東京下町石材店の二階。老婆に扮した樹木希林が壁に貼られた沢田研二のポスターの前で腰を振りながら絶叫する「ジュリーー」。このジュリーではない。「大キライだったそばかすをちょっと、ひとなでしてタメ息をひとつ」―こちらでもない。どこかと言えばロンドンでの話だ。「楽しいロンドン、愉快なロンドン」のあのロンドンではない。五輪が開催されているGBRのロンドンでのことである。
柔道男子66キロ級に出場した日本の海老沼選手は、準々決勝で韓国選手の反則まがいの技に苦しめられながらも果敢に最後まで攻めきった。海老沼選手の優勢勝ちは疑いようもないものだった。だが、判定ではなんと韓国選手に3本の旗が揚がったのだ。会場内のブーイングは、日本応援団からだけではなく、観戦していた各国の観客からも発せられた。テレビの前の視聴者は日本コーチの鬼のような形相の抗議に誤審を確信した。試合を映像で確認しながら管理するジュリーと言われる審判委員は、すぐさま審判団を呼び寄せ、再度旗判定を指示した。その結果一転して海老沼選手の優勢勝ちに。
現在のように映像技術が発達する以前は、至近距離にいる審判の判断に異論を差し挟む余地は残されていなかったが、今やスポーツの決定的な瞬間は、何度もスローモーションで再生され、視聴者の目を欺くことができなくなった。また、柔道においては技の複雑化、高速化はたとえ至近距離にいようとも目視での判断を困難にするほどだ。シドニー五輪での篠原選手の内股すかしを相手のポイントにしてしまった世紀の大誤審により、ジュリーが制度化された。今五輪ではこの他にも、ボクシングや体操などでも映像での検証によってポイントが変更されたり、勝敗が覆ったケースを多く目にする。国の威信をかけた競技に誤審は許されない。導入拡大は歓迎されることだ。
それにしても、結果が覆って呆然とする韓国選手とコーチ、何ともやりきれない思いだろう。「勝手にしやがれ!」と呟いたかどうか。
柔道男子66キロ級に出場した日本の海老沼選手は、準々決勝で韓国選手の反則まがいの技に苦しめられながらも果敢に最後まで攻めきった。海老沼選手の優勢勝ちは疑いようもないものだった。だが、判定ではなんと韓国選手に3本の旗が揚がったのだ。会場内のブーイングは、日本応援団からだけではなく、観戦していた各国の観客からも発せられた。テレビの前の視聴者は日本コーチの鬼のような形相の抗議に誤審を確信した。試合を映像で確認しながら管理するジュリーと言われる審判委員は、すぐさま審判団を呼び寄せ、再度旗判定を指示した。その結果一転して海老沼選手の優勢勝ちに。
現在のように映像技術が発達する以前は、至近距離にいる審判の判断に異論を差し挟む余地は残されていなかったが、今やスポーツの決定的な瞬間は、何度もスローモーションで再生され、視聴者の目を欺くことができなくなった。また、柔道においては技の複雑化、高速化はたとえ至近距離にいようとも目視での判断を困難にするほどだ。シドニー五輪での篠原選手の内股すかしを相手のポイントにしてしまった世紀の大誤審により、ジュリーが制度化された。今五輪ではこの他にも、ボクシングや体操などでも映像での検証によってポイントが変更されたり、勝敗が覆ったケースを多く目にする。国の威信をかけた競技に誤審は許されない。導入拡大は歓迎されることだ。
それにしても、結果が覆って呆然とする韓国選手とコーチ、何ともやりきれない思いだろう。「勝手にしやがれ!」と呟いたかどうか。