遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

花だより

2019年06月19日 12時55分57秒 | 読書

       花だより     みをつくし料理帖 特別巻   
                        高田郁(著)2018年9月発行

   心がほっこり、人情が染みてくる小説「みをつくし料理帖シリーズ」
   のヒロイン「澪」や、彼女を取り巻く登場人物たちそれぞれの
   気になるその後を描いた、作家からのサービス版のような一冊。
   相変わらず、でてくるお料理は、こちらまで香りが届いてきそうだし、
   登場人物各人の個性が興味深く描かれているし、
   全体としては精神安定剤のような効果が期待できる短編集です。

   表題の『花だより』— 愛し浅蜊佃煮 は、
   「つる家」の種市が、大阪で暮らす澪に会いたい一心で一大決心をし、
   ついに江戸から大阪まで、会いに行こうとする冒険談。
   その手土産にと日持ちするものを考え、作ったのが浅蜊の佃煮。
   同じく大阪へ向かおうとしていた坂村堂と戯作者清右衛門と共に、
   小田原を過ぎ、箱根の山道を歩き、関所を超え宿に着いたところで、
   種市はぎっくり腰になり、江戸の戻ることになるのだが、
   その道中がまた昔の旅ならではの面白さで、
   読み手にしたら、あっという間の箱根越え。
   このまま、「東海道中膝栗毛」のみをつくし版が読めるのか、、、と
   一瞬、期待してしまいましたねえ。

   『涼風あり』— その名は岡大夫 は、
   澪の昔の想いびと小野寺数馬とちょっと変わっている妻の話。
   『秋燕』— 明日の唐汁 は、
   澪の幼なじみで大阪に戻り、実家「高麗橋淡路屋」を再建した野江が
   又次への想いを断ち、野江を献身的に支える辰助と新たに生きる決意
   をする話。
    『月の船を漕ぐ』— 病知らず は、
   生まれ育った大阪に帰り、夫で医師の源斉と暮らしながらも
   料理屋「みをつくし」を商っていた澪だったが、
   流行病で疲労困憊し床に着いてしまった夫を案じ、
   健康回復を願って試行錯誤し様々に悩み、
   ついに、義母直伝の江戸の味噌を作ることで夫の食欲を取り戻すこと
   が叶い、また、店の移転問題を解決するまでの話。

   これら四編からなる、味わい深い短編集。
   どうやら、「みをつくし料理帖」は、本当にこれで最後になるらしい。
   残念でなりません。

      わがまま母
  
   
   

   
   
   
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