スタンドアップ
2005年/アメリカ
静かな熱演のC・セロン
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 85点
ビジュアル 80点
音楽 80点
クララ・ビンガム、ローラ・リーディ・ガンスラー共著のノンフィクションをもとに「クジラの島の少女」のニキ・カーロ監督、マイケル・サイツマン脚本による映画化。
ミネソタ州北部の町が舞台。夫の暴力に耐えられず実家に身を寄せるジョージー(シャーリーズ・セロン)。2人の子供を育てるため鉱山で働くことになる。男社会の職場で不況が重なり女が働く環境ではないのは想像できたが、嫌がらせは度を超えついにセクハラ訴訟となる。
<世界初のセクハラ訴訟>という実話をもとにしているが、事実より14年後の設定にした同じテーマのオリジナルだと思ったほうが良い。プロットがしっかりしていて最後までスキのないカーロ監督独特の抑えた演出があいまって静かな感動を呼ぶ。親子・夫婦の絆を縦軸に社会の歪みを必死に生きる人々を横軸にして人間を描いた傑作である。才気溢れる脚本は隙がないが、惜しむらくは人間を丁寧に描くことにより、法廷シーンなどでき過ぎの感があったこと。もっとも実際は14年間掛かった裁判を、このドラマに取り入れたら盛り上がりに欠けてしまい収拾がつかなかったろう。
C・セロンは「モンスター」で金髪の正統派ハリウッド女優というレッテルを剥がし、この静かな熱演で大女優の道を歩みだした感がある。次回作がアクション娯楽もので一息ついているが、これからは作品を選んで出て欲しい。
共演にフランシス・マクドーマンド、シシー・スペイセクのオスカー女優は勿論のこと、脇を固める俳優陣がなかなかイイ。父親のリチャード・ジェンキンス、友人のショーン・ビーン、ウディ・ハレルソンなど普段悪役をしそうな俳優が、地味ながら達者な演技振りでそれぞれ見せ場がある。観る人によってそれぞれの立場でこのドラマを共有できそうな作りになっていて、決して女性向けの作品ではない。R-15指定となっているがR-12で良かったのでは?
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