・ S・スピルバーグ唯一の?ラブ・ファンタジー。
スピルバーグが好きだったダルトン・トランボ脚本スペンサー・トレイシー、アイリーン・ダン主演による「ジョーと呼ばれた男」(43)のリメイクで、第二次大戦中若い部下の成長を願う上司のハナシから森林火災消火隊員が恋人の幸せを見守るパイロットのラブ・ファンタジーにアレンジして念願の企画が実現した。
同類の作品に翌年公開された「ゴースト/ニューヨークの幻」がある。
主人公ピートを演じた「ジョーズ」(75)以来の盟友であるリチャード・ドレイファスで恋人役の航空管制官ドリンダにホリー・ハンターが演じ、親友アルにジョン・グッドマンなどが共演、ともに好演している。
特筆すべきは天使・ハップ役で特別出演したオードリー・ヘプバーンで、これが遺作となったこと。
両親に連れられてイヤイヤ観た「パリの恋人」(57)でその美しさに魅了されファンになったスピルバーグと「ニューヨークの恋人」(81)以来映画出演依頼を拒否していた彼女が「E・T」(82)を観て彼は天才だと思ったオードリーの念願が叶った作品である。
出演料(100万ドル)はユニセフに寄付した彼女の天使役はハマリ役といえる。
公開時に60歳だった彼女は大分老けたなという印象だったが美しさは健在で、たった5分の出演にもかかわらずハップなしでは成立しない作品ともいえる。
もうひとつ本作には欠かせないのが挿入歌「Smoke Gets In Your Eyes」(煙が目にしみる)。スタンダード・ナンバーだが筆者はプラターズのリバイバル・ヒットで知ってレコードを何度も聞いた想い出の曲だ。
本編では2度印象的な場面で流れるが、映画と音楽のコラボを心得たスピルバーグと音楽のジョン・ウィリアムスに拍手を送りたい。
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