾きます。

井上元兼は自身の家臣達にこの家督争いはどう考えても元就の負けで養子が入ってくると言います。
家臣が「いかがされます。今さら桂達にすり寄るというわけには」と言うと元兼は「すり寄る。強い方に付くことは恥ずかしいことではない」と言い、この変わり身の早さは凄いなと思いました。
「男は二枚も三枚も舌を持ち、それを悟られずにいかに渡り歩くかじゃ」と言い、さらに「ゆえに、土壇場で元就が勝ちそうになったらすぐに元就に付く」と言いやはり曲者だと思いました。

評定の3日前、元就は元綱を呼び二人で話し合い、元就が養子を迎えることに決めたと言うと元綱は驚きます。
元就は「わしはな、所詮当主の器ではない。されどな、尼子の好きにされては先祖に申し訳がない。養子を迎えて尼子の顔を立て、実は、兄弟二人で毛利を動かすのが一番じゃ」と思いを語ります。
元綱は自身が恥ずかしいと言い、心のどこかでいつも兄上と張り合っていた、兄上は正室の子で自身は側室の子という思いからか、兄上には負けたくないと思っていたと心の内を語ります。
「家のためとあらば当主の座にもこだわらぬ兄上に、元綱、心が洗われる思いにござりまする」と感動します。

評定の前夜、病気で倒れていたはずの広良が元就の前に現れ、元就が体は大丈夫なのかと聞くと「仮病にござる」と言います。
元就が養子を迎えることにしたと言うと広良は元就に家督を継いでもらいたいと言い、何と広良は仮病を使っている間に室町幕府とつなぎを付け、「元就の家督を認める」と書いた御内書(ごないしょ)を貰っていました。
当時室町幕府の力は弱まっていましたがそれでも幕府のお墨付きの威力は絶大です。
広良は「毛利元就こそ、名将の器。何人たりとも、代わりにはなりません」と言い、この場面は音楽も素晴らしくて胸が高鳴りました
元就が「わしはな、わしは、元綱と心を合わせて進みたいのじゃ。小さい頃より、身寄りのなかったわしが、たった一人の弟と心を一つにする嬉しさ、分かるか?」と聞くと広良は「よお、分かりまする。されど、毛利を救うのは、元就殿しかおらん。元綱殿では、毛利は滅びます」と言い、元就は悲しいながらも覚悟を決めた表情をしていました。

迎えた評定当日、元就は「わしが家督を継ぐことに致す」と言い元綱は驚愕して「お待ち下され!」と言います。
すると広良が「幕府のお墨付きじゃ」と言い御内書を見せ、元就が毛利本家の郡山城に迎えられることが決まります。
「毛利家当主、毛利元就の誕生です」というナレーションがとても印象的でした。


相合元綱(画像はネットより)

しかし元綱が憎しみに満ちた表情で元就を見ていたのも印象的でした。
その夜元就は「元綱は力を貸してくれるじゃろうか。たった一人の弟を裏切った兄ゆえ、いかが致したらよいか。どうしてよいか分からぬ」と心を痛めていました。


今回は広良が元就に家督を継ぐように説得した時の場面が圧倒的に良かったです。
「毛利元就こそ、名将の器」の言葉とともに一気に音楽がドラマチックになり胸が高鳴り、元就こそ当主に相応しいという思いが強く湧きました。
しかし土壇場で元綱を騙すことになったために元綱の元就への憎しみは凄まじいものになりいよいよ兄弟の激突の時が迫ります。
静かに決着を見届けたいと思います。


各回の感想記事
第一回  妻たちの言い分
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第四回  女の器量
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ
第十六回 弟の謀反
第十七回 凄まじき夜明け
第十八回 水軍の女神
第十九回 夫の恋
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「毛利元就 第十四回 巨人とひよっこ」

2018-09-28 17:55:51 | ドラマ
今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第十四回 巨人とひよっこ」です。

-----内容&感想-----
毛利家は山陰の覇者になった尼子経久(つねひさ)の度重なる圧力に屈して尼子軍に与することになりました。
安芸の国(広島県)の鏡山城攻めを行う経久の本陣で、経久は幸松丸(こうまつまる)に尼子軍への合流が遅れた代わりにそれなりの働きをしてもらうと言い、毛利軍に先陣を務めてもらうと言います。
元就が自身に言ってくれと言うと、経久は「そなたは読みが浅く、決断が遅く、戦下手だ。9つの殿に申し上げたほうがまだマシと思うての」と馬鹿にしたことを言い、尼子軍からは笑い声が上がります。

