晴れ、ときどき映画三昧

「ツインズ」(88・米) 65点



 ・ キャスティングの妙で成立した奇想天外コメディ


 「ゴーストバスターズ」の監督アイバン・ライトマンがアーノルド・シュワルツェネッガーとダニー・デヴィートを起用。性格も容姿も真逆な双子の兄弟を演じたホノボノ・ムービー。

 似ても似つかぬ二人が演じる<35年ぶりの再会から母親探しの旅>は奇想天外なコメディだが、つい引き込まれ最後まで観てしまう。

 政府の肝いりで頭脳明晰で肉体も頑健な優秀な人間をつくるために、6人の優れた男性の精子混合と美しく才能豊かな女性の間に生まれたジュリアス(A・シュワルツェネッッガー)。
 研究対象として35年間孤島で育てられたが、双子の兄がいることを知り島を離れ探しに行くことを決意する。
 ひとりボートを漕ぎ大都会に出たジュリアスがようやく探し当てた兄・ヴィンセント(D・デヴィート)は、似ても似つかぬ風貌で小悪党だった。

 ボディビルダー出身で、80年代「ターミネーター」「コマンドー」などタフなアクションスターで鳴らしたシュワルツェネッガーがコミカル路線へ進出した記念すべき作品。のちの日本ではやかん体操のCMでもお馴染みだが当時シルヴェスタ・スタローンと並ぶ2大アクションスターの彼によるコメディは想定外。
 台詞に難のある彼を逆手にとった役柄で、自慢の肉体美と得意なアクションシーンを随所に挟む工夫が活かされている。
 
 D・デヴィートは「殺したい女」(86)、「鬼ママを殺せ」(87)など、ユニークな容姿・風貌を活かしたコメディ路線で名を売っていたひと。その達者な演技は小悪党ながら家族愛に飢えたカス男の哀しみが溢れ出てくる。

 このふたりの凸凹コンビによる騒動は人間愛に溢れ、最後でホロリとさせてくれる。

 童貞・シュワちゃんを誘う恋人役マーニーをのちのジョン・トラボルタ夫人のケリー・プレストンや、ノークレジットだが話題作「キリングミー・ソフトリー」(01)のヘザー・グラハムが若き日の母親役で彩りを添えている。

 古くは50年代のディーン・マーティン=ジェリールイス、トニー・カーティス=ジャック・レモンなど、コメディ路線はハリウッドの王道を行く設定。80年代後半は再びコンビものが隆盛の兆しを見せ、前年メル・ギブソン、ダニー・グローバーのバディ・ムービー「リーサル・ウェポン」が大ヒットし、同じ年のオスカー作品がダスティ・ホフマンとトム・クルーズが兄弟に扮したロード・ムービー「レインマン」だったのも時代を現わしていて興味深い。
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