晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「恋におちて」(84・米 )75点

2019-02-12 14:40:24 | (米国) 1980~99 


・ 80年代のマンハッタンを舞台に繰り広げられる大人のファンタジー。


「ディア・ハンター」(78)以来、再共演したロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープがNYを舞台に繰り広げられる愛の物語。デヴィット・リーン監督の英国映画「逢い引き」(45)がモデルで、監督はウール・グロスバード。

メロドラマの基本である、相応しい季節(クリスマス)や場所(マンハッタン グランド・セントラル駅)音楽(デイヴ・グルーシンのピアノ)を背景に、偶然の出逢いとすれ違いがどのように繰り返されるのかが見どころ。

舞台の中心となったグランド・セントラル駅は、筆者が初めてNYへ行き最初に着いた場所で、33年前の想い出が蘇る場所。
と言っても当たり前だが、本編のようなロマンティックな想い出は一切皆無な出張の旅。時差ボケで眠い目をこすりながらオイスタ・バーで昼食を採り、パトカーのサイレンに悩まされながら地上のグランド・ハイアット・ホテルに泊まった記憶があるだけ。

現地の人にうかがうと、ロケ現場は何日も通行止めされ撮影されたとか。それだけで撮影スタッフの大変さが偲ばれ、作品の出来を抜きに感動してしまう。

肝心の作品はいわゆる不倫ドラマだが、名優二人の手に掛かると大人の純愛に見えてしまうのが不思議。公開当時筆者も観たが、改めて如何に記憶が曖昧かを思い知らされた。

この手の映画で最も大切な<リゾート書店>で出逢う冒頭と3年後再会するラストシーンだが、ラストシーンは二人が互いに書店から出て別の通りを歩いて人込みに消えるところでジ・エンドだと思っていたこと。

また、M・ストリープがヒューストンへ旅立つデ・ニーロに逢うため夫の制止を聴かず雨の夜道を車で行くが、遮断機で止められるシーン。愛車のシビックがエンストするが、日本車はそんなはずはないと思ったこと。

30数年前の記憶はその程度の印象だったが、改めて観ると携帯のない時代のもどかしさと懐かしさを感じる。

中流家庭の中年男女が、充分満たされているハズの自分の環境を振り返ると何かが足りない気がする。その隙間に入ってくる偶然の出逢いは、とても素晴らしいもののように映ってしまう。

そんな普通の男女をデ・ニーロとストリープが見事に演じて魅せてくれている。後の「マジソン郡の橋」(95)でも感じたが、M・ストリープのトキメキと戸惑いの交差する心情の描写は見事!

バブル期の日本でも郊外に住む家庭で起きた<「金妻」シリーズ>に同名のドラマがあり、小林明子の歌がヒットしたことも併せ、ただただ懐かしい。

くれぐれも、夫婦で鑑賞しないように。


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