1523年(大永3年)6月13日、戦いが始まりますが鏡山城の守りは堅く、毛利軍は何度攻めても落とすことができません。
軍議で元綱が元就にこれでは毛利の信用を無くすと批判します。
さらに元綱は全軍で一気にぶつかって敵の防御を突破するしかないと言いますが、元就は「それは兵を消耗させるだけで下手な手であろう」と言います。
元綱は批判ばかりで戦い方もいざという時にあまり良い策を考えられないと思いました。
何か策があるはずだと言う元就に元綱は「元就殿はいつもそうじゃ。いたずらに時をかせぎ、嵐が通り過ぎるを願い、かえって大きな嵐を招く!こたびもただちに尼子に付けば、経久殿とて病弱な殿を大将にせよとは申されなかったはずじゃ!」と食ってかかります。

大内方も厳島で謀反が起きすぐには鏡山城に援軍を送り出せない状況です。
義興(よしおき)は義隆に初陣の話をしようとしますがまたも遊び呆けていて激怒します。
「この大内がいかなる家であるか分かっておろう。我等が京都を発った今、幕府すら立ち行かなくなっておる。天下を動かすのはこの大内じゃと言うのに、朝から晩まで遊びばかりとは何じゃ!」
すると義隆は自身は天下を動かす家に好んで生まれてきたわけではないと言い、戦よりも書を読み、舞を舞い、歌を詠み、多くの者と遊び語らうのが好きで、そんな自身に天下を担えと言われても荷が重いと言います。
義興は義隆を殴り、「息子一人導けぬわしが、厳島で謀反が起きても道理じゃな」と言っていて寂しく聞こえる言葉でした。
義隆は立派に初陣を飾って見せると言いますが、涙を流しながらこのような家に生まれたくなかったとも言い、望んでいないのに大内のような家に生まれるのも大変なのだと思いました。

鏡山城の秘密の間道(かんどう、抜け道のこと)でも突き止めない限り城を落とせないと見た元就は重臣の井上元兼(もとかね)から鏡山城主の蔵田房信(ふさのぶ)と叔父の蔵田直信(なおのぶ)のことを聞きます。
元兼は房信は忠義者で戦上手でいかなる手も通用せず、直信は小心者で欲深く、落ち着きのない男だと言います。
これを聞いた元就は策が閃いて忍の小三太(こさんた)を呼び、蔵田軍に大内は厳島の謀反で手こずり合力(ごうりき、援軍のこと)が出せないという噂を流すのと、直信の側近に元就が会えるように手はずを整えてくれと言います。

数日後、小三太は元就のもとに直信の側近、湯浅信行を連れてきます。
元就は信行に、直信の手により房信の首を獲れば余計な血を流さずに戦を終わらせることができ、蔵田家も断絶せずに残ると言い、さらに房信の所領は全て直信に渡すと言います。
大内の本隊は謀反で援軍には来れず、元兼によって大内との縁が切れてはいない毛利の言葉だから信じられるだろうと言い信行を信じさせます。
直信は元就の条件を飲み鏡山城への間道を教え、元就率いる毛利全軍はその間道を進み鏡山城に攻め込みます。
直信は自身の家臣達とともに房信に刃を向け、切腹すれば妻子と家臣の命は助けると言い鏡山城は開城に向かいます。

元兼が経久のもとに行き、鏡山城開城の手はずが完了したことと、ただちに房信を切腹させるから妻子と家臣の命は助けて良いかと言います。
重臣の亀井秀綱はそのような条件は前もって経久に相談すべきことだと怒り、重臣の宇山久兼(ひさかね)は何も言わずに進めたのは元就が手柄を独り占めしたかったからではないかと言います。
経久は微笑みながら「元就、やってくれたのう」と言い妻子と家臣の命を助けると言います。
しかし元兼が帰ると表情が険しくなり、低い声で「元就、やってくれたな」と言い怒っているのが分かりました。

翌日房信が切腹して鏡山城は尼子の手に落ちます。
房信の首検分が行われ、病弱な幸松丸を心配した元就が首は自身が見ると言うと、幸松丸は「馬鹿にするでない!」と言い討ち取られた首を見ますが気持ちが悪くなり倒れてしまいます。

