晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『レスラー』 85点

2009-06-27 15:43:17 | (米国) 2000~09 

レスラー

2008年/アメリカ

低予算ゆえのリアル感を味わう

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆90点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆85点

ダーレン・アロノフスキー監督が温めていたプロレスをテーマにした企画を、ミッキー・ローク主演で実現、ヴェネチア国際映画金獅子賞をはじめ数々の賞を獲得した。
ランディ(M・ローク)は’80年代はマジソン・スクエア・ガーデンを満員にした花形プロレスラーだった。スーパーでアルバイトをしながら週末に現役を続けているが、身体はステロイドの影響でボロボロになり心臓手術を受けドクター・ストップに。不器用で現実の世界を避けてきた中年レスラーは、定年退職した仕事一筋のサラリーマンのよう。気がつけば、相談相手は好意を持っている酒場のポール・ダンサーのキャシディ(メリサ・トメイ)しかいない。疎遠だったひとり娘のステファニー(エヴァン・レイチェル・ウッド)に会いに行くが、今さらスムーズに行くハズもない。
M・ロークは’80年代は「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」「ナイン・ハーフ」と立て続けにヒット作の主演でハリウッドの大スターだった。その後低迷を続けボクサーとなり、整形手術を受け復活を遂げたが鳴かず飛ばずの20年間を過ごしている。この役は自身とオーバーラップするのか文字通り吹き替えなしの体当たりの演技が感動を呼ぶ。アロノフスキーはニコラス・ケイジで決まっていたキャスティングをM・ロークにこだわり続けた所以もそこにあるのだろう。
お陰でベタな作りながら「ロッキー」のような派手さがなく、製作費600万ドルの低予算ゆえのリアル感を味わうことができた。プロレス好きの監督らしく、興行の裏面も描かれていてマニアの期待も裏切らない。また興味のないひとにも流血場面などは適度に抑えられ、男のドラマとして不可欠な要素として受け止められている。折りしも三沢事件が起きたフェイクとリアルが交錯するこのエンターテイメントは、好き嫌いがあるものの本物のプロレスラーも出演したこの映画で理解が深まるのでは?
9歳の男の子のために必死に生きるダンサー役のM・トメイもM・ロークに劣らない体当たりの演技。役柄が役柄だけに44歳にして惜しげもなく裸身を晒しながら、好きな男との生活に踏み切れない愛おしさが滲み出ている。2度目のオスカー獲得はならなかったが、この映画を見事に支えている。
ブルース・スプリングスティーンの主題歌がこの哀しい男の心情と重なって胸を打つ。


『スタンドアップ』 80点

2009-06-25 13:52:41 | (米国) 2000~09 

スタンドアップ

2005年/アメリカ

静かな熱演のC・セロン

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

クララ・ビンガム、ローラ・リーディ・ガンスラー共著のノンフィクションをもとに「クジラの島の少女」のニキ・カーロ監督、マイケル・サイツマン脚本による映画化。
ミネソタ州北部の町が舞台。夫の暴力に耐えられず実家に身を寄せるジョージー(シャーリーズ・セロン)。2人の子供を育てるため鉱山で働くことになる。男社会の職場で不況が重なり女が働く環境ではないのは想像できたが、嫌がらせは度を超えついにセクハラ訴訟となる。
<世界初のセクハラ訴訟>という実話をもとにしているが、事実より14年後の設定にした同じテーマのオリジナルだと思ったほうが良い。プロットがしっかりしていて最後までスキのないカーロ監督独特の抑えた演出があいまって静かな感動を呼ぶ。親子・夫婦の絆を縦軸に社会の歪みを必死に生きる人々を横軸にして人間を描いた傑作である。才気溢れる脚本は隙がないが、惜しむらくは人間を丁寧に描くことにより、法廷シーンなどでき過ぎの感があったこと。もっとも実際は14年間掛かった裁判を、このドラマに取り入れたら盛り上がりに欠けてしまい収拾がつかなかったろう。
C・セロンは「モンスター」で金髪の正統派ハリウッド女優というレッテルを剥がし、この静かな熱演で大女優の道を歩みだした感がある。次回作がアクション娯楽もので一息ついているが、これからは作品を選んで出て欲しい。
共演にフランシス・マクドーマンド、シシー・スペイセクのオスカー女優は勿論のこと、脇を固める俳優陣がなかなかイイ。父親のリチャード・ジェンキンス、友人のショーン・ビーン、ウディ・ハレルソンなど普段悪役をしそうな俳優が、地味ながら達者な演技振りでそれぞれ見せ場がある。観る人によってそれぞれの立場でこのドラマを共有できそうな作りになっていて、決して女性向けの作品ではない。R-15指定となっているがR-12で良かったのでは?


