晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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『ジェイン・オースティン 秘められた恋』 80点

2011-09-16 11:04:23 | (欧州・アジア他) 2000~09

ジェイン・オースティン 秘められた恋

2007年/イギリス

18世紀末、ハンプシャーの情景が蘇る映像

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆80点

英国の女流作家ジェイン・オースティンとのちの政治家トーマス・ルフロイとの恋は、火遊びだという定説をくつがえす伝記作家ジョン・スペンスの原作をサラ・ウィリアムズ、ケヴィン・ウッドが脚本化。「キンキーブーツ」で名を上げたジュリアン・ジャロルドが監督したラブ・ストーリー。
1795クリスマス休暇で親友の故郷ハンプシャーに来たトム。ロンドンで暮らすトムには、田舎の暮らしは軽蔑の対象でしかないが、親友ヘンリーの妹ジェインとのユーモアと機知に富んだやりとりに少しづつ惹かれるものがあった。
史実をねじ曲げることはできない実在の人物の恋物語は、想定どおりの展開。この時代の背景や情景が如何にリアルかが問われるが、田舎の風景・衣装・美術など丁寧な作りは充分満足する出来栄え。
18世紀末の中流社会の娘は、財産や家柄で親が相手を決めて行く時代であった。これはJ・オースティンの小説「高慢と偏見」でコミカルに描かれているが、まさにそれを地で行く風情。ジェインは地元の名家グレシャム家の甥ウィスリーと婚約寸前だったが、「愛こそ結婚の絶対条件」という彼女にはハンサムで聡明なトムが理想の相手となるには時間がかからなかった。
主演のアン・ハサウェイは美しい瞳と黒髪で現実を見据えた芯のある凛とした女性を演じてアメリカ人であるハンデを乗り越える好演。相手役のジェームズ・マカヴォイも魅力的だが頼りにならない苦学生役は「つぐない」同様この時代に合った雰囲気を感じさせた。
脇を固めたジェインの父母ジェームズ・クロムウェル、ジュリー・ウルターズやレディ・グリシャムのマギー・スミスなどベテラン達が時代表現を的確にしていて若い2人を上手く支えている。
ジェインの姉カサンドラ役のアンナ・マックスウェル・マーティン、グレシャムの甥ウィスリー役のローレンス・フォックスはA・ハサウェイの引き立て役で損な役割をするハメになってしまった。