・ キャスティングの意外性で魅せたラブ・コメディ。
NYを舞台に繰り広げられたラブストーリー「恋に落ちて」(84・米)にあやかった邦題だが、原題は「Mad Dog and Gloly」。シカゴを舞台に冴えない中年刑事がグローリー(ユマ・サーマン)というギャングの情婦を巡って描いたラブストーリー・コメディ。マッド・ドッグとは皮肉を込めた彼のあだ名で主演はロバート・デ・ニーロ。
ギャングのボスを演じたのがシカゴ出身のビル・マーレイで、シリアスなドラマならキャスティングは反対に入れ替えられたに違いない。
ひょんなことからギャングのボス・フランク(B・マーレイ)の命を救ったシカゴ警察のウェイン(デ・ニーロ)はお礼に美女と1週間過すということに。迷惑がっていたが気弱なウェインはやむを得ず受け入れる。兄の借金4万ドルをカタに情婦となっているグローリーに同情するうち恋心が芽生えてしまう。
モテない中年男が恋に目覚める様子はコメディの要素だが、ベッド・シーンがシリアス過ぎて笑えない。
当時ゲイリー・オールドマンと破局したユマ・サーマンは22歳の若さ。本作出演の翌年「パルプ・フィクション」でブレイクするが、気立ての良いピュアな姿はのちの「キル・ビル」(03)とは違った魅力を発揮している。
ウェインの相棒マイク(デヴィッド・カルーソ)、ボスの用心棒ハロルド(マイク・スター)が、それぞれはまり役で脇を固めているのも見逃せない。
なんといってもタレ目で愛嬌のあるギャングのボスを演じたB・マーレイが随所で見せるとぼけた味は主演のデニーロを喰う存在で、何より主題曲「Just A Gigolo」がその証となっている。
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