『フィラデルフィア物語』 80点

2009-06-22 16:30:35 | 外国映画 1945以前 

フィラデルフィア物語

1940年/アメリカ

映画化に成功したがやはり舞台向き?

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

ブロードウェイで大ヒットしたフィリップ・バリーの舞台劇をドナルドオグデン・スチュワートが脚色。キャサリン・ヘップパーンが舞台同様上流社会のヒロイン・トレイシーに扮している。
「客を呼べない女優」の汚名返上のために起死回生の企画でもある。当初共演はペップパーンの恋人でもあったスペンサー・トレイシーとクラーク・ゲイブルを予定していたがスケジュールの都合で実現せず、ケーリー・グラント、ジェームス・スチュアートとなった。
とにかくシャレた会話が満載の大人の喜劇である。映画化に成功したことで米アカデミー賞脚色賞を獲得している。プロローグでデクスター(C・グラント)を追い出すトレイシー(K・ヘップパーン)が、まさにスラップス・コメディの典型で傑作である。
しかしゴシップ記者コナー(J・スチュアート)と下級出の婚約者ジョージ(ジョン・ハワード)がトレーシーを巡っての展開は如何にも舞台向き。テンポの良い台詞も残念ながら、字幕を追うのでは追いつかない。英語が堪能なヒトには面白さが倍増なのだろう。
J・スチュアートのアカデミー主演男優賞受賞は「スミス都へ行く」で受賞を逃した埋め合わせだという世評に納得。C・グラントは損な役回りで2人の引き立て役となってしまった。


『アラバマ物語』 90点

2009-06-20 11:28:07 | 外国映画 1960~79

アラバマ物語

1962年/アメリカ

子供と大人の2つの視点で描いたアメリカの恥部と良心

総合★★★★☆ 90

ストーリー ★★★★☆90点

キャスト ★★★★☆90点

演出 ★★★★☆90点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆85点

ハーバー・リー原作「ものまね鳥を殺すには」をアラン・J・パクラが製作、米アカデミー賞3部門を獲得した人間ドラマ。「アラバマ物語」は邦題。グレゴリー・ペックが演じた正義漢溢れる弁護士アティカス・フィンチがAFI(全米映画協会)が選ぶヒーローNO1に選ばれている。
ときは'30年代初頭大恐慌時代のアラバマ州の小さな町。黒人差別が根強いこの街に住むアティカスは妻を亡くした2児の父親。娘のスカウト(メアリー・バダム)が6歳の頃を30年後に回想することで物語が進行する。そのため子供と大人の視点で同時にものごとを捉える想定が心憎い。
スカウトはH・リー自身がモデルで、アラバマ州で起きた「スコッツボロ事件」(黒人少年9人が白人女性強姦容疑で8人が死刑判決を受けた)をヒントにしてこの小説を書いて900万部のベストセラーとなり、ピューリッツア賞を受賞している。カポーティの「冷血」取材で友人として出ていた女性で映画ではキャサリン・キーナーが演じている。そのカポーティがモデルの小生意気な少年もディルと言う名で登場し、前半は無邪気な子供の日常が微笑ましく描かれる。兄のジェムとともに隣人のブーが父親に閉じ込められている家を怪人屋敷と呼んで、その行為は差別だとは思ってもいない。子供達はそれぞれ個性的。演技しているとは思えない程達者で感心させられる。
アティカスは黒人青年トム・ロビンソン(ブロック・ピータース)の白人女性暴行容疑の弁護を引き受ける。法廷ドラマとしても見応えたっぷりだが、想定外の進行とともに傍聴していた子供達は社会の矛盾や不公正なことが起きることを学ぶことになる。そしてアティカスが理想の父親であることを再認識させられる。まさにG・ペックならではのはまり役でアカデミー主演男優賞受賞も納得。
終盤、隣人ブー(ロバート・デュバル)の思わぬ登場に心が救われ、タイトルバックが新たな意味を持つようになる。
アメリカの教科書にも載るこの名作を、セットで撮影したとは思えないほどリアルに再現した傑作である。


『黄金の腕』 80点

2009-06-17 16:10:18 | 外国映画 1946~59

黄金の腕

1955年/アメリカ

何かと話題の多い人間ドラマ

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆90点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆90点

