国際空手道 修徳会 北海道本部 札幌道場稽古日記

北広島市輪厚地区で空手の稽古をしています。練習の内容や、イベント、雑多な情報などを画像で紹介します。

軟球

2012-08-17 12:02:50 | Weblog
 日曜日に行われる子供の野球の試合にさえ仕事で観戦に行けない父親。折しも56~73年の間、日本の経済成長率は平均で9.1%を記録、東京では空前絶後の建設ラッシュが起こっていた。父親の職業は、高層建築には不可欠な鳶。仕事は次から次へと舞い込み、休む暇などなかった。子供たちが熟睡している頃に帰宅した父親は、枕元に野球のボールが置かれていることに気付く。初めて打ったホームランのボールだと母親が告げる。
 珍しく仕事が休みだった日の夕方、空き地で子供とキャッチボールをしているとき「あのホームランボール、父ちゃんに預けてくれないか」。訝しがる子供だったが、父親に半ば強引に説き伏せられる。
東京タワーの開業日前日。この工事に携わった父親家族が会社の計らいでいち早くタワーに上ることができた。初めて見る光景に大喜びする家族。帰り際父親が子供に耳打ちする。「あのボールな、実は東京タワーのてっぺんにあるんだ。父ちゃんがアンテナを取り付けたときに、こそっと中に入れてきたんだ。これでお前が東京にいる間は、どこに居たってあのボールを何時だって見ることができる。家の中に飾るよりずっといいだろう、どうだすごいだろう。でも、これは誰にも言うな。二人だけの秘密だ」。
 時は流れる。東京スカイツリーの開業日、父親の葬儀の際にも感じなかった寂寥の思いに襲われた。何かが確実に喪失した実感があった。そしてその原因が分かったのが、この記事を見た時だった。
「東京タワーに謎の軟球」から。

父親の職業は的屋。若い頃はやんちゃもしたが、今は夜店の金魚すくいをしている…
「中学プールに金魚」。