晴れ、ときどき映画三昧

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「恋のゆくえ/フェビラス・ベイカー・ボーイズ」(89・米)80点

2019-02-24 17:23:02 | (米国) 1980~99 


・ ブリッジス兄弟とM・ファイファーの切ない音楽ドラマ。


当時29歳だった「ハリー・ポッター」シリーズの脚本家スティーヴ・クローヴスの監督・脚本作品で、ボーとジェフのブリッジス兄弟とミシェル・ファイファーのトリオが織りなす音楽ドラマ。

風采の上がらないジャズ・ピアノデュオが、起死回生として雇ったヴォーカリストのスージーを加え一躍脚光を浴びるが、三者三様の想いからギクシャクして行く・・・。

名手ミファエル・バルハウスの華麗な映像とデイヴ・グルーシンのスコアが全編に流れ、兄弟のピアノ演奏が心地良く心に染み入ってくる。そしてハスッパで妖艶な女を魅力的に演じたM・ファイファーが男たちを惹きつける。
後にパロディでもお馴染みのM・ファイファーが赤いドレスでピアノに乗って歌う「メイキン・ウーピー」など、彼女の歌とルックスで観客を魅了するシーンは印象に残る。

ジェフ扮するジャックとスージーのラブシーンもダイレクトな映像ではなく、微妙な心情のプロセスを経ながら観客に想像を掻き立てる手法がとてもオシャレで、S・クローヴスは新人とは思えない絵創りに冴えを魅せていた。

仕事・家族・兄弟・恋人関係など3人の立場に立って観ると夫々が充分納得の行くものだ。ハッピーエンドではないハリウッド作品だが、エンディングに流れるM・ファイファーの歌う「マイ・ファニー・バレンタイン」とともに心に残る作品だ。

円熟したS・クローヴスのオリジナル脚本・監督作品を再び観てみたい。