元就が直信を経久に引き会わせると経久は妻子と家臣の命は助けると言いますが、直後に刀を抜いて直信を殺してしまいます。
「このような裏切り者、次はわしを裏切る」という言葉が印象的でした。
しかし経久も武田元繁(もとしげ)を裏切っているので人のことは言えない気がしました。


毛利元就(画像はネットより)

経久は元就に「そなたもわしを裏切っておったようだな。大内と繋がっていたゆえ、こたびの調略が叶うた」と言います。
元就が必死の顔で「つながってはおりませぬ!」と言っても経久は信じず元就の首に刀を向けます。
殺しはしませんでしたが「斬って捨てるにも値しない。直信以下だ」と言い元就は打ちひしがれてとても悔しそうな顔をしていました。

猿掛(さるかけ)城に元就が帰ってきます。
勝ち戦だったのに茫然自失の顔の元就を見て出迎えた美伊(みい)、杉、美伊の侍女の藤野、杉の侍女の久(ひさ)は不審に思います。
みんなで祝い酒を飲んでいる時も表情が晴れない元就に、留守を守っていた祖父の福原広俊が幸松丸がまた倒れたことを知らせ、元就は郡山城に行きます。
美伊と杉は家臣に元就の身に何があったのかを聞きます。

美伊、杉、藤野、久で話をし、美伊は直信が殺されては元就の面目は丸潰れでそれでは喜べるわけがないと言います。
元就の調略を杉が人を騙すのは良くないと言うと、美伊は調略によって味方の犠牲を最小限に抑えることができたのだと言い、藤野も戦って手勢を失うのも戦なら舌先三寸で丸め込むのも戦で、調略は武器だと言います。
調略について意見が割れたのが興味深く、私は家が生き残るには必要だと思います。
杉が自身は仏の道を極めているから元就が地獄に落ちないか案じられると言うと、美伊と藤野がいなくなった後で久が「されど杉様。仏の道はもう飽きたと、3日ばかりで投げ出されましたよな」と突っ込んでいるのが面白かったです。

元就は美伊に「わしゃあ、半端な人間じゃ。経久殿のように冷酷な調略も使えぬし、何をやっても半端で道が定まらぬ」と苦しい胸中を明かします。
すると美伊が次のように言い励まします。
「半端な人間が、一番楽しみでござります。道の定まった人間は、もはやそれしかないということ。半端な人間は、どれもこれも可能になるということ。半端な人間ほど、勝ったようなものにござります」
「殿、美伊に何でも愚痴を言うて下さりませ。そして一歩外に出たら、凛々しい武将に変わり、帰ったらまた、美伊に愚痴をこぼされませ」

これを見て何て器の大きな素晴らしい奥方なのかと思いました。

出雲の杵築(きずき)大社(出雲大社のこと)に居る経久のもとに裏で経久と通じる毛利家重臣の桂広澄(ひろずみ)から火急の文が届きます。
そこには幸松丸の命が今日明日までしか持たないと書かれていて、経久は「元就を決して当主にしてはならん」と言います。
久兼が「鏡山城の蔵田直信の調略、実は元就を買っておられますな?」と言うと経久はにんまり笑いながら「元就は困る」と言い、その力を認めているのが分かりました。

毛利家の重臣が郡山城に集められます。
幸松丸と二人にしてもらった雪が「幸松丸、丈夫な体に生んでやれず、すまなかったのう。もう楽におなり。元気に父上のもとに走っておいき」と言っていたのがとても悲しかったです。
幸松丸が亡くなり、「時が止まったような静けさは、毛利家の波乱を暗示するものでした」というナレーションが印象的でした。


郡山城の毛利本家は跡継ぎがいなくなります。
元就か元綱が後を継ぐことになり、いよいよ元就が毛利を背負って立つ日が近づいてきました。
しかしその前には元綱との跡目争いがあり、経久が元就を当主にするのを阻止するために動くことも予想され、元就が毛利を背負って立つ前の山場を見届けたいと思います。


各回の感想記事
第一回  妻たちの言い分
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第四回  女の器量
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十五回 涙のうっちゃり
第十六回 弟の謀反
第十七回 凄まじき夜明け
第十八回 水軍の女神
第十九回 夫の恋
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「毛利元就 第十三回 戦乱の子誕生」

2018-09-26 18:07:58 | ドラマ
今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第十三回 戦乱の子誕生」です。

