晴れ、ときどき映画三昧

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「知りすぎていた男」(56・米) 80点

2013-07-17 11:12:36 | 外国映画 1946~59
 ・主題歌「ケ・セラ・セラ」が大ヒットしたドリス・デイの代表作。


     

 本作の22年前、英国で「暗殺者の家」と言う題名で製作したヒッチコックのリメイクだが、なかなか面白い。

 モロッコを観光旅行中の外科医・ベンとブロードウェイのスター・ジョーの夫妻が、国際テロ事件に巻き込まれるサスペンス。ヒッチコックには珍しい子供が絡むハナシでもある。

 例によって掴みがとても興味深い。カサブランカからマラケシュへ移るバスで見知らぬ男と知り合い仲良くなるが、ホテルでの会食は突然のキャンセル。翌日市場での情景が異国情緒盛り上がる最中に殺人事件が起こる。殺されたのがバスで知り合ったフランス人で現地人に扮装した姿だった。ベンに残した言葉が「政治家が殺される。ロンドンへ。アンブローズ・チャペル」である。

 ヒッチコック作品ではお馴染みのジェムズ・スチュワートが初のコンビを組んだドリス・デイとは年の離れた夫婦役でぴったりと息の合った演技を見せている。これは外科医とブロードウェイのスターという設定が上手くはまったせいであろう。ヒロインはD・デイ以外考えられないほど彼女の代表作となった。

 大ヒット作「ケ・セラ・セラ」が2度出てくるが、何れもこのドラマに不可欠な場面で、単なる挿入歌ではないところが流石。

 そして有名なバーナード・ハーマンが指揮する「嵐雲のカンカータ」でのシンバル奏者の音までの緊張感は、この映画のハイライト・シーン。こんな名シーンを作ったヒッチとハーマンが、10年後「引き裂かれたカーテン」で仲違いして長年のコンビを解消してしまった。映画音楽とは難しいもんだと改めて思う。ちなみにこの作品は、オスカー(主題歌・歌曲賞)を受賞している。

 ヒッチらしいユーモアも散りばめられていて楽しい作品だが、剥製屋でのヤリトリは少々脱線気味だった。


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