晴れ、ときどき映画三昧

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「カサブランカ」(42・米) 85点

2016-03-09 17:06:12 | 外国映画 1945以前 
・往年の一大メロドラマは、プロパガンダ映画だった・・・。

                   

 07年、AFI(アメリカ映画協会)が選んだ作品ランキングに堂々3位にランクされた本作。「君の瞳に乾杯!」など数々の名台詞をはじめ散々語り尽くされた名作でオスカー3冠(作品・監督・脚色)を受賞している。

 第二次大戦下、戦禍を免れ欧州からアメリカに逃れるためには、どうしても通らなければならない仏領モロッコのカサブランカ。
 ここでカフェ・アメリカンを経営するリック(ハンフリー・ボガート)のもとへ、かつて恋人だったイルザ(イングリッド・バーグマン)が夫のレジスタンス指導者・ラズロとともに現れる。

 ピアノ弾き・サムが歌う「時の過ぎ行くままに」(As Time Goes by)がパリでの2人の烈愛ぶりを蘇らせる。
 「君は何者で今まで何をしていたんだ?」(リック)、「聞かない約束よ」(イルザ)、「君の瞳に乾杯!」(リック)

 20代に初めて観たとき、顔に似合わずなんてキザな台詞だろうと思ったが、これが男のダンディズムなんだなと納得する展開であった。

 「君と幸せだったパリの思い出があるさ」という精一杯のやせ我慢も泣かせる。

 30年代、ハンフリー・ボガートは敵役が多かったが、「マルタの鷹」(41)と本作で主役スターへ躍進し、99年AFIで男優の1位に選ばれている。当時、帽子にコートの襟を立てたスタイルや、煙草の銜え方などに憧れた似非ボギーがいたという。

 そういえば阿久悠が作詞した沢田研二のヒット作に「時の過ぎ行くままに」「カサブランカ・ダンディ」という歌があった。
 
 I・バーグマンは「別離」(39)でハリウッドで知られ、本作でトップスターとなったスウェーデンの美人女優。本作でもアップを多用してその美貌を際立たせ、ボガート夫人に浮気を疑われたほど。

 とぼけた署長・ルノー(クロード・レインズ)が、親独・ヴィシー政権下のフランスの複雑な立場を象徴するように、アメリカにとって欧州の情勢は傍観している場合ではなかった。

 アメリカも欧州戦線に参戦するには、世論を納得させる必要があった時期。本作がその一助となったプロタバンガ映画であったことは、間違いなさそうだ。

 当初キャスティングされていたロナルド・レーガンが演じていたら映画の評価も大分違ったものになったことだろう。
 


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