地の涯に生きるもの
1960年/日本
半世紀後も色褪せないテーマ
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 80点
ビジュアル 85点
音楽 80点
戸川幸夫の「オホーツク老人」を当時47歳だった森繁久彌が念願の映画化。国後の番小屋で生まれた漁師・村田彦市が、望郷の想いのままラウスの番小屋で過ごす孤独な一生を描いている。団伊久磨の音楽に載せて小沢寅三のナレーションで始まるオホーツクの風景は、記録映画の趣きで時代を感じる。
森繁の彦市は71歳の孤独な老人にしては若々しく老け役に不自然さはあるものの、これを機に老人役に目覚めたのでは?というほど後の活躍ぶりのキッカケとなっている。血気盛んな若いトキのエネルギッシュな演技は北の漁師そのもの。
ドラマは妻をめとり3人の息子に恵まれ厳しい環境のなか幸せな半生だったが、次々と愛する人を失い望郷の念を生き甲斐に暮らす男を回想を交えながら展開する。
そこには自然の厳しさ・美しさ、戦争の虚しさ、漁業資源と領土問題をもろに受けた男の人生が語られ、<海は、みんなのもの>というテーマが重くのしかかり、半世紀たっても色褪せない。
妻・おかつ役の草笛光子は漁場の女にしては品がありすぎるのが難。3男の恋人役の司葉子が都会育ちのお嬢さんで楚々とした美しさ。脇を固める俳優では、由利徹・左卜全がとぼけた持ち味そのままで目を引くが、新人・渥美清が森繁と2人だけのシーンでの歯切れ良い演技がひときわ際立っていた。
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