-----内容&感想-----
安芸の国(広島県)を舞台に大内と尼子の直接対決が始まろうとしている時、美伊(みい)の兄で吉川家当主の元経(もとつね)が壬生城攻めで討ち死にします。
冒頭から波乱の展開で驚きました。
元就の異母弟の相合(あいおう)元綱の妹、松姫との間にできた嫡子、千法師(せんぼうし)はまだ5歳でした。

吉川家に山陰の覇者となった尼子家重臣の宇山久兼(ひさかね)と亀井秀綱、さらに毛利家の元就、元綱、重臣の桂広澄(ひろずみ)が集まって今後の話し合いをします。
久兼は吉川家を支えるのは尼子経久(つねひさ)を始めとする親戚縁者達で、今こそ親戚縁者が固く手を取り合わねばならないと言います。
さらに経久は大内方の鏡山城を攻めようとしているので、その時が来たら毛利家は吉川家とともに尼子方に付いて大内方と戦うように言います。
元就が毛利は父祖の代から大内に与していると反発すると、久兼は大内と手を切り尼子に与することを約束するように迫りその場を去ります。

元綱は元就に尼子に与するべきだと言います。
元就が経久はいざとなれば信義も何もないと言うと、元綱は武将は力を持たねば価値がないと言い、元就がそのためなら何をしても良いのかと反発すると次のように言います。
「裏切り、調略、それは悪ではござらぬ。戦の世には当然のこと」
まるで中国地方10ヶ国の覇者、120万石の大名に上り詰める時の元就のようなことを言っているのが印象的でした。
元就が元綱の言葉に「信義なきは悪だ」と言っていたのも印象的です。

それから間もなく元就、元綱、広澄、重臣の井上元兼(もとかね)、重臣の渡辺勝(すぐる)は大内家重臣の陶興房(すえおきふさ)に呼び出され鏡山城に行きます。
興房は次のように言います。
「わしらが京都におる間に、武将の有りようがすっかり変わってしもうた。いかなる手を使っても力を蓄え、裏切りに次ぐ裏切りを恥とも思わず、上に立とうとする。武将の信義など、どこにもござらぬ」
これは経久のことを言っていて、ここにも信義という言葉が出てきます。
さらに9歳の幼き毛利の殿、幸松丸(こうまつまる)と大内家の重臣、杉重清の娘の菊姫との縁組を考えてほしいと言います。
興房は微笑みながら「縁組など結ぼうが結ぶまいが毛利家が大内に対して信義を尽くしてくれることは、御屋形様(大内義興(よしおき))もよう存じておる」と言いますが、信義を尽くすとは限らないから縁組で関係を強化しようとしているのは明らかでした。
毛利は尼子からも大内からも戦になったら与するように言われ苦しい状況になります。

亡き毛利興元(おきもと)の正室、雪は大内と尼子どちらに付くか、元就に一任すると言います。
裏で尼子に通じる広澄は元綱、勝と話し合いをします。
元綱は信義などと言っている元就は甘く、今は力で他国をねじ伏せる時代、尼子の時代だと言います。
広澄は鏡山城の戦を機に大内と手を切り尼子に付くべきだと言います。
しかし勝は経久の調略の切れ味に惚れ込み広澄と手を結んだのに、今の経久は切れ味どころか力で弱き者を威圧してくると言い、経久に付くのに疑問を持ち始めているのが分かりました。

猿掛(さるかけ)城では美伊が元就にややができたと言います。
しかし元就は大して喜ぶ素振りも見せず、鬼吉川と恐れられた吉川家は元経が亡くなりわずか5歳の千法師が当主になったのに対し、いつ潰されてもおかしくなかった毛利家が生き残りその上ややができた運命の巡り合わせを不思議がります。
これには美伊も不機嫌になり、そこは素直に喜べと思いました。
1523年(大永3年)4月、美伊は元気な男の子(幼名は千代寿丸(ちよじゅまる)、後の毛利隆元)を出産します。
杉や杉の侍女の久(ひさ)、美伊の侍女の藤野が次々と千代寿丸を抱き上げて楽しそうにしていましたが、大内と尼子の戦が迫る中つかの間の平穏だと思いました。

美伊は元就に経久の正室、萩(美伊の叔母)から尼子と大内が戦になったら尼子に付くように元就を説得してほしいという手紙が来たと言い、説得などする気はなく元就が思うように決めれば良いと言います。
ただし死んでほしくないので手柄など無用だから危ないと思ったら逃げてくれと言い、孫子(そんし)も兵法という書物で兵力が劣っている時は逃げろと言っていると言います。
「生きてさえいれば、人間勝ったようなもの」という言葉が胸に迫りました。

大内家では亀童丸(きどうまる)が元服して義隆となり、女子達と遊び呆けていて義興が怒ります。
「義隆!大内は今西国一の大名じゃ。京都にさえ力を及ばしておる。されど!今一度言う。財も力も、必ず衰える時が来る。そうならないようにするのが、そちの務めであろう!」
これは印象的な言葉で、義興は大内がずっと安泰とは限らないのをよく分かっているのだと思います。
後に大内を滅亡させることになる義隆にこの言葉が届かなかったのが寂しいです。
「義隆、戦や政(まつりごと)しかできぬ男も恥じゃが、遊びしかできぬ男も恥じゃ」も印象的な言葉でした。

重臣の内藤興盛(おきもり)が義興に厳島で大内への謀反が起こったと伝えます。
厳島は安芸攻略への海の砦で、謀反が起きて鏡山城が孤立してしまいます。
義興はすぐに毛利に使いを出して尼子が鏡山城を攻める時は必ず大内に与するように言えと興盛に言います。

出雲の月山富田城(がっさんとだじょう)では久兼が厳島謀反が殿の調略とはさすがの大内も気付いていないと言い、経久が裏で動いていたことが明らかになります。
経久は久兼にすぐに毛利に使いを出し、大内方の鏡山城を攻め落とすから尼子に与するように言えと言います。
「鏡山城を落とし、大内に深手を負わすは、天下を手に入れる第一歩だ」という言葉が印象的でした。

尼子軍はすぐに安芸の鏡山城に向けて出陣します。
毛利家では評定(ひょうじょう)が開かれ、広澄、元綱、勝、元就の祖父の福原広俊が尼子に付くべきだと言い、元兼だけが大内に付くべきだと言います。
勝が周辺の国人衆はほとんど尼子に付いていて、今大内に付くのは死ぬことに等しいと言い、広俊も厳島で謀反が起きて鏡山城の背後が脅かされては大内に勝ち目はないと言います。
元就は鏡山城の戦だけを見れば尼子に付くのが得策だが長い目で見た時に尼子に付いて安心か、経久を信じられるのかと言います。
元就は経久の狙いが安芸に留まらず天下を手に入れることだと見抜いています。

元就は美伊に次のように言い無念の気持ちを露にします。
「この世は力だけか。強き者にひれ伏し、強き者をうかがい、強き者に取り込まれるのか。信義はないのか。経久などに取り込まれとうはない。されどわしには、はね返す力がないのじゃ」
美伊は「命さえあれば、人の世はどう転ぶか分かりませぬ。生きて生きて生きて、殿が信義の世をお作りなされませ。今、力がないゆえ、先が面白いのでござりましょう。力がある者は、後は転がり落ちるばかりにござります」と言い励まします。

元就はついに尼子に付くことを決断し、郡山城にやって来た久兼に毛利は尼子に付くと言います。
すると久兼が経久の言葉として尼子に付くならわずか9歳の幸松丸を大将にして先陣を務めるように言い毛利家を驚愕させます。
早く尼子に与しなかったことへの経久の嫌がらせでした。


尼子経久(画像はネットより)

1523年(大永3年)6月、幸松丸を大将にして毛利軍は尼子方として鏡山城を攻めることになります。
元就と幸松丸が経久の本陣に行くと経久は「毛利元就、今頃やってきて恥ずかしくないか」と元就を冷たく見据えながら言います。


今回は信義という言葉が何度も出てきたのと最後にはその思いが尼子という強大な力にねじ伏せられたのが印象的でした。
そして元就を励ます美伊の姿も印象的で、かける言葉は自愛に満ちていました。
今回元就が直面した辛い経験も、やがて中国地方の覇者に上り詰めることにつながるのだと思います。


各回の感想記事
第一回  妻たちの言い分
第二回  若君ご乱心
第三回  城主失格
第四回  女の器量
第五回  謀略の城
第六回  恋ごころ
第七回  われ敵前逃亡す
第八回  出来すぎた嫁
第九回  さらば兄上
第十回  初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十四回 巨人とひよっこ
第十五回 涙のうっちゃり
第十六回 弟の謀反
第十七回 凄まじき夜明け
第十八回 水軍の女神
第十九回 夫の恋
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする