晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「ボヘミアン・ラプソディ」(米/英)70点

2019-02-01 15:56:53 | 2016~(平成28~)

・音楽伝記映画の定番ながら、大画面・大音響で神話を再現。


「ウィ・アー・ザ・チャンピオン」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」などロック・バンド<クイーン>伝説のボーカル、フレディ・マーキュリーの半生を描いた音楽伝記映画。

20世紀フォックスのタイトルがいつもと違う音声でスタートした本作。
クイーンの音楽がどのように誕生したか、F・マーキュリーの栄光と挫折そして復活という絵に描いたようなストーリーは、ファンにとっては周知の事実で目新しくはないが、筆者のようにCMでしかその曲を知らなかった者にとっては、人となりを知るにはもってこいのストーリー。

監督のブライアン・シンガーが途中降板ながらデクスター・フレッチャーが手際よく纏め、ギクシャクしたところは見られなかった。

成功の要因は孤独なスーパースター、F・マーキュリーに扮したラミ・マレックの好演によるところが大きい。
風貌がそっくりではないにも関わらず、英国ではハンデとなる人種・容姿・学歴というコンプレックスをバネに独自の音楽づくりに没頭した自信家のマーキュリーを演じ切っている。
4オクターブの声域は出せないが一部は歌声も披露し、そのスタイルに違和感は全くなかった。

ファンには周知の事実だが、デビュー前は<パキ野郎>と侮辱されながらブライアン(グイリム・リー)とロジャー(ベン・ハーディ)のバンド・ボーカルに参入、ジョン(ジョセフ・マッセロ)が加わってクイーンが誕生したこと。
車を売ってスタジオを借りレコード・デビュー、実験的な音楽はキワモノと言われながらロックの世界だけが彼らを受け入れてくれた。

恋人メアリー(ルーシー・ボーイントン)との経緯、ゲイであることの自覚とドラッグ・パーティやメンバーとの確執、マネージャー・ポール(アレン・リーチ)との亀裂、エイズの発症、新恋人でマネージャー・ポール(ジム・ハットン)との出逢いなど、フィクションも取り混ぜながらのフレディの神話が進んで行くが、如何にも定番メニューという気も・・・。
親日家だった彼の描写がもっとあれば日本のファンは喜んだことだろう。

ハイライトとなるウェンブリー・スタジアムでの<バンド・エイド>の再現は圧巻のシーン。大観衆を前にした渾身のライブは、恵まれないアフリカの子供たちへのチャリティ・コンサートでメンバーと久しぶりに再会。「善き思い、善き言葉、善き行い」を説いた父親の教えを実践し、母への愛を伝えた最大の親孝行でもあった。

感動で涙した観客のリピーターが多いのに驚くが、彼らのライブがスタジアムの大観衆と同じように大画面を通して熱いエネルギーで伝わってきた証しでもあろう。