晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「ハリウッドランド」(06・米) 65点

2015-03-13 07:27:04 | (米国) 2000~09 

 ・ ヒーローの死を巡る、栄光と挫折。

                  
 子供達のヒーロー「スーパーマン」が拳銃自殺したハリウッド・スキャンダルを、TV出身のアレン・コーレターが映画初監督。

 ’59<スーパーマン死す>と新聞各紙が1面トップで報じた俳優ジョージ・リーブス(ベン・アフレック)。音信不通だった母親ロイス(ヘレン・ベッソロ)は、<自殺ではない>と探偵ルイス・シモ(エイドリアン・ブロディ)を雇い、真相を糺そうとする。そこには、ハリウッドならではの不可解な事実が明らかになってくる。俳優と探偵の2人をオーバーラップさせながら事件を追って行く。

 「ブラック・ダリア」「ゾディアック」と実在殺人未解決事件をテーマとした類似の映画が見られるが、真相究明のストーリーだと思うと期待外れ。見所は事件を巡って如何に豊かな生活を送れるかを賭けて躍起となる人々の苦悩を描いている。黒澤明監督の「羅生門」を彷彿させる作りである。

 脇を固めるMGM重役(ボブ・ホプキンス)と夫人でジョージの愛人(ダイアン・レイン)、3日後結婚予定の婚約者(ロビン・タニー)との<名誉と愛欲を巡る葛藤>が、事実を踏まえたこのドラマをとても興味深く魅せてくれている。

 B・アフレックは10kg増量して実在のジョージ・リーブスに成り切り、<望んでいない役で、栄光を掴んだ俳優の挫折と苦悩ぶり>を好演している。

 もうひとりの主役・探偵ルイス・シモに扮したE・ブロディは熱演だが、架空の人物設定なだけに散漫な印象で、消化不良の感があるのを拭えない。むしろシナリオの責任だろう。