ネルソン・オルグレンの原作をルイス・メルツァーとウォルター・ニューマンが大胆に脚色、オットー・プレミンジャーが監督した人間ドラマ。
シカゴを舞台にした麻薬の禁断症状に苦しむカードのディーラーが主人公で、フランク・シナトラの演技が話題となっている。
ジャズをテーマ音楽に取り入れた草分け的存在のエルマー・バーンスタインの音楽をバックに、タイトルバックも奇抜でグラフィック・デザイナー、ソール・バスを一躍有名にするなど、何かと話題の多い作品。
当初マーロン・ブランドで企画されたこの映画をF・シナトラが惚れこみ役を獲得するとともに恋人のキム・ノヴァクまで出演させたという。さすがのちに一家を築いた親分シナトラの面目躍如という逸話もある。もしM・ブランドがやっていたら、もっとシリアスで違った雰囲気の暗い作品になっていただろう。
愛する人を失いたくないため悲劇を生むヒロインのエレノア・パーカーは美しいが、K・ノヴァクの妖艶で献身的な優しさに食われてしまい同情を誘わない損な役回りになってしまった。
シェリー・マン、ショーティ・ロジャーズなどのウェストコースト・ジャズの第一人者が特別出演しているのも見逃せない。


『路上のソリスト』 85点

2009-06-14 17:29:07 | (米国) 2000~09 

路上のソリスト

2009年/アメリカ

感動の押し売りをしないJ・ライト

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆85点

英国の気鋭・ジョー・ライトのハリウッド初監督作品は、LAタイムズのコラムニストとホームレスのチェリストの交流を描いた実話をもとにした物語。「エリン・ブロコリッチ」を手掛けたスザンナ・グラントの脚本を除いて「プライドと偏見」「つぐない」で気心の知れたスタッフで挑んだ。
原作はスティーヴ・ロペスという知名度の高いコラムニスト。そのためノンフィクションではなくドラマ化するには幾つかの障害があったハズ。これを乗越えるためにはキャスティングが極めて重要で、J・ライトはロペス役をロバート・ダウニーJRにこだわったという。これがこの作品のリアルな人間像を感じさせて大正解だった。
「統合失調症」を患いLAのスキッド・ロウ地区に路上生活をしながら、音楽だけは捨てない孤高のチェリスト、ナサエル・エアーズには「レイ」でその音楽センスを実証済みのジェイミー・フォックス。難しい役柄を誇張せずにこなして期待通りの演技ぶり。
ジャーナリストとしての独特の嗅覚を利かしたロペスが、ナサエルの特異な生活振りをコラムに取り上げたことで読者の心に訴える静かな感動を与えることができた。それは彼が感じた<精神が高いレベルに浮遊した感覚>を素直にコラムにして行くうちに、自分や世間一般の幸福論の押し付けとなって行くのに気がつくまで時間を要することになる。
J・ライトは感動の押し売りをすることなく、ベートヴェンの音楽とともにLAの街並みを俯瞰で捉えたり、光りの洪水でその世界を描いている。とくにスキッド・ロウ地区にいるホームレスや支援センターのボランティアをエキストラに起用した情景は、J・ライトが最も描きたかったシーンで本領発揮の場面でもあった。それは大都会の恥部を取り上げるのが目的ではなく、そこに住むひとにも希望の光を当てたいと思っているのだ。
人を救うことの難しさを知ったロペスの「友情とは?幸せとは?を真摯に描いたヒューマン・ドラマ」に仕上がっている。


『荒野の七人』 80点

2009-06-13 15:24:36 | 外国映画 1960~79




荒野の七人


1960年/アメリカ






ファンには外せない伝説的西部劇








総合★★★★☆
80



ストーリー

★★★★☆
80点




キャスト

★★★★☆
85点




演出

★★★★☆
80点




ビジュアル

★★★★☆
80点




音楽

★★★★☆
85点





黒澤明監督の傑作をユル・ブリンナーが6年後にリメイク。ウィリアム・ロバーツが脚色しジョン・スタージェスが監督した。エルマー・バーンスタインのテーマ音楽とともに、ファンには外すことができない伝説的西部劇。
「七人の侍」は黒澤監督が西部劇をお手本にしながら日本独特のウェットな人間描写を3時間以上掛けジックリと描いているのに対し、本作品はメキシコの乾いた空気のなか2時間あまりで男の美学を描き、一味違った娯楽大作に仕上がっている。
最大の違いは盗賊の頭目に名悪役のイーライ・ウォラックが演じていること。そのため思ったより好人物に描かれていて、ストーリーに甘さが出てしまった。
ユル・ブリンナーは当初監督し、アンソニー・クイン主演で企画していたとのこと。それだけ思い入れもあって、主役にはタブーの黒尽くめの衣装で登場、颯爽としたリーダーとして描かれる。当時無名だった後の大スター、スティーヴ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、ロバート・ボーンがそれぞれ人物紹介を兼ねた見せ場があって盗賊団との決闘へ挑んで行くシークエンスは、オリジナルを踏襲している。
語りつくされた感のある「七人の侍」との比較はほどほどに、豪華キャストの共演をじっくり楽しみたい。






『真昼の死闘』 75点

2009-06-10 12:38:41 | 外国映画 1960~79




真昼の死闘


1970年/アメリカ






C・イーストウッドとS・マクレーン、ユーモラスな2人のヤリトリ








総合★★★★☆
75



ストーリー

★★★☆☆
70点




キャスト

★★★★☆
80点




演出

★★★★☆
75点




ビジュアル

★★★★☆
75点




音楽

★★★★☆
80点





「マンハッタン無宿」に次いでドン・シーゲル監督クリント・イーストウッド主演のコンビによる西部劇。
名作、ゲーリー・クーパー主演「真昼の決闘」と間違えそうな題名だが、これは邦題。原題は「シスター・サラの2匹のラバ」でシャーリー・マクレーンがサラに扮して、ユーモラスな2人のヤリトリが見どころ。
C・イーストウッドはマカロニ・ウエスタンでおなじみのエンニオ・モリコーネの音楽に乗って登場。金だけが目的なのに、何故か人の災難を放っておけない流れ者。メキシコ革命の騒ぎのなか、遇然であった尼僧サラ(S・マクレーン)を助けたことで、フランス軍駐屯地にある金庫を奪う2人の旅が始まる。
C・イーストウッドはマカロニ・ウエスタンでハリウッドに凱旋したものの大スターになる直前。D・シーゲルを監督推薦して実現したコンビも製作のマーティン・ラッキン、キャロル・ケイスとは歯車が合わず、思う通りには進行しなかった。主演も当初エリザベス・テーラーの筈が、スケジュールの都合?で変更になった経緯がある。ラバに乗るS・マクレーンも素敵だが、もしE・テーラーで実現していたら貴重な映画として評価も違っていたかもしれない。
終盤でダイナマイトの爆破が延々と続き、全体のコミカルな雰囲気を吹き飛ばしてしまうのが残念。直後に「ダーティ・ハリー」で名コンビになる2人にもこんな中途半端な作品もあった。






『皇帝円舞曲』 80点

2009-06-06 12:11:38 | 外国映画 1946~59

皇帝円舞曲

1948年/アメリカ

B・ワイルダーのオペレッタとテクニカラー

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆85点

「失われた週末」のビリー・ワイルダー監督・脚本とチャールズ・ブラケット製作・脚本コンビによるオペレッタ。モノクロが主流だったこの時代にカラー、それもわざわざテクニカラーと銘打ったのは、ストーリーよりも映像美にこだわった所以だろう。
オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ一世(リチャード・ヘイドン)の愛犬のお見合い犬の持ち主ホレニア伯爵(ローランド・カルヴァ)と令嬢ジョアンナ(ジョーン・フォンテーン)父娘。アメリカからきた電機蓄音器のセールスマン、ヴァーシル・スミス(ビング・クロスビー)がジャマに入るという設定自体が突拍子もないハナシ。
B・ワイルダーは尊敬していたエルンスト・ルビッチを真似てこの映画に取り組んだらしいが、はっきり言って失敗作。それでも見どころが随所に見られたのは当時のパラマウントの余裕というべきか?
その魅力のひとつはB・クロスビーの魅惑の歌声。なかでも「奥様お手をどうぞ」は不滅のバラードとしてスタンダード・ナンバーとなっている。オペッレッタといいながらヒロイン、J・フォンテーンは唄わない。それでも東京生まれの美人女優は、「レベッカ」などで魅せたモノクロとは違うカラーで観る衣装とともに輝きがあった。ウィンナ・ワルツで踊るシーンも見逃せない。
出演陣に負けない演技を見せたフォックス・テリヤとフレンチ・プードルが愛犬家には見どころかもしれない。
チロルの風景をカナディアン・ロッキーで撮影。百合や松ノ木を大量に植えたり、白いひな菊4000本をコバルト・ブリーにしたり道路をペンキで塗り替えたり、僅か2分だけのカットに人工の島を浮かべるなどトコトンこだわりの映像美に執着したという逸話が残っている。B・ワイルダーの唯一のミュージカル風コメディとして貴重な作品である。