晴れ、ときどき映画三昧

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「龍三と七人の子分たち」(15・日)70点

2015-10-10 12:35:42 | 日本映画 2010~15(平成23~27)

 ・ 同世代8人の滑稽な頑張りが哀しくもあり、思わず苦笑い。

                  

 「HANA-BI」(98)、「アウトレイジ」(10)など世界のキタノが、久しぶりに本業のビートたけしネタで画面に登場した。実は北野作品を大画面で観るのは初めて。

 オレオレ詐欺に引っかかったヤクザの元組長。元暴走族グループの若者たちが詐欺をしていることを知り、昔の仲間と組を発足してカツを入れる姿をコミカルに描いている。

 龍三親分を演じたのは、アナーキーな役柄で一世を風靡した藤達也。ここでは監督の要望に応え真面目に演じながら、お茶目な人柄が溢れ出る期待通りの主役ぶり。

 悪なのに人情味もあって、借金の取り立てで相手が気の毒でお金を渡すという人柄だ。

 昔なじみのママ(萬田久子)の家から女装のまま逃走する姿は、龍の入れ墨を自慢する昔気質の男とのギャップを衒いなく演じていた。

 仲間のマサ(近藤正臣)がいい味を出している。団地で生活保護を受けながらの独り住まいだが、貧乏臭くない。何でも賭けの対象にしてソバ屋で龍三と客が何を頼むか?賭ける風景は、それだけで絵になるコント風景。

 もう一人、はばかりのモキチ(中尾彬)は寸借詐欺で暮らすケチな生活。イメージ・ギャップを大いに利用した監督の人選に拍手。終盤とんでもないことになるが、これもベタながらコントのうち。笑って許してしまう。

 他にも早撃ちマック(品川徹)の仁義、ステッキのイチゾウ(樋浦勉)の座頭市バリの殺陣、五寸釘のヒデのダーツ、カミソリのタカ(吉澤健)、神風のヤス(小野寺昭)などそれぞれの特技を持った平均72歳という年寄り軍団が勢揃い。

 時代遅れの軍団は、それぞれ肩身の狭い生活から昔なじみに再会すると年を忘れ活き活きとする。それが傍から見るととても滑稽に映る。筆者と同世代なのが哀しくもあり、思わず苦笑い。 

 
 

 
 


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