・ 善良なアメリカン・ヒーローを描いた<戦意高揚映画>。
アメリカがドイツに宣戦布告した第一次大戦中、アルコンヌ攻撃で20名を射殺、132名を捕虜にした英雄アルヴィン・ヨークの伝記映画。
監督はハワード・ホークス、ヨークを演じたゲーリー・クーパーがオスカー主演男優賞を受賞した。
テキサスの片田舎の貧農で、酒を飲んで暴れる乱暴者のアルヴィン・ヨークだが母親には従順で、昼は懸命に農地を耕す4人家族の長男。
ある日、出会ったグレイシー(ジョーン・レスリー)に恋して一念発起、土地を手に入れようと昼夜違わず働くが恋敵サムに奪われてしまう。
傷心のアルヴィンは彼に復讐しようとするが、雷に打たれ教会の讃美歌488に惹かれ信仰に目覚める。感動的だが、素直に受け取れないシークエンス。名優ウォルター・ブレナンが牧師役に扮し、味のある演技をしていても不自然さは否めない。筆者がクリスチャンではないためか?
信仰による<良心的兵役拒否>も実らず入隊する。聖書の教えと戦争の矛盾に悩み上官と論争するが、10日間の休暇をもらって従軍を決意。1918年10月8日アルコンヌ攻撃で殊勲をあげ一躍アメリカの英雄となる。
公開されたのが第二次大戦突入直後のこの映画は、<戦意高揚映画>の役割を果たして大ヒットした。巨匠H・ホークス監督は単なるプロパガンダ映画になるのを回避して何とか面白いものになるよう苦心の跡が窺える。
主人公の泥臭く誠実な人柄を強調しながら善良なアメリカン・ヒーローに描いて、G・クーパーの新しい面を惹きだし見事オスカー受賞に結びつけている。
<自由を守るための戦争>という大義名分はアメリカの歴史から消えることはないだろう。一歩間違えるとトンデモナイ愚作になりかねない本作は、スタッフ・俳優の頑張りで名作となることができた。
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