・ J・ヒューストン監督、P・ニューマン主演コンビのハードボイルド。
前年「ロイ・ビーン」に続くジョン・ヒューストン監督、ポール・ニューマン主演のコンビが、デズモンド・バクリー原作の映画化で再びタッグを組んだスパイ映画。
<007>のような華やかさはなく、足に地が付いたアクションが見所。
宝石泥棒に扮したリアデン(P・ニューマン)が上司・マッキントッシュの指示で10万ポンドのダイヤを奪うが、あっさり逮捕され禁固20年の刑に処せられ刑務所入り。
徐々に登場人物の相関図が明らかになって行くが、説明不足もあってモヤモヤ感が拭えないのは脚本のせいか?脚本はウォーター・ヒルとウィリアム・フェアチャイルドの名があるが、何か経緯があったのかもしれない。
前半はリアデンが刑務所での暮らしと、ソ連スパイのスレイドと一緒に脱獄するシーン。囚人服は流石英国らしく、シャツにネクタイにジャケット風の作業着なのがユニーク。
クレーンを使う脱獄シーンは原作とは違うオリジナル映像で、いよいよスパイ小説らしくなってくるが脱獄を手助けした組織は何故リアデンまで助けたのか?まだ謎は解けない。
目が覚めるとそこはアイルランドだった。荒涼とした岩だらけの風景は当時新鮮で、繰り広げられる逃亡劇はP・ニューマンの面目躍如で本作最大のハイライト。
このあたりでウィーラー卿(ジェームズ・メイソン)とマッキントッシュの関係や、マッキントッシュの秘書スミス夫人(ドミニク・サンダ)の存在も明らかになってくる。
テンポよく進むが、原作のダイジェスト版のような展開はアイルランド、マルタ島ロケやP・ニューマンのカーチェイスを映像化するためにエネルギーを割いた感がある。
出番は少ないが日本でもパルコのCMでも人気があったD・サンダの清楚な美しさが際立っていて、当時彼女目当てで観た人も多かったのでは?
本作は失敗作と言わざるを得ないが、P・ニューマンは同じ年「スティング」で鬱憤を晴らすことができた。彼の俳優生活でもエポックメイキングとなった年でもあった。