晴れ、ときどき映画三昧

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「白い肌の異常な夜」(71・米)70点

2016-03-05 08:55:58 | 外国映画 1960~79

 ・ 邦題から妄想したイメージとは違う?サイコ・サスペンス。

                   

 原題は「THE BEGUILED」だから<騙し>という意味だが、邦題は何とも思わせぶりでポスターもヒット作「ローズマリーの赤ちゃん」を意識したホラー映画の趣き。

 南北戦争末期、南部ルイジアナにあったファントワース女子学院に負傷した北軍兵士が運び込まれた。院長・マーサ(ジェラルディン・ペイジ)は、南軍警備隊に引き渡さず匿って手当をする。

 兵士・ジョン・マクバニー伍長は、無事回復すると12歳から40代まで女だけの学院だけに男の本能が疼き出す。演じたのは「荒野の用心棒」・「夕陽のガンマン」のヒットでハリウッドへ凱旋帰還したクリント・イーストウッド。髭を剃ってからの彼は女好きのドンファンで、正義のガンマン・イメージとはかけ離れた役柄だ。

 女だけの世界へ突然現れた魅力的な男に興味津々な女たち。女盛りの院長・マーサはさり気なくワインで誘い、若い処女の教師・エドウィナは理想の王子様と想い、17歳の生徒・キャロルは疼く身体を持て余し、夫々ジョンを恋の虜にしようとする。
 
 キャロルの誘いに乗ったジョンが屋根裏での情事をエドウィナに見られ、階段から落ち足を骨折。マーサは医学書を手にアヘンチンキで麻酔しノコギリで右足を切断してしまう。女の嫉妬は留まることを知らない。

 最後に自らの行いを反省し、エドウィナと学院を去る決心をしたジョンを待っていたのは、大好きなキノコ料理での仲直りだった・・・。

 ドン・シーゲル監督が自身の最高傑作と称した本作。のちにスティーヴン・キング原作の映画「ミザリー」(82)で、キャシー・ベイツがストーカーとなってジェームズ・カーンの足首を斧で叩き折る過激なシーンで再現されている。

 シーゲル、イーストウッドコンビは同年の「ダーティ・ハリー」でブレイク、シーゲルを師と仰ぐイーストウッドが監督・主演した「恐怖のメロディ」も同じ年だ。

 現在押しも押されもしない大御所・イーストウッドだが、まだ若かった頃の本作は彼にとってターニング・ポイントとなった3作品のうちの1本である。 
